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草津レディースクリニックは、この9月から、開院して10年目に入りました。
その頃に授かられたお子さんは、今は小学生になられているんだなあ、としみじみ思います。
通院されていたみなさん、その後はいかがでしょうか。
いろんなことはあると思いますが、お元気に過ごされていることを願っています。
開院当初は、まだ”妊活”という言葉は使われていませんでした。
時の流れとともに、体温を管理するアプリが普及したり、
鍼灸院などで“妊娠のために体質改善したい方”と書かれるようになったり、
著名人が不妊治療の体験をオープンにされたり、テレビで不妊治療が特集されたりと、
“妊娠のための取り組みをしている人がいる”という現状が知れ渡ってきたように思います。
不妊治療についても、以前は、
「夫婦で一定期間妊娠できるように取り組んで、授からなければ病院へ行く」
という考えの方が多かったですが、
今は、「早く妊娠したいから、自分たちでタイミングとるより病院来た方が確実だし」
「お互いの身体に問題がないか、早めに知っておいた方がいいから」と、
建設的に判断をして来院される方も多くなりました。
この10年で、妊娠のための医療技術も発展し、さまざまな研究も積み重ねられています。
そういった流れを時には取り入れながら、みなさんの希望に寄り添ってきました。
たくさんの方の願いが叶っていきました。
ただ、まだすべての方が希望通り授かれるわけではありません。
ご夫婦との血の繋がりを絶対的な希望としない方には、
体外・顕微授精での妊娠が難しそうな場合の選択肢の1つになっている
精子提供や卵子提供の窓口も広がり、
養子縁組も様々な団体が斡旋しているので、子どもを授かる選択肢も多数です。
このように、妊娠についての意識が高まり、
また、妊娠にまつわる医療行為などの選択肢が増えたことで、
子どもを授かるということに対して様々なアプローチができるようになりました。
その反面、選択していくことが難しかったり、勇気がいったりする局面があるかもしれません。
人生の中で、“子どもを授かること”について、思いを巡らせたり取り組んだりするのは、
とてもとても大切なことだと思っています。
みなさんそれぞれの考えや気持ちをおうかがいしながら、
今、みなさんがご夫婦のためにされる選択を納得しておこなえるように
スタッフそれぞれの立場からサポートしていきます。
大切な時を、一緒に過ごしていきましょう。
臨床心理士 間塚
「やらないと!とは思うんだけど、積極的に行動できなくて…」
そんなとき、ありませんか。
「頭では分かってるんだけど、なんか気持ちがついてかなくて…」というとき。
「やった方がいいんだろうな」ということを分かっていても、
「手に入らないかも」「できないかも」「叶わないかも」という想いが強くなると
なかなか行動したり実行したりできなくなることがあります。
「体外受精も考えてはいるんですけど、どのタイミングで進んだらいいのか…」と、
いつから体外受精に切り換えたらいいのか悩まれる方はたくさんおられます。
「できたら自然で授かりたいし」
「体外受精にすすんだら、今より仕事との両立が難しそうだし」
「お金がたくさんかかるし」
「採卵したことないから、不安だし。痛そうだし」
こんなふうに、体外受精にすすむかどうか考えるときに
多くの方たちが迷われる理由というのはいくつかあります。
そのうちの一つに、
「体外受精までして妊娠できなかったらショック過ぎて…」
という想いがあって進むことをためらわれる方もたくさんおられます。
そうですよね。
妊娠の確率が一番高い方法で、
今までよりもいろんな面で負担になる治療をしても
望んだ結果が出るかどうかわからないと…
想像するとやっぱりこわいですよね。
そういった、結果が出なかったときのことを想像して躊躇したり、
「でも、同じことを続けていても妊娠は遠いかもしれないし進もうかな」と思ったりを、
行ったり来たり揺れながら、どうしようかと考える時期があるかと思います。
そして、もし、旦那さんに「やってみようよ」と言われたら、
進める人もいるんじゃないかな、と思ったりもしています。
自分だけの判断では心細かったりすることでも
その判断を同じように支持してもれたら、
それまでとは違った気持ちで取り組めるかと思うのです。
背中をおしてほしいこと、
見守っていてほしいこと、
こわい気持ちがあるのを知っておいてもらうこと、
自分が心強くいれるために必要そうなことから準備してみませんか?
臨床心理士 間塚
今週の日曜日、なんとなく観ていた高校野球でしたが、
その試合内容が心を奪う展開の連続で、気づけば釘付けになっていました。
瞬間、瞬間にかけられたいろんな人のいろんな想いと努力と願いが、
とてもとてもあつくて、胸がいっぱいになりますね。
ストレスって、
何か嫌なことや悲しいこと、辛いことなど “ネガティブなこと” に対して感じるものと
思っていませんか?
「環境が変わって、ストレスは前よりなくなっているんですが…」と仰いながらも、
次のような “気になること” がある方がちらほらおられます。
動悸がしたりイライラしやすかったり
急に悲しくなったり
それまではなんともなかった体温がガタガタしたり
しっかり眠れなかったり
頭が重かったり、胃がすっきりしなかったり
肩がこったり、なんとなくだるかったり、
といったようなことです。
こういったことは、何らかの病気の症状の場合もあるので、
専門外来で、病気かどうか診てもらうことも大切な一手です。
それで、ストレスのことですが、
ストレスは、“ネガティブなこと” だけではなく、
実は、一見、自分にとって“良いこと”であっても、付き物なのです。
例えば、結婚、妊娠、出産や、
転職や職場内の配置換え、退職、引越しなども、そうです。
なぜかと言うと、良いことであっても、“変化” が求められるからなんです。
何か出来事があると、
その出来事の前と後では、違った生活をしていくことになります。
すると“今までと違う”ため、どこかで力が入ったり、力の入れ具合がわからなかったりしがちなのです。
例えば、今まで少し波がある海を平泳ぎしていた人は、
波が穏やかになったら、平泳ぎは同じでも、この波に合った力の入れ方など工夫をすると思います。
もしかしたら、速く進みたくてクロールに変える人もいるかもしれませんよね。
このように新しい環境に対応することで、負荷がかかってくることがあります。
ですから、先にあげた “気になること” は、
環境が変わったことから起こっていることかもしれません。
新しい環境に頑張って慣れようとしている自分がいたり、
今までと違う暮らし方になんとなく満足感がなかったり、
「今の状況の方が良いのは間違いないから、文句は言えない」と思っていたりしませんか?
早く慣れようと思いすぎないで、
まずは、自分が心地よく過ごせているかどうか、確認してみましょう。
「前と大変さは違うけど、今は今で大変なこともあるなあ」とか、
「今は楽だけど、その分毎日にメリハリがないなあ」とか、
「これから順調に暮らしていけるか、漠然と不安な想いはあるかも…」とか、
自分の中で改めて気づくことがあるかもしれませんね。
臨床心理士 間塚
毎年、夏になると、
教員の仕事をされている方の来院が増えます。
毎日お忙しくされていて、夏休みになってやっと来れるみたいですね。
逆に、夏が繁忙期の方や
幼稚園や小学校に通うお子さんがおられる方はおやすみされることもあります。
生活は、仕事や家事、家族のこと、地域のこと、
いろんなことで成り立っています。
仕事で毎日忙しくてゆとりがないと、
「通院しないとな…」とは気になりながらも、なかなか一歩が踏み出せないこともあるでしょう。
また、「お子さんや今の生活状況に負担をかけて通院するのは控えたい」との考えもあるでしょう。
時折、「こんな感じで病院にきてすいません」と仰る方がおられます。
「仕事があって、来ないといけない日に来れないんです」とか、
「母親が病気していて、介護を優先させながら来れるときに来たいんです」とか、
不妊治療よりも優先させたいことがあるけどできる範囲で治療もしたい方は、
少し申し訳なさそうに、そう仰います。
中には「先生に失礼かもしれないのですが…」と、気にされる方もおられます。
不妊治療も生活の一部ですから、
今、どれだけ治療に取り組んでおきたいのか、とか、
生活の他のこととのバランス具合とかは、
みなさんお一人ひとり違うかと思うのです。
不妊治療の病院に来るからといって、
何よりも治療を優先しなきゃいけないと決まってるわけではありません。
来れる範囲で通院される場合は、しっかり診てもらうより確実性には欠けるのですが、
その範囲での通院もしていただけます。
今の生活状況で、どんなふうに不妊治療とつきあっていくのか、
妊娠したい気持ちと折り合いをつけていくのか、
みなさんそれぞれの向き合い方があると思います。
通院に万全な状況を準備するのは難しいこともあるでしょう。
「優先しなきゃいけないこと」と「優先したいこと」をもう一度整理して、
(「優先しなきゃいけないこと」は、実は自分で強くそう思い過ぎていて、
頼んだり、伝えたりすると、融通がきくことが意外と多かったりします。)
生活の他のことと大切にしたいこととのバランスをとりながら
自分のペースで通院してみてくださいね。
さて、やってきましたね、帰省の時期。
親族に妊婦さんや赤ちゃんがおられる場合は特に、
帰省は憂鬱に感じられますよね。
私は、毎回、“『無理して行かない』ことも大切なこと” とお伝えしています。
明らかに嫌な想いをすると分かっているのだったら、行かなくてもいいと思いませんか?
行かない選択をしようとすると、
「お義母さんはみんなが集まるのを楽しみにしているから」
「こういう状況でも、気にせず明るくいれたらいいのに」
と、心苦しく感じることもあるかもしれません。
そんなふうに実は気を遣ったり頑張ったりしているあなたを、
どなたかが気遣ってくださるようでしたら、少し安心できるかもしれませんが、
集まる人数が増えると、気遣いは行き届きにくくなりますものね。
何よりも、まずは、あなたがあなたの心を守ってあげませんか。
そうとは言っても、「行かない」選択がしづらくて、
仕方なく、親族の会合に行く方もおられることでしょう。
その日が来るのが嫌で、想像すると “ブルー” な気持ちになると思います。
そういうときは、せめて、
「私は本当は行きたくないけど、めっちゃ我慢して頑張って会合に行く」ということを
どなたかに分かっておいてもらえないでしょうか?
そして、会合が終わったら、どんなことがあったりどんな気持ちになったかを、
その方に伝える予定をしておいてほしいなと思います。
そうすることで、会合に行く前も会合中も、
「このことを伝えよう」と思いながらいられますので、
一人で全てを受けとめなくてもよくなって、あなたを支えてくれると思いますよ。
「誰に言ったらいいかな…」という方は、私に伝えにいらしてくださいね。
みなさんそれぞれのスタイルで、自分の心を労わりながら乗り越えられますように。
臨床心理士 間塚
先週から、猛暑が続いています。
みなさん、体調はいかがでしょうか。
熱中症にはお気をつけて、無理をなさらずにお過ごしくださいね。
妊娠を望む日々の中で、「旦那さんは、私の気持ちを分かってくれない」という声を
今までたくさんたくさん聴いてきました。
単純に、旦那さんが生理周期や妊娠のしくみをあまり知らないことが原因なこともあります。
そういった場合は、知識を補うことで、“分かってくれるようになる”ことがあるかと思います。
では、知識がないから分かってもらえないわけではない場合、
どうやったら「旦那さんに分かってもらえた」と思えるのでしょう。
例えば、“夫婦間で治療方針に温度差があったけど旦那さんが歩み寄ってくれたとき” でしょうか。
―「まだ妊娠考えて1年経ってないし、1年はタイミングでいいやん」と言っていた旦那さんに、
「毎回生理くるとすごい落ち込むし、これがいつまで続くのか分からんのはもうしんどい」と話したら、
「わかった。じゃあ3ヶ月はタイミングで様子みて、そのときにまた考えよう」って言ってくれた。―
というやりとりがあったら、「分かってもらえた!」と思えるかもしれませんね。
“分かってもらえるための工夫” をして、“分かってもらえた実感” があったら、
旦那さんとの間で感じておられる “こころの距離” が、これまでよりも近くに感じられるかと思います。
ところで、みなさんからお話を聴いていると、
「旦那さんには私の気持ちは、分からないと思う」と感じられる方も多いです。
妊娠を望んで暮らされている中で、
体温が気になって眠りが浅かったり、生理前の身体の感覚でいろいろ想像したり、
何度も採血や投薬を繰り返したり、通院のために仕事を切り上げたり、
妊娠しにくい原因が分からなくても
「夫の精子は悪くないし私の卵の質かな。」「子宮の環境がよくないのかな。」と考えたり、
流産の身体への負担やその後の気持ちの変化など、
“女性だから” 背負わざるをえないことや、身体で体験したりする部分があるものですよね。
そういった部分では「旦那さんにはわからない」と感じるものかなと思います。
「2人のことだけど、どこか自分だけが味わっているような気持ちになる」ことはあるみたいですね。
「旦那さんには分からない」ことがあっても、
旦那さんが気遣ってくれたり、
いろんな想いを聴いてくださっていると実感できると
「分からないのは当然」と、“そういうもの”として受けとめられるかもしれません。
きっと、「自分だけ…」と思ってしまうと、気持ちもきつくなってくるのでしょうね。
一方で、旦那さんには旦那さんで、
「奥さんには分からない」と思っておられる男性ならではの気持ちが
きっとあるのではないかなあ、と思っているのです。
お互いがそういった気持ちをもちながらも、支えあっていけるといいですね。
臨床心理士 間塚
地震に続き、大雨による被害がありました。
報道を見るたびに、被害は大きくなっていっていて、
時間を追うごとに把握されていく被害に、いたたまれない気持ちになります。
みなさんをはじめ、ご親族やお知り合いの方々、ご無事でしたでしょうか。
被害にあわれたみなさまには、謹んでお見舞い申し上げます。
当院では、妊娠されて妊婦検診先へ卒業される方が毎月20名ほどおられます。
こういったかたちでの卒業を望んで通院される方がほとんどかと思うのですが、
“不妊治療の卒業”=“妊娠”というわけではなくて、
“不妊治療を終えること”も“不妊治療の卒業”です。
治療を終えるときに、先生やスタッフに終わりを伝えて卒業される方もおられれば、
終わりと決めていても、終わることを誰にも言わずにやめていかれる方や、
「終わりにする」と決め切れなくて、誰にも言わないまま通院からは足が遠のく方など、
終わり方も人それぞれ、です。
以前、不妊治療を受けておられた方が、講演会で、
「私は、まだ不妊治療をやめたとは言ってないんです。
長い間、休んでいるんです。
はじめようと思ったら、いつでもはじめられるんです。」
と、おっしゃってました。
この方は、“治療をやめた”ことにすると、妊娠の望みがなくなるように思えるから、
長い間“治療を休んでいる”気持ちでいると説明されていました。
「妊娠は何歳まで」
「治療費がいくらまで」
「体外受精は何回まで」
「次、移植ができたら、結果が出なくても最後にする」
ご自分たちの中で、“なんとなく”想定していた線引きが近づくと
“治療を終える”ことが頭をよぎると思います。
ご夫婦で、どれだけ妊娠に取り組むのかを、改めて話し合いながら、
“終えた方がいいと思う理由”と、“やめたくない理由”を並べては、
どうしようかと迷われることでしょう。
「いつまで治療をするか、決められないんです」
「次周期で一応最後にしようかなとは思ってるんだけど…」と揺れ動きながら来られるとき。
「結果が出なければ、今日は最後の日かもしれない」
「これで私たちの治療は終わりです」と決めて来られる日。
そのとき、その日、ここに至るまでのみなさんそれぞれの物語があると思います。
治療を終えるという選択は、とても大きな選択だと思います。
頑張ったけど授からなかった悲しさもあるでしょう。
治療をやめられるホッとした気持ちも少しあるかもしれません。
いろんな気持ちがおありかと思います。
どうか、“今の自分たちにやれるだけのことはやったということ”は、十分に自負なさってますように。
治療を終える卒業も、
あなたが、妊娠と向き合って頑張ってこられた証に、間違いないのですから。
臨床心理士 間塚
「カウンセリングを受けてみたらどう?」と誰かにすすめれたり、
「行ってみようかな」という気分になっていたとしても、
「でも…何話したらいいのか分からない…」と考えてしまうと
なかなか行けなかったりするんじゃないかな、と思います。
カウンセリングに来られるときに
“何を話したらいいのか”、を、考えてきていただかなくても大丈夫なのです。
「なんとなく、すっきりしなくて…」とか、
「何かについて話したいってわけではないんですけど、誰かに話してみたくて」とか、
「とりあえず来てみました」とか、
そういった感じだからこそ、カウンセリングを受ける意味があるように思います。
なので、迷うようでしたら来ていただけたら…と、思っています。
カウンセリングは自分の心に、違う方向から光をあてる機会になります。
自分で自分のことを振り返ったり、いろんな気持ちを見つめたりすることがあると思いますが、
自分の中で考えていると、自分の傾向が反映された考えになります。
一度、自分のことを話せる場所で話してみることで、
いつもと違った心の受けとめ方が生まれることがあります。
リフレッシュになりますし、前に進む機会にもなるかと思っています。
また、カウンセリングの中で、
「あ!胸につっかえていたことが、今、言葉に出せて、スッキリしました」
と、おっしゃる瞬間があります。
なんとなく“もやもや”したり“スッキリしない”状態だったりすることが、
お話する中で、どういった心の働きからだったのか気づくことができると、
とてもスッキリするものです。
どうぞ、今のそのままのあなたに、
来ていただければと思います。
大阪北部を中心に、地震が起こりました。
みなさん、大丈夫でしたか?
通勤中だった方や通院しようと思ってらっしゃった方、
大変な想いをされたことと思います。
また、ご家族やお知り合いは、被害にあわれておられませんか。
まだ、この地震がおさまったのかどうか分からないですし、
みなさん不安な想いを抱えておられることと思います。
ニュースやSNSの情報は、
受信する側の受けとめ方次第で
役に立つものにもなれば
不安を煽るものにもなるなあ、と
今回改めて思いました。
何かあった場合の備えはしておきながらも、
できるだけ冷静に判断していきたいですね。
今、私たちの心身は、今の状態を乗り越えようと
必死で頑張ってくれている状態です。
なので、こういった時期は、
いつもより血圧が高かったり、
呼吸や心拍数が速かったり、
柔軟に考えられなかったり、
集中力や判断力が低下したり、
イライラしたり、
口数が減ったり、
眠りにくかったり、
悲しかったり、茫然としたり、
恐怖感が強かったり、
「いつもの自分と違うよ」という状態になっていることがあります。
これは、“何かあったとき”に心身が頑張ってくれている証で、
この状態はそう長く続くものではないと言われています。
そういう状態になるのも、自然なこと、なのですね。
もし、「少し心身を休ませてあげたい」と思う場合は、
例えば、夜、いつものように眠れないなという方は、
夜でなくてもいいので休めそうなときに休むようにしてみたり。
落ち着かないなという方は、
できるだけ誰かと一緒に過ごしてみたり。
イライラしたり集中できない場合は、
いつもよりゆっくり丁寧に作業をしてみたり。
こういった状況ですから、
自分も“試運転”みたいに思って、過ごしてみませんか。
何よりも、これ以上の被害が出ないことを祈っています。
臨床心理士 間塚
映画“万引き家族”が、カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞しましたね。
これからご覧になられる方々もたくさんおられると思います。
祖母、夫、妻、妻の妹、息子、娘の6人の、
誰も血が繋がっていない家族のお話です。
養子縁組でお子さんを授かられるご夫妻もおられますから
父母と子どもに血の繋がりがない家族はたくさんあるとは思うのですが、
おばあちゃんも妹も含めて、誰の間にも血の繋がりのない人たちが家族って、
ちょっと奇妙な感じを受けますよね。
“万引き家族”というタイトルの通り、
父と息子、ときどき娘は、万引きをします。
万引きで盗ってきたものは、一家の生活を支えています。
そして、この息子と娘は、夫と妻が“拾った”子です。
劇中では“拾った”と表現されてますが、“拾った”というか、
子どもの親が虐待をしていたので、誰に許可をとるわけでもなく、家に連れてきたんです。
そして、それから、一緒に暮らしているんです。
万引きさせながら。
あたたかいご飯を食べさせながら。
子どもに万引きさせることも虐待です。
法に触れていても罪悪感を感じていない大人たちには、
「それは、あかんのじゃない?」と思いますし、怒りもわきます。
一方で、子どもたちにとって、
この一家での暮らしの中に、血の繋がった家族ではおそらくもらえなかった、
温もりや安心できるひとときがあったのだろうなあと、感じました。
子どもたちだけでなくても、
この一家で暮らす血の繋がりのない個人、それぞれが、
“家族”を感じていたように描かれています。
養子縁組でお父さん、お母さんになられた方や、
また、当院では行っていませんが、
精子提供や卵子提供でお子さんを授かる方もおられます。
血が繋がっていてもいなくても、
そこに“家族”を感じられるかどうか、なのだな、と、
じんわり思った映画でした。
臨床心理士 間塚