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「あきらめる」の素敵な意味。

 

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今、NHK-BSで「舟を編む」という

三浦しをんさん原作のドラマが放映されています。

(以前、映画化もされていましたね)

 

舟を編むは「大渡海」という辞書を作る辞書編集部のお話です。

観ていてこころがカラフルになる感じがあって

わたしはこのドラマを楽しみにしているのですが、

この間、とても印象に残るシーンがありました。

 

ファッション誌の編集部から異動になった

ヒロインの岸辺さん(池田エライザさん)が、

辞書作りに生真面目な上司の馬締さん(野田洋次郎さん)との会話の中で、

「彼氏、いたんですけどね。

 距離おきたいって言われちゃって。

 もうダメかなって思うんです。」

と話すシーンです。

岸辺さんはその彼氏さんと同棲していたのですが

彼氏さんが家を出て行っちゃったんですね。

 

そのように話した岸辺さんに、馬締さんは、

「岸辺さんには、

 あきらめて

 あきらめて

 あきらめてほしいです」

と、伝えました。

 

この「あきらめる」なのですが

「諦める×3」ではなくて

全部違う意味で使われているんです。

 

最初の「あきらめる」は「明らめる」で

「事情や理由を明らかにする。はっきりさせる。」という意味です。

2番目の「あきらめる」は、

わたしたちがよく使っている「諦める」で

「仕方がないと思い切る。断念する。」という意味、

そして最後の「あきらめる」は「明らめる」のまた別の意味で

「心を明るく楽しくする。気持ちを晴れやかにする。」という意味です。

 

つまり、馬締さんは

「(彼が距離を置きたいと思った理由を)明らかにさせて、

 (その理由を鑑みて)彼への思いを断念して、

 (そのプロセスを経たことで)心を明るく気持ちを晴れやかにしてほしい」

と伝えていたのですね。

 

日本語ってなんて魅力的なんでしょう…!

と思ったのと同時に、

「あきらめる」って

すてきな言葉だなあと思いました。

 

「諦める」という言葉は

思いや願いが叶わなかったという側面が含意されている感じがあって

残念な感じが伝わってきたり

できたら味わいたくなかった決断のように感じさせるので、

もしかしたらネガティブな印象を持たれる方もおられるかもしれません。

 

けれど、諦めるの先に「明らめる」がありますから、

諦める決断をするときは心は痛くても

その痛みはずっと続くわけではないんですね。

「明らめる」わたしがその先にいるんです。

晴れやかにスッキリした笑顔のわたしがいそうです。

 

ところで、はっきりとさせるという意味での「明らめる」ことが

こわいことってありますね。

不妊治療においては

お互いの話し合いや共通認識がとても大事ですが、

お互いの価値観は全く同じではないですから

「聞いてみて、わたしと意見が違ったらどうしよう」

「伝えてみて、嫌な顔されたらどうしよう」

なんて不安がよぎって

話し合わないといけないけど

そのまま過ごしているということも

あるかもしれません。

 

話し合いをする勇気が必要なときは

ぜひ、お話にいらしてくださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

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