草津レディースクリニックは、9月で開院9年目を迎えました。
開院当初から、ご夫婦にとって納得いただける治療を
みなさんの状況やお考えなどに心を傾けながら一緒に考えてまいりました。
今後も、みなさんと一緒に歩んでいけるクリニックでありたいと思っています。
さて、前回、妊娠に良い食べ物のお話をしました。
今回は、妊娠力を高める栄養素として話題の“ビタミンD”についてお話していきます。
ビタミンDは、カルシウムの吸収をサポートし血液中のカルシウムの濃度を一定に保つ働きを
していますが、必要量を摂れていることが妊娠のサポートになることがわかってきました。
ビタミンDと妊娠にどういったかかわりがあるか、みていきましょう。
*ビタミンDでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を改善
ビタミンDはインスリン抵抗性の改善作用があります。
PCOSはインスリン抵抗性と関連して症状が出ていることがありますので、
ビタミンDがPCOSを改善させる可能性が検討されています。
ビタミンDとカルシウムの投与で、インスリンの抵抗性、男性ホルモン値、
月経周期の乱れ、排卵の改善がみられたという報告もたくさんあります。
*血液中のビタミンDと着床率
海外の研究では、血液中と卵胞液中のビタミンDは互いに影響していて、
ビタミンD濃度が高いと妊娠率が上がるという報告があります。
また、習慣性流産の方のビタミンD濃度が低いという報告もあります。
ビタミンD濃度が低下すると、流産の要因の一つとされている
“抗リン脂質抗体” “NK活性” “抗核抗体” “抗DNA抗体”の数値が上昇するそうです。
*ビタミンD濃度とAMHの関係
40歳以上の女性では、ビタミンDの濃度が低いと、AMHの値も低くなることが分かっています。
ビタミンDは日光と関係しているため、夏は血液中のビタミンD濃度が高く、
冬は低くなるという特徴があります。
AMHもビタミンDと同じような季節性の変化があるので、
AMHの値が低くなる冬にビタミンDを食事で摂ると、その変動がなくなったという報告があります。
別の実験では、ビタミンDによってAMHの値が増加することが報告されています。
こういった報告を知っていくと、ビタミンDを摂りたい!と思いませんか?
ビタミンDを含む食品には、鮭、カツオ、しらす干し、鶏卵、キクラゲなどがあります。
そして、ビタミンDは皮膚が日光を浴びることによっても生成されます。
でも、女性としては、紫外線対策として日焼け止めや日傘の使用を止めるのは勇気がいりますよね。
肌へのダメージも心配ですし、足りない分はサプリやビタミンD含有の卵などで補う方法もあります。
ただ、ビタミンDは脂溶性ビタミンで、過剰に摂取した分を自然に排出はできません。
摂りすぎには注意が必要です。(目安量5.5μg/日 耐用上限量100.0μg/日 *成人女性の場合)
ビタミンDの濃度が気になる方は、まず血液検査で測定されることをおすすめします。
足りていないようであれば、必要量が摂れるように工夫をしていきましょう。
ビタミンDの血液検査は当院で行っていますので、お声かけくださいね。