妊娠のために治療を受ける人は増えていますし、
社会的にも理解がすすんでいると思います。
その一方で、今も、治療をしている人に
負担になっているようなことがいくつかあります。
例えば、知人の妊娠や出産の知らせや、
通院するための仕事の業務調整、
そして…親からの「 孫 “口”撃」です。
親と話していて、
「早く産みや」とか
「子どものことは考えてるんか?」などと
会話に挟み込まれると
心臓がドキッとしませんか?
親から妊娠のことを言われると、
ほとんどみなさんプレッシャーを感じたり
親に対して申し訳なく思うと、おうかがいします。
ところで、そう言われて、
「そういうことは言わないでほしい」とか
自分の気持ちや思いを伝える人はどれくらいいるのでしょう?
そうやって伝えている人って
そんなに多くない印象があるんですが、
私、実は、
「怒らないのはどうしてなんだろう?」
と、思っているんです。
そもそも、子どもを産むことが前提なことに違和感があります。
子どもを持とうとするのかどうかも含めて、
親とは他者の“わたし”が、
そのまた他者のパートナーと一緒に
決めることだと思うんです。
他者たちの自己決定権に
他者である親が踏み込んでいいのでしょうか。
他者の人生に、
自分の理想や価値観を押し付けてはいけないと
私は思っています。
親子であっても、他者なのですから。
私がみなさんからおうかがいした印象では
“ 親が孫を楽しみにしているのは当然 ”だと思うし
“ 私だって、孫の顔を見せてあげたいと思う ”けど、
“ 面と向かって言われるとプレッシャーになる ”
というふうに思っておられるように受け止めています。
私は、もし孫を見てみたい気持ちがあっても、
親は、その気持ちを伝えること自体を
控えるものではないかなあ、と思っています。
なぜかというと、
そういったことは場合によっては
他者に性行為を強要することにつながるかもしれませんし、
親のその願いは他者を使役させて叶うものだから
親の願いが先行してはいけないと思いますし、
言われた方がどんな気持ちになるのか
相手の立場になって考えたとは思えないからです。
自分が言ったことを子どもがそんなに気にかけるとは
想像されてないと思うんですよね。
親子だからって
なんだって言っていいわけではありませんよね。
親子関係って
とても難しいです。
子どもにとって親は大切な存在で
認められたい相手であることが多いですが、
そうであると同時に親の価値観や感情に
巻き込まれてしまいがちでもあります。
親との関係で
こころが押しつぶされそうになったり
言われたことが頭の中をぐるぐるするようなことがあったら、
すぐに伝えてほしいと思っています。
いろんな気持ちを飲み込んだり
頑張って立ち振るまわないようにして、
こころを守っていけるようにしていきましょう。
公認心理師・臨床心理士 間塚