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2/8(土)の診療は休診とさせていただきます。
2025年が始まりました。
今年は、どんな年になるのでしょうかね。
穏やかで、細やかなきらめきに気づいていられる一年だといいなあと
わたしは思っております。
さて、新しい年になったことを区切りに
何か新しいことや現状を変えていく行動を始める方もおられると思います。
妊娠のために通院を始めたり、治療内容をステップアップしたりというのも、
新年や誕生日などを境とされることがあります。
一度通院から遠ざかっていたけれど
もう一度始めてみようかな、と戻って来られる方もおられます。
(実際に、年明けから治療を再開するために来られた方が何人もおられます!)
不安なこともあると思うのですが
それでもやってみようと思って来られたこと、
その逞しさや思いを大切にされる姿勢に感服しております。
そして、まだ妊娠のために通院するのは迷っているのだけど…という方も、
その迷いをお持ちのまま、とりあえず一度来院してみられることも
一つの選択肢ではないでしょうかと、わたしは思っています。
通院するかどうか、どういったことで迷っておられるのか-
スケジュールの調整であったり
経済的なことであったり
パートナーさんとなんとなくしか話し合えていなかったり
「大変なんじゃないかなあ」という印象であったり
不妊治療が必要とは思いたくない気持ちだったり…
-いろいろな迷いがあるかとは思うのですが、
一度来られてみて
妊娠のためにどんなことから始めていくのか
実際のスケジュールやその内容などを聞いてみられると
想像と現実のすり合わせができますので、
今後の選択をより自信をもって行えるのではないでしょうか。
(また、通院はまだ考えていないけれども、
妊活をめぐっての気持ちや思いの整理をしたいという場合は
妊活カウンセリングというかたちでお話をおうかがいすることもできますよ)
多くの方が子どもをもちたいと思って来られるので
妊娠してご無事に出産されるために、治療がすすめられています。
一方で、不妊治療の役割は、妊娠・出産という結果のためだけではなく、
あなたの今やパートナーとの関係において
妊娠・出産というライフイベントにどれだけコミットするのか、
というところを担っているものだとわたしは思っています。
人生には、子どもを持つ選択肢もあれば
子どもを持たない選択肢もありますし、
授かることもあれば、授からないこともあります。
ご自分の選択肢や状況に向き合った経験は、
子どもを持つ、持たないにかかわらず
人生にとってとても大切なように思うのです。
あなたの、またお二人の妊娠・出産という可能性について
少しエネルギーをかけて一緒に考えてみませんか?
ご来院お待ちしております。
公認心理士・臨床心理士 間塚
気がつけば冬至も過ぎ、今年最後のブログになりそうです。
今年のことを振り返ってみると
やはりいろいろなことがあったなあ…と思います。
きっと、みなさんも、
様々な体験やこころに貼りついた瞬間など
思い浮かぶことと思います。
… … 今、ブログを書くのを中断して、
「今年のわたしは、どんな感じだったかな?」と、
わたしに聞いてみる時間をとっていました。
やりたいと思ったことができていなかったり
直したい習慣が直せていなかったり
起きてほしくなかったことが起こったり
まさかの悲しい出来事もありましたし、
一方で、頑張ったと思えることや
気にかけてくださる方々の温かさや
ものすごく心を揺さぶられる体験が浮かんだり、
ちゃんと振り返ってみると
思ったより盛り沢山の一年だったことに気がつきますね。
「わたし、本当にいろんなことを味わってくぐり抜けてきたんだなあ」と、
そんなふうに過ごしてきた自分をこころに響かせていると
自然と「よくやったよねえ」という思いがわいてきました。
多くの人に賞賛してもらえるようなことは起こってないですし、
自分に「こんなことしてたらダメやん~」と思うことも多々あります。笑
でも、そんな部分もあるわたしを全体でみると「よくやったよ」と思いました。
世間的には、
「ダメだと思うことはしないようにしましょう」
「やりたいと思ったことはやった方が気持ちがいいよ!」
「直した方がいい習慣は、今すぐ直しましょう!」
と言われるのが大半で、
なんならそのように変えていくためのhow to本もありそうですよね。
わたしも、変わっていけることは時にすばらしいと思う感覚は持ち合わせています。
ただ、今は、
「ダメだなあ」と思うわたしも
「頑張った」わたしも、
どんなわたしもわたしなので、
わたしをまるっと認めていようと思います。
わたしの中の何かを変えていくことも大事ですが、
わたしに対してのわたしの関わり方をやさしくすることも大事だと
身をもって実感した2024年に感謝して…。
みなさんも、今年一年、本当にお疲れ様でした。
いろんなことをやってきてくれた自分にやさしく感謝して、
どうぞご自愛なさって、よいお年をお迎えください。
公認心理師・臨床心理士 間塚
先日、ライブハウスに行きました。
そのライブハウスには、畳のスペースがあって、
わたしは畳の上に座って聴いていました。
そしたら隣にいた人が
「ああ~畳~。寝てしまう~。」
と言って、横たわって本当に眠ってしまいました。
この日のライブ出演者は3組で
まだ1組目が始まったところだったのですが、
その方は焼酎のお湯割りを飲んでおられましたし
体も疲れていたのかもしれません。
しばらく経って、近くに来た人が畳で寝ているその人を見て
「え?!熟睡してる?」と少し困ったような驚いたような顔をされたので、
「お知り合いですか?」と聞くと、
「うちのバンドのドラムです」と。
「あらら、出番これからですよね…。」と言うと、
その方は、メンバーのお酒の飲み方について
心配していることを口にしつつ、
「まあ、ドラムなしでやるしかないよねえ。
仕方ないよね。
僕のことじゃないから、コントロールできないしねえ。」と仰いました。
結局、ドラマーさんは、
出番が来たらさっきまで倒れていたのはウソのように
とても調子がよさそうにドラムをたたいておられたのですが。笑
わたしには「僕のことじゃないから、コントロールできないしねえ。」という
その方のその言葉がですね、
そこにいろんな思いが詰まっているように感じられて、
本当にそうですよねえ… …
と、じんわりじっくりこころに響いてきました。
この世界で起きていることって
コントロールできるかもしれないのは自分のことくらいで、
その自分のことでさえままならないこともあって、
ましてや、自分以外のことなんて、
コントロールできるものでもないってことなんて
わかっているんですけどね。
わかっているのに
次の瞬間には忘れてしまって、
「どうしてそういうことするんだろう…」
「なんで思い通りにならないんだろう…」
「どうしてこういうふうにできないの?!…」
と、悲しい気持ちになったり
不満に思ったりすることが、
多くの人にあるんだろうなあ…
なんていうことを
ぼんやり思い浮かべながら、
そのバンドの演奏を聴いていました。
そんなふうに零れ落ちていく思いを
音楽をやっている人は拾って歌にのせたりして
誰かのこころに寄り添うんだろうなあ…と思いつつ、
わたしは心理士ですので、
一緒にみなさんの思いを眺めたり
ホルモンや状況からくる波との付き合い方の工夫を練習したり
みなさんのこころが落ち着いたりホッとできるような時間を
ご一緒できたらと思います。
公認心理師・臨床心理士 間塚
当院では、妊娠希望で初めて受診されたときに
妊活に必要な検査から不妊治療の流れ、
そして生活習慣についてまで説明しています。
生活習慣、特に栄養の大切さについては、
内診室や採血後の休憩室においてある
月に1度発行のこころとからだのトータルケア通信の中でも
時折発信しておりまして、
とにもかくにもタンパク質が足りていないと始まらないので
タンパク質の話ばっかりしています。笑
中には「タンパク質を摂らないと!って思い過ぎて
逆にストレスになります~!」
という方もおられるかもしれません…。
もしそう思ったら思ったときに、
「実は、栄養の情報がストレスになっていて…」
と、教えていただきたいなあ、と思っているのです。
そのストレスの感じ方をおうかがいしたり
ストレスとの付き合い方についてお話できたらいいな…と思っています。
決して、ストレスに感じるご自分をとがめたりしないで
ご自分にはやさしくしてくださいね。
トータルケア通信を読んで
タンパク質を摂り始めたり
食事の内容を改めたりされた方から、
「生活改善したら、妊娠しました!」
「1人目のとき、夫婦で食生活改善に取り組んで数ヶ月で授かりました。」
などと、報告もいただいています。
その授かられた命は
食事の内容を改善した効果によるものなのかどうか
本当のところはわかりません。
たまたま、授かられるタイミングだっただけなのかもしれません。
ただ、そういったことがあったと
耳に届いてきているのも事実なんですよ。
そして、この「栄養についても大事ですよ~!」というお話は
「妊活をしているならやらないとダメよ!」というものではないのです。
どんな人にも、健康に暮らしていただくために、必要なことなのです。
何かちょっと変えていきたいなというときや
効果がありそうなことは取り組みたい方、
取り入れるかどうかは置いておいて情報は知りたいという方、
初診の時には栄養の大切さを入口部分しかお伝えしていませんが、
改めてより詳しくお伝えしていますで
ぜひ「栄養のお話」もご予約ください。
ストレスになって取り組めない場合や
以前聞いたけどモチベーション維持のためにもう一度話したい方も、
ぜひお待ちしております。
公認心理師・臨床心理士 間塚
草津レディースクリニックは、開院して15年が経ちましたが、
2009年の開院時からずっと勤めておられた看護師さんが
先日退職されました。
みなさんも「あれ?あの看護師さん、見ないな…」
と、思われることがあるかもしれません…。
わたしたちのクリニックの看護師さんは、
みなさんものすごく親しみやすいですし、
陽の雰囲気に包まれていると見ていて思います。
カウンセリングルームの近くには
採卵、移植をするお部屋や
採卵、移植後におやすみいただくお部屋があって、
看護師さんがみなさんとお話されている声が聞こえてくることもあるのですが、
採卵前にみなさんと看護師さんの笑い声が聞こえてくることもあって、
採卵って緊張するものだと思いますので
「採卵の前に、そんなに笑い合えるってすごいなあ!」
と、初めて聞いたときは、看護師さんの力に感嘆しました。
不妊治療という性質上、
みなさんには一定期間通っていただくことになりますし
一年、二年以上通われる方もたくさんおられます。
看護師さんとは来る度にお会いされるでしょうし、
いろいろな説明や薬のお渡しなどでお話される機会も多いでしょう。
そういったときに看護師さんのお人柄にホッとされたり、
「この人と話してよかった」と思われることもあると思います。
逆もしかりで、看護師さんもみなさんとお話して、
「わあ、こんなふうな魅力をお持ちの方なんだなあ」
「こういう信念をもって、お仕事されているのだなあ」
「この方の価値観、とてもかっこいいなあ」
というような刺激をいただいていると思うんです。
普段の暮らしに通院を入れるのは大変で
「できるだけ時間をかけず、さっさと診てもらって帰りたい!」
というのは本音だと思います。
そういった中で、
「今日はあの人と話せて、ちょっと勇気出たなあ」
「あの人の前向きな考え方に救われたなあ」
といった関わりがあると、
不妊治療そのものにプラスして
来た意味があったように思っていただけるかもしれません。
不妊治療はできたら体験しない人生の方がよかったと思う方が多いでしょうし、
通院生活に暗い印象をもたれる方も少なくありませんが、
そういった流れで出会ったご縁も大切なご縁だと思うんです。
不妊治療はしんどくても、
その中で起きたよかったこともあったらいいなあ…と思っています。
当院に来られている間、ここでのご縁をどうか楽しんでいただけますように…。
公認心理師・臨床心理士 間塚
“わたしはわたし” で “あなたはあなた” で、
“わたし” は、あなたのものではないですし
“あなた” は、わたしのものではないですよね。
“わたし” と “わたし以外” のあいだには
「ここからこっちは “わたし”」
「ここからあっちは “あなた”」という境界線があります。
からだ、こころ、そして人権を守るための境界線です。
“わたし” と “パートナー”
“わたし” と “親”
“わたし” と “親友”
“わたし” と “上司”
どの関係にも、必ず境界線があります。
わたしたちは、誰かによって
からだやこころや人権を脅かされることはなく、
自分のからだのやこころや人権を守る権利があります。
嫌なことや不快なことを「No」と言える権利があります。
一方で、相手の境界線を踏み越えることは
相手への脅威となります。
しかし、親密な関係においては特に、
この境界線はとてもあいまいなものになることがあります。
その中では、自分にとっては嫌なことや不快なことも、
Noと言わずに我慢した方が
相手を怒らせないからとか、
空気が悪くならないからとか、
相手が言っていることが普通なのかもしれないとか、
そういった理由で嫌なことを受け容れてしまうことがあるかもしれません。
妊活を始められた場合、
排卵前に性交渉をするというステップを
試みられる方々も多いと思いますが、
中には、性交渉をもてないカップルもおられます。
もともと何らかの事情で難しい場合もあれば
(EDや膣内射精障害、また性交痛があるなど)
妊娠のために性交渉をするということが
苦痛に感じられる場合もあります。
どちらか片方が苦痛を感じる場合
お互いに妊活がつらくなりますよね。
相手が苦痛を感じる場合に
「性交渉しないのは、子どもは本気では欲しくないってこと?」
「受け容れられないのなら ボク/わたし を好きでないのかも…」
「性交渉してもらえないことが悲しい、傷ついている」
「子どもがほしいんなら、ちょっとくらい我慢してほしい」
というような思いや考えがあったりするかもしれません。
相手が苦痛を感じることで
ご自分も苦しいお気持ちになられると思います。
とはいえ、性交渉は、
相手が苦痛を感じているのに
無理にしてはいけませんし、
我慢してするものでもありません。
これは、境界線を超えている/脅かされていることになりますよね。
このように妊活のための性交渉がむずかしい場合は、
二人の子どもをもつということが
共通の目的であるならば、
性交渉をもたずに妊娠できますので、
そういったステップを踏んでみるかどうか
話し合われることをおすすめいたします。
方法としては、性交渉を伴わないタイミング療法(シリンジ法)、
子宮内に精子を注入して受精を試みる人工授精、
卵子を採って精子と受精させて、受精した卵を子宮内に戻す体外受精があります。
性交渉ができないという理由以外にも
人工授精や体外受精を選択される方はおられるので、
背景はさまざまですけれども、
2022年に実施された体外受精で生まれたお子さんは7万7206人なので
10~11人に1人は体外受精によって育まれた命ということになります。
シリンジ法や人工授精での出産も合わせれば
性交渉をもたずに生まれた命はもっとたくさん育まれています。
性交渉による妊娠にこだわられるのならば
そのこだわりがどこから来ているのか、
ご自分の人生でこのことが叶わないとどのような影響があるのか、
今のパートナーとの間で可能なことなのかどうか、
今一度ご自分の価値観や信念について考えてみられるのもいいかもしれません。
それによって、今後の選択肢がみえてくるかもしれません。
妊娠はお二人で取り組んでいただくことです。
相手をご自分の要望通りに変えていくことはできませんので
意見や価値観が合わずにむずかしさを感じられるときがあるかもしれませんが、
お互いの安全を守って尊重し合いながら話し合いを重ねたり、
またお互いに他の相談相手をもって冷静にご自分の考えや気持ちを見つめてみたりしながら、
お互いへの理解を深めつつ、進めていかれることを願っています。
妊娠への方法については診療でご相談いただけますし、
夫婦関係や価値観、考え方、あなた自身の境界線のことなどについては
カウンセリングでご相談いただけます。
ぜひ、状況をお聞かせくださいね。
公認心理師・臨床心理士 間塚
“Shrink~精神科医ヨワイ~”という漫画があります。
今、NHKでドラマ化されていることもあって
(精神科医ヨワイ役は中村倫也さん!)
ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
ドラマや映画で精神科医や心理カウンセラーが出てくると、
現場のリアルな仕事ぶりや専門職として役に立っている様子が
描かれていないことの方が多い印象があったので、
Shrinkを読んだときは
「ついに!ちゃんと仕事内容が描かれている!」と思いました。笑
(ただ、患者さんと病院外で出会うことが偶然も含めて多すぎる気はしていますが、
そこは目を瞑っています。)
みなさんはこれまでにいろんな症状に出合い、病院へ行ったことと思います。
発熱や腹痛で内科へ、じんましんで皮膚科へ、花粉症で耳鼻科へ
捻挫をして整形外科へ、病気かはわからないけど妊娠したくて婦人科へ…
では、精神科に行ったことはありますか?
精神科と心療内科は違いますが、心療内科はいかがでしょうか?
もしくは、心理カウンセリングに行ったことはありますか?
行ったことがある方、今行ってらっしゃる方も
もちろんおられるのですが、
きっと行ったことがない人の方が多いと思うんです。
(ちなみに、わたしは行ったことがあります~)
では、行ったことがないみなさん。
行ったことがないのはどうしてでしょうか?
行かなくちゃいけないような状態になったことがないからでしょうか?
ほんとに、そんなことはなかったですか??
アメリカでは精神科の受診率が日本より高いのですが、
“ 「失恋した」
「ペットが死んだ」
「テストの点が悪かった」
ちょっと落ち込んだら予約を入れて会う相手…
彼らにとってそれが精神科医なんです ”
と、ヨワイ先生は説明しています。
ドラマバージョンでは
“ 「恋人と別れた」
「上司に怒られた」とか
ちょっと落ち込んだときに行くところ ”
と、説明されていました。
そういった機会でしたら、
どんな方であっても、
人生の中で何度もあったはずなんですよね。
こころのことは
こころの持ちようで変わるとか
自力でなんとかできるって思ってしまったり、
もしくは自分の努力が足りなかったからだとか
自分がこういうふうによくなかったからだとか
そんなふうに捉えてしまって、
その道の専門の人には相談しないままということが
非常に多いのではないでしょうか?
Shrinkでは、動悸や頻脈、息苦しさという症状が出ている患者さんに
ヨワイ先生がパニック障害という病気の説明をする場面があるのですが、
“ 「鉄のメンタルって言われるくらい強い女なんですよ…」 ”
と言う患者さんに対して、
“ 「パニック障害は心が弱いからなる病気ではありませんよ。
脳の誤作動です。」
「心身が疲れすぎたという危険信号を受け取った脳が暴走しているだけです。
もう十分頑張ったから休んでねって脳が教えてくれているんです。」 ”
と、説明されています。
どんなに穏やかな水面の湖があっても
石を投げられたら水面が大きく揺らぐのと同じで、
わたしたちのかこころやからだが
どれだけ健康であったとしても
何かがあったらそれなりの影響を受けるものです。
小さな石であったとしても水面は揺れますし
小さな石でもいくつか、また定期的に投げられていたら
揺れによる影響も大きくなるでしょう。
石の影響を受けるのは
決してその湖のせいではありませんよね。
石が投げられたら水面が揺れるのは自然の摂理です。
つまり、何かがあったときに、
「いつもの自分じゃないかも…」という状態になるのは
こころのせい、あなたのせいではありません。
人間の自然現象なんですね。
そんなふうな自分の状態については、
自力で治そうと思ったり
だましだましでつきあったりしないで、
専門とする人に「こんなことあったんです~」と相談に行くことは
理にかなった方法だと思うんですよ。
そのために精神科やそういった状況を相談できる場所があるのですから。
心理カウンセリングは
ちょっと落ち込んだりうまくいかなくて困ったときや、
「これからどんなふうに人生を選択していきたいか考えたい」
「わたしらしいってどういうことなんだろう?」
「自分がどういう人間なのか理解したい」
というような、人生の分岐点や決断に関するお話はもちろんですが、
それほど大きなことではないんだけど…と思われるような
些細な内容でも大丈夫なんですよ。
「カウンセリングなんておおげさだわ…」と思うようなことでも、
大切なご自分のことなのですから、
ぜひ、カウンセリングに来てお話いただけたら…と思っております。
出典: 作:七海仁 画:月子 「Shrink~精神科医ヨワイ~ 1 」 集英社
公認心理師・臨床心理士 間塚
わたしたち臨床心理士は、
職質の向上のために
ざまざまな研修に参加し続けているのですが、
研修会によってはデモセッションをすることもあります。
この間も研修中に
参加者さんとお互いにセッションをし合ったのですが、
わたしが話し手(自分のこころを探索する側)のときの体験を
お話してみようかなと思います。
**********************************
まず、今、わたしが気になっていることをあげて、
そのうちの1つにトピックを絞りました。
わたしは、「やらなきゃいけないことを継続してできないこと」を選びました。
では、そのときのやりとりを
記憶を呼び起こしつつ書いてみましたので
読んでみてください。
聞き手(以下、Aさん):そのことを思い浮かべたときにどんな感じします?
話し手(以下、わたし):う~ん…。(どんな感じか探索して…)頭がイーーーッてなる感じ!
Aさん:頭がイーーーッてなる感じなんですね。
わたし:そう。うん、頭の命令に体が従ってくれないっていうか…
(本当にそうかなあ…と考えている)
ああ、なんかスイッチ押すじゃないですか、でも作動しないみたいな?
半押しだったりとか、動かないとかもあって。
Aさん:では、そのスイッチに、名前をつけてください。
わたし:う~ん…(どんな名前が合ってるかなあ…と考えて)
壊れたスイッチ??
Aさん:壊れたスイッチ
わたし:(壊れたスイッチで合ってるのかなあ…)
いや、ちゃんと動くときもあるから壊れてはないか…。
う~ん…(もっとぴったり合うものを考えている)
あ、いちかばちかスイッチ!
Aさん:いちかばちかスイッチ
わたし:そうですね。スイッチを押してみないと、押せるのかどうか、わからない。
押せる日もあるし、押しても動かない日もあるし、半押しみたいな日もあるし。
どうなるかはいちかばちかです。
Aさん:ああ~。押してみないとわからないから、いちかばちかスイッチ!
いちかばちかスイッチがあると気づいてみると、どうですか?
わたし:うん…。(いちかばちかスイッチを思い浮かべてみる)
(すると、そんなスイッチがある自分がだんだんとおかしく感じられてくる)
いやあ…なんだか、こういうのわたしらしいなあ…と思って、おもしろくなってきました。笑
Aさん:おもしろくなってきた
わたし:うんうん。(わたしらしいなあとおもしろく感じているわたしを、じっくり感じてみる)
あ、なんか、でも、わたし、うれしいんです。
そういう自分を、おもしろがれるんだなあと思って。
うん、ああ、よかった!
なんか、わたし、やらないといけないことをやれるようになるには
どうしたらいいのかっていうところを考える方向になるかと思っていたけど、
こういう落としどころになって、おもしろいし、うれしいです。
************************************
その日のやり取りを記録していたわけではないですし
特にAさんの応答は、もしかしたら創作しているかもしれませんが。笑
わたしのこころの展開は、だいたいこんな感じでした。
読んでみられても
「なんなん、この会話」って感じかもしれませんね。笑
この体験の何が、わたしにとってすごかったのかというと、
「いいやん、そういう自分がいておもしろいって思ってみたら?」
と、誰かに言われたわけでもなく、
また、頭で考えて「そう思おう!」と導き出したわけでもなく、
自分の実感を確認していたら
自然と「そのことがあることをおもしろいと思えるわたしに気づいた」ことです。
その気づきによってより自分を理解できたし
より自分をいとおしく思うことができました。
そして、わたし、気になっていることの具体的な説明は
一切していないんですよね。
相談内容をあまり詳細を話したくない場合に最適です。
この一見わけのわからないようで
実はとっても価値のあるセッションは、
話し手がしっかり自分の実感にチャンネルを合わせて
その体験を言葉にしていったことと、
話し手が実感や体験を言葉にできるように
聞き手がちゃんと聞いていること
この両者の響き合いで出来上がっています。
「この話題を話したら何に気づくか試してみたいなあ」
という方がおられましたら、
ぜひカウンセリングにいらしてくださいね。
臨床心理士・公認心理師 間塚