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「もっと早く聞けばよかった」

 

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私は時折映画を観るのですが、

この間、「とべない風船」という映画を観ました。

 

この作品の舞台は、広島県の島。

ヒロイン役の小島凛子を演じるのは三浦透子さん。

凛子は、東京で教師をしていたのですが、

うつになったため教職を辞め、

今は派遣社員として働いています。

派遣の契約が切れたタイミングで

小林薫さんが演じる父親が住むこの島を訪れます。

 

それから、この島に住む人たちと触れ合ったり、

末期がんだった母親が暮らしたい場所として選んだ島で

両親がどんなふうに過ごしていたのかを知ったり、

父親が体調を崩したりと、

凛子にいろいろな時間が訪れます。

とてもこころに沁みる映画で

印象的なシーンはいくつかあったのですが、

特に胸がキューッとなったシーンがありました。

 

それは、映画の後半、

凛子が父親に、教師時代のうまくいかなかったことを語ったとき、

父親は凛子の話をあたたかく聞き

こころが弛むようなアドバイスを送ります。

すると、凛子は、

「もっと早く聞けばよかった…」

と、涙するのです。

 

このシーンが流れたとき

「『もっと早く聞けばよかった…』の感じ、私も知ってる!!」

と思いました。

もう10年以上前のことですが

いつも緊張して接していた人と

やっとちゃんと向き合って話したことがありました。

相手は想定よりも懐が深く

受け止めて話を聞いてくれたとき、

私も凛子と同じように

「もっと早く言えばよかった」

と、口にしたのですが、

あの時の感覚が蘇ってきました。

 

「言うなら今しかない!」という状況になって初めて

口にすることができることもありますよね。

また、自分の中で、

向き合おう、乗り越えようという力が

溜まっていったときに、

今まで言えなかったことを

言えるようになっていることもあります。

 

そして、意を決して言っているということが

相手に伝わっているということも

大切なことのように思うのです。

 

「もっと早く聞けばよかった」

「もっと早く言えばよかった」

というと、後悔が交じってそうな文言に思えますが、

実際は、相手が自分を受け止めてくれたから

発せられる文言なんだと思います。

安心して、あたたかくて、

「それだったら、もっと早く…」

という気持ちが表れていると思うんです。

本当に素敵な文言です。

 

自分でこころを閉じることもあるし

閉じることで守られる自分もいます。

けれど、その世界は全てではなくて、

こころを開いてみることで

開かれた世界が待っているかもしれないことに

希望があるなあ、と思いました。

開けそうなタイミングが来たら

臆せず開いてみたいですね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

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