「なぜ他人と比較してしまうのだろう、そんな気持ちがなければ楽なのに」と
たくさんの人が悩んだ経験があるのでは、と思います。
人間は、他人と比較する生き物で、どの時代でも私たちの苦しみの一つではないかと思います。
ちょっと学問的な話を交えてみますと、比較する背景には次のような目的があります。
①自己評価を行うため
「自分の考える意見は果たして正しいのか」、「自分の能力はどの程度であるか」など
自分自身の考えや能力の程度について、はっきり明確にしたい気持ちがあり、
自分と他者を比較することにより自分の能力の程度や意見の妥当性を評価するための比較。
②自己高揚のため
自分よりやや優れた人をライバルとし刺激され努力することで、高い技術や能力を身につけたり、
自分より不幸や不運だと思う人と比較することで、自分の幸福感を感じようとするための比較。
③自己融合のため
まわりの人間と同じ行動をとるなどして、自分がその集団で適当な行動をとることができるように
するため、またその集団との関係性を維持するための比較。
また、“相手との差を感じたとき”や“落ち込んでいるとき”、
“初対面の人と会ったとき”や“相手の魅力を感じたとき”に他人と比較しやすいという研究もあります。
このように、私たちは多くの場面で比較をして過ごしていて
他人と比較して苦しい想いをすることもある一方で、自分に役立てている部分もあるようです。
妊娠についても「周りと比べてしまって」辛い想いや悲しい想いをしているとおうかがいします。
私たちは無意識のうちに他人と比べながら生きてきたわけですから、
子どもがいたり妊娠している人といると自動的に比べてしまうものなのかもしれません。
一方で、「比べなくていいのに」、「他人は他人、自分は自分って強く思えたらいいなあ」
という気持ちが出てきて、比較して苦しかった気持ちを助けてくれることもあるかもしれませんね。
ただ、みなさん全員が「他人は他人って思おう!」と心から思えるものでもないかな、と思います。
何をお伝えしたいのかと言うと、
“他人と比べてしまうから悪い”というものではないのですよ、ということです。
そのことが生きる原動力になる方もいらっしゃいます。
ただ、自分がどういった傾向があるのかを知っておくことは、とても大切だと思います。
どれくらい人と比較する傾向があるのか、
比較したあと落ち込みやすいのか頑張ろうとするのか、
どういった事柄について比較しやすいのか、など、
みなさんはどういった傾向がありそうですか。