地震に続き、大雨による被害がありました。
報道を見るたびに、被害は大きくなっていっていて、
時間を追うごとに把握されていく被害に、いたたまれない気持ちになります。
みなさんをはじめ、ご親族やお知り合いの方々、ご無事でしたでしょうか。
被害にあわれたみなさまには、謹んでお見舞い申し上げます。
当院では、妊娠されて妊婦検診先へ卒業される方が毎月20名ほどおられます。
こういったかたちでの卒業を望んで通院される方がほとんどかと思うのですが、
“不妊治療の卒業”=“妊娠”というわけではなくて、
“不妊治療を終えること”も“不妊治療の卒業”です。
治療を終えるときに、先生やスタッフに終わりを伝えて卒業される方もおられれば、
終わりと決めていても、終わることを誰にも言わずにやめていかれる方や、
「終わりにする」と決め切れなくて、誰にも言わないまま通院からは足が遠のく方など、
終わり方も人それぞれ、です。
以前、不妊治療を受けておられた方が、講演会で、
「私は、まだ不妊治療をやめたとは言ってないんです。
長い間、休んでいるんです。
はじめようと思ったら、いつでもはじめられるんです。」
と、おっしゃってました。
この方は、“治療をやめた”ことにすると、妊娠の望みがなくなるように思えるから、
長い間“治療を休んでいる”気持ちでいると説明されていました。
「妊娠は何歳まで」
「治療費がいくらまで」
「体外受精は何回まで」
「次、移植ができたら、結果が出なくても最後にする」
ご自分たちの中で、“なんとなく”想定していた線引きが近づくと
“治療を終える”ことが頭をよぎると思います。
ご夫婦で、どれだけ妊娠に取り組むのかを、改めて話し合いながら、
“終えた方がいいと思う理由”と、“やめたくない理由”を並べては、
どうしようかと迷われることでしょう。
「いつまで治療をするか、決められないんです」
「次周期で一応最後にしようかなとは思ってるんだけど…」と揺れ動きながら来られるとき。
「結果が出なければ、今日は最後の日かもしれない」
「これで私たちの治療は終わりです」と決めて来られる日。
そのとき、その日、ここに至るまでのみなさんそれぞれの物語があると思います。
治療を終えるという選択は、とても大きな選択だと思います。
頑張ったけど授からなかった悲しさもあるでしょう。
治療をやめられるホッとした気持ちも少しあるかもしれません。
いろんな気持ちがおありかと思います。
どうか、“今の自分たちにやれるだけのことはやったということ”は、十分に自負なさってますように。
治療を終える卒業も、
あなたが、妊娠と向き合って頑張ってこられた証に、間違いないのですから。
臨床心理士 間塚