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2017.05.09

妊娠菌は、ありません。

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“妊娠菌詐欺”のニュースを見ました。

「女性が妊娠しやすくなる『妊娠菌』がついている」と称した白米が

インターネットで売買されていることが分かったそうです。

腹立たしく思ったのはもちろんなのですが、

“妊娠菌”という言葉が当たり前のようにニュースで使われていることに

とても驚きました。

妊娠菌は“妊娠している人の近くにいると妊娠しやすい”という意味合いで使われていて

“妊娠菌がついている”という絵なんかもネットで売買されているようですね。

そういったものの中には、本当に妊娠されている人からの出品もあるのかもしれませんが、

本当に妊娠されている人のものであろうとなかろうと

ニュースでも「妊娠菌感染には医学的な根拠はありません」と伝えられてましたし、

そもそも医学的に妊娠菌の研究はされていないようです。

「周りに生理になっている人が多いと生理が来る」なんてことも言ったりしますが、

そういったものに根拠はありません。

 

「これで妊娠できる可能性があがるのなら…」と思って買った方も

“お守り”程度の軽い気持ちで買った方もいらっしゃるでしょうが、

きっとみなさん

“冷静に考えたらそんな菌が存在するわけないことはわかっているけど

それでも買ってしまった、買わざるを得ない心の状態だった”のかな、と

想像しています。

 

妊娠したい切実な思いを

こんな形で利用してくる良からぬ人がいるようです。

妊娠のために、やれるだけのことをしたい気持ちもすごく分かります。

妊娠の可能性があがるような口コミや宣伝文句に心が奪われそうになる時もあるでしょう。

そんなときには、こんなふうに想像をしてみてください。

―あなたの友人が妊娠を望んでいて、あなたに、

「この間、ネットで『妊娠菌がついている絵』が売ってて買ったの!

 妊娠している人が描いた絵もってると妊娠するんやって。

これでほんとに妊娠したって口コミがたくさん載ってたの!

私もこれで妊娠できるといいな。」

と、話した。―

さて、どんなふうに思いますか?

こうやって客観的に状況をみてみると

少し冷静さを取り戻すことができるのではないかな、と思っています。


2017.04.24

妊娠を思いながらの歩み。


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当院では、最初の1~2周期の間に

基本的な検査は終えられるようなスケジュールを紹介しています。

そして、何も問題がなければタイミングからすすめていきますが

しばらくタイミングで妊娠に至らないようであれば、

人工授精、そして体外受精をご案内しています。

転院されて当院へこられた方や

できるだけ効率よく診てもらいたいと思っておられる方は

こういった流れに大きく戸惑われることは少ないようですが、

「ちょっと診てもらおう」という感じで来られた方は

「いやあ、それは、、、まだいいんじゃない?」と思うこともあるみたいです。

 

妊娠率は年齢と関係があるものですし、

後から「もっと早くにしておけばよかったな」と

過ごした時間を「無駄だった」と感じる方もいるので、

できるだけそういった思いをされないように

当院ではこのような方針にしております。

 

「今こう思っているから、今これを選ぶ」ではなくて

「この先後悔をしないように、今これを選ぶ」のは、

最初の間は、気持ちが“ぴったりしない”こともあるかもしれません。

「できたら今は、ここまではしたくないんだけど…」

と思う気持ちもありながら、

「まあ、でも…やっておいた方がいいし。妊娠したら気持ちも晴れるし頑張ろう」と

すすめておられる方もいます。

一方、「今の自分が感じていること」を優先した決断をされる方もいらっしゃいます。

「今、自分たちはここまでしようと思わないし、もう少し様子をみてから考えたい」と

自分たちの思いに沿ってすすめておられるようです。

 

妊娠のためにできることを効率よくやっていくことは

妊娠の確率をあげていくために、とても大事なことです。

一方で、妊娠に関する知識を得た上で、

自分たちは子どもを授かるためにどこまでの検査や治療を希望するのか、

考えながらすすめていくプロセスもとても意味があることですよね。

みなさんは今、どんなふうに歩みをすすめておられるのでしょうか。

「妊娠したいなあ」と思われてからこれまで、どんなふうにすすんでこられましたか。

少し振り返ってみてください。

そして、今の自分に、やさしく声をかけてあげてほしいのです。

さて、なんて声をかけますか?


2017.04.17

理想とは違っても。。。

今年は例年よりも長い間、桜を楽しめたように思います。

みなさんはどんなところで桜を見られましたか?

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長い間不妊治療をされていたり

「できるだけ早く妊娠したい」と強く願っておられたり

夫婦生活をもちにくい場合などは

「私たちも体外受精した方がいいのかな」と考えることもあるかと思いますが、

結婚なさったばかりだったり妊娠を望まれてから日が浅かったりすると

「妊娠できるかな」と不安がよぎりながらも

どこかで「授かるんじゃないかな」、「まだ不妊ってわけじゃないから」という気持ちもあって、

「どうしても授からなかったら体外受精するけど」とは考えはするけれども

まだ身近な選択肢とは思えない時期ではないかな、と思います。

 

誰もが自然に妊娠したいと思うものでしょうし、

小さい頃からなんとなく思い描いてきた未来図に

「なかなか妊娠しないかもしれない」という出来事があるとは

ほとんどの方が想定していなかったのではないでしょうか。

中には、思ったより妊娠していかないことに

「人生で初めてつまづきました。」とおっしゃる方もおられます。

 

「人工授精ならやってみてもいいかな」とチャレンジして

それほど確率が上がる治療じゃないと説明を受けていても

今までとは違うことをしているわけですから「妊娠できるんじゃないかな」と思ったり

高温期はいつもよりもお腹や身体の状態を意識して暮らしたりしますものね。

それでも生理になったとき、

気持ちを切り替えて3回目以上人工授精しても結果がついてこないときや

「これでダメだったら体外受精に…」と決めていてダメだったときは、

「本当に妊娠しにくいんだな」と落ち込んでしまいますよね。

そういった経過があって

「いろいろ試して妊娠しにくいんだから体外受精で挑戦しよう」と

現実的に考えられるようになるものなのかもしれません。

 

当初の理想とは違った選択を

どこかで受け容れていくときがあるのかもしれませんが、

きっとその選択は、悲しいだけのものではなくて、

新たな可能性が拡がるものだとも思います。

どちらかというと、考えに幅が出ることで、

それまでよりも気持ちにもゆとりがうまれるように思っています。


2017.04.07

「休んだら妊娠しますか?」

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今年は桜がゆっくりだなあと思っていたら、

急に暖かくなったので一気に咲き出しましたね。

 

気持ちがいっぱいいっぱいになったとき、

「少し休んだらどう?」と言われることがありますよね。

「“休んだら妊娠した”ってブログに書いてあったんで、休んだらできますか?」

と、たずねられることもたくさんあります。

休んでいるときに授かる場合もありますし

治療を続けていて授かる場合もあるでしょうから、

「こうしたら妊娠しますよ」というものはないとは思うのですが、

「休んだら妊娠しました」という話を聴いて気持ちが揺れるときは

結果が出ないまま治療を続けていくことに不安や疲れがあるときではないでしょうか。

状況が変わらない状態が続くと気持ちも身体も疲れてきますし

なにか違ったことを試したくなりますよね。

けれど、治療を休むと余計に妊娠から遠ざかる気がすることもあって

自分では「休もう!」とは思えなかったりする場合もありますよね。

また、誰かに「そんなに考え込まないで。リラックスしたら妊娠するから!」と

軽々しく言われたような気がしたら、

「何も知らないのにそんなこと言わないで!」と思って

余計に休もうとはしにくくなるかもしれません。

親身に一緒に考えてくれた人の「休んだらどう?」が心に響く時や

状況が休むことを余儀なくした場合は

無理をせずに休めるかもしれませんが、

自分で自信をもって「自分のために休む」選択をすることも

大切なことなんだろうなあ、と私は思っています。

 

休んでいる間は、

“通院しなくてもいい、薬を飲まなくてもいい、注射を打たなくてもいい、

仕事の調整をしなくてもいい、お酒を気にせず飲める、旦那の帰りが遅くても気にならない、

タイミングを意識しなくてもいい、体温が気にならない、生理前のプレッシャーがほとんどない…”

一度休んでみて、その違いを実感して初めて

「ああ、私、こんなにたくさんプレッシャーを抱えていたんだなあ」と

どれほど頑張っていたのか気付くものかもしれません。

プレッシャーなどでキュッとかたまった心や身体を

一度フラットな状態に置いてあげると自然と弛んでいきます。

 

結果が出ずに治療を続けていることがつらくなってきたときなどに

2、3ヶ月ほど心や身体をしっかり休めて

また治療に戻ってみるというつきあい方も

一つの選択肢としていいのではないかなと思っています。

 


2017.03.27

「もう一度妊娠したときのためにできることはありますか?」

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前回のブログで“流産の80%は受精卵の染色体異常によるものです”

とお伝えしました。

ほとんどの場合はこのことが流産の原因なのですが、

この他に、流産に関わるリスクというものがあります。

子宮の形や内分泌の状態、

血液の固まりやすさやご夫婦の染色体が

流産のリスクと言われています。

そういったリスクがあるかどうかを確認する検査がありまして(不育症の検査といいます)、

当院で受けていただけますし、流産を繰り返された方には説明もしております。

検査の結果、もし何らかのリスクがあると分かった場合、対処できるものもあるのです。

実際のところ、リスクがあった場合に相応の対処をすることで妊娠継続率は上がります。

そして、気持ちの上でも、

「もう一度妊娠したとき、リスクを防ぎながら過ごせるから、今度は大丈夫かもしれない」

と思えることができたら、少し安心材料になるのではないかな、と思っています。

 

命が宿っていなくなってしまったあと、

誰かに説明するのは難しいような感覚があったり

いつもよりも気持ちの揺れ具合が大きくなる方もおられます。

このタイミングで、もし、周りの人の妊娠のお知らせなどがあったならば、

そのお知らせの衝撃はとても大きいものなのでは、、、など思っています。

そういったときは“明るく周りの幸せを喜ぶ自分”にはしばらくおやすみしてもらって、

淡々とやっていきましょう。

“ちょっとブラックな気持ち”の自分がいたり

自分を責めたり他人をうらやんだりする気持ちもあるかと思いますが、

そういった気持ちになる自分にも「OK」と言ってあげてください。

妊娠のことを考えてしまいそうな場面や子どもの話題が出そうな場面は、

思い切って避けちゃうことも一つです。

「わがままかもしれない」と心配になるかもしれませんが、

まずは“自分が安心していて少しでも楽な状態”で過ごすことが一番だと思います。

また、そんなふうに思ったり考えたり、頭に過ぎったり身体で感じたりして、

「困ったなあ」と思ったときは、カウンセリングルームの話しに来てみませんか?

 

流産後に

カウンセリングを受けることで、

もう一度妊娠されたときの妊娠継続率を上げると言われています。

身体と心は繋がっていますので、

心の方からも身体の状態を整えていくことができます。

 

もう一度頑張ろうと思うときに、

こういったことも参考にしていただいて

より心強く進んでいただけたればいいな、と思っています。


2017.03.16

「どうして流産になったのですか?」

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妊娠をしたけれども育たなかったとき、

みなさん「なんでダメだったんだろう」と思われます。

実は、流産の80%が、受精卵の染色体異常によるものと言われているので、

ほとんどの場合がそこまでしか育てない卵だったということなのですが、

このことを耳にされていかが思われますか。

「そういう原因なら仕方がないし、もう1回頑張ろう」と、気持ちを切り換えられそうでしょうか。

はっきりした原因が分からないと

どれだけ「たまたま起こったことです」と説明をされても納得がいかない時もありますよね。

もしかしたら

「あの時に身体を動かしたからだ」とか

「母親になれる自信がなかったから」と、

自分の中に原因を探してしまうかもしれません。

流産は自分の身体の中での起こったことなので

どこか“自分のせい”に感じてしまう気持ちもありますよね。

 

やっとの妊娠で

周りの人の喜ぶ顔や

自分の中での救われた想いが

駆け巡ったあとの出来事で

気持ちが大きく揺れてなかなか現実についていけないかもしれません。

でも、1つ、これだけは大切にしていただきたいのです。

“自分のせいにしない”こと。

 

人生では、自分が引き起こしたことではない出来事にもたくさん出合います。

また、命の誕生であったり、人の生死には、

納得のいかないことがよくあります。

そういったことが起こると混乱しますし、どう受けとめていいのかわからなくなりますよね。

そういう時はついつい、何かのせいにしたり理由をつけて受けとめてしまいがちなのですが、

“起こったことを、ただそのまま受けとめていくこと”が大切なのでしょうね、と思うのです。

 

悲しい気持ち、悔しい気持ち、自分だけつらい想いばかりしているのではないか、という気持ちが

湧いてくるのは当たり前だと思います。

けれど、時間が経てば何か別のことで笑える自分も出てきます。

なので、まずは、ゆっくり眠って心身を休ませて

ご飯はできるだけ誰かと楽しみながら食べて心身にエネルギーをあげてみませんか。

流産のことを考えずに過ごせる時間をもつようにしてみるのもいいかもしれません。

時間が経っても、流産のことを思い出すと涙は出てくるかもしれませんが、

トータルで振り返ってみたら少しずつ落ち着いていくはずです。

元通りの自分ではなく

その経験があったから、よりパワーアップした自分になっていくのではないかな、と思っています。


2017.03.09

「私以外にも流産になる人はいますか?」

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「やっと妊娠できたけど、育っていかなかった…」

赤ちゃんを望む中でそういった思わぬ悲しみに出合うことがあります。

流産は、待望の妊娠が叶ってトンネルを抜けて世界が変わったような感じを味わっている時に

不意に知らされます。

聞いたときは「まさか」と思いますし、悲しみもとても大きいですよね。

 

1回の妊娠に対する流産率は38%と言われています。

この数字をどんなふうに思いますか?

100件の妊娠のうち、流産にならないのが62件ということですよね…。

初めてこの確率を知ったとき、私は「こんなに多いんだなあ…」と思いました。

 

当院のホームページに、“卒業された方の声”というページがあります。

当院で妊娠されたみなさんが卒業される日に一言頂戴しているものなのですが、

その中に流産の経験に触れておられる方が何人かいらっしゃいます。

もちろんそのことに触れておられない方もいらっしゃいますので

実際はもっとたくさんおられることになります。

流産の経験を友達から聞くことって、あまり多くありませんよね。

その後、新たな命を生み出されてから「実はこの子の前に流産してるねん」

と言われることは、まだあるかもしれませんが…。

 

周りから流産した話を聞くことはあまりないので

「なんで自分だけ…」とどうしても思いがちになりますよね。

けれど、周りには、「なんで自分だけ…」と流産のことを言わずに

同じようにご自身の中で悲しんでおられる方がいらっしゃいます。

そして、流産のあとはもう一度妊娠していくことを怖く感じる方が多いです。

2回流産を繰り返された場合は特にそう感じられているように思います。

どうしても「もし、また流産したら…」と考えますよね。

あのつらさはもう身に起こってほしくないですもの。

卒業された方も、そういった気持ちを抱えつつ、

それでも無事の出産を望んで通院を続けておられたのだと思います。

 

流産後の妊娠に、カウンセリングが有効だといわれています。

流産の体験を誰かに話すことはとてもエネルギーのいることだと思いますので

なかなか受けにくいところがあるかもしれません。

「話すと泣いてしまうから受けない」と思うこともありますよね。

当院でのカウンセリングは、

特に“不安”や“悩み”に限った話をする場所というわけではありません。

次の妊娠まで、

この先どうしていくか答えが出るときまで、

または、今よりも主体的に生きられるように、

ただ“自分のことを話せて状況を知らせることができて一緒に考えたりできる場所”と

思っていただけたら、と思っています。

 


2017.02.27

“カルテット”から、夫婦関係を振り返って。

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今シーズン放映中のドラマ「カルテット」の第6話がネット上で盛り上がっていたようで

ネットでの盛り上がりだけでしたら特に気にならないのですが

スタッフや友人の間でもその話になると盛り上がるので

きっとたくさんの方が「わかる~」と思ったりドキッとしながら観ておられたのだと思います。

 

ご覧になってない方もいらっしゃるかもしれませんが、

第6話は、松たか子さんが演じる真紀さんとその夫さんの

出会いから結婚、そして夫が家を出て行くところまでのやりとりと心情が

とても繊細にそしてリアルに描かれていました。

夫は、恋人のような関係でいたかった。

妻は、家族ができてうれしかった。

理想とは違った現実に物足りなさを感じたり

相手を想っての言動が相手には嬉しいことではなかったりして、

すれ違いが一つずつ積もっていって、気づいたときには大きくなっていました。

 

夫婦で居続けることって、とてもむずかしいですよね。

相手が自分の一番の理解者だとしても、お互い違った価値観をもっていますので、

こだわりも、望みも、大事にしている感覚も、違っています。

自分が相手との関係を良好だと思っていても、相手もそう思っているとは限りませんし、

その逆で、自分が相手との関係に物足りなさを感じていても、相手もそうだとは限りませんよね。

自分がいいと思っていることを相手が同じ温度で共有してくれたら

それはとてもラッキーな瞬間なのでは、と思います。

それが当たり前ではないですものね。

 

ドラマを観ていて、

「どうしたらここまですれ違わずに済んだのだろう」

と、考えられた方も多かったのではないでしょうか。

私は、別居や離婚も選択肢の一つなので、「避けられるなら避けなければ」とは思っていませんが、

“お互いが夫婦でいたい気持ちがあるけれどもすれ違っていっている”のならば

なんとかできたらいいな、と思いますものね。

みなさんは、何かいい案が思い浮かびましたか?

 

“相手の靴に足を入れてみる”

―相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じること―

これはカウンセリングのアイデアの一つです。

相手の靴、旦那さんや奥さんの靴に足を入れているところを想像してみてください。

相手の靴に足を入れて世界に立ってみると

見えるもの、聞こえるもの、感じることが違ってきますよね。

相手は、自分のこういう表情を見てたんだ。

相手は、自分の話をこういうふうに聴いていたんだ。

相手は、自分の態度や言葉に、こんなふうに思ったのかもしれない。

普段の自分は気づかないことにたくさん気付きませんか?

「あのとき私は不満に思ったけど、相手はこう思っただろうな」

「あのとき私は何気なく断ったけど、相手は私の想像よりがっかりしたかもしれないな」

など、いろんな発見があるかもしれません。

“私が相手だったらどう思うかな?”という想像と、

“相手の靴に足を入れてみる”という想像では、

後者の方がより相手の感覚に近い想像ができるように思っています。

 

 


2017.02.17

「みんなが頑張っているから、私も頑張ります」

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三寒四温、本格的な春にむけて季節が移ろいでいますね。

日が暮れる頃の景色が、なんとなく春っぽくなってきたように感じています。

気温差が大きい日々になりますので、みなさん体調にはお気をつけくださいね。

 

子どものころ、家族や先生から

「ほら、周りのお友達はみんなちゃんとしてるよ!○○ちゃんもちゃんとやらなきゃ!」

と言われたことが誰にでもあると思います。

そう言われると、自分だけが周りと違ってはいけない気がして、慌ててちゃんとしますよね。

“みんながやっているから、私もやる”

“みんなが頑張っているから、私も頑張る”

こういった考えは、いつの間にか当たり前に私たちに浸透しましたし、

そういった考えが励みになってやってこれたことはたくさんありますよね。

 

例えば、「お友達もみんな頑張って治療しているから、私も頑張ろうと思って」と

周りの人たちの通院が自身の通院の後押しになっていたり、

体外受精にチャレンジするときに「たくさんの人がやっていることだし、大丈夫。私もできる」

と、心強く一歩を踏み出せたり。

“みんな~だから”と思うことが励みになったり、安心感や一体感が生まれたりと

気持ちの支えになってきたのですね。

 

一方で、先日観た劇の中に

「“みんな我慢してるから我慢しよう”ってつらいじゃないですか」というセリフがありました。

どういうことなのか想像してみたのですが、

“みんな~だから”には、ひとりひとりがどのように感じているのか、ということが含まれないのですよね。

“みんな~だから”、「そうすることが良い」「そうしないといけない」と思って行動すると

「私はこんなふうに感じているんだよ」という気持ちは置いてきぼりのように思います。

あのセリフは、「そこに“本当の自分を生きられないつらさ”が隠れているんだよ」

というメッセージだったのかなあ、と想像しています。

“みんな~だから”と思うことで、自分を鼓舞することもできれば、

自分の本当の気持ちを曖昧にしていることもあるのですね。

 

振り返ってみると、“みんな~だから、私もこうする”と思っていることって、よくあるんですよね。

そう考えることで、自分の気持ちを高めたり勇気をもらったりと“わくわく”しているのか、

それとも、どこかで自分の本当の気持ちを呑み込んでいるのかは、場合によって違うものです。

自分の気持ちを置き去りにしていないかどうか、

自分も本当にそうしたいと思っているのかどうか、

自分が感じていることを大切にしておきたいな、と思っています。


2017.02.06

男性の気持ちを知ることはできるでしょうか。

一月半ば頃から定期的に雪が降っていましたが、暦の上ではもう春ですね。

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さて、私は先日、男性の不妊のこと、生殖のことやセクシュアリティをテーマにした

人文社会学系の研修会に参加してきました。

男性は不妊治療をどのように体験しているのか、などについて

インタビューや本、メディアなどの情報を元に論じられていました。

発表されている方々は体験者というわけではなく、

研究として、また現場からの報告としての発表でした。

 

その中に泌尿器科に通われている男性へのインタビュー調査がありました。

数人の方がインタビューに協力されて、

精子に原因があると分かったときの気持ちや手術をうけるかどうかの逡巡、

奥さんに対してどう思ったか、周りの人には知らせたか、などについて

ご自身の体験を語られていました。

協力された方は、男性不妊は一般的にはまだ情報が少なくて孤独だと実感されて、

社会的認知の広まりを目的としてインタビューを受けられたようです。

協力された方は無精子症や乏精子症で通院されていた方で、

勃起障害などの性機能障害の方の協力はいただけなかったそうです。

“男性不妊にあてはまると男性性が否定されているように感じるのではないか”という想定もありますが、

この調査では、男性は「精子がないのは病気だから」と生殖機能と性機能を分けて捉えておられ、

夫婦生活については特に問題なく語られていたことから、

“性機能には問題がないことで男性性を否定せずにいられるのではないか”と示唆されていました。

 

男性が検査や治療への協力に抵抗を感じていらっしゃると

女性としては「女性は何回も内診受けてるのに…」と思ったりもしますが、

“男性にとってはどういった体験になるのか”を想像すると、

物理的に“ただ精液を提供する” だけでなく、男性性が揺さぶられる体験になるかもしれないのですよね。

 

その後、この研修会の感想を男性の知人と話すと、彼は、

「男性の気持ちって言っても人それぞれじゃないですか。

そんなふうにどこかで話されていること事態が余計に決めつけることになるんじゃないですか。

夫婦でどれだけコミュニケーションとれてるか、にもよるし。

そもそも結婚に何を求めているのか、にもよるし。」

と、一蹴しました。

 

男性側の気持ちの“傾向”や“パターン”を知っていると、参考にはなります。

「こういう場合、男性ってこう思うんじゃないかな」と想像して関わり方を見つめなおすことができます。

なぜ旦那さんとの間に温度差があるのか、納得できる理由が見つかるかもしれません。

ただ、知人が「人それぞれ」と言ったように、

物事をどう受け止めるかについてはその人の価値観や生き方によるもので、一人ひとり違うと思います。

結局のところ、男性の気持ちではなく旦那さんがどう思ってるのかを知っていきたいですね。

 


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