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先進医療

先進医療とは、厚生労働大臣が認める高度の医療技術を用いた治療法や療養のうち、公的医療保険の対象にできるかどうかを評価している段階の医療技術とのことです。先進医療はどの病院でも受けられるわけではなく、医療技術ごとに一定の施設基準が設定されており、基準を満たしたうえで届出を行った保険医療機関でなければ、先進医療を提供することができません。

当クリニックで行っている先進医療技術は、下記の項目となります。

  • タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
  • 強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)
  • ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)
  • 子宮内膜刺激術(SEET法)
  • 二段階胚移植術
  • 子宮内膜受容能検査(ERA)
  • 子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)

先進医療技術は、評価段階の技術のため公的医療保険の適用外です。
保険診療と自費診療を併用して行う混合診療は認められていませんが、先進医療技術は保険診療との併用が可能となっています。
詳細は診察時にご相談ください。


●タイムラプス撮影法による受精卵・胚培養

インキュベーターとは、お預かりした胚を培養する体外受精において欠かせない機器のことです。従来型のインキュベーターは、胚の発生を確認するためにインキュベーターから取り出して顕微鏡下で観察を行う必要がありました。一方でタイムラプスインキュベーターは、庫内にカメラが内蔵されており、24時間一定の間隔で観察し続けることができます。そのため胚をインキュベーターの外に出すことなく、環境の変化を最小限に抑えることが可能になっています。
タイムラプスインキュベーターの使用により、一定時間ごとの観察が可能になります。これにより受精の確認、分割を始めた時期、分割の仕方、胚盤胞になった時間等の胚の発育状況を詳細に知ることができるようになりました。得られる情報量の増加はより良い胚評価につながり、胚の発育過程を考慮した最良な胚の選択によって、妊娠率・生産率の向上、さらには流産率の低下が期待されます。


●強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)

通常の顕微授精(ICSI)では顕微鏡下に精子の形態と運動性を評価し、良好精子を選別していました。しかし、この方法で良好と判断した精子を強拡大顕微鏡にて観察すると精子頭部に微細な空胞が認められる場合があります。このような精子頭部内の構造異常は精子DNAの断片化を誘導し、受精卵の染色体異常などをおこし、着床不成功や流産の原因になる可能性が指摘されています。このため、IMSIでは強拡大顕微鏡にて構造異常を有さない精子を選別し顕微授精を行います。
精子の形態学的評価だけではなく、頭部内に構造異常を認めない精子をその場で判別しながら卵子に注入することで、着床率の上昇や流産率の改善が見込める可能性があります。


●ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)

通常の顕微授精(ICSI)では顕微鏡下に精子の形態と運動性を評価し、良好精子を選別していました。しかし、この方法では精子が成熟しているかどうかの選別は出来ていません。成熟した精子はDNA損傷が少なく、また未熟精子が持っていないヒアルロン酸と結合する性質を持っています。PICSIではこの性質を用いて成熟精子を選別し顕微授精を行います。
精子の形態学的評価だけではなく、成熟度をその場で判別しながら卵子に注入することで、受精率・臨床妊娠率・流産率の改善が見込める可能性があります。


●子宮内膜刺激術(SEET法)

SEET法とは、胚盤胞移植の2-3日前に移植胚を培養した培養液を注入するという方法です。培養液を移植前に注入することで、胚と子宮内膜の相互作用(クロストーク)を起こすことにより、子宮内膜の胚受容能を高めることが期待されます。


●子宮内膜受容能検査(ERA)

ERA検査はどんな検査?
子宮内膜は胚(受精卵)が着床できる準備が整うと、着床可能な状態=受容期になります。
この受容期は「着床の窓」と呼ばれていて、着床の窓が開いているタイミングには個人差があります。
ERA検査はご自身の着床の窓が開く時期、つまり胚移植に最適なタイミングを調べる検査です。
ご自身の着床の窓に合わせて胚移植を行うことで、妊娠率が向上することが分かっています。

ERA検査のメリット
・個人の着床の窓を特定、最適な移植のタイミングがわかります。
・胚移植での妊娠率が約25%向上(※)します。
・最新の技術で遺伝子の発現パターンを解析します。
 (※)2016 ASRM Distinguished Researcher Award

ERA検査の方法は?
通常の移植のタイミングで子宮内膜を採取します。
遺伝子の発現パターンから、あなたの子宮内膜の状態がどの時期にあるかを特定します。


●子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)

■EMMA検査

子宮内にラクトバチルス(乳酸桿菌)が90%以上存在すると、妊娠率が高くなると考えられます。

EMMA検査はどんな検査?
子宮内の細菌の割合を調べ、ラクトバチルスが90%以上あるかどうかを調べる検査です。

EMMA検査のメリット
・子宮内の細菌バランスを知ることができます。検査の結果、細菌のバランスが悪い場合、適切な抗菌薬を推奨します。


■ALICE検査

子宮内に慢性子宮内膜炎の原因菌がいると、着床障害を引き起こす可能性があります。

ALICE検査はどんな検査?
子宮内に慢性子宮内膜炎に関連する10種類の病原菌がいるかどうかを調べる検査です。

ALICE検査のメリット
・慢性子宮内膜炎の予防ができます。
・もし、病原菌が検出された場合、適切な抗菌薬を推奨します。
詳細は診察時にお問い合わせください。


よくあるご質問