体外受精をするまでは、
「まだ体外受精が残ってるから。体外受精したら妊娠できるから大丈夫!」
と、思うものかもしれません。
実際に体外受精にすすんでみると
卵胞が順調に育っていくかどうか、
ホルモンの数値が適当な値を示すかどうか、
期待した数の卵子が採れるか、
どのくらいの割合で受精して分割していくのか、
どれくらいの質の卵子を移植できるか、
凍結保存できる受精卵はあるか、など、
いろんなゲートがあって毎日ドキドキだったと仰います。
想定内ですすむ場合もあれば、
「こんなことがあるんだ…」と驚かれることもあります。
特に初めての採卵周期は、先々の想定がしにくいこともあって、
いつもよりどこか気を張って通院しておられることと思います。
1回目の採卵で妊娠に至らないと、次の採卵を考えられることが多いですが、
1回目の採卵で、心身ともに頑張って力を使った方がすぐにもう一度採卵していくのには、
パワーがいるように感じています。
とはいえ、何もせずに過ごすことにも焦る気持ちがあると、どうしていこうか迷うと思います。
そういったときは、少し整える意味でも、タイミングや人工授精をはさんで、
心身の緊張を少し緩めて栄養を蓄える周期をつくってみるのもいいかもしれませんね。
また、こういった時期、奥さんがつらそうにしていると、
「そんなにしてまで子ども作らなくてもいいよ。無理して治療しなくていいよ。」
と声をかけてくださるやさしい旦那さんがおられます。
ところが、そういった声をかけてもらうと、
「自分一人が子どもが欲しくて、自分だけ頑張っているんだ」と思ってしまって、
余計に悲しい気持ちになる方もおられます。
奥さんは治療をやめることはまだ考えられない中、
旦那さんはそちらの可能性も引き受けておられるように感じて、
「自分だけ…」と思えてしまうのでしょう。
この場合、旦那さんが“奥さんよりも子どもは欲しくない”ということではなくって、
旦那さんだって、子どもがほしい気持ちはあって、
けれど、それ以上に奥さんがいつも通りに暮らしてくれることの方が大事だから、
つらそうな奥さんをみて、なんとかその状態から救ってあげたくて、
そのように言ってくれるのじゃないかな、と思います。
旦那さん側からすれば、
「奥さんが大変そうだけど、自分はどうやったって代われないし…」
と、もどかしい気持ちでしょうし、
時には、「奥さんばっかり大変な想いさせてわるいなあ」
と、心苦しく感じておられることもあるんじゃないかな、と思っています。
臨床心理士 間塚