“Shrink~精神科医ヨワイ~”という漫画があります。
今、NHKでドラマ化されていることもあって
(精神科医ヨワイ役は中村倫也さん!)
ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
ドラマや映画で精神科医や心理カウンセラーが出てくると、
現場のリアルな仕事ぶりや専門職として役に立っている様子が
描かれていないことの方が多い印象があったので、
Shrinkを読んだときは
「ついに!ちゃんと仕事内容が描かれている!」と思いました。笑
(ただ、患者さんと病院外で出会うことが偶然も含めて多すぎる気はしていますが、
そこは目を瞑っています。)
みなさんはこれまでにいろんな症状に出合い、病院へ行ったことと思います。
発熱や腹痛で内科へ、じんましんで皮膚科へ、花粉症で耳鼻科へ
捻挫をして整形外科へ、病気かはわからないけど妊娠したくて婦人科へ…
では、精神科に行ったことはありますか?
精神科と心療内科は違いますが、心療内科はいかがでしょうか?
もしくは、心理カウンセリングに行ったことはありますか?
行ったことがある方、今行ってらっしゃる方も
もちろんおられるのですが、
きっと行ったことがない人の方が多いと思うんです。
(ちなみに、わたしは行ったことがあります~)
では、行ったことがないみなさん。
行ったことがないのはどうしてでしょうか?
行かなくちゃいけないような状態になったことがないからでしょうか?
ほんとに、そんなことはなかったですか??
アメリカでは精神科の受診率が日本より高いのですが、
“ 「失恋した」
「ペットが死んだ」
「テストの点が悪かった」
ちょっと落ち込んだら予約を入れて会う相手…
彼らにとってそれが精神科医なんです ”
と、ヨワイ先生は説明しています。
ドラマバージョンでは
“ 「恋人と別れた」
「上司に怒られた」とか
ちょっと落ち込んだときに行くところ ”
と、説明されていました。
そういった機会でしたら、
どんな方であっても、
人生の中で何度もあったはずなんですよね。
こころのことは
こころの持ちようで変わるとか
自力でなんとかできるって思ってしまったり、
もしくは自分の努力が足りなかったからだとか
自分がこういうふうによくなかったからだとか
そんなふうに捉えてしまって、
その道の専門の人には相談しないままということが
非常に多いのではないでしょうか?
Shrinkでは、動悸や頻脈、息苦しさという症状が出ている患者さんに
ヨワイ先生がパニック障害という病気の説明をする場面があるのですが、
“ 「鉄のメンタルって言われるくらい強い女なんですよ…」 ”
と言う患者さんに対して、
“ 「パニック障害は心が弱いからなる病気ではありませんよ。
脳の誤作動です。」
「心身が疲れすぎたという危険信号を受け取った脳が暴走しているだけです。
もう十分頑張ったから休んでねって脳が教えてくれているんです。」 ”
と、説明されています。
どんなに穏やかな水面の湖があっても
石を投げられたら水面が大きく揺らぐのと同じで、
わたしたちのかこころやからだが
どれだけ健康であったとしても
何かがあったらそれなりの影響を受けるものです。
小さな石であったとしても水面は揺れますし
小さな石でもいくつか、また定期的に投げられていたら
揺れによる影響も大きくなるでしょう。
石の影響を受けるのは
決してその湖のせいではありませんよね。
石が投げられたら水面が揺れるのは自然の摂理です。
つまり、何かがあったときに、
「いつもの自分じゃないかも…」という状態になるのは
こころのせい、あなたのせいではありません。
人間の自然現象なんですね。
そんなふうな自分の状態については、
自力で治そうと思ったり
だましだましでつきあったりしないで、
専門とする人に「こんなことあったんです~」と相談に行くことは
理にかなった方法だと思うんですよ。
そのために精神科やそういった状況を相談できる場所があるのですから。
心理カウンセリングは
ちょっと落ち込んだりうまくいかなくて困ったときや、
「これからどんなふうに人生を選択していきたいか考えたい」
「わたしらしいってどういうことなんだろう?」
「自分がどういう人間なのか理解したい」
というような、人生の分岐点や決断に関するお話はもちろんですが、
それほど大きなことではないんだけど…と思われるような
些細な内容でも大丈夫なんですよ。
「カウンセリングなんておおげさだわ…」と思うようなことでも、
大切なご自分のことなのですから、
ぜひ、カウンセリングに来てお話いただけたら…と思っております。
出典: 作:七海仁 画:月子 「Shrink~精神科医ヨワイ~ 1 」 集英社
公認心理師・臨床心理士 間塚