先月、当院にも、
タイムラプスインキュベーターが入りました。
タイムラプスは、
一定の間隔ごとに撮影した写真をつなぎ合わせて
コマ送り動画にする手法のことです。
インキュベーターは、
受精卵を胚盤胞へ育てる培養器のことです。
タイムラプスインキュベーターは、
培養器に受精卵を撮影できるカメラがついていて、
受精卵の様子を培養器から出さずにモニターで確認できる最新機器なんですよ。
タイムラプスインキュベーターを使用しない場合は、
分割の進み具合や受精卵の状態を確認するために
毎日インキュベーターから受精卵を取り出して
培養士さんが顕微鏡で確認をしています。
このやり方では、
インキュベーター内で一定に保たれている
温度や酸素濃度、二酸化炭素濃度とは
異なった外気や光のもとに受精卵を取り出しますので
受精卵への影響が気がかりではあります。
タイムラプスインキュベーターでは
培養器内の受精卵を
15分に1度撮影していきますので、
培養器から受精卵を取り出さなくても
モニターを見れば分割のすすみ具合を確認することができます。
なので、受精卵にストレスを与えることなく
培養しながら観察ができるのです。
それに、今までは、みなさんに凍結する直前の写真を
お見せしていたと思うのですが、
タイムラプスによって
分割し胚盤胞になっていく過程を
みなさんにも確認していただけるようになりました。
私も見させていただきましたが、
分割が進んでいく様子をみていると
「生きているんだなあ」
という実感がより湧いてきました。
タイムラプスで確認された方は、
一枚の写真で確認していたときよりも
より愛着が生まれたりするのではないでしょうか。
さて、この大切な大切ないのちを
子宮にかえしていきます。
移植をしてから判定までの毎日、
からだの調子を気遣ったり
おなかに手をあてたり
いのちに声をかけたりして
過ごす人がほとんどだと思います。
判定までの毎日って
ものすごく長く感じられますし、
こころも落ち着かないですよね。
そして、判定の日。
残念ながら結果が出なかったときは、
次の周期はどうするかを
決めることになります。
そういうときは
結果をきいたときのショックが
頭もからだもこころも
揺らしていると思うのですが、
きっとみなさん
この動揺をグッと押し込んで
次の周期のことをとりあえず頭で考えて
次のためのお薬をもらったりして
帰られるのでしょう。
次の日だって
何事もなかったかのように装って、
がんばって
仕事に行く人が
多いんじゃないでしょうか。
しばらくはいつにも増して
妊婦さんやお子さん連れの方たちを
目にしたくなくなるかもしれませんよね。
一度子宮にかえした
ひとつの大切な命が
止まってしまったことを知るって
私はとても大きなことだと思っています。
何ごともないふりをするのは
とてもむずかしいと思っています。
気を張っていないと
平常心を保てないような
自分の状態や気持ちを
「そうだよね。そうだよね。」って、
話し合える人や場所があれば
そういうときをやり過ごすのに役に立つと
思ってらっしゃる方は多そうですね。
「次があるよ」
「がんばろうよ」
「そのうち、元気になるよ」
なんて励ましはいらないから、
ただ今の状態や気持ちを大切に
ただただ話ができる時間や
ただただ自分を労われる時間が
あるといいなあと思いますし、
できたらそういった時間を
ご自分のために
もってもらえるといいなあと思います。
カウンセリングは
こころとからだを大切にする時間としても
用意しています。
特に意見を言ったり
無理に深めていったりすることなく、
ただただ自分を大切にする時間としても
ぜひ取り入れていただけたらと思っています。
臨床心理士 間塚