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2022.02.21

“ わたし ” のストーリーを楽しみつつ大切に。

 

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この間、SNSに流れてきた広告が

「通院しなくても

 栄養をたっぷり摂らなくても

 運動しなくても

 妊娠できる」

といったような見出しだったんです。

出来心でそのサイトをクリックしたくなりましたが、堪えました。笑

広告の内容は、いったい何だったのですかね。

 

時折、

「不妊治療中に何度採卵しても

 もう受精卵もできないことが続いたので

 治療もやめて子どもをあきらめて過ごしていたら妊娠しました」

というようなエピソードを耳にすることがあります。

 

そういうことがあったときに

「妊娠って確率だから、そういうこともあるよね」

と、淡々と受け止める方もおられるかもしれませんが、

「きっと、通院のストレスや

 毎日妊娠のために頑張ってきた生活からも解放されて

 リラックスして暮らしていたから、

 今の私だったら生まれてきたいって

 赤ちゃんが来てくれたんだと思う」

と、今の暮らしやご自身の状況が

妊娠に必然であったかのように受け止める人の方が多いように思います。

 

こういったエピソードを耳にすると

「私、今すごく神経質になってるし、それでダメなのかも」

「助成金分はとっくに使い切ったのに、このままじゃいつまでやってもダメな気がする」

「あきらめたら妊娠するって聞くし、あきらめたらできるんかな」

なんて思いがよぎったりするのではないでしょうか。

なかなか出産までたどり着けない日々が募ると

今取り組んでいることに自信がもてなくなる瞬間もあると思います。

 

もしかしたら本当に

通院や生活習慣と違うことで

妊娠に寄与するものが

存在するのかもしれませんが、

“〇〇したから妊娠した”というのは

結局のところ

その方の「ストーリー」なのだなあ、と思っています。

 

妊娠したときの自分の状況や

そのとき自分が取り組んでいたものを

妊娠に寄与したと受け止める、

そのことがその方にとっては

腑に落ちるストーリーになっているのだと思います。

その方にとっては

それが真実なのですよね。

 

どういった情報を信じるのか

どういったアプローチをしたいのか、

今まで取り組んだことがないことをやってみたくなったり

「そこまではしなくてもいいだろう…」と思ったり

いろいろ迷うことがあると思います。

医療領域でおすすめしていることと

民間でおすすめされることは

内容が違ってきますしね。

 

一人ひとりにストーリーがあって

ストーリーに正解はないのですが、

主人公である“わたし”が

このストーリーの中でどんなふうに物事を受け止めて

どんな部分で変化があって

どんな部分は自分らしさを貫きとおすのかということなども

歩んでいく楽しみにしていきたいですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


2022.02.17

「質問してよかった」と思いたい。

 

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みなさんは、質問するのは上手ですか?

私は、わりと下手な方だと思っています…。

 

質問するときって、

それまでにいろいろと考えてひっかかっていたり

ざわざわしている気持ちが

乗っかってくるんだと思うのですが、

その乗っかっている何か、を

伝えてないことが多いと思うんです。

 

例えば、体外受精にすすむかどうかで迷っているとき、

いろんなことが頭をよぎると思うんですよね。

お金のやりくりや

痛みがどれくらいなんだろう…とか

注射に毎日通わないといけないのだろうか、とか

そこまでやって妊娠しなかったらどうしよう…とか

親に言おうか、言ったらなんて言われそうかとか、

いろんなことを考えると思うんですよね。

 

けれど、自分の中では

「体外受精にすすんだほうがいいんだろうなあ」

と、なんとなく思ってはいて

方向は決まっているんだけど、

もう少し気持ちを固めるために、

人に聞きたくなることがあって。

 

「体外受精すすんだほうがいいですか?」

って聞いたら

「経過や年齢から、すすまれることをおすすめします」

というお返事だったり、

「体外受精すすめられてるんだけど、不安なんです」

って聞いたら、

「みなさん、最初は不安ですよ」

っていうお返事だったりで、

「う~ん…。そういう返事が欲しかったんじゃないんだけど…」

と、感じることとかあると思うんですよね。

 

質問を受ける側の多くの人は

質問された内容の言葉に対して

お返事すると思うんです。

質問をする相手がお友達やご家族であったり

お話する時間が十分あるようでしたら、

質問の答えが思った通りではなくても

そこから自分が言いたかったことを十分に言えると思うのですが、

そういう状況じゃない場合って

どうしても一問一答になってしまいがちです。

それで、

「ああ、こんな質問しなかったらよかった…」

と、後悔してしまうっていう…。

 

せっかく勇気を出して聞いたのだから

「勇気出してよかった!」

と、思いたいですよね。

 

私は記者会見を見ているとよく思うんです。

「質問する人はみんな所属と名前伝えて、

 質問の意図も伝えたらいいのに…」って。

 

自分の思いをちゃんと伝えられたら

質問を受ける人にも親切に伝わると思いませんか。

 

例えば、

「体外受精にすすむ気持ちはあるんですけど、

 なんだかいろいろ考えてしまって、

 背中を押してもらえませんか?」

とかね。

「体外受精をすすめられていて

 夫婦でも話し合っているんですけど、

 なかなか結論が出なくって、困っているんです。

 夫は●●という意見で

 私は■■という意見で

 もう2週間、平行線なんですよ。

 どう思います?」

とかね。

 

「こういうふうなことが知りたい」

「こういうふうなやりとりをしたい」

という気持ちがあっての質問なのだったら、

どうしてそう思うのかを、伝わるように伝えられたら、

お返事する人も求められていること理解しやすくなるので

より寄り添って答えてもらえるような気がしています。

 

誰かに質問するときは、

自分がどんなふうに質問されたら

求めるような答えに近いやりとりができそうか、

どんなふうに聞かれたら一問一答になってしまうのか、

想像してみるのも大事だなあ…

と、私もよく反省しているので、

想像力を働かせながら

質問力をつけていこうと思います。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2022.02.08

誰かにとっての普通であってもなくても。

 

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恋愛のカタチや

結婚するかしないのか、

性生活を求める人ばかりでないことや

子どもを持つか持たないか、

そういった性質や価値観について

いろんなスタンスや状況の方がおられると思うのですが、

個人の性質や価値観に対して

自分の考えを押し付けて言ってくる人が未だにいる世の中で

びっくりしています。

 

「早く結婚しないと」

「早く子ども作らないと」

 

なぜ、自分の価値観が

相手にとっても当たり前だと思うのか、

問いつめたい気分になります。

(そういった光景に出くわすたびに

 「いつまで昭和の感覚やねん!」とツッコミたくなるのを、

 グッと抑えている私です。笑)

 

一時期、“ 普通とはなにか ”とか

“ 普通でありたい ”とか

“ 普通はつまらない ”とか、

普通に関することが

トピックになっていました。

“ 普通 ”がこれだけ取り上げられるということは

きっと多くの方が “ 普通 ”に合わせることに疲弊したりとか

“ 普通 ”から溢れてしまった感覚があったりとか

“ 普通 ”じゃないかもしれないことが怖くなったり、

そういった体験をしているからではないかと推察していますが、

いかがでしょうか。

 

私はどっちかというと

「…普通かどうかってどうでもいいんだけど…」

と思っている方だと思うのですが、

とはいえ、人間というものは自分のことには無自覚なものなので、

私の中の普通というものが

誰かにとっての価値観とはそぐわず

傷つけていることもあるのだろうとも思います。

どういった立場であれ、

価値観を押し付けないように気をつけたいですね。

 

普通というのがマジョリティと同じような意味合いだと仮定して話をすすめますが、

ある人の、人生における数々の選択がどれも多数派だったところで、

そうだからといってその人がしあわせだとは限らないと

私は思っているんです。

しあわせだと思っている人もいれば、

周りからは「しあわせそうでいいね」と言われるけど

そうでもないという人もいるでしょう。

結婚して子どもがいることをしあわせと思う人もいれば

結婚して子どもがいて

ものすごく大変な思いをしたり

家族から逃れたい気持ちになっている人だっています。

本当はつらくなってきているのに

自分はしあわせだと信じ続ける人もいます。

 

だから、カタチを手に入れても

なんの安心にも保証にもならないと思っています。

 

ひとつ、安心になるかなあと思っていることがありまして、

それは、自分のことを理解してくれる人がいることです。

自分が多数派であろうとなかろうと

そういったこともひっくるめて

それよりも大事な部分で

ちゃんと認めてくれる人がいること。

そういった存在はありがたくて

安心に値することだなあ、と思っています。

 

なんとなく求められているカタチのことは置いておいて

ありがたい存在の人がいてくれて誇りだなあ、

ということに目を向けてみるのもいいかもしれませんね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


2022.02.03

Media掲載のお知らせ

森先生が医師監修ジネコ不妊治療情報「ivfdoctor」のQAに回答を寄せています。

Q&A】排卵誘発で卵巣が腫れ、生理が来なくなりました。

https://bit.ly/3riQJa6


2022.01.28

なにが、ひっかかっているのでしょうね。

 

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今までの治療経過や年齢のことを考えると

体外受精にすすんだ方がいいんだろうけど、

すすむのが怖いというお気持ちをよくおうかがいします。

採卵の痛みや、仕事との兼ね合いを心配される方は多いですが

そのことで足踏みされる方は少ない印象で、

「体外受精でできなかったら、と思うと、怖くてすすめないんです」

とおっしゃる場合は、

とても迷われる印象があります。

体外受精以上の治療法がないのに

それでもできなかったら…と思うとこわくなる、

そんな想いをするかもしれないんだったら今のままでいい…。

そういった心境になられているのですね。

 

確かに、望んでいる結果がでるかどうかわからないことに向かっていくのは、

とても勇気がいることだと私も思います。

 

では、どうでしょう。

今までも結果が出る何かを通過したことが

おそらくあるかなあ、と思います。

例えば、受験や試験、試合、コンクール、告白、就職の面接…

どれもそのときの自分にとっては

とても大事な局面だったと思いますが、

そういったことは

どのように乗り越えてこられましたか。

 

違いとしてよくお伺いすることは

今までの経験では努力をしたらある程度結果が見えたと。

けれど、妊娠に関しては

努力次第でどうにかなるものじゃないから…と。

 

もしかしたら、

「今周期も妊娠しなかった」という結果が積み重なっていって

自分たちが妊娠できるという見通しが

もてなくなっていらっしゃるのかもしれませんね。

 

ところで、

もしできる限りチャレンジしても授からなかったら

あなたは実際に自分自身がどうなってしまいそうだと

想像されているのでしょうか。

 

パートナーさんの反応が気になって、いたたまれないでしょうか?

パートナーさんがどう感じるか、気になりますよね。

でもきっと、それはパートナーさんも同じで

あなたのことを気にかけるのではないでしょうか。

 

親に申し訳ないですか?

親に孫を見せて安心させてあげたいという想いも幾ばくかあるかもしれませんね。

ちょっと想像していただきたいのですが

あなたがあなたの親だったらば、

そんなに頑張ったあなたに

「申し訳ないなんて思うことないのに…」と思いませんか?

 

周りの人たちにどう思われるかが心配ですか?

…今、私はどう伝えようか、何度も書いては消したのですが…

本当に分かって欲しい人が分かっていてくれたら

他の人が自分をどう思っているかは

どうでもいいかなあっという気がしていますが、いかがでしょうか。

 

そして、本当は他に

もっと大きな気がかりがあるのかもしれません。

 

「体外受精にすすむのこわいんです」と教えてくださったからには

しっかりおうかがいしたいのですが、

初診のときは通院の説明がメインですので

カウンセラーとしておうかがいすることができていません。

それに、きっと何回かお話を重ねながら

整理していくお気持ちでもあるように思います。

とても大事なことだと思いますので

また改めてゆっくりお話にいらしてください。

 

あなたが本当に自分の選択に納得して

通院されることを願っています。

 

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


2022.01.15

新たな気持ちで。

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お正月休みがあけて二週間経ちました。

毎年「今年は積極的に妊娠に向かおうと思って」

と通院を始められる方がおられるように、

新年やお誕生日という節目は

何かのきっかけになることがあります。

 

今年はどんな年にしたいですか。

一年後、どんな気分で今年を終えたくて、

その状態に向かうには

今どうしておいたらいいのか、なんてことを

思い描いてみるひとときも大事ですよね。

目標に向かうという意味でも大事だし

本当に自分にとって必要なことを整理する

という意味合いでも大事だと思います。

実りのある一年になるといいですね。

 

当院は「不妊治療専門のクリニック」で、

みなさんたくさん調べておられる中で

「1年タイミングとって妊娠しなかったら不妊症」と書いてあるのを見て、

「自分はまだ不妊症じゃないから病院に行くには早いのかな」

と思われる方もおられるのですが、

妊娠をご希望であれば、

どんな状況の方でも来てもらえるので、

ご自分たちが不妊かどうかということは

あまり考えてもらわなくてもいいと思います。

みなさんそれぞれの妊娠を巡るプロセスに

お手伝いをさせてもらうというだけですので、

検査だけ早めにしておきたい方もおられるでしょうし

思い立ったタイミングで

是非、ご予約のお電話をいただければと思います。

 

今までの経験上

踏み出すまではいろいろ不安だし怖いけど、

踏み出してみるとそうでもなかったりすることがあります。

先に先に考えすぎずに

行動してみるのもいいかもしれませんね。

 

毎日の暮らしも

妊娠への想いも

パートナーさんとの関係も大切にしながら、

今年を歩んでいきましょう。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


2021.12.27

二人三脚だから。

 

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冬至も過ぎてそろそろ年末です。

お仕事がおやすみになり

ご夫婦でゆっくり過ごせる時間ができそうですね。

 

妊娠のための過程は

(というか、結婚生活そのものがそうかもしれませんが)

夫婦二人三脚で、歩むことになりますよね。

 

二人三脚と一心同体は違うので、

旦那さんの関わり方が

「気を遣ってくれるし励ましてくれるし助かってる」

とは思う反面、

「やっぱり全部はわかってもらえないな…」

と、感じるプチ孤独もあるようですが、

それは仕方がないことなのかもしれません。

 

妊娠への過程は二人三脚ですが

不妊治療は女性側に大きく負担がかかることになりますよね。

なので、心身面からサポートされてほしいですし、

普段の暮らしも頑張りすぎないでくださるとうれしいです。

 

じゃあ女性側だけが大変かというと

男性側もすごくジレンマがあるんだなあ、と感じています。

「妻と代われるなら代わるのに…」

と思う人もおられます。

男性側が積極的に進めたい場合や

女性の辛そうな姿をずっと見ていて苦しい方は

特に「代わってあげたい」と思うかもしれません。

それに、自分の身体じゃないからわからなかったり、

女性の気持ちの変化に気を遣って対応していたりと、

男性の立場でみてみると

それはそれで葛藤の連続なのではないでしょうか。

 

体験や気持ちが夫婦で全く一緒ということには

多分ならないものですが、

共有できる部分もあると思うんです。

女性が悲しんでいるときに

同じ種類で同じ量の悲しみかはわからないですが

男性も同じように悲しみと感じることもあると思います。

ですので、話すときに

「もう自信がない…つらくて続ける気が起こらない…」

と言うよりかは、

「結果がなかなか出ないと本当に妊娠できるのか、自信がなくなってくるね。

 このまま続けていても大丈夫なのかなあ。どう思う?」

というように、二人のこととして話してみるのもいいかもしれません。

 

「私の気持ちは、夫には分かってもらえない」

「僕もつらいし悲しいけど、妻の方がつらそうだから言えない」

ではなくて、

二人の気持ちとしてここは共有できる部分だなあ、と確認できると

プチ孤独も少しゆるむのでは…と思ったりしています。

 

さて、このブログが2021年の締めになりそうです。

今年もみなさん、それぞれ精一杯頑張られたことでしょう。

是非、二人でお互いを労って

こころもからだも温かく、よいお年をお迎えくださいね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


2021.12.17

「不妊治療中の自分」だけじゃない。

 

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****************

原因も特にないのに

受精した卵を戻しても妊娠しないのは

なんでなんだろう…

なんでなのか知りたいです

妊娠できなかったらどうしよう…

周りの人に私のせいって思われそう…

****************

 

「なんで妊娠しないのか原因を知りたい」

今まで何回も何回もおうかがいしてきました。

この想いを語ってくださるとき

私も胸が痛みます。

 

体外受精にすすむ方には

検査上問題はなかった方も

たくさんおられます。

初診のときに私とお会いした方は

私からもお伝えしていますし

説明会でも先生が説明しておられますが、

原因を全て調べ上げられるものではないということが

ものすごく歯痒いところですよね。

 

体外受精をして受精卵を移植したら

みなさんすぐ妊娠されるかというと

そうではないこともあります。

基本的に3回移植して妊娠、出産につながらなかったときは

着床検査と不育症検査の紹介をしています。

検査を紹介すると

「まだ調べることがあってよかった」

と、前向きにとらえる方もおられます。

きっと、できることは全部やったと思って、

次の一手に困っておられたのでしょう。

一方で、検査の紹介をきいても

「検査して、何も問題なかったらどうしたらいいんですか?」

「妊娠する気がしないんです」

と、妊娠できるか不安な気持ちが

強くなっている方もおられます。

 

当院からすすめる検査を受けていただいて

問題がない場合、

「出産まですすんでくれる力のある受精卵と出会うのを待つ」

ことになってきます。

 

もちろん先生が採卵の方法や移植の方法を

これまでの経過をみながら工夫してくださいます。

いい受精卵との出会いということは

やはり卵子も精子も細胞が活性化した方が

期待できるでしょうから、

そのためのサプリメントも取り扱っていますし、

食事や運動、生活などを見直すことで

変わっていく部分もあるかと思います。

 

そんなふうにいい受精卵との出会いのために

アプローチしつつ、

みなさんにはできるだけ豊かに過ごしていきたいです。

やれることはやっているのですから、

気に病みすぎずに

他のことにも目を向けて、

自分にやさしく

自分が楽しい、喜ぶ時間を

しっかり過ごしてほしいです。

ある思考にとらわれてしまうと

新しい考えが入ってきにくいし

頭の切り替えができなくなることがあります。

 

「不妊治療中の自分」ばかりにならないように

「仕事が好きな自分」も

「旦那さんと二人でも幸せな自分」も

「大好きな趣味の時間を楽しむ自分」も

いろんな自分を大切にしてください。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


2021.12.11

こころを守って。

 

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最近、卒業アンケートを読み返していました。

当院で妊娠して卒業された方の感想やご意見を

ホームページに掲載させていただいているので

ご覧になっている方もいらっしゃいますかね。

 

このアンケートを書いてくださったのは

結果的に赤ちゃんを授かった方たちなので

「あきらめないで」「信じてがんばって」

と、背中を押すような声が多く届いています。

通院する一番の目的は授かることでしょうし、

「頑張ってよかった。みんなにも妊娠してほしい」

と、思っての言葉だと思います。

ご自身の願いが叶ってよかったですね。

 

似た境遇の誰かへのエールは

自分の体験をもとに送られる傾向があります。

治療をやめることを知らせてくださった方に

このアンケートを書いてもらっていたら

また違ったニュアンスの文章が

私たちやみなさんに送られたのかな、と思うと、

その思いも受け取ってみたい気持ちになりました。

 

子どもがいる人生かそうでないか、

どちらの道を歩むのかで

人生が大きく異なることになるとは思います。

ただ、私個人といたしましては

子どもがいる人生の方が素敵だとか

子どもがいる人生の方が良いとか

そういったようには思っておりません。

ただ、また違った人生なんだろうな、と思っています。

 

人の人生って他者が評価できるものではないじゃないですか。

誰かの人生と誰かの人生を

また誰かの人生と自分の人生を

比べたりすることがあるかもしれませんが、

そもそも比べられないものを比べても

出てくる答えは正解じゃないし、

意味がないんじゃないかな、と思っています。

 

みなさんがそんなふうな考えかどうかは分かりませんが

「誰かと自分を比べること」を

しないほうがいいと考えている方は多いですよね。

 

今はSNSがあるので

友達の範囲が広くなったといいますか、

SNSがなければ知らなかったことって

たくさんあると思うんです。

SNSがなかった頃は

個人的に連絡する関係性じゃないと

他人の情報が入ってこなかったのに、

今は個人的に関わりのない人の情報まで

入ってきてしまいます。

こういった個人的な情報が拡散されていることも

こころの平穏に影響しているように思います。

 

自分がどういうことに影響されやすいかは、

自分が一番よくわかっているものですよね。

そういった刺激を避けたりすることも

穏やかに過ごす一つのアイデアだと思います。

 

自分を大事にするために何ができて何が必要か

また何を避けたり距離をおいた方がいいのかということに

目を向けていきましょう。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


2021.11.29

”期待” との付き合い方。

 

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私たちは、

無自覚なうちに

期待を抱いてしまっているものです。

 

例えばですが、

オリンピックやスポーツの大会で

その競技や選手に詳しくなくても

「この選手は金メダルを取りそうだなあ」

と思っていた選手が

金メダルに届かなかった場合、

ちょっとがっかりしませんか。

 

友達やパートナーに対しても

期待した感じと言動や対応が違ったら、

「え?なんでそんなことするの?」

「どうしてこう思ってくれないの?」

「こういうふうに考えてくれたらいいのに…」

など、思うこともあるのではないでしょうか。

 

また、赤ちゃんが欲しい理由に

「親が孫を期待しているんで」

「おばあちゃんが、『まだか?』って言うんで」

とお伺いすることも多いです。

こんなふうに、期待される側になることもありますよね。

 

期待してがっかりしたり

期待されてつらかったり

なかなか大変ですよね。

(適度な期待であれば、

 頑張る支えになることもありますが)

 

 

学生の頃に

「期待は勝手だ」と

先生に言われたことがあります。

その当時、親の期待を裏切らないようにと

親にとっての「いい娘」でいなければいけないと思って

しんどい想いをしている子たちが

とても多かったんですよね。

 

「あなたは私の期待を裏切った」という言い方をすることがあります。

そういった言い方から受ける印象では

期待に応えないことがいけないような感じがするかもしれませんが、

「期待を裏切った」という表現は、

期待した人の一方的な言い分のように感じています。

 

そう考えると

誰かが自分に期待をしているからと言って

それに応えて喜ばそうと思わなくても、

いいんじゃないかと思っています。

自分の望みの分だけ

頑張ったらいいんじゃないのでしょうか。

 

一方で、自分が誰かに期待していて、

その期待が叶わなかったときについては、

そのことを自分が受け止めることが必要ですよね。

自分ががっかりしたからと言って

期待を向けた誰かが悪いわけではないのでしょうから。

 

期待とは、うまく付き合っていきましょう。

 


よくあるご質問