耳にされた方もいらっしゃると思いますが、厚生労働省が行った実態調査で、
不妊治療のために離職した人が16%だったことが明らかになったと、
先週ニュースになっていました。
治療と仕事の両立をどういったところで難しく感じるかについては、
“通院回数が多い”こと、次いで“精神面で負担が大きいこと”が理由でした。
確かに、通院回数が多くなる時期は、仕事と通院で生活にゆとりがなくなることもあるかもしれませんね。
また、定時に帰れないのが日常という職場もまだまだ多いことでしょう。
「今日は早めに切り上げて病院行きたいのに!」と思っていても、
周りの人が残業していると「帰りたい」とは言い出しづらいこともあるでしょうし、
でも妊娠のためには病院に行きたいですし、
そんな状況が何度もあると、時には泣きたくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
治療の性質上、また、今の職場環境や支援状況、治療への理解度からは、
仕事にも治療にもどちらにも全く皺寄せがない状態を続けていこうと思うと、
難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ところで、私はこのニュースをみたときに、
“不妊治療をしている方は離職率が高くなりますよ”という報せなのかな、と思いました。
けれど、平成28年の雇用動向調査結果(厚生労働省)では、
全体の離職率は15%、女性では17.7%なので、
不妊治療をすると離職率が高くなるということではないようなのです。
みなさんは、どのように受け取られましたか?
当院は火曜と木曜は19時30分までの受付ですし、
月曜、水曜、金曜は8時からの早朝診察もありますので、
勤務時間に合わせてうまく利用していただけたら比較的両立しやすいのでは、と思っております。
治療をしているとは言わずに職場の休業制度を利用して両立されている方や、
上司などに事情をお話されて両立しやすいように協力を得られている方など、
治療も仕事もできるように、みなさんそれぞれ工夫をして続けておられますよ。
もし「不妊治療を始めると、仕事やめないといけないかも!」と心配されている方がいらっしゃったら、
離職率のニュースでは“84%は離職していない”という結果になっていますし、
最初から完璧に進めようとしないで、とりあえず両立できる範囲から始めてみられてはいかがでしょうか。
進めていくうちに、仕事との折り合いのつけ方がわかるようになるかもしれません。
一方で、仕事をやめて「意外と仕事自体がストレスだったんだなあ」と実感される方もいらっしゃいます。
それから、今までできなかった家事や自分を労わる時間ができて喜ばれたり、
「仕事しないで家にいるほうが性に合うかも!」と気づかれる方もいらっしゃれば、
「やっぱりずっと家にいるとなあ…」と、治療と両立できそうなペースでお仕事を始める方もおられます。
私は、両立していくのも、治療を機に一旦仕事をやめてみるのも、
どちらもメリットはありますし、どちらも正解だと思っています。
今の自分にとって、前向きな選択を重ねていっていただきたいな、と思っています。
臨床心理士 間塚