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見えないものを見ようとすること。

 

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細菌は光学顕微鏡下で確認できますが、

ウイルスは細菌よりも微少すぎるので

光学顕微鏡よりもずっと高い倍率での観察が可能な

電子顕微鏡下でないと見えないそうです。

 

ですので、電子顕微鏡がなかった時代は

ウイルスの存在に気づいていないので、

後になってウイルスが原因の病気とわかったものも

細菌に原因を求めたり

原因が不明だったりしていました。

 

見えないものがあるという前提に立って

物事を見通していくことは

なかなか難しいことなのかもしれませんね。

 

妊娠についても、例えば、

「多嚢胞性卵巣と言われた」

「精子が少なめと言われた」

「生理が不順だから」

といった目に見えている部分があるからといって、

“妊娠しにくい原因は自分にあって、相手にはない”

とは、言えないものです。

 

通院を始められると、検査をしていきます。

中には、「この検査結果だったら、

夫婦生活での妊娠は、難しい可能性が高いかも…」

と、思わせる結果もあります。

けれど、それが原因なのかというと、

それだけが原因とは言い切れないこともあるのです。

 

また、検査上は特に問題なくても

夫婦生活での妊娠に至らないこともありますし、

このケースは思っておられるよりも多いと想像します。

 

卵胞から卵子が排卵して

射精された精子が卵管内に入って、

卵子と精子が出会ってから

着床に至るまで、

その工程は見えていないので、

その周期はどういったことで妊娠に結びつかなかったのか

誰にもわからないのです。

 

何度もトライしても妊娠に至られなければ

体外受精にすすまれる方が多いですが、

体外受精をしたらすぐに妊娠するかというと

妊娠されるカップルもそうでないカップルもおられます。

 

原因が不明の中でも

一番大きく妊娠に影響するのは

受精卵の質(染色体に異常があるかどうか)と考えられています。

 

体外受精をすると

胚(受精卵)のグレードの説明があったり

胚を写真で見せてもらえると思いますが、

グレードの判断は“見た目”の判断で、

染色体が正常か異常かどうかは

顕微鏡を覗いてもわからない “見えないもの” です。

 

染色体に異常があるかどうかは

自費診療にはなりますが

着床前スクリーニング検査で調べることができます。

保険診療で体外受精をされている場合は

今のところ、ほとんどの施設で

着床前スクリーニング検査はできません。

(補足ですが、着床前スクリーニング検査で問題がなかった胚を移植したら

 100%妊娠、出産に至る、というわけではありません…。)

 

わたしたちは、どうしても “見えていること” に注目しがちになりますが、

“見えていないもの” の可能性も考慮したいところです。

ですので、「何が原因なんだろう…」

「やっぱり、わたしのせいで妊娠しないんじゃないかな…」

といった考えや思いは一旦棚に上げて、

今のお二人にできること、しようと思うことに

目を向けて進めていかれるのは、いかがでしょうか…?

 

頭では分かっているけども

棚に上げておくのは難しいなあ…。

というときは、カウンセリングにいらしてください。

一緒に棚に上げるチャレンジをしたり、

あなたにはどういった工夫がよさそうか、検討してみましょう。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

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