先日、私の父が手術を受けました。
年末あたりから
検診で病気の疑いが出て再検査をすること、
再検査で病気が確定したこと、
治療法として手術を選択したことなど
その都度、父から報告を受けていました。
父は、「よくなると思っている」 「心配しなくていい」
と、特に深刻そうでもなく話していたので、
私もその言葉とおりに受け止めていました。
手術が終わって2日後、お見舞いに行きました。
病室の窓からは、陽が傾いた空模様が建物に映っている様子が見えました。
傷口が塞ぎきれていない状態の父は、
今まで見てきた父とはやはり違いました。
「起き上がらなくていいよ」と私は言ったのに、
ベットの柵を頼りに、踏ん張りながら上体を起こした父。
私がベットの近くにイスを持ってきて座ると、
手術の詳しい内容や現状を話し出しました。
それから私は、今まで語られることのなかった
検診で病気が疑われたときの気持ち、
手術を受ける日までの戸惑いや
前向きに考えるきっかけなどを、
その時々ではなく一通りのことが終わったそのときに
聴くことになりました。
想像したら当たり前のことなのですが、
父はやはりこの病気であることがすごくショックだったようで、
手術に対しても恐怖心が大きかったんだなあ、と
話を聴いて改めて実感しました。
その父の話の中で、
父の心が少しほぐれたんだろうなあ、と思ったことがありました。
それは、同年代の人たちの集まりで
父が自分の病気のことを伝えたときのことなのですが、
そうすると、周りの人も同じ病気になっていて予後は良好だったり、
同じ病気ではないけど大きな手術をしていたりと、
それぞれのことを教えてくれたそうです。
父は、「みんな自分からはそういう話はしないから知らなかっただけで、
みんなこの歳やしそれぞれにいろいろあったんやなあ。」
と、思ったそうです。
また、予後良好という、同じ病気の先輩の話は
「自分も大丈夫」と思える力になったそうでした。
今は、妊娠のことや治療のことを
通院前に知人同士で話してられたり情報交換されている方も
本当に多くなりました。
周りに事情を話せる人がいない方も
病院に来ると「同じようなことを願っている人がこんなにいるんだ!」
と、ちょっと心強く感じられたんじゃないでしょうか。
自分に何かあったとき、
決してそんなことはないはずなのに、
自分だけに不幸が訪れたように感じられることがあります。
けれど、実際のところは、
いろんな人がいろんな経験をしながら生きてらっしゃっるものなんですね。
臨床心理士 間塚