時折、「心理士は人の心が分かるんだ!」と思われていることがあって、
お話をしてして「私の心、見透かされていそう!」と言われることもあるのですが、
”心”って、分からないものです。
むしろ、他人の心は分からないもので、自分の心でさえも分かりきれるものではないからこそ、
心の在り方や働きを確認していく役割を臨床心理士が担っています。
夫婦で妊娠のことを話そうとして、相手がいい顔しないようだと、
「治療しなかったら子どもを授かる可能性が低くなるのに、どうしてそんな顔するんだろう?
本当に子どもを欲しいわけじゃないんだ!」
と、思うかもしれません。
でも、相手が“いい顔しなかった”のは「本当に子どもが欲しいわけじゃないから」とは
限りませんよね。
例えば、その時は疲れていて「また今度にしてほしいな…」と思ったのかもしれませんし、
自分が責められているように感じられたのかもしれませんし、
話の内容のことではなく、言い方が嫌だったのかもしれませんし、
なぜ“いい顔しなかった”のかはわからないなあと思います。
もしかしたら、こちらが期待した反応じゃなかっただけで
相手にとっては、決して“いい顔をしなかった”わけではないのかもしれません。
こういったやりとりをどう受けとめていくかは
お互いの性格や相手との関係性で変わっていきますよね。
相手の反応に、悲しかったり、ショックだったり、ちょっと腹が立ったりする自分もいますが、
相手がどうしてそういった反応だったのか、ということには、たくさんの可能性がありますし、
自分の中で答えを決めすぎてしまわれずに、また機会をみて話してみられてはどうでしょうか。
夫婦であっても、聴いてみないとわからないことがたくさんあります。
そして、伝えないとわかってもらえないことも、たくさんあるなあと思っています。
臨床心理士 間塚