先日、新しい統計結果が出まして、
2019年に体外受精で生まれてきたお子さんは6万598人だったそうです。
生まれてきたお子さんの14人に1人が体外受精での誕生という割合になり
過去最多の人数を更新したそうです。
この年には、約600施設で過去最多の45万8101件の体外受精が行われたということです。
当院が開院した2009年に
全国で体外受精で生まれてきたお子さんは2万6680人
治療件数は21万3800件でした。
また、これまでに、日本で体外受精で生まれた方は、71万931人になるそうです。
開院したころは
「不妊治療に通っていることは、誰にも言えない」
という方が多かったですが、
今は不妊治療の経験がある方が身近におられ
情報交換ができたりお話を聴いてもらえることもありますし、
職場に話して治療される方も増えてきたように感じています。
そういった意味合いでは
以前よりもハードルが低くなってきているように感じています。
ただ、いざ自分が通うことになったり
検査を受けにきたつもりだったのにその後なかなか授からなかったりして
その間に親族や知人が妊娠していくと
「なんで私は妊娠しないんだろう…」
と、思うこともあるんじゃないでしょうか。
「みんな、ふつうに、妊娠するのに…」と。
このように感じられる気持ちについては
以前も今も、大きく変わっていないように思います。
クリニックの待合室では
同じような想いを抱きながら通っているみなさんがいて
心強かったり、励みになったり
「みんな頑張っているから、頑張ろう」
と、思えることがありますが、
クリニックの外では
私たちの現実がとても小さな世界に思えたり
他の人はしなくていい苦労なのかと思ったり
胸がギューーッと締め付けられる感覚がすることもあります。
たくさんのみなさんが
そうやって
時には前向きになったり
時には置いていかれている感じがしたり
いろんな想いを抱えながら
ご自身の現実と向き合っておられます。
先生との診察で
またスタッフとの関わりの中で
安心したりホッとしたりして帰っていただける日もあると思います。
それでも、思いがけない結果や、
なかなか願ったように進まない日々に、
こころが重くなってくることもありますよね。
また、普段の人づきあいなどでも
複雑な気持ちになることもあるでしょう。
そんなときは、どんなことがちょっと気になったり
どんなふうな気持ちになったり
どんなときに胸がざわざわしたりするのかを、
お伝えいただければと思っています。
そういった時間をもっていただくと、
そのことを違った視点から見てみたり
少し気持ちが軽くなったり
ぐちゃぐちゃの気持ちがまとまったりするような
お手伝いができるかと思います。
自分のことを
いやにならないように、
のびのびした自分の状態で
妊娠をめぐる毎日を送っていきましょう。
臨床心理士 間塚