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2018.06.11

「万引き家族」を観て。

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映画“万引き家族”が、カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞しましたね。

これからご覧になられる方々もたくさんおられると思います。

 

祖母、夫、妻、妻の妹、息子、娘の6人の、

誰も血が繋がっていない家族のお話です。

養子縁組でお子さんを授かられるご夫妻もおられますから

父母と子どもに血の繋がりがない家族はたくさんあるとは思うのですが、

おばあちゃんも妹も含めて、誰の間にも血の繋がりのない人たちが家族って、

ちょっと奇妙な感じを受けますよね。

 

“万引き家族”というタイトルの通り、

父と息子、ときどき娘は、万引きをします。

万引きで盗ってきたものは、一家の生活を支えています。

そして、この息子と娘は、夫と妻が“拾った”子です。

劇中では“拾った”と表現されてますが、“拾った”というか、

子どもの親が虐待をしていたので、誰に許可をとるわけでもなく、家に連れてきたんです。

そして、それから、一緒に暮らしているんです。

万引きさせながら。

あたたかいご飯を食べさせながら。

 

子どもに万引きさせることも虐待です。

法に触れていても罪悪感を感じていない大人たちには、

「それは、あかんのじゃない?」と思いますし、怒りもわきます。

一方で、子どもたちにとって、

この一家での暮らしの中に、血の繋がった家族ではおそらくもらえなかった、

温もりや安心できるひとときがあったのだろうなあと、感じました。

子どもたちだけでなくても、

この一家で暮らす血の繋がりのない個人、それぞれが、

“家族”を感じていたように描かれています。

 

養子縁組でお父さん、お母さんになられた方や、

また、当院では行っていませんが、

精子提供や卵子提供でお子さんを授かる方もおられます。

血が繋がっていてもいなくても、

そこに“家族”を感じられるかどうか、なのだな、と、

じんわり思った映画でした。

 

臨床心理士  間塚

 

 


2018.06.04

体外受精を経験してみると…。

 

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体外受精をするまでは、

「まだ体外受精が残ってるから。体外受精したら妊娠できるから大丈夫!」

と、思うものかもしれません。

 

実際に体外受精にすすんでみると

卵胞が順調に育っていくかどうか、

ホルモンの数値が適当な値を示すかどうか、

期待した数の卵子が採れるか、

どのくらいの割合で受精して分割していくのか、

どれくらいの質の卵子を移植できるか、

凍結保存できる受精卵はあるか、など、

いろんなゲートがあって毎日ドキドキだったと仰います。

想定内ですすむ場合もあれば、

「こんなことがあるんだ…」と驚かれることもあります。

 

特に初めての採卵周期は、先々の想定がしにくいこともあって、

いつもよりどこか気を張って通院しておられることと思います。

1回目の採卵で妊娠に至らないと、次の採卵を考えられることが多いですが、

1回目の採卵で、心身ともに頑張って力を使った方がすぐにもう一度採卵していくのには、

パワーがいるように感じています。

とはいえ、何もせずに過ごすことにも焦る気持ちがあると、どうしていこうか迷うと思います。

そういったときは、少し整える意味でも、タイミングや人工授精をはさんで、

心身の緊張を少し緩めて栄養を蓄える周期をつくってみるのもいいかもしれませんね。

 

また、こういった時期、奥さんがつらそうにしていると、

「そんなにしてまで子ども作らなくてもいいよ。無理して治療しなくていいよ。」

と声をかけてくださるやさしい旦那さんがおられます。

ところが、そういった声をかけてもらうと、

「自分一人が子どもが欲しくて、自分だけ頑張っているんだ」と思ってしまって、

余計に悲しい気持ちになる方もおられます。

奥さんは治療をやめることはまだ考えられない中、

旦那さんはそちらの可能性も引き受けておられるように感じて、

「自分だけ…」と思えてしまうのでしょう。

この場合、旦那さんが“奥さんよりも子どもは欲しくない”ということではなくって、

旦那さんだって、子どもがほしい気持ちはあって、

けれど、それ以上に奥さんがいつも通りに暮らしてくれることの方が大事だから、

つらそうな奥さんをみて、なんとかその状態から救ってあげたくて、

そのように言ってくれるのじゃないかな、と思います。

旦那さん側からすれば、

「奥さんが大変そうだけど、自分はどうやったって代われないし…」

と、もどかしい気持ちでしょうし、

時には、「奥さんばっかり大変な想いさせてわるいなあ」

と、心苦しく感じておられることもあるんじゃないかな、と思っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


2018.05.25

体外受精で生まれて。

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世界で初めての体外受精で生まれた英国人女性のルイーズ・ブラウンさんが、

今月20日に六本木ヒルズで講演されたという記事を見ました。

ルイーズ・ブラウンさんは現在39歳。

彼女のお母さんは、卵管に原因があったため、体外受精を希望されました。

そして、彼女は自然妊娠でお子さんを授かったそうです。

 

体外受精の歴史も40年になろうとしています。

今、日本では、19人に1人の赤ちゃんが体外受精をして生まれています。

“体外受精で授かった”ことと“自然妊娠で授かった”ことに

特に何の違いもないと認識される世の中になりました。

実際に、体外受精でお子さんを授かられた患者さんからも、

「体外受精だからって何か不利益があったことはないですよ」

「体外受精して、この子に出会えてよかった」

というような声をおうかがいしています。

 

また、この記事はネットニュースで読んだのですが、

たくさんのコメントが投稿されていました。

「全て同じ出産だと思う」

「『着床したら自然妊娠と同じ』と、医師に言われた」

「どんなふうに生まれるかより、どんなふうに生きていくかが大切」

「この子に出会えてよかったし、うれしかった」

「親から体外受精で生まれたと聞いたときは多少びっくりしたけど、抵抗はなかった」

など。

私は、ネットの記事やコメントは、信頼しないこともありますが、

この記事のコメントは、体外受精に関わった方が実際に体験したことや

そこに纏わる想いを書いてらっしゃるコメントが多いように感じました。

 

授かってみられると、

“どんなふうに授かったか”ということは、

ご夫婦が気にしないようであれば、大きな問題ではないように思っています。

 

全て、かけがえのない命です。

同じ命です。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 


2018.05.18

お薬とのおつきあい。

 

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心身に不調があったとき、

みなさんはどうしますか?

薬をもらいに病院に行きますか?

それとも、自分の力でなんとかしようと努力しますか?

 

この間、「ここ最近は以前と体調が変わってしまった」と

不調を訴えていた方が病院に行かれました。

そして、お薬を処方してもらって、飲んでみたら、

そのお薬が身体に合いましたと、嬉しそうに伝えてくださいました。

「薬が効いてよかったですね」と言うと、

「効いたんじゃないんです。身体が元に戻ったんです。」と、仰いました。

 

身体の状態が、もともとの不調を感じていなかった時と同じようになるのは

本当に嬉しいことだと思います。

そして、そのことを「薬が効いているんだな」と、薬の作用に重点を置くのではなくて、

「身体が元の状態に戻ったんだ!」と、再生した身体を実感されていることが

すごくいいなあ、と思ったのです。

 

薬をできるだけ飲まないようにされている方からは、

「薬を飲むと薬にコントロールされているように感じるから」と、その理由を仰います。

「薬を使って過度に身体に負担をかけるんじゃないか」とか

「症状を無理矢理抑え込めるんじゃないか」とか、

どこかで“不自然なもの”のように感じていて、避ける方もいらっしゃいます。

薬を飲むことを負担に感じられる方もいらっしゃれば、

薬を飲むことで負担から解放される場合もあります。

私は、必要がないのに薬を飲むのはどうかなあ、とは思っています。

一方で、薬に少し支えてもらうことで、本来の自分の力が戻ったと実感されると、

身体の機能回復だけではなく、自信や安心にも繋がるように思っています。

不調が続く自分を実感し続けるよりも、

ちょっと支えてもらうことで自然な状態に戻った方が楽に感じることもあるのかな、と…。

 

 

さて、お薬の中には、妊娠を希望しているときは控えたほうがいいものもあります。

お薬を処方してもらう場合は、医師に妊娠を希望していることをお伝えしてください。

「妊娠を希望しているから、薬は極力飲みたくない」と思う方も、

「飲んでも大丈夫ですよ」と処方してもらった薬を、

「この時期は大丈夫ですよ」という時期なら飲んでも大丈夫なんです。

薬を飲むときは、まずは“安心して飲む”ことが大事だと思います。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


2018.05.11

心のデトックスしてますか?

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ゴールデンウィークが終わって、また日常が戻ってきましたね。

みなさんはどのように過ごされましたか?

 

私は、普段なかなか会わない人たちと会うことができました。

いろんな思い出話や今の話をたくさんしました。

前から変わらないところや、必然的に変わっていくところがそれぞれにあって、

でも関係は変わらず続いていていいな、と感じられるとても貴重な機会となりました。

と言うと、すごくキラキラした素敵な時間のように聞こえますよね。

ところが、それらの時間の内実はずっとキラキラしていたわけではなくて、

よくよく思い出してみると、会話の大半が“毒出し”でした。笑

ショックだったことや腹が立つこと、「信じられない!」というエピソード、

そんな話ばっかりです。

みんなにいろんなことがあって、

みんなに「思うところはあるけど言えずにいる」気持ちがあるのだなあ、と思いました。

それで、こういう機会に「わーーーーっ」と言って、また明日から頑張ろうと思ったり、

「今までのやり方を少し変えてみようかな」って前向きに考えたりできるのでしょうね。

 

その「わーーーっ」と話していることについて

周りは「うわ~!大変!」とか「それはこうしたらいいやん!」とか、

それぞれが思ったことを言うので、

その意見に「そうじゃないねん!」「分かってないやん!」と思う時もあります。

そして「そうじゃないねん!」「分かってないやん!」を、結局その場で言えないこともあります。

そうすると、そのときの気持ちは“言えないボックス”に一旦閉まって、

また別の誰かの前で取り出して話したりすることになるのでしょうか。

思ったことを話すことはできても、

思ったように受けとめてもらうことは難しいものです。

 

それにしても、誰かとの会話の内容で“毒出し”をしていることは、

改めて考えてみると、とても多いように思います。

毒出し話をして、「楽しかった!」「めっちゃ笑った!」と満足するわけですから、

ほんとうの気持ちを閉まって我慢していたり、

周りの人の言動に驚いたり苛立ったりして過ごしていることがいかに多いか…。

「みんなすごい頑張って暮らしているんだなあ」と、しみじみ思いました。

みなさんは、最近“毒出し”をしましたか?

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


2018.05.01

不妊治療専門のクリニックって、どういうところでしょう?

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当院は、“不妊治療専門”のクリニックです。

ですので、待合室はほぼ「妊娠したい」気持ちで来られている方ばかりです。

お子さんを連れてこられる方はおられますが、

お腹が大きい妊婦さんを見かけることはほとんどありません。

 

不妊治療は専門病院でなければできないわけではなく、産婦人科でもされています。

“じゃあ、どこに行っても一緒か”というと、そうではなくて、

治療の内容が病院によって違いますし、検査項目も病院によって違います。

当院は、“妊娠に関係していることで調べられることは、早めに調べましょう”という方針で

最初の1~2周期の間に、実施できる検査をしていきます。

 

“不妊治療専門”というと、

「早く妊娠したい!」と積極的に来られる方もおられれば、

「まだタイミングとって3ヶ月だけど行っていいのかな?」

「なんか、自分で自分を“妊娠しにくい人”にしてしまうみたい」と、躊躇される方もおられます。

初診の日は、「やっと来れた!」と、大きな1歩に安心されます。

「行って何かあったらどうしよう」

「通っても妊娠しなかったらどうしよう」と、心配し出すと、

「やっぱり通院はもう少し先にしようかな」と踏み留まりそうなこともあったでしょうが、

勇気を出して病院に来られて、前に進んでいかれます。

 

当院には、妊娠したい想いがある方は、どなたでもいらしていただけます。

“タイミングを6ヶ月以上とった方”とか、

“他院で不妊治療をすすめられた方”といった決まりはありません。

「妊娠したいな」と思ったタイミングで、“一歩”踏み出してください。

「来てよかった」と思っていただけるように、

医師を始め、スタッフ全員が、“あなた”のご希望や想いに寄り添っていきます。

そして、通院を開始するまでに心配したり期待したりしたいろんな気持ちは、

来られたときにお聴かせくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 


2018.04.23

原因を探すのと同時に大切なこと。

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妊娠していきたい気持ちと同時に、

周りの人と比べて、どうして私は妊娠しにくいのか知りたいという気持ちもあるかと思います。

「頑張ってタイミングとっているのにどうして妊娠しないのだろう」

「何か妊娠しにくい原因があるんじゃないかなあ」と思って、

まずは原因を知って治して妊娠しようと来院されることもあります。

 

特に、自分でアプリや排卵検査薬を使ってタイミングをとられていた場合、

「排卵検査薬ってほんまに合ってるんかな」とか、

「体温っていつが下がったのかわからないし」とか、

「タイミングが合ってなかっただけかもしれない」と考えることもあります。

 

通院して検査をして、これまで授からなかったことに対しての「どうして」が分かった場合、

「ショックはショックだけど、納得はできた」と、思えることもあります。

でも、妊娠については複雑な部分もあって、

何か要因が見つかったとしても、そのことが原因だったかというとそれだけではないこともありますし、

検査上は特に何も問題がないこともあります。

なぜならば、妊娠しにくい原因は、検査で調べきれるものではなくて、

例えば、タイミングがあっていても受精しているとは限りませんし、

そういった現象が起こっているかは、通常では分からないからです。

この明確な答えがわからないところが妊娠の難しさで、

「これだけチャレンジしているのにどうして授からないのだろう」と多くの方が悩まれるところです。

ですので、妊娠に至りにくかったことに原因があるか調べるのと同時に、

「妊娠するためにどうしていくか」を考えることが大切のように感じています。

 

原因を治してできるだけ自然に授かりたい気持ちは、多くの方の願いです。

これから先のことを考えていく中で、「体外受精を自分がするとは思わなかった」と、

違ったアプローチをしていくことに戸惑うこともあるかと思います。

パートナーのリアクションが「思ったようにしたらいいよ」だったりすると、ありがたい反面、

自分の想いだけで進めているようで負担を感じるかもしれませんね。

そういったいろんな気持ちがぐるぐるして、

時に不安になったり自信がもてなかったりするかもしれませんが、

子どもが欲しいと思う“あなた”が、「今どうしていきたいか」を、

“あなた”のために自信をもって選択していってくださいね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


2018.04.02

新しい年度が始まりました

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新しい年度が始まりました。

春になって過ごしやすく、あたたかくて気持ちがいい時期ですし

気持ちも新たに暮らしていきたいですね。

 

初めて来院されるとき、多くの方が、

「なんで妊娠しないんだろう」と思って来られるかと思います。

「原因を治して、妊娠したいんです」と仰います。

妊娠に至りにくい要因があるのかどうか、基本検査をすることで、

例えば、卵管の通過性が確認できなかったり、精液の状態がよくないことが分かったり、

しばらく通院しても妊娠に至らない場合、体外受精をしてみることで

思ったより受精率がよくないことなどが分かるかもしれません。

 

そういったことで、夫婦生活では妊娠に至らなかったことに対して

説明できる何かが分かることがあります。

(補足ですが、必ず妊娠に至りにくい要因が見つかるかというと、そうではありません。

また、“妊娠に至りにくい要因がある” = “それが原因で妊娠しない”と言い切れるかというと、

その限りではありません。)

ただ、私は、このようにも思っています。

「もし説明できる何かが分かったら、“なんで妊娠しないんだろう”という思いはなくなるのだろうか」と。

この“なんで”には、原因を求める意味と、

“どうして私は授からないの?”という意味があって、

“どうして私は授からないの?”ということに対しては誰も説明できないと思うんです。

 

妊娠を待ち望んでいる間、

この“なぜ?” “どうして?” は、ずっとどこかにあるのではないでしょうか。

 

生きていく上で、この上ない喜びもあれば、不条理な出来事もあります。

到底、受け容れられないことが起こることもありますよね。

私は、嬉しいことがあったら一緒に喜んで

悲しいことや怒りを感じることがあったら傍にいて、

妊娠を想いながら過ごされているみなさんの“今”にお付き合いしていきたい、と思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


2018.03.23

“あなた”のこと、お聴かせください。

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初診時に(初診のときに臨床心理士が対応できない場合は後日になりますが)、

カウンセリングのオリエンテーションをしています。

きっとみなさん、“カウンセリング”に対しての印象がそれぞれにあると思いますので、

当院ではどういった目的でカウンセリングがあるのかをご説明させていただく機会としています。

 

最近、説明をしたり聴き取りをしたりする人を“カウンセラー”と呼んでいる病院もありますが、

私は臨床心理士なので、心にアプローチをしています。

「臨床心理士と初めて会った!」という方は、

「特に悩んでないので、何を話したらいいものなんですか?」

「みんなどういうことを話していかれるんですか?」

と、初めての出会いに少し戸惑われることもあります。

私も、自分が臨床心理士になっていなくてあまりカウンセリングのことを知らなかったら、

初めて会ったときは同じように感じるかもしれないなあ、と想像しています。

 

オリエンテーションのときにカウンセリングに対する印象をおうかがいすると、

“ストレスが溜まっている人が相談に行くところ” “心が病んだら行くところ”

と思ってらっしゃる方が少なくありませんが、いかがでしょうか?

私は(私に限らず、臨床心理士はそうなのかもしれませんが)

ストレスや悩みや困っていることを聴くのではなくて

“あなた”を聴きたいと思っています。

 

妊娠を願う暮らしの中で、いろいろな自分に出会うことと思います。

結婚したら妊娠すると思っていたのに(あるいはもっと早く結婚するつもりだったのに)

思い描いていた人生とは違ってきたことで心が揺れたり、

旦那さんやご家族に対して支えてくれることに感謝したり、

なかなか妊娠しなくて申し訳なく思えたり、

「私はまだ不妊じゃない」と思いたい自分がいたり、

「体外受精にすすんだら妊娠できる」と期待しつつ「もし結果が出なかったら」を考えて不安になったり、

最近卵が凍結できない周期が続いていて、やっと凍結できてすごく嬉しかったり・・・。

いろんなこと思ったり感じたりされていると思います。

そういった“あなた”のいろんなことをお聴きすることを通して、

みなさんに心が少し軽くなったり、ゆるんだり、じんわりホッとするのを感じていただけると、

とても有意味な時間になると思って、私はここにいます。

心も身体も大切にいたわって過ごしていきましょう。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


2018.03.08

不妊治療と仕事の両立、心配ですか?

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耳にされた方もいらっしゃると思いますが、厚生労働省が行った実態調査で、

不妊治療のために離職した人が16%だったことが明らかになったと、

先週ニュースになっていました。

治療と仕事の両立をどういったところで難しく感じるかについては、

“通院回数が多い”こと、次いで“精神面で負担が大きいこと”が理由でした。

 

確かに、通院回数が多くなる時期は、仕事と通院で生活にゆとりがなくなることもあるかもしれませんね。

また、定時に帰れないのが日常という職場もまだまだ多いことでしょう。

「今日は早めに切り上げて病院行きたいのに!」と思っていても、

周りの人が残業していると「帰りたい」とは言い出しづらいこともあるでしょうし、

でも妊娠のためには病院に行きたいですし、

そんな状況が何度もあると、時には泣きたくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

治療の性質上、また、今の職場環境や支援状況、治療への理解度からは、

仕事にも治療にもどちらにも全く皺寄せがない状態を続けていこうと思うと、

難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

ところで、私はこのニュースをみたときに、

“不妊治療をしている方は離職率が高くなりますよ”という報せなのかな、と思いました。

けれど、平成28年の雇用動向調査結果(厚生労働省)では、

全体の離職率は15%、女性では17.7%なので、

不妊治療をすると離職率が高くなるということではないようなのです。

みなさんは、どのように受け取られましたか?

 

当院は火曜と木曜は19時30分までの受付ですし、

月曜、水曜、金曜は8時からの早朝診察もありますので、

勤務時間に合わせてうまく利用していただけたら比較的両立しやすいのでは、と思っております。

治療をしているとは言わずに職場の休業制度を利用して両立されている方や、

上司などに事情をお話されて両立しやすいように協力を得られている方など、

治療も仕事もできるように、みなさんそれぞれ工夫をして続けておられますよ。

もし「不妊治療を始めると、仕事やめないといけないかも!」と心配されている方がいらっしゃったら、

離職率のニュースでは“84%は離職していない”という結果になっていますし、

最初から完璧に進めようとしないで、とりあえず両立できる範囲から始めてみられてはいかがでしょうか。

進めていくうちに、仕事との折り合いのつけ方がわかるようになるかもしれません。

 

一方で、仕事をやめて「意外と仕事自体がストレスだったんだなあ」と実感される方もいらっしゃいます。

それから、今までできなかった家事や自分を労わる時間ができて喜ばれたり、

「仕事しないで家にいるほうが性に合うかも!」と気づかれる方もいらっしゃれば、

「やっぱりずっと家にいるとなあ…」と、治療と両立できそうなペースでお仕事を始める方もおられます。

私は、両立していくのも、治療を機に一旦仕事をやめてみるのも、

どちらもメリットはありますし、どちらも正解だと思っています。

今の自分にとって、前向きな選択を重ねていっていただきたいな、と思っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 


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