わたしたち臨床心理士は、
職質の向上のために
ざまざまな研修に参加し続けているのですが、
研修会によってはデモセッションをすることもあります。
この間も研修中に
参加者さんとお互いにセッションをし合ったのですが、
わたしが話し手(自分のこころを探索する側)のときの体験を
お話してみようかなと思います。
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まず、今、わたしが気になっていることをあげて、
そのうちの1つにトピックを絞りました。
わたしは、「やらなきゃいけないことを継続してできないこと」を選びました。
では、そのときのやりとりを
記憶を呼び起こしつつ書いてみましたので
読んでみてください。
聞き手(以下、Aさん):そのことを思い浮かべたときにどんな感じします?
話し手(以下、わたし):う~ん…。(どんな感じか探索して…)頭がイーーーッてなる感じ!
Aさん:頭がイーーーッてなる感じなんですね。
わたし:そう。うん、頭の命令に体が従ってくれないっていうか…
(本当にそうかなあ…と考えている)
ああ、なんかスイッチ押すじゃないですか、でも作動しないみたいな?
半押しだったりとか、動かないとかもあって。
Aさん:では、そのスイッチに、名前をつけてください。
わたし:う~ん…(どんな名前が合ってるかなあ…と考えて)
壊れたスイッチ??
Aさん:壊れたスイッチ
わたし:(壊れたスイッチで合ってるのかなあ…)
いや、ちゃんと動くときもあるから壊れてはないか…。
う~ん…(もっとぴったり合うものを考えている)
あ、いちかばちかスイッチ!
Aさん:いちかばちかスイッチ
わたし:そうですね。スイッチを押してみないと、押せるのかどうか、わからない。
押せる日もあるし、押しても動かない日もあるし、半押しみたいな日もあるし。
どうなるかはいちかばちかです。
Aさん:ああ~。押してみないとわからないから、いちかばちかスイッチ!
いちかばちかスイッチがあると気づいてみると、どうですか?
わたし:うん…。(いちかばちかスイッチを思い浮かべてみる)
(すると、そんなスイッチがある自分がだんだんとおかしく感じられてくる)
いやあ…なんだか、こういうのわたしらしいなあ…と思って、おもしろくなってきました。笑
Aさん:おもしろくなってきた
わたし:うんうん。(わたしらしいなあとおもしろく感じているわたしを、じっくり感じてみる)
あ、なんか、でも、わたし、うれしいんです。
そういう自分を、おもしろがれるんだなあと思って。
うん、ああ、よかった!
なんか、わたし、やらないといけないことをやれるようになるには
どうしたらいいのかっていうところを考える方向になるかと思っていたけど、
こういう落としどころになって、おもしろいし、うれしいです。
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その日のやり取りを記録していたわけではないですし
特にAさんの応答は、もしかしたら創作しているかもしれませんが。笑
わたしのこころの展開は、だいたいこんな感じでした。
読んでみられても
「なんなん、この会話」って感じかもしれませんね。笑
この体験の何が、わたしにとってすごかったのかというと、
「いいやん、そういう自分がいておもしろいって思ってみたら?」
と、誰かに言われたわけでもなく、
また、頭で考えて「そう思おう!」と導き出したわけでもなく、
自分の実感を確認していたら
自然と「そのことがあることをおもしろいと思えるわたしに気づいた」ことです。
その気づきによってより自分を理解できたし
より自分をいとおしく思うことができました。
そして、わたし、気になっていることの具体的な説明は
一切していないんですよね。
相談内容をあまり詳細を話したくない場合に最適です。
この一見わけのわからないようで
実はとっても価値のあるセッションは、
話し手がしっかり自分の実感にチャンネルを合わせて
その体験を言葉にしていったことと、
話し手が実感や体験を言葉にできるように
聞き手がちゃんと聞いていること
この両者の響き合いで出来上がっています。
「この話題を話したら何に気づくか試してみたいなあ」
という方がおられましたら、
ぜひカウンセリングにいらしてくださいね。
臨床心理士・公認心理師 間塚