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スタッフブログ

ちゃんと、話を聴いてもらったら。

 

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蚊が出だした6月のある日の帰り道、

学生時代の先輩にバッタリ出会いました。

先輩も、臨床心理士として働いている方です。

本当にご無沙汰の偶然の出会いにお互い驚いていると

先輩は私に近況を尋ねてくださいました。

 

このとき、当たり障りなく

「元気にしてますよ」

「先輩はどうですか?」

と返事することもできたのでしょうが、

実はそのころ、私はちょっと元気がない時期で

“自分の中でいろいろ考える”

“自分の中でいろいろ対策を練ってみる”

ということを繰り返していたときだったのです。

 

そこで、私は、先輩に状況や考えていることを伝えました。

誰かにちゃんとわかってほしかったのかもしれませんし、

なんとかして状況を変えなければ!と思っていたのかもしれません。

 

臨床心理士って、雑談の場では

臨床心理士として話を聴くわけではないので、

先輩は先輩として話を聴いてくださっていて、

そして、話していたのは15分くらいなのですが、

それでも「聴いてもらった!」という実感がありました。

 

実はそれまでも何人かの人たちに、このことを話したことがあって、

それで、その方々に話したときと

先輩に聴いてもらったときと何が違ったのかな?

と、振り返ってみたのですが…

 

先輩の場合

・他に作業をしながらではなく、

 私の話を聴くことに集中してもらえる状況だった

・先輩に「他人の話を聴く」ことが身についていて

 「聴く」ことに重点を置いてくださっていた

・「私、思ったように話していても大丈夫なんだ!」と先輩の姿勢から思うことができた

 

他の方々の場合

・相手は「何かをしながら」聴いていた

・相手のよく似た体験談を教えてくれた、励ましてくれた

・相手が思う「答え」を伝えてくれた

・今の自分を「ダメ」と相手が思っているように感じる発言があった

・自分が話したいことをあまり話せなかった

 

こんな違いがありました。

 

他の方々もみんないい人なんですよ。

私を心配もしてくれていたんです。

どちらかというと先輩との場合がちょっと特別なのであって、

基本的に雑談や日常の会話って

こういうものじゃないかな、

と、思っています。

 

雑談や日常の会話の場合の多くでは、

相手は自分のためを思って

一生懸命考えてくれた意見を伝えて

なんとか状況がよくなるようにとサポートしようとしてくれます。

相手は、自分の話から思い浮かんだ似たような体験について

「自分にもこういうことがあった」と

教えて、励ましてくれます。

相手が考えてくれた意見がなんだか自分にハマらずに

「ん~、それはそうなんだけど、でも…」

と、自分の意見を言おうとすると、

その先の意見をちゃんと聴いてくれることもあれば、

相手は不機嫌になっていくこともあります。

もし自分の話をメインで話したいのなら

「お願い、最後まで私の話を聴いて」

と、伝えないと難しいかもしれませんし、

もしかしたら、そう言っても

「え?いつもちゃんと聴いてるけど?」

と、意図が伝わらないこともあるかもしれません。

 

こういうことがあって

“自分のことを十分に聴いてもらう”

という体験は、

本当にかけがえのないものなんだな

と、改めて実感したのです。

 

さて、先輩に聴いてもらった感じがした日、

私は胸やお腹のあたりがスッキリしているのを

確かに感じました。

そして、少し自由さが増した感じがしました。

こころに?思考に?

余白ができた感じでした。

 

とはいえ、それだけで何か大きく変わったかというと、

その後のいろいろな積み重ねもあっての今だとは思うのですが、

そういう体験があったその日からの私と

もし先輩に会っていなかったその日からの私とは

また違った私だっただろうとも思っています。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

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