NHKの “あさイチ” という番組があります。
5月16日(月)の放送は
「今こそ本音で語ろう 不妊治療・新制度」というテーマで
人工授精や体外受精・顕微授精、男性不妊の手術が
保険適用になったことの紹介に多くの時間が割かれました。
そして、ゲストの安田美沙子さんの妊娠希望期間中のお話や、
不妊治療の末、治療を終えたカップルが
治療の経過と今の暮らしについて語ってくださる時間がありました。
また、19日(木)は、
着床前スクリーニングと出生前診断の特集がありました。
着床前スクリーニングは
まだ保険適用ではありませんが、
移植の不成功や流産を繰り返された方や
染色体に変異をお持ちのカップルに
当院でも受けていただくことができます。
移植の不成功や流産の原因の多くは
受精卵の染色体異常と言われています。
着床前スクリーニングでは
受精卵の染色体数の異常を調べることができますので、
染色体数の異常がない受精卵を移植して
妊娠、出産へ至っていただくことを目的として行っています。
ご興味、関心のおありの方は
診察室でご相談なさってくださいね。
妊娠に対するあらゆる選択は
基本的にカップルお二人で話し合って
答えを出していただいています。
不妊治療の病院としては
そのために必要な情報を提供して、
お二人に願うことといえば
「後悔しないように選択してください」
ということなのですね。
この「後悔しないようにしてください」は、
私自身も本当に大事だと思っているのですが、
この選択をすることが難しかったり
苦しかったりすこともあると思うんですよね。
例えばですけども
治療の経過が長くなってきて、
体外受精に進む話が出てきたときに、
多くの方にとっては
後悔しない選択は、体外受精に進むことになるようなのですが、
「体外受精って、治療の最後だから、
これで妊娠しなかったら…と思うと、怖いんです」
という気持ちになると
教えてくださる方はすごく多いんです。
それに、採卵がどれくらい痛いのか、
仕事と調整できるのか、
といった現実的なところも不安だったりします。
後悔しない選択をするためには、
そういった不安も引き受けることになるのです。
最初、不妊治療の病院に行きたいと提案するときだって、
後悔しないために病院に行きたいのに
「自然に授かるの待とう」とか
「医者にセックスのタイミング決められたくない」とか
パートナーさんに言われると、
後悔しないために話したことだったのに
傷ついてしまうこともあるかもしれません。
二人で決めるということは
二人で結果を受け止めるということですが、
一人ひとり考え方も違えば
受け止め方も違ってくるでしょうし、
また、二人で決めることだから
余計に難しいということもあると思うんです。
あさイチでインタビューを受けておられたカップルも
二人の妊娠への向き合い方が合わないときがあって、
そのときには二人で受診して
病院で相談したことで、
向き合い方が変わったと仰っていました。
二人での話し合いがうまくいかないときは
第三者を頼って、
いつもの話し合いに違う風を吹かせてみることが
いい刺激になることもあると思います。
後悔しない選択をするために
自分に湧いてきた気持ちを
パートナーさん以外の人にも話しながら
進めていくことって
とても大切なことなんだと思います。
二人での話し合いが煮詰まったとき、
お互いの考えが合わないとき、
答えは出ているけど不安が残るとき、
パートナーには言えない気持ちがあるとき、など
いつでも話しに来てください。
湧いてくる気持ちと連れ添いながら
一緒に進めていきましょう。
臨床心理士 間塚