2月5日、東京の永田町で開催された
生殖心理学会の学術集会に参加してきました。
生殖心理学会とは、
生殖医療におけるこころのケアの学術的向上と
生殖医療の発展のための学会です。
今年のテーマは、ゲノムでした。
遺伝医療は生殖医療と密接に関係しています。
例えば、ご自身やご家族に何か遺伝性のご病気や特徴をお持ちの場合、
「お子さんも同じような病気や特徴を持って生まれるのでは…」
と、心配になる方もおられます。
また、流産を繰り返されたカップルや
精子が見当たらなかった方は、
ご自身の染色体に変異がないか
検査される方もおられます。
そして、もう流産を経験したくない方や
早く妊娠したい方、
お二人の染色体に変異があった方は、
着床前検査を実施して
染色体異常がない受精卵を移植するということができます。
(妊娠率は100%ではありませんし、流産率も0%ではありません)
また、妊娠後、心配なようでしたら、
系列の南草津野村病院でNIPTを実施しております。
このように、妊娠、出産を巡って、
遺伝子にかかわる選択をしていくことが、
とても身近になってきています。
学会に参加して思ったことは、
どういった局面であっても
最終的にはお二人で答えを出していくことになるのですが、
答えを出していかれるまで
(そして、答えを出されたあとも)
周りからのサポートが必要だということです。
当事者さんたちの講演もあったのですが、
答えを出していくプロセスに
関わってくれる専門的な人(主にカウンセラー)と、
同じような立場の人同士の支え合いが必要と仰っていました。
結局は答えを二人で出すのだけど、
他の人はどんな選択をしているのか、
たくさんの可能性を知ることで
視野が開けたり、自信をもって選択できることがあります。
また、混乱している中で、
客観的な立場から、状況を一緒に整理していってくれる人、
相手が個人の価値観や倫理観を入れずに相談にのってくれる人がいると、
迷いや心配、動揺などのこころを抱えながらも
なんとか先に進んでいくのに役に立ちます。
医療技術が進歩することで
もしかしたら体験していたかもしれない悲しみや苦しさを
スキップすることが可能になった一方で、
「人生でこういう選択をすることになろうとは…」
という側面も出てきます。
迷ったり、困ったり、混乱したりするときに
ひとりで(カップルで)考えると、
なんだか自分たちだけが
このようなことに直面しているみたいで、
心もとなくなるかもしれません。
どうか、そのままの気持ちを
クリニックに、カウンセリングルームにもってきて、
取り繕わずに教えていただきたいと思っています。
どんなことを考えたり思っておられるのか、
どんな状態になっておられるのか、
私たちは知りたいと思っています。
そして、直面されていることに
どんな答えを出していかれるのか、
お一人で(お二人だけで)考えるようにお伝えするのではなく、
一緒に考えていきたいと思っています。
公認心理師・臨床心理士 間塚