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スタッフブログ

相手に「わかってほしい」と思わないこと。

 

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信田さよ子先生は

主に依存症やDV、アダルトチルドレンなどの

家族関係についての心理カウンセリングがご専門の

臨床心理士なのですが、

先生の本にこういったくだりがありました。

 

“別々の人間が「理解し合う」「わかり合う」なんて、

  所詮無理な話だ。

 「私」には理解できない「あなた」がいることを

  認めないところから、

  いろいろな問題が起こっていることに、

  なぜ気づかないのだろう。”

 

“「話せば、理解し合える」

 「私たちは理解し合っている」

  などとよく言うが、

  よくよく考えてみれば、

  どちらかが一方的に

 「理解させられている」場合が多い。”

 

“理解し合うために話し合う、

 と言いつつも、

 自分の論理を相手に理解させようと

 強要している場合が多い”

 

 *信田さよこ著 「タフラブ 絆を手放す生き方」株式会社dZERO より抜粋

 

みなさんは、この内容について、

どのように感じられたでしょうか?

 

信田先生のこのくだりは、

一流大学を出たあと就職活動に失敗して

バイトをしながら部屋にこもってパソコンをさわっている息子さんに対して、

「話せばわかり合える」という信念のもとにとられた

父親の言動について述べておられたことですが、

他にもいろいろな関係性にあてはまります。

親子関係はもちろんカップルでの関係や職場での関係においても

よく起きていることではないでしょうか。

 

「話し合いをしよう!」とする時に

「伝えたことをそのまま認めてほしい」

「伝えた通りにしてほしい」

という欲が実はあって、

相手に願った受け止め方をされなかったとき、

がっかりしたり

感情的になってしまったり

言い合いになってしまったりすることって

少なくないんじゃないかな、

と、想像しています。

 

話し合うときには

わかってもらおうと思わずに、

そして、感情的にならずに、

ただ、感じていること言いたいことを

伝えることが大事なんだそうです。

 

そこには自分と相手の間に

はっきりと境界線が見えると思います。

 

ところが、

子どもが親の帰属物であるかのように育てられたり

妻が夫の言いなりになっていたり

相手にはなんでもかんでも話してほしいと思ったり、

そういったお互いの境界線を守れない関係は

今もまだ繰り返されています。

 

境界線は、

自分が尊重されるためにも

そして相手を尊重するためにも

間に引かれていなければならない

大切な大切な線です。

 

なんだか息苦しく感じられたり

フラストレーションが溜まるような関係があったら、

ちょっと想像してみてください。

 

「わたしたちのこの関係性で

 境界線はどんなふうに

 ひかれているのだろう?」と―。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


「あきらめる」の素敵な意味。

 

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今、NHK-BSで「舟を編む」という

三浦しをんさん原作のドラマが放映されています。

(以前、映画化もされていましたね)

 

舟を編むは「大渡海」という辞書を作る辞書編集部のお話です。

観ていてこころがカラフルになる感じがあって

わたしはこのドラマを楽しみにしているのですが、

この間、とても印象に残るシーンがありました。

 

ファッション誌の編集部から異動になった

ヒロインの岸辺さん(池田エライザさん)が、

辞書作りに生真面目な上司の馬締さん(野田洋次郎さん)との会話の中で、

「彼氏、いたんですけどね。

 距離おきたいって言われちゃって。

 もうダメかなって思うんです。」

と話すシーンです。

岸辺さんはその彼氏さんと同棲していたのですが

彼氏さんが家を出て行っちゃったんですね。

 

そのように話した岸辺さんに、馬締さんは、

「岸辺さんには、

 あきらめて

 あきらめて

 あきらめてほしいです」

と、伝えました。

 

この「あきらめる」なのですが

「諦める×3」ではなくて

全部違う意味で使われているんです。

 

最初の「あきらめる」は「明らめる」で

「事情や理由を明らかにする。はっきりさせる。」という意味です。

2番目の「あきらめる」は、

わたしたちがよく使っている「諦める」で

「仕方がないと思い切る。断念する。」という意味、

そして最後の「あきらめる」は「明らめる」のまた別の意味で

「心を明るく楽しくする。気持ちを晴れやかにする。」という意味です。

 

つまり、馬締さんは

「(彼が距離を置きたいと思った理由を)明らかにさせて、

 (その理由を鑑みて)彼への思いを断念して、

 (そのプロセスを経たことで)心を明るく気持ちを晴れやかにしてほしい」

と伝えていたのですね。

 

日本語ってなんて魅力的なんでしょう…!

と思ったのと同時に、

「あきらめる」って

すてきな言葉だなあと思いました。

 

「諦める」という言葉は

思いや願いが叶わなかったという側面が含意されている感じがあって

残念な感じが伝わってきたり

できたら味わいたくなかった決断のように感じさせるので、

もしかしたらネガティブな印象を持たれる方もおられるかもしれません。

 

けれど、諦めるの先に「明らめる」がありますから、

諦める決断をするときは心は痛くても

その痛みはずっと続くわけではないんですね。

「明らめる」わたしがその先にいるんです。

晴れやかにスッキリした笑顔のわたしがいそうです。

 

ところで、はっきりとさせるという意味での「明らめる」ことが

こわいことってありますね。

不妊治療においては

お互いの話し合いや共通認識がとても大事ですが、

お互いの価値観は全く同じではないですから

「聞いてみて、わたしと意見が違ったらどうしよう」

「伝えてみて、嫌な顔されたらどうしよう」

なんて不安がよぎって

話し合わないといけないけど

そのまま過ごしているということも

あるかもしれません。

 

話し合いをする勇気が必要なときは

ぜひ、お話にいらしてくださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


お腹と子宮のマッサージを始めます。

 

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今からだいたい4年前の

コロナウイルス感染が拡大する前に、

わたしはこっそりタイに行っていました。

 

目的は、腹部マッサージを習得するためです。

このマッサージはタイの伝統療法の一つで、

今は日本でも普及しているのですが、

創始者のイムワッタナ博士から技術を直接習得した先生がタイにおられて、

せっかくだったらできるだけ源流に近い方に習いたい!

と思って、旅立ったのでした。

 

わたしが習った先生の名前は、Khun Niです。

(*Khunは、日本語での敬称にあたります)

 

わたしは技術を習うのと並行して

Khun Niの施術も受けてきました。

Khun Niの手や指が、からだに入ってくると、

そのポイントが響く臓器や、

「え?ここ圧されて、なんでこっちが痛いんだろう?」

みたいな反応があって、

すごく楽しかったです。

そして、Khun Niの手が離れたときに、

そこに止まっていた血が

脚の方まで「ドバーーーッ!!」と流れるあの感覚がクセになりました。笑

施術後は、お腹から全身に、

滞っていたものがめぐった感じがしました。

 

帰国後、コロナの影響もあったのですが、

わたしは、友人・知人に協力していただいて

100回以上は施術を練習していました。

(100回実施したら1人前と言われていたので、

 100回まではアンケートを書いてもらってカウントしていました。)

 

そして、満を持して当院でもマッサージを開始することになりました。

先月からその準備をすすめていまして、

わたしもタイのことを思い出す時間が増えて、

何年か先にまたKhun Niに会えたらいいなと思っていたそんな矢先、

今月の7日にKhun Niの訃報が届きました。

 

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    *写真はKhun Niのクリニック:Banjong ClinicのHPよりお借りました

 

そんなにお歳ということではなかったことと

ご病気だとは知らなかったので、

とても驚いてしまって

わたしはしばらく呆然としてしまいました。

そして、あのタイミングで行ってなかったら、

それ以降はコロナのことがあって

なかなか渡航は難しかったので、

Khun Niに習えなかったかもしれないな…とも思いました。

 

タイの伝統医学では、

生活習慣、姿勢、ストレスなどから

エネルギーラインのセンが塞がれ、

からだに悪い影響を与えていると考えられています。

お腹と子宮のマッサージは、

各臓器に効くポイントに触れ気を送ることで、

停滞させられているエネルギーの流れ、血流、内臓機能などを改善して、

その人本来の力を引き出していくことを目的にしています。

 

Khun Niから受け継いだものが

必要な方たちに届きますように…。

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


質の高い精子を選別する方法

 

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精液検査で特に問題がなかったら、

先生から「精子の質はわかりませんので、

男性側に問題がないということではありませんよ」

と説明があったとしても、

「男性側に問題はないんだ…」

と、捉える方もいると思うんです。

 

実際、「精液検査に問題なかったから

原因はわたしだと思うんです」

とおっしゃるのを何度も聞いています。

 

草津レディースクリニックでは

より良好な精子で受精できるように

「PICSI」「IMSI」「Zymot」

という精子選別法を採用しています。

 

「PICSI」は、DNAに損傷の少ない成熟した精子が

ヒアルロン酸と結合する性質を利用して、

試薬に含まれるヒアルロン酸に付着した成熟精子を選んで

顕微授精をします。

 

「IMSI」は、通常の顕微鏡(200~400倍)よりも倍率が高い

強拡大顕微鏡(1000倍~)を用いて、

精子頭部の空胞がない精子を選別する方法です。

(因みに、この強拡大顕微鏡の倍率ですが、

 モニターを通したデジタルズームでは7200倍になります!)

この強拡大顕微鏡で確認すると

通常の顕微鏡では確認できなかった精子頭部への空胞が

確認できることがあります。

こういった精子の構造は、DNAの断片化を誘導し、

結果的に受精卵の染色体異常などにつながります。

 

「Zymot」は、遠心処理を行わずに、

より質の高い精子を短時間で回収する方法です。

通常は遠心分離によって精子を回収していますが、

Zymotにより精子のDNAの断片化を最小限にしたり

精子へのダメージを防ぐことができます。

 

こういった方法を採用することで

良好な胚盤胞ができたり、

受精卵の染色体異常率を低くし、

着床率、妊娠率を高め、流産率を下げることができます。

 

いかがでしょうか?

こういった精子の選別法があって

妊娠に効果的だと知ると、

「わたしが原因って思ってたけど

 わたしだけでもないかも…!」

と思えたりしませんか?

 

これらの選別術は

適用される条件がありますので、

もっと詳しいことが知りたい方は

先生や培養士さんにお尋ねくださいね。

適用がある方には

受精方法の相談の折に

培養士さんからお話があると思います。

 

妊娠していくには

精子の質も卵子の質も大事なようです。

そのためには、まず、心身共に健康に

毎日を過ごしていきたいですね。

栄養面も関わってきますので

また栄養についてもお話を聞きにいらしてくださいね。

 

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


何か引っかかっているままのこと、を話し(放し)ましょう。

 

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お二人で、妊活についての知識や情報を

共有していただくことは、

とても大事なことだと思っています。

 

妊活や妊娠について、

“なんとなく”「こうだ」と

思い込んでいることってあると思うんですよ。

 

例えば、妊娠反応が出たものの赤ちゃんが育たなかった場合に、

「立ち仕事していたからかな」とか

「忙しかったからかな」という理由が

パッと浮かぶことがあるかもしれませんが、

ほとんどが受精卵の染色体異常のためであって

お仕事や運動が原因ではないと言われています。

 

正しい知識や情報を身に着けるのは

自分を守ることにつながります。

周りの人が「〇〇だからじゃない?」と

その人が思い込んでいることを言ってきたときも、

本当のことを知っていると

惑わされずにいられます。

 

とはいえ、

本当のことを知っていたとしても、

自分が気にしていることについて

誰かに聞かれたり意見を言われると、

胸元あたりがざわざわしたり

ズキンと感じることもあると思います。

 

「他人にプライベートなことを

いちいち聞かないでほしいし

あなたの考えを押し付けないでほしい!」

と、声を大にして言いたいところですよね。笑

 

ところで、

アンラッキーなことに

「あれ?私、なんか傷ついてるかも…」

という体験をしたときに、

みなさんはどうしていますか?

 

言ってきた人に直接、

「そういう根拠のないことは言わないでほしいと思っているんです」

「そういうふうに言われて、私は傷ついています」

と言えると、また体験が変わるかもしれませんが、

その場でそのように言えることは

多くないかもしれません。

 

そうすると、

私の傷ついた感じは

私の中で引っかかったまま

しまわれていることになります。

 

そのしまったものは

もしかしたら消えていくかもしれないし

もしかしたら少しずつ溜まっていっているかもしれません。

 

さて、みなさん、

最近の “わたし” を振り返ってみてください。

「最近どんな感じ?」

「元気にしてる?」

「何か気になっていることない?」

と、“わたし”に聞いてみたときに、

「何か引っかかったままになっているなあ」

なんてことはありませんか?

 

何か思い浮かぶようでしたら

カウンセリングルームで

引っかかっているものを

一緒にみてみませんか?

 

そのことを

深く見つめてみると、

とても大切で愛おしい

“わたし”の想いが隠れていることがありますよ。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 


やさしい一年になりますように…。

 

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新年早々に大きな地震があり

それによって様々な数多くの被害が生まれ、

毎日心が痛む情報が入ってきています。

 

みなさんやみなさんのご親族、お知り合いの方々が

どうかご無事でいらっしゃることを願っています。

 

こういった災害があったとき

大きな被害がなかったところで暮らしていると、

「わたしはこんなふうに

 いつもと同じ毎日を送っていいのだろうか」とか、

「生理用品や簡易トイレや飲み水が

 ここにはたくさんあるから届けたい」

というような心情になるときもあります。

 

想いはあっても

直接行動にできなくて

もどかしさを感じますよね。

 

いろんな想いがよぎりますが、

私たちは、今は、

自分の目の前の暮らしを

着実に送っていきましょう。

 

「何かできるかな?」

「今後、どんな支援が必要そうかな?」

そういったことは考えながらも

自分の暮らしを大事にしていって、

今はできることだけをして、

また何かできるときが来たら

想いをかたちにしていってください。

 

なので、

「わたしたちの子どもが欲しい」

という願いがある方は、

「今、不妊治療していてもいいのかな?」

と思うことがあるかもしれませんが、

どうぞ通院してください。

 

私たちスタッフも

みなさんの目の前の願いを受け止めて応援するために、

草津レディースクリニックでお待ちしております。

 

また、

“なんだか気持ちがソワソワする”

“呼吸が浅い気がする”

“少しの振動にも、ビクッとなる”

“ぐっすり眠れない”

“涙が出やすい”

というような

“いつもの自分となんだか違う感じ”が

あったときは特に、

診察のついででもかまいませんので

カウンセリングルームにもいらしてくださいね。

 

みなさんにとって

どうか健やかでやさしい一年になりますように…、

願ってやみません。

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


今年のわたしを労って、よいお年をお迎えください。

 

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今年の終わりが

そろそろ近づいてきました。

みなさんそれぞれに

いろいろなことがあった一年かと思います。

 

年末のお忙しい時間かと思いますが

5分ばかりお時間をとって

今年の自分を労ってみませんか?

 

では、まず、今年の初め頃の自分のことを

思い出してみてください。

その頃はどんな状況や状態でしたでしょうか?

 

今の自分から、その頃の自分に声をかけられるとしたら、

どんなお声をかけたいですか?

どんな声がいいかなあ…?

と、思い浮かべてみてください。

そして、心の中で声をかけてみてください。

 

その声が

あなたの一年を

あらわしていることと思います。

 

いろいろありながらも

歩みを進めてきたあなたは

とてもすごいんです。

 

ここまでやってこれた自分に

たくさん感謝してください。

今のあなたがあるのは

あなたが頑張ったからです。

 

「よくがんばったね」

と、たくさんたくさん

自分に想いを伝えてください。

 

もしかしたら

「本当はもっとがんばるべきだけど

 がんばれなかった…」

と、思う方もおられるかもしれません。

 

それでも、

なぜか理想通りにはいかない状況の中で

頑張ったんだと思います。

 

頑張れなかったのではなくて

頑張れる分は頑張ったんです。

だから「がんばったね」

と、認めてあげてくださいね。

 

そして、どうか、

来年のあなたが

健やかで幸せであるようにと、

自分で自分のことを

しっかり願ってください。

 

周りの人の心配は

少し横においておいて、

何よりも自分のことを

しっかり大切に想ってください。

 

 

―はい。

どうですか?

ご自分のこと、労えたでしょうか?

 

来年からも

妊活を続けられるみなさんが、

少しゆっくり過ごせて

気分転換ができるような

年末年始になるといいですね。

 

こころもからだも

穏やかな年越しになりますように。

たっぷりご自愛くださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


ぶらぶら歩いてみたら…

 

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早いもので12月もそろそろ折り返し地点です。

今のところ、12月とは思えないような

あたたかい日が多くて、

お昼間はコートやマフラーがいらないくらいの

穏やかな気候が続きましたね。

 

この間、神戸駅周辺で研修があったのですが、

その日もとてもあたたかくて

お昼休憩のときにボーっと海を眺めることができました。

 

その日の研修は16時に終わって

次の用事まで時間があったので、

三宮までぶらぶら歩いてみました。

 

どの道を通るか決めないで

とりあえず三宮駅の方へ向かう感じで

歩きたいように歩いていると、

雰囲気のいいお花屋さんがあって

すてきなお花と会うことができました。

どのお花も素敵で目移りしながら

カウンセリングルームに持ち帰るお花とも

出会うことができました。

 

自分のペースで自分が歩きたいように歩いて

自分が喜ぶようなお店に出会って

ピンとくるものを探す時間を過ごせて

私は、私自身がものすごく和んで喜んでいるのを感じました。

 

12月の日曜日は大晦日以外は研修が入っていて

他の日も予定が入っていることが多くて、

最近はいつも時間に追われて動かされている感じが

少ししていました。

 

12月の研修は私が行きたくて行っているもので、

義務で行っているものではありません。

研修に行くとすごく勉強になるし

いろいろな気づきがあったり

わくわくしている自分もいたりします。

他の用事も、私が行きたいものだったり

参加したいものだったり

楽しいと思うものだったりもするんです。

 

だから、忙しいけれど、

私が誰かにさせられていたり

しなきゃいけない!って思っているものではないから

全然大丈夫ー!!って思っていたのです。

けれど、三宮までぷらっと歩いて

素敵なお花屋さんでわくわくした体験は、

「私自身がおもむくままに自由にいられる

 そういう時間は大切だよ」

って、私に教えてくれているようでした。

 

みなさんもそれぞれ

お忙しい時期だとは思いますが、

自分のペースで過ごす時間をもったり

思い切ってだらだらするような時間も取り入れながら、

ホッとしたひと時を味わったり

和やかな自分に喜んだりしてください。

無理はし過ぎないで

心身健やかにお過ごしくださいね。

 

またカウンセリングルームにも

神戸で出会ったお花も見がてら

最近のご様子などお話にいらしてください。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


お話会、開催しました。

 

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先月、当院で体外受精をして妊娠された方をゲストスピーカーにお迎えして、

現在通院されている方とのお話会を開催しました。

 

最初に、言える範囲で

みなさんそれぞれの妊活経過をシェアしていただいて、

それから、ゲストスピーカーの方に、参加者さんのご質問にお答えいただきました。

少人数だったこともあって

みんなで談話しているような感じで

あっという間にお時間が過ぎていきました。

 

プライバシーが守られている環境で

同じクリニックへ通院経験がある方たち同士ということで

お話会には、ずっと “安心感” が漂っていました。

 

話されている内容は

不安だったり

落ち込んだことだったり

なかなかうまくいかなかったときのことだったりするのですが、

会の雰囲気がとてもおだやかであたたかく、

そういった気持ちや体験を

包み込んでくれるようでした。

 

ゲストスピーカーの方が

お役に立てるのなら…という想いをもって

ありのままのご自分で参加してくださったこと、

そしてその雰囲気が伝わって

参加者さんも安心して話せて、

その様子をみてゲストの方も安心して…

というように、みなさんの想いが伝わり合う素敵な会でした。

 

参加者さんはもちろんなのですが

ゲストスピーカーさんも、

ご自分の治療経験を誰かに安心して話せたことで

スッキリされたそうです。

 

「今、こういうことがあって、気がかりなんですよ」

と、今気になっていることに向き合うことも大事ですし、

「あのとき、こういうことを体験していたんです。

 こんなふうな気持ちだったんですよね。」

と、時間が経ってから取り出してみることも大事なんですね。

 

話しても話さなくても

出来事や事実というものは変わらないけれど、

「自分のことを話そう」という思いで話していると、

話している中で「ああ、そうなんだ」って

気づいていなかった自分の気持ちが出てくることがあります。

 

自分の中にある「ああ、そうなんだ」に気づくと

私はものすごくスッキリしたり気分が高揚したりするんです。

そういうときは、何かとらわれていたようなものから抜け出して

前に進んだ感じがするものです。

 

今、特別悩んでいたりしんどくなってはいなくても、

自分自身が体験したことをお話する機会があるというのは

とても大切で意味のあることだと思っています。

話をすること(と同時に、話を聴いてくれる相手がいること)の大切さを

改めて実感させていただいたお話会になりました。

 

また、こんなふうに、

数名の方が集まってお話する会も

できたらいいなあ…と思っております。

 

「今回行けなかったけど、気になってたよー!」

「私も参加してみたいよー!」

と、お声をいただいたら、開催しようと思います。

あわせて、もしゲストスピーカーをしたいという方がおられたら、

その旨、クリニックにご連絡いただけますとありがたいです。

みなさんのお声を、お待ちしております。

 

ご参加くださったみなさん

本当にありがとうございました。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


「わかってもらえている」と感じるには…?

 

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わたしは、プライベートでも

カウンセリングのときと同じように

相手の話を聴いているかというと、

まあそんなことはないんですよ。笑

カウンセリングのときとは話を聴く姿勢が違いますし、

自分の話を聴いてほしいことももちろんあります!

 

しかしながら、

わたしが話をしているときに

相手がわたしのどんな話も

「そうかそうか」と受け止めてくれるわけではないですし、

日常の会話の中では

お互いに自分の意見を言うので、

相手の意見が背中を押すこともあれば、

蛇足に思えるときもあったりします。笑

 

 

そして、わたしの方も、

相手にそう思わせていることでしょう。

話し合いの中では、

相手は必ずしも

自分が言ってほしいことを言ってくれるわけではないし、

そして、わたしの方も、

相手がしてほしい関わりをできるわけではありません。

 

 

未処理や未消化の体験って

誰もがあるものですが、

話さなくてもなんとなく落ち着いていったり、

話すことで満たされたり、

違うことに没頭することでそのことと距離をとったり、

時間が流れていく様に任せたり…

みなさん工夫して過ごしていると思います。

 

ただ、特に妊娠のこととなると

“ 相手とともに… ” という想いもあるので、

妊活にまつわるいろいろなことを話したいし、

相手に「わかってもらえている」と思えるような

関わりを望むこともありますよね。

 

とはいえ、お互いの身体や生理的な反応も違うし、

実際にお薬のんだり注射したり採血したり

先生と毎回やりとりしたり、

なんかお腹が痛い気がしたり

ちょっと出血があって不安になったりということが

二人ともに起こることではないので、

「わかってもらえている」と思えるのは

なかなかむずかしいかもしれません。

 

ただ、今日病院であったことや

誰かの妊娠のニュースでショックを受けたこと、

親や親族に言われたことなどを

興味深く、愛をもって聴いてもらえたら、

ものすごく助かるんだろうなあと思います。

 

ちゃんと話を聴いてほしいときは

その内容を日常会話に入れ込むのではなくて、

前もって話を聴いてほしいことを伝えてから

相手にも少し心構えをしてもらってお話すると、

いつもより落ち着いて話し合いができることがありますよ。

 

また、心理カウンセリングでは、

特に悩みってことではなくても、

ちょっと気になる出来事や体験や

なんとなくもやもや、ざわざわしていることについて

お話いただいています。

そういったことについて

見つめたり深めたり理解したい気がするときは

ぜひいらしてくださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


こういうことがよぎったら…。

 

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「わたし、本当に妊娠したいのかなあ…。」

治療が長くなってきたとき

そんなことがよぎることもありますよね。

 

妊娠するまでに時間がかかると

その間にいろいろなことを考えるものです。

 

「わたしは、妊娠できない身体なのかな」

「どうして周りは簡単に授かるのに、私はできないんだろう…」

「どうして人生のここでお金をこんなに使わないといけないんだろう…」

「こんなにお金も労力も使っているんだから、結果が出ないと無駄になる!」

なんてことも浮かびます。

 

そして、そのように思っている自分に気づいて、

「あれ?なんか、わたし、

 周りの人たちと同じでいたい気持ちとか、

 頑張っていることが報われたい気持ちが強くなってる…。

 本当に、ここまでして、子どもが欲しいって気持ちで通院しているのかな…?」

という考えに至ったりします。

(「すぐに授かっていたら、こんなこと考えなくて済んだのに…」

  という思いも同時に浮かんでいると思います。)

 

いろんな気持ちが混ざって

本当はどうしたいと思っているのか、

自分の思いに自信がもてなくなるのですね。

 

もちろん、どの気持ちも本当のこともあるし、

何かの気持ちが何かの気持ちにすり替わっていることもあるかもしれません。

 

自分がどんなことを体験していて

今の自分はどういったところに立っているのか、

一度、ゆっくり見つめてみることで、

自分への理解が深まって

気づいていないことに気づいたりして、

スッキリしたり自信をもてるようになることもありますよ。

 

カウンセリングではそういった時間を過ごせますので、

今のご自分のことを

少しゆっくり見つめてみたいときは、

ぜひご利用くださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


今週末の2つのお話会について。

 

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10月に入った途端、ようやく涼しくなってきましたね。

みなさん、体調などお変わりございませんか。

 

さて、前回のブログで、お話会のご案内をさせていただきました。

10月14日(土)14時~

当院で体外受精で妊娠された方と

オンラインでお話してみませんか?という会です。

この会は、周りに体外受精を経験された方がおられなくて

体外受精中の気持ちや、治療をどう感じていたかとか、

体験者の方に直接話を聞きたい!

というご要望があったので企画しました。

(11日が締め切りになっていますので

 迷われていたらお早めにお申し込みください。)

 

ところで、NPO法人Fine~過去・現在・未来の不妊体験者を支援する会~

というサポート団体があるのですが、

なんと、その翌日15日(日)に草津で、不妊で悩む方のイベントをされるそうです。

詳細については、リンク先をご覧くださいね。

 *リンク先→みんなで話そう!不妊で悩む方のイベント in 滋賀

このイベントでは、

不育症の方の体験談と

男性不妊の方の体験談を聞けたり、

当事者限定のおしゃべり会があったりします。

 

不妊治療といっても

その経過や現在の治療段階、

生活状況や家族関係、

これまでの生育史や人生に対しての望みなどから、

同じような体験や想いに感じられることもあれば

「これはわたし特有の感覚なんだなあ」

と思うこともあることと思います。

 

「どういったことが他の方と同じなんだろう」、

「他の方はどんなふうに心持ちで取り組まれてるんだろう」、

「パートナーさんと、どんなふうに役割分担されいるんだろう」、

そういったことをリアルに知っているだけで

幾分かホッとしたり勇気づけられたりすることもあるのではないでしょうか。

そして、あなたの存在もきっと、

ご一緒された他の方を勇気づけることと思います。

 

せっかくの機会ですので

参加するのに思い切りがいるかもしれませんが、

もしちょっとでも参加してみたいお気持ちがおありでしたら、

当院の方でも

Fineさんの方でも

他の方とご一緒してみられませんか。

 

同じような体験のお話を聴いたり

誰かと体験をシェアしていく中で

ご自分を労う感じが芽生えてくることがありますよ。

ご自分を大切にする時間になるといいですね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


体外受精を経験した方とのお話会。

 

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今日は、お話会のご案内をいたします。

 

通院中の方から

実際に体外受精をした人に

どんな気持ちで挑まれていたかということや

実際どれだけ大変だったかということを

聞いてみたいという

ご意見をいただきました。

 

この方は、体外受精にすすもうとされている段階で、

この先のことを具体的に知りたかったようでした。

 

私はこのご意見を大切にしたいなと思いました。

体験した人からお話を聞くと

具体的にイメージできたり

すすめていきやすいように工夫を考えられたりしますし、

心強かったり安心できたりするところもあると思うんです。

 

ご意見をいただいて

ぜひそういった機会をつくりたいと思いました。

 

そこで、当院で体外受精をされて授かられた方に

「お話会をしたいので、お話してくださいませんか?」

と、お声かけしたところ、

快諾してくださる方がおられたので

今回、お話会を開催できることになりました。

 

ちなみに、この方は、

30代後半で体外受精をされ、妊娠されています。

 

体外受精のことを聞いてみたい方や

不妊治療の経験がある人が周りにいなくて

不妊治療中の生活について聞きたい方など、

この機会に、是非ご一緒しませんか?

 

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開催日時:10月14日(土)14時~

*40分~60分程度の予定です

Zoomでのオンライン開催になります。

参加費は無料です。

申し込みは、10月11日(水)までにお願いします。

もしたくさんの方が申し込まれるようでしたら

早めに申し込みを締め切る可能性もあります。

 

ご希望の方は、院内に申込用紙がありますので、

(お手洗いや内診室にあります)

ご記入の上、受付にお渡しくださいね。

 

どんな会になるのか

私も楽しみにしているのですが、

みなさんそれぞれに

どこかホッとするような

ちょっと背中を押してもらえるような

そんな機会になったらいいなと思っています。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


体外受精で生まれてきたいのち。

 

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日本で2021年に行われた体外受精で生まれたお子さんは

過去最多の6万9797人になりました。

11人に1人の割合で、体外受精でお子さんが誕生していることになります。

2020年は13.9人に1人の割合でしたので、

体外受精で授かったお子さんの割合は増えてきています。

保険適用での体外受精が始まったのが2022年からなので

この割合はもっと増えることが予想されます。

 

当クリニックに通院されて2021年に体外受精で授かった方の割合は、

全体の11分の1ではなくて、なんと64%です。

その他、タイミングで16%、人工授精で20%の方が授かっておられます。

 

クリニックのスタッフとしては

体外受精であってもタイミングであっても

どちらも妊娠のための通過点のひとつという感じで、

体外受精だからといって特別感があるかというと

ごくごく普通の選択肢の一つという感覚があります。

 

スタッフはこんなふうにたくさんの方が

体外受精をされていること実感していますが、

みなさんはいかがでしょうか。

 

体外受精もタイミングも

産まれてくることは奇跡なんだし

どっちでも変わらないよ、

と思う方もおられるでしょう。

 

知り合いに体外受精をした人がいたりすると

体外受精を身近に感じられるかもしれませんね。

身近に体外受精をされた方がおられず

ご自分が体外受精をすることになった場合、

「私は少数派なのかな」と思うこともあるかもしれません。

 

少数派がどうってことではないと私は思っていますが、

時折、少数派ということに引っかかる方もおられます…。

 

そんなときに、

やはり同じように治療をしている人たちと

お話する機会があると、

こころが幾分か安心するのではないかなと思います。

 

また、通院されている方から、

「ここで体外受精をした方にお話をききたい」

という声もいただいていまして、

10月14日(土)の午後に

当院で体外受精をして授かった方とのお話会を

オンライン(Zoom)で開催する予定をしています。

 

詳しくは、次のブログでご案内させていただきます。

ご興味がおありのみなさん、是非ご一緒いたしましょう。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


開院から15年目を迎えました。

 

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当院は2009年9月に開院しました。

 

わたしは、開院当初から当院に勤めておりますが、

開院時は、精液検査に抵抗感を示す方が多かったです。

精液検査の説明をするときに

「この方はどんな反応されるんだろう」

と、毎回緊張していた記憶があります。

 

初診日にお二人で来られることも少なかったので

女性に精液検査の説明をしていましたが、

突然お顔が暗くなったり、

「まだ、パートナーには病院行ってるって言いたくないんです」

と仰ったり、

「この検査って男性にプレッシャーじゃないですか」

と仰ったり…。

時折「そうそう!調べてほしいんですよ、夫にも」

と仰る方もおられましたが、

渋い顔をされる方が多かったような印象があります。

 

不妊治療はお二人の治療なのですが

以前はまだ

“女性が治療の主体で、男性には協力してもらうだけ”

というような感覚が強かったのではないでしょうか。

 

ちなみに、今は、

みなさんあたりまえに精液検査を受けておられます。

 

また、昨年度からは

体外受精・顕微授精も

保険診療でカバーできることになりました。

(対象となる方に条件・制限があります)

 

そんなふうに不妊治療への認識が変わってきました。

以前に比べたら

不妊治療の病院に行くというハードルは

下がっているんだろうとは思います。

 

ただ、実際に通院するとなると、

時間もかかるしお金もかかりますよね。

クリニックにいる時間だけでなくて

通院にかかる時間も必要です。

通院には、電車代、バス代、ガソリン代が要ります。

特に週に何度か受診するようなスケジュールのときは

「大変だなあ」と思うかもしれません。

 

そして、保険診療といえども

診療代はかかります。

「通院せずに授かった人は

 こんなにお金使ってないのに…」

という気持ちになる日だってあるでしょう。

 

それに、お金や時間のこと以外にも

受診日によっては思ったような結果ではなく

落ち込むこともあるかもしれません。

 

けれど、その先に願った未来があると信じて

みなさん頑張っておられます。

 

治療のことで気になることがあったり

もやもやするとき、

精神的に負担を感じるときは、

スタッフ誰でもかまいませんので

伝えて帰ってくださいね。

落ち着いてお帰りいただけるように

丁寧にお話させていただいています。

 

現在通っておられる方も

これから通われる方も、

15年目の草津レディースクリニックから

みなさんの人生を応援しております。

妊娠に向けて、一緒にすすんでいきましょう。

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


仕事と妊活の両立について。

 

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通院をはじめたり

体外受精にすすんだりするときに

気がかりになることのひとつは、

お仕事との両立ではないかと思います。

 

治療の内容は

いろいろなかたちで情報を得られると思いますが、

実際にどれくらいのペースで通うことになるのかは

クリニックで相談してみないと

わからないところですよね。

 

もし、治療もすすめていきたいようでしたら

どういったスケジュールだったら

通院できそうなのか、

クリニックに教えていただきたいと思います。

 

仕事か治療の

どちらかを優先しなければならないときもありますし、

今みなさんが何を優先したいのかを

決めていただくことも

大切なように思います。

 

また、こちらからも、

特に体外受精の場合

どれくらいのペースで通院していただく必要があるのか、

例えば、採卵は朝からなので

その日はお仕事はお休みしていただくことになると思いますが、

そういった通院の目安もお伝えしていきます。

(説明会のときに

 採卵スケジュールもお伝えしています)

 

みなさんのお仕事の環境や立場はそれぞれですが

仕事をやめずに治療を続けておられる方は

たくさんおられます。

お仕事はご自分の大切な人生の一部ですから

妊活と天秤にかけるのはむずかしいですものね。

 

そういった場合は、職場にかけあって、

通院しながら仕事ができるように

調整されている方もおられますよ。

 

どうしても仕事の調整ができない方で、

お仕事をやめるのではなく

お仕事を少し休まれる方もおられます。

休んでいる期間に集中して

仕事との両立は難しい治療をすすめられます。

 

また、治療を機に、

お仕事から離れる方もおられます。

この選択によって、心身への負担が減って

リラックスして妊活、通院ができることがあります。

 

お仕事と治療をどうしていったらいいのか

それぞれの事情で変わってくると思いますが、

選択に迷う場合は

一度ご相談にいらしてくださいね。

こうしていったら治療もすすめられそう!とか、

工夫できそうなこともあると思いますので、

一緒に考えていきましょう。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


妊娠していくのに、ストレスは影響しますか?

 

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妊娠のためには、健やかな生活を送りたいですよね。

みなさんも、食事、運動、入浴、睡眠など

こころがけておられると思うんですよ。

 

健やかな生活には、

自律神経機能が整っていることや

こころが安定していることも大切です。

ですので、「ストレスはない方がいい」

「ストレス溜めないように生活しよう!」

と、ストレス対策もされていると思います。

 

調べてみると、

不妊治療に携わっている

医師や医療スタッフからも、

“ストレスは妊娠に影響しますよ”と

発信されています。

また、民間療法の妊活サポートでも、

鍼灸師さんや整体師さん、漢方薬局の方なども

ストレスを少なくすることをすすめておられますよね。

 

その理由は、

―ホルモンバランスを乱すから

 活性酸素を生み出して細胞を傷つけるから

 ストレスがない状態にしたら、自然妊娠することがあるから

 男性の場合、性機能に影響するから―

 

民間療法では、

―呼吸が浅くなって血流が悪くなるから

 気の巡りが悪くなるから

 内臓機能を低下させるから―

などと、言われています。

 

「ストレスで妊娠できないんじゃないかな」

と思っている人はたくさんいます。

けれど、治療をしていると出てくるストレスもあるので、

そういうストレスはどうしたらいいのかな?

と、思ったりしませんか?

 

例えば、移植周期はとてもドキドキしますよね。

判定でいい結果が出るかどうか

不安すぎて気になるのは当然なのですが、

こうやって気になっていることをストレスと感じて

「こんなストレスな状態で、たまごをお迎えして妊娠するのかな?」

という方向に、考えが及びがちです。

 

でもね、移植周期、判定まで

毎日毎日気になって

ネットであれこれ調べている人は

たくさんおられます。

そして、そうやって判定までを

気にして気にして気にした方は、

そのストレスで妊娠しないのかというと

そんなことはないのですよ。

妊娠って、するときはするんです。

 

ストレスはほどほどがいいですが

ストレスがあると妊娠しないということではないのです。

だから、ストレスを感じていることに

過度に心配をしなくても大丈夫かもしれません。

 

「え?じゃあストレスって妊娠に関係ないの?」

「ストレスは、あってもいいの?」

と思うかもしれませんが、

ストレスには対処できていたり

負担になりすぎないようにおつきあいできていると

いいのはいいんだと思うんですよね、やっぱり。

でも、ストレスがあることもあるし、

あるから妊娠しないとは言えないというところです…。

 

もし、今感じているストレスが

あっていいものかどうかわからないとき

妊娠に影響しそうかどうか不安なときは、

どんなふうなストレスを

どれくらい感じているのか、

一度教えてください。

 

あっていいものかどうか

工夫して変えていけそうなものなのか

一緒にみていけたらいいなあ…と思っています。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


昨年度の治療成績について。

 

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ホームページに

当院の治療成績を公開していまして、

昨年度の成績を先日アップいたしました。

 

2022年度は、

不妊治療における保険適用制度が導入され、

今までは自費診療であった人工授精が保険診療になり、

また、女性の年齢が43歳未満であれば、

移植回数に制限はありますが

体外受精や顕微授精も保険診療でできるようになりました。

 

そういった経緯もあってか、2022年度は、

今までで一番体外受精で妊娠された方の割合が高くなりました。

体外受精の場合、採卵に向けて排卵誘発を行いますが、

保険診療では、若い方が体外受精を受けやすくなり、

2022年度は高刺激法の割合が高くなりました。

自己注射にたくさんの方がチャレンジされたのですね。

 

日本産婦人科学会のARTデータブックによると

現在公表されている一番新しいデータが2020年度のものですが、

2020年度は、体外受精で生まれてきた子は

13.9人に1人という割合になっています。

2022年度は、この割合がもっと高くなっていると予測されますね。

 

10年くらい前は、体外受精で生まれた子は

クラスに1人くらいの割合だったのです。

この10年で体外受精での出産が

ひとつの選択肢として

あたりまえになってきたように感じています。

 

今、もし、体外受精で授かるということに

何かしら気がかりがあったとしても、

またもう少し時が経てば

今ほどの気がかりではなくなるものかもしれません。

 

時代は流れていきますし、

自分の中で直面する問題も

次々と移ろいでいきますので、

もう少し経ったときには

また別の、今とは違ったことを、

考えたり、チャレンジしたり、受け止めたりしながら

暮らしていくのでしょう。

 

とはいえ、未来になってみないと

自分がどう思うのかわからないし、

今気になっているということを

ないことにはできませんので、

体外受精を考えているけれども

すすむにあたって気がかりがある場合は、

治療内容や治療の影響などについては医師に、

価値観や考え方や受け止め方などについては

カウンセラーの私にご相談くださいね。

 

梅雨が明けて、暑い夏がやってきました。

どうぞご自愛くださいませ。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


初診時の説明について。

 

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当院では、初めて受診された日に、

これまでの心身の状態や月経の状態から

妊活の状況、通院歴があれば治療経過、

どんなことが心配だったり

どんな治療のご希望がおありかなど、

お一人おひとりおうかがいしています。

 

そして必要な検査をご紹介したり

通院に必要な情報を提供しています。

 

初診のときの検査の紹介や情報の提供は

現在、私(心理カウンセラー)からさせていただく機会が多いのですが、

初診時はみなさんにお伝えする情報が多くて

説明が終わって私から

「何か気になっていることや、確認したいことありませんか?」

と、お伺いするのですが、

「ちょっと情報が多くって…、今は何を聞いていいのか…」

というようなお答えをいただくことがあります。

 

そうなんですよね…。

お伝えしたいことが盛り沢山なんですよ。

 

当院ではどのスタッフも

「なにか、質問ありませんか?」

とおうかがいしていますので、

当日は質問できなかったことでも

通院続けていく中で

聞きたいことができたタイミングで

ぜひ言葉にしてみてくださいね。

 

ところで、時折、この初回の説明のことを

“カウンセリング”と思う方がおられます。

“心理カウンセラーと話したから、カウンセリングだ”

と思うのかなと想像しています。

初回の説明のときは、

皆さんの状況を把握させていただくために

お話をおうかがいしてはいますが、

心理カウンセラーとしての受け応えはできていないんです。

あくまで、診療の補助スタッフとしての受け応えになっています。

 

心理カウンセリングは、また違った感じになりますので、

もし心理カウンセラーに聞きたいことや

心理カウンセラーに話したいことがあるということでしたら、

また改めて “心理カウンセリング” でご予約いただいて

お話しにいらしてください。

ややこしくて申し訳ございませんが

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

公認心理師・臨床心理士 間塚

 

 

 

 


自分を守れる自分にOKを。

 

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みなさん、最近の調子はいかがですか?

何かストレスになっているようなことが

思いついたりしますか?

 

時折、「眠ったら忘れるんで大丈夫です!」

という方もおられて、

私はそういうタイプではないので

うらやましく思っています。

 

ストレスの対策法って

ネットで検索したら山のように出てくるのですが、

ストレスになりそうなことは

思い切って避けてしまうことも

自分を守る大切な方法だと私は思います。

 

「友達と連絡とっても妊娠の報告されたら嫌だし」

と、しばらく友人関係と距離をおく人もたくさんおられます。

こんなふうに

ご自分が安心して過ごせる状態を

自分のために用意できるのは、

とても大切なことだと思うんです。

そして、何より、

そういう自分をOKとしているということが

大切なんだろうなあ、と思っています。

 

このようなストレス対策をしている中で

どことなく、後ろめたいような感覚が

胸のあたりをざわつかせることもあるようですが、

自分の安心を優先できている

そういう選択ができたことをOKとしましょう。

 

また、状況が変わっていったときに、

縁がある方とは再びつながることでしょうから。

 

ストレスになりそうなことはしないこと、

ストレスを与えるものとは距離を置くこと、

そして、「そういうことをしてもいい」と

自分で自分にOKを出してあげること、

何よりこの「自分で自分にOK」がミソだと思います。

自分で自分にOKを出すのが難しいときは、

パートナーさんや信頼している方から

「あなたがそうすることは、OKなことなんだよ」

と、OKサインをもらってみてはいかがでしょうか。

 

また、もし、「自分でOKを出しにくいんだけど…」

「周りの人にOKって言ってもらっても、そう思えないんだけど…」

という場合は、わたしにこの件を持ってきてください。

どうしていったらよさそうか、一緒に探ってみましょう。

 

自分にとっての理想的なふるまいができない今の自分に

ちょっと割り切れない気持ちがあるかもしれませんが、

理想の自分は、あくまで理想の自分だと思うんですよ。

今の本当の自分のこころに寄り添って

自分が安心することをしていきましょう。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


”状況に反応する私”が教えてくれていること。

 


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時折出会う知人がいるのですが、

彼女はいつも目が怒っていて

恵まれていない仕事の状況について

不満を言っているなあという印象がありました。

 

先日、久しぶりに会った彼女の目尻は下がっていて、

いつものような仕事の話もしないし

表情も雰囲気もいつもと違ってやわらかい感じだったので、

「なんだか、穏やかそうやね」

と言ってみたら、

「あ、今年度から、職場が異動になったの」

と教えてくれました。

 

人って、そのときの状況で、変わりますよね。

 

時折「わたしってなんでこんな性格なんだろう」

と、落ち込んだり嫌になったりすることがあるかもしれませんが、

「今は『わたしってなんでこんな性格なんだろう』という

 反応が起こるような状況を生きているんだなあ」

と、考えることもできます。

状況が変われば、そんな性格のわたしではなくなるかもしれません。

 

ところで、そのときの反応が

一見好ましくないような感じがするようなものであっても、

その反応は、わたしに何かを教えてくれていると考えることもできます。

 

例えばですが、

パートナーの実家に行くと

なんか息が詰まるような感じがするとします。

このわたしの反応について、

「この息が詰まるような感じは

 パートナーの実家にいることについて

 何を教えてくれているのだろう…」

と、考えてみることができます。

 

こういうときに

「大人なんだから、そんなこと言ってないで、

 ちゃんと振舞わないと!」

と、自分の実感を抑えてしまうのではなく、

「息がつまる感じ」を教えてくれている

自分の反応に感謝してみましょう。

 

「教えてくれてありがとう。

 ところで、何がそんなに息がつまる感じなのかなあ」

と、わたしに聞いてみましょう。

さて、わたしはなんて答えるでしょうか。

 

「ん~…息がつまる感じっていうか

 こうなんか、つまったものが吐き出されそうな感じ…

 ウッてなる、ウッって…。」

と、より鮮明にその反応を教えてくれるかもしれません。

 

「つまったものが吐き出されそうな感じで、ウッとなっているんだなあ私」

と、その感じを確かめていくと

「あ、そうか。吐きたいのに吐いちゃダメだと思っているんだ!」

と、この感じを表すわたしの状況に気づいたりします。

 

「パートナーの実家は、パートナーに過保護で、

 お義母さんが全て、まるで家政婦のように完璧に準備をしてくれる。

 わたしは、それが窮屈だし、そのせいでパートナーは家事をしないんだ!

 って、言いたいけど、言えないなって思ってるんだなあ」

と、いうような気づきだったりします。笑

 

きっと、わたしは、

パートナーさんにももっと家事をやってほしいと

思っているんだけど、

なかなかそうは言えなかったり

家事をしてもらえない状況が続いているかもしれませんね。

 

そんなふうに

その時々の状況で

わたしが反応していることは、

わたしへの何らかのメッセージだったりします。

メッセージの内容に気づくと

とてもおもしろいと思いませんか。

 

何か気になることがある方は

それは何のメッセージなのか

カウンセリングの中で

一緒に探索してみませんか。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


自分らしく生きていくために。

 

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草津レディースクリニックでカウンセラーをしていると、

「ここでなかったらカウンセリングに行かなかった方なのでは…」

と思わしき方々にたくさん出会います。

 

どういうことかというと

“ どこで相談していいことなのかわからない―

   精神科や心療内科に行くほどのことではない―

   症状が出ているけどなんとなく受診しにくい―

 けれど、自分のことでちょっと気になることがある “

という方々に出会うのです。

 

もちろん、妊娠のことで相談に来られることもありますが、

妊娠のこと以外にも気になることがあって…と来られることもあります。

 

通院先にカウンセラーがいるし

この機会に相談してみようかな?

という感じですかね。

 

わたしは、カウンセラーとしてのこの立ち位置に

やりがいを感じています。

 

もしかしたらこの先も

どこにも行き場がなかったかもしれない声を

受け取れる場所だからです。

 

私たちは、自分の肉体、脳、精神を

自分で選んだわけではなくて

自動的にその生を受けています。

「あの人のからだの方が健康そう」

といって、替えっこなんてもちろんできません。

生まれた環境も選べるわけではありませんよね。

みなさんがそれぞれに

生まれてきてから今まで

与えられた自分でいろんな状況を

頑張って生き抜いてきたわけです。

 

大変だったことも

うまくいかなかったことも

どうしてこんなことが起こるのかと思ったことも

しんどいなと思うことも

絶対あると思うんですよね。

 

そういったことを

一度自分の中で振り返って

よりここちよく、活き活きと生きていけるように整理をしたり、

自分の本当の声を聞いてあげたりする―

そういうことって、とても有意義なことだと思うんです。

 

社会的には恵まれてるような育ちだったとしても

こころはしんどかったんだよね、

今もあのことがひっかかってるんだよね

ということは、よくあることです。

 

そろそろ「いい子」や「できる子」

「認めてもらえるように振舞う子」な自分でなくても、

やっていけるのではないでしょうか。

そういう自分とさよならして

やっていっていいのではないでしょうか。

 

わたし自身も、心理士の研修の機会などで

セッションをしてもらうことがあります。

自分が本当に感じていたこと、望んでいたことを

しっかり受け止められたときは、

なんとも清々しい気分になるものです。

 

カウンセリングって、

誤解を恐れずに言うと

“かわいそうな状況になった人”が受けるっていうような

そういうイメージがあるかもしれませんけれども、

そんなことはありません。

自分を大切にしていくための

ひとつの機会として、

よろしければご利用ください。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


“ 私が30歳のころ ” を読んで。

 

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〝毎日キレイ”のオンラインサイトに

女優の筒井真理子さんが

30代のころを述懐されている記事が載っていました。

 

筒井さんは、今60歳を過ぎておられますが、

30代の頃、お仕事と結婚と子どものことに迷われ、

「夫はいらないけど、子どもは欲しいな」

と、思ったそうです。

 

そして、卵子凍結について調べられたそうですが、

当時は未婚での卵子凍結ができなかったそうで

実現はしなかったということでした。

 

また、プライベートのことですごく悩んで

2年間お仕事を離れた時期もあったそうなのですが、

筒井さんのご友人に

『あがいても、どうにもならないのよ

 でもあがかないと、どうにもならないのよ』

と、言われたことがあったそうです。

 

このことについて、筒井さんは、

「すごくすてきな言葉ですよね。

 確かに、あがいたからこそ、あきらめて楽になることもある。

 一生懸命やったことって決して無駄にはならないし、

 そのちょっと先に、何かが見えてくるんだと思いました。

 私は今、年をとることが楽しいのですが、

 そう感じられるのもこれまでにフワっと生きてきたのではなく、

 地に足をつけながら納得して生きてきたという実感があるからです」

と、おっしゃっています。

 出典:毎日キレイ 私が30歳のころ

 

この記事を読んでいて

直面していることは人それぞれ違うけれども

誰もが思い当たるようなことがあるのではないかな、

と、思いました。

 

例えば、妊娠のことも、

何度も何度もチャレンジしても

なかなかうれしい結果が訪れないことがあります。

 

けれども、そのときに、

「じやあ、もう妊活はやめちゃおう」

となると、余計に妊娠からは遠ざかりますし、

「大変だけど今はまだやめられない!」という思いで

頑張り続けることがありますよね。

 

その先に、願った結果に巡り合えなくても、

「やるだけのことはやった!」

「納得できるところまで頑張った!」

という実感があれば、

その一生懸命の先に、その後の人生は拓かれていくように思います。

 

願った結果は、誰だって出てほしいものですが、

結果のためにどういったプロセスを歩んだかということが、

自分自身の支えになっていくと思います。

 

出来事や結果に納得するのはむずかしいこともありますが、

自分の選択や行動には納得しながら歩んでいくことが

とても大切だと、改めて思いました。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


行動してみたり、ごきげんをとったり。

 

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「妊活って、メンタルやられる~」と

たくさんの方がおっしゃっています。

 

妊娠で立ち止まらなければ

もっと明るい本来のわたしでいられたのに…と。

 

確かに、みなさんが妊娠されると

「わあ、雰囲気が変わりましたねえ」

という印象をもつことがありまして、

“妊娠がなかなかむずかしいこと”が

みなさんの本来の力を

出させないようにしていたような、

そんな連想をしています。

 

妊活は、それだけハードなこととも言えますよね。

 

“妊娠がなかなかむずかしいこと”が

自分にもたらすモードや思考に

引っ張られすぎそうになったら、

できるだけ自分のごきげんをとって

踏みとどまってほしいなあと思います。

 

ところで、ちょっと話が逸れるような感じがありますが、

東村アキコさんの「かくかくしかじか」という漫画があります。

東村アキコさんと絵画の先生との日々を描いた実話なんですが、

この絵画の先生(日高先生)は

とても厳しくてとても愛情深い人なんですね。

 

日高先生は、

教え子が行き詰って

なにを描いていいのかわからなくなったり

なにも描きたいものが浮かばなかったり

目の前にキャンバスがあって描きあぐねているときも、

「描け」と声をかけます。

 

だから、みんな、描けと言われたら

とりあえず描くんです。

 

日高先生はそういった意味合いで

「描け」と言っているわけではないと思うのですが、

なんだかやる気が起きないときや

考え込んでしまうときって、

気になりつつ放っておいたり

しなきゃいけないと思いながら動けないことがありますよね。

 

けれど、とりあえず行動してみると、

気になっていたことがなくなるので

その分スッキリしたり、

できた自分をちょっと誇らしく思えたりすることがあります。

 

行動することで

気分を変えられたり、

“なんだか冴えないモード”から

抜け出せることもあります。

 

もし、考えすぎて踏み出せなかったり、

気分に引っ張られている感じがするとき、

「とりあえずやってみる」のは

いかがでしょうか。

 

また一方で

なんともしがたい気持ちについては

カウンセリングで一緒に見つめていくことができます。

みなさんが今いる状況や

最近思っていることなど、お話に来てくださいね。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


当院へ通院されていない方への妊活心理カウンセリングを始めました!

 

 

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この度、当院へ通院されていない方にも

妊活心理カウンセリングを

ご利用いただけるようになりました。

 

妊活心理カウンセリングでお受けできるご相談は

・妊活中のこころの浮き沈み

・友達や親族の妊娠の知らせを喜べない

・家族からのプレッシャーを感じる

・パートナーと子どもをもつことへの意識が違う

・タイミングをとることがしんどい

・流産になってから、自分の調子が変わった

・治療しているけれども結果が伴わず疲れてきたかも…

・いつまで治療をするのだろうという思いが浮かんだりする

などといった、妊活中のこころのこと、人間関係のこと、

気持ちのこと、自分自身の労わり方などをおうかがいしています。

 

妊活中の方でしたら

まだ通院されていない方であっても

どこかに通院されている方であっても、

妊活心理カウンセリングをご利用いただけます。

 

こちらにご案内がございますので、

クリックしてご覧ください。

 →妊活心理カウンセリングのパンフレット

 

心理カウンセラーは、私なのですが、

私は、公認心理師・臨床心理士です。

当院に来てから13年になります。

妊娠・出産を願って過ごされる中で

こころに引っかかっていることや気になることを

一緒に整理したり、うまく付き合う工夫を考えたりしています。

また、直面したくなかったことや

乗り越えるのが難しく感じられることが

どうしても起こってしまう中で、

その時どき、みなさんそれぞれが

みなさん自身を労わったり大切にしていただけるように

カウンセリングの専門性を活かして関わらせていただいています。

 

妊娠についての現実的なご相談は

(例えば、何ヶ月もタイミングをとっていて

 鍼灸で子宮を整えているのになぜ妊娠しないのか?とか、

 子宮頸がん検診のついでにエコーで子宮や卵巣診てもらって

 「何も問題ありません」と言われたのになぜ妊娠しないのか?とか、

 今通っている病院でやっている治療の他に

 ここではどういったことができるのか?といったことについて)

残念ながら心理カウンセラーにはお答えすることができません。

そういったことは診療内で医師にご相談いただけますので、

気になられる方は診察の予約をお取りになってくださいね。

 

ただ、妊娠できるかどうかは、

病院で検査してみないとわからないことがあります。

そして、検査の種類は、病院によって違うんですよ。

なので、もし当院で行っている基本的な検査の内容について

カウンセリングのついでに聞きたいという方がおられましたら、

併せてご紹介もさせていただいておりますので、

ご予約の際に「基本検査の紹介も聞きたい」とお申し出ください。

 

🌛 妊活心理カウンセリングのご案内 🌛

⭐ 対象の方 ⭐ 妊活中の方、妊活からの卒業を考えておられる方

⭐ 料金 ⭐ 1回50分(初回は60分)5,000円+消費税

⭐ 日程 ⭐ 月・水・金: 8:30~15:00開始まで

        火・木  : 12:00~18:30開始まで

        土    : 9:00~11:30開始まで

 

予約制になりますので、

まずはお電話でご予約いただいて、

お約束の日時にお越しくださいね。

 

妊活を頑張っているご自分に

こころのリフレッシュやこころのマッサージは

いかがでしょうか。

 

あなたにお会いできることを

楽しみに待っております。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


GWの過ごし方。

 


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もうすぐ、ゴールデンウィークですね。

 

当院では通常通り、

祝日と日曜日は休診になりますが、

5月1日(月)、2日(火)、6日(土)は

診療しております。

混雑する時間帯があるかもしれませんが

よろしくお願いいたします。

 

 

妊活中、ご夫妻ともに、

さまざまな気持ちを抱えておられると思います。

お二人ともに同じような気持ちになる部分もあれば、

それぞれにまた違った気持ちになる部分もあると思います。

 

毎回の通院は女性側になるので

女性側にはどうしたって

心身ともに負担がかかりますよね。

ほぼ毎回内診があって

場合によっては注射や採血もあって、

診察の内容を聞いて判断したり

パートナーに結果を伝えたりする負担もありますし、

通院日じゃなくても投薬があって気を張っていたり、

仕事を調整するのに職場に気を遣う場合もあります。

 

そういった状況が続く中で

パートナーさんがどれだけ妊活へ意識を向けているか、

どれだけ気遣ってくれているか、

どれだけ大変な気持ちをわかろうとしてくれるか、

そういったところが気になってしまうこともあると思うんです。

 

一方で男性のほうは

代わってあげたいと思ったとしても代わってあげられないので、

(歯痒い想いをされている方もおられるでしょう)

つらそうにしている女性を見ると

いたたまれない気持ちにもなることでしょう。

妊娠までのプロセスを一緒に考えようとしても、

相手のリアクションが気になったり

悲しませたり落ち込ませたりしないように、

ご自身の思っていることを伝えられなかったり

伝えるときに気を遣ったりということもあると思います。

 

 

お互いがタフに感じることもある日々の中で、

もし、こころに器というものがあったとしたら、

心地よくない感情が

その器に入りきらずに溢れてしまうくらい

いっぱいになってしまわないように

過ごしていきたいですね。

 

“ 今の私の器は、これくらいかなあ。

 パートナーさんの器は、どれくらいだろう。

 二人で抱えている器は、私はこれくらいだと思うんだけど…”

 

そんなふうに、まずはじぶんで想像して、

それから相手にも聞いてみて、

二人で確認してシェアしてみるのはいかがでしょうか。

 

それだけでも

少し器の中が変わりそうな予感がしています。

 

そして、それぞれがリフレッシュする時間を過ごして、

一人ひとりの器の中に

ゆとりをつくってくださいね。

 

もしよろしければ

そういった時間ももちながら、

よきゴールデンウィークを

お過ごしください。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


住吉美紀さんの不妊治療体験記から

 

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フリーアナウンサーの住吉美紀さんは

不妊治療の経験者で、

今は、パートナーさんと2人で暮らしておられます。

不妊治療のことや治療後の人生について

インタビューが載っていましたので、

リンク先を貼っておきますね。

 

→住吉美紀アナ「誰にも言えなかった」不妊治療を経て「この生き方でいいんだ」と思えるまで

 

このインタビューの中で住吉さんは、

「不妊治療は始めると、

 絶対に子どもができないと幸せになれない、

 と思い込んじゃうんですよね。」

と、語っておられ、

ほとんどのみなさんが共感される心境じゃないかな、

と、私も思いました。

 

子どもができなければ、

がんばったことも

かけたお金や仕事の調整も

報われないし、

パートナーさんが

お父さんになれないし、

家族や友達の前でも

肩身が狭い思いをするし、

女性としての価値がないように感じてしまう…。

 

そんなような思いが

ぐるぐるめぐっているのではないでしょうか。

 

 ー 子どもを持たなくても

      しあわせに暮らしているカップルもいる ー

そういう事実は知っているけれど、

今は自分がそうやって生きていくとは

考えたくないかもしれませんね。

 

時折、「みんな、どうやってあきらめるんですか?」

と、たずねられることがあります。

 

治療を終えるとき、

「十分やり切った」という自負はあるようですが、

こころがスッキリしているかというと、

スッキリとまではいかないけれども

まず “終える” という行動を

先行されている印象があります。

 

きっと、その後の人生で

自分の人生を受け容れていくなかで、

それぞれの思いにも

おさまり場所、おさまり具合が

できていくのではないでしょうか

と、想像しています。

 

 

心理カウンセリングでは

自分の感情と少し距離をとりながら、

今浮かんでくるさまざまな思いや感じについて

じっくりながめてみたりしています。

 

じっくりながめていると

感情に覆われていて気づかなかった

こころのメッセージが

聴こえてくるんですよ。

 

一度、今までがんばってきた自分を労って、

これからの自分について

じっくり考えてみる時間をもってみられませんか。

 

「話をしに行く」と思うと

ちょっと気負う方もおられるかもしれません。

「ちょっとひと息つきにいこう」

「こころもマッサージしてあげよう」

くらいのお気持ちでいらしてください。

ご来談、お待ちしております。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


さよならとよろしくを重ねて。

 

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新しい年度が始まりましたね。

みなさんは、生活に何か変化がありましたか?

 

さて、お気づきの方もおられると思いますが、

草津レディースクリニックでは

ある変化がありました。

長い間働いてこられて

スタッフにとっても頼れる存在であった看護師長が

3月で退職されました。

 

きっと、通院されているみなさんも

その看護師さんを頼りにされていたことと思います。

また、今後通院の再開を予定をされている方で

その看護師さんに会えることを

楽しみにしていた方もおられると思います。

 

…さみしいですよね。

 

私たちスタッフも

まだその方の不在が

実感しきれていないような

少しふわふわした感じがあります。

 

一方で、その方が残してくれたことを胸に、

今のメンバ―、これからのメンバーで、

みなさんの妊娠をめぐる今をサポートできたら…

と、引き締めすぎない程度に

気持ちを引き締めております。

 

いろいろな人や体験と

別れたり出会ったりを重ねて、

いろいろな刺激と

試行錯誤したり向き合ったり受け容れたりしながら、

“わたし”ができていくんだなあ、

と、改めて思いながら…。

 

 

病院というところには

できることなら

行きたくないものですよね。

 

行かずに済むなら

それに越したことはないのかもしれません。

けれど、行かざるを得ない状況に

なってしまうこともあります。

 

行かずに済むなら

それに越したことはないかも…というのを大前提として、

誤解を恐れずに言うと

病院に来るという体験が

ぜんぶマイナスかというと

そうでもないものかもしれません。

 

望んだ結果が得られる可能性があることはもちろんですが、

病院に来ることで

出会う世界もあると思うんですよね。

医師やスタッフと出会いはもちろん

妊娠をめぐって、ご自身のこころや価値観が

広まったり深まったり大きく変わったりといった

新たな自分との出会いもあるかもしれません。

 

草津レディースクリニックでの出会いが

みなさんが豊かさを感じるものでありますように…。

私たちスタッフは、

今日も草津レディースクリニックで

お待ちしております。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


こころがオープンであることと信頼関係。

 

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前回、私の外反母趾のことを書きました。

小さいころから骨が出ていて

うずいたりもするので、

母趾をかばうような歩き方をしています。

だから、体重のかけ方とか、足の使い方とかが

偏っているんだろうなあ…

と、気になっていたんです。

 

そこで、私はダンサー経験と大学院での研究をもとに

足のトレーニングを開発された方のレッスンを

受けにいくことにしました。

 

集団でのレッスンだったのですが、

先生が一人ひとり回って教えてくれる時間がありました。

そのとき、先生に、外反母趾のことを気にしていると言うと、

「外反母趾は、もともと裏にある骨が横に来ちゃったんだから

 『こっちだよ~』って、正しい位置に戻してあげたらいいのよ」

と言いながら、私の母趾を足裏の方に押しました。

 

母趾を押したら痛いと思っていたので

「え?待って、先生!痛い!」

と言ったのですが、

「最初は痛いかもしれないけど、

 『こっち!』『こっち!』って、教えてあげて~」

と、しばらく母趾を正しい位置に押し続けました。

すると、意外にも、痛かったのは最初だけでした。

そして、先生は足を両手で包んで、

かすかな振動が伝わる程度に動かしつつ

やさしく触れてくれました。

 

そうすると、私の足の感覚が変わりました。

足の骨の存在が、ありありと感じられるようになりました。

私は、自分の足を少し愛おしく思いました。

 

足を愛おしく思うなんて

記憶の中では初めてのことでした。

 

私は、“生まれたときから外反母趾になると決まっていた足”

だと思っていたのですが、

先生は「生まれつき外反母趾なんてことはないよ」と仰いました。

「骨は成長していくのだから、

 生きていく過程で変わっていくんだよ」

と、仰いました。

 

私は、生まれつきだと思っていたので、

先生のその指摘に少し動揺はしましたが、

わりとすぐ「そうか」と受け止めることができました。

 

先生としては、

成長過程によって骨の流れも変わるということ、

そして、トレーニングで外反母趾が治ることはなくても

足の使い方や足の感覚はトレーニングで鍛えられるので

身体能力も高めていくことができるということを、

伝えたかったのだろうと推測できたからです。

 

もし、私のこころが閉じたままの状態だったり、

相手に信頼感が芽生えていないまま、

「生まれつきっていうけど、生まれつき外反母趾の人なんていませんよ」

と言われたら、私はこころのシャッターを下ろしたかもしれません。

「え?小さい頃から骨は出ていたんですよ?

 そのことを知らないからそんなこと言うんじゃない?」

って、思っていたと思うんです。

けれど、その先生とは、

それまでのやりとりで信頼できる気持ちが芽生えていたので、

そう言われても「そうか」と受け止められたんですよね。

 

相手が言っている内容は同じであっても、

信頼できる感じがあるのかどうか

こちらに受け止めるゆとりがあるかどうかで、

受け止められることもあれば

拒否してしまうこともありますよね。

 

みなさんにも、そういった経験はありませんか。

 

当院でみなさんとスタッフが紡ぎだす関係は、

みなさんのこころもオープンでいられて

みなさんとの間に信頼感が生まれる関係に

なっているといいなあと願っています。

 

そういった関係になれるように、

スタッフ一人ひとりが意識していきます。

よろしくお願いいたします。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


通院をやめるきっかけのこと。

 

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突然ですが、私は外反母趾です。

しかも、だいぶキツめで、

診てもらったところ

手術するしか手はなかったのですが、

手術をすると、しばらく動けなくなってしまうので

ずっとそのままにしています。

 

「ヒールとか履いていたからなったんじゃない?」

と、言われることがよくあるんですが、

幼い頃からすでに出ていて、

ヒールなんて先の細い靴は、

そもそも履けなかったんです。

 

(ところで、「ヒール履いてたからじゃない?」

 って、わざわざ言う必要あるんだろうかと、

 言われる度に思ってしまう私です。。。)

 

3年くらい前ですが、

フットマッサージを受けにいきました。

個人でされているサロンで

50歳半ばくらいの小柄な女性がセラピストで、

最初はどちらかというと好感をもっていました。

 

ところが、幼い頃から外反母趾だったと説明したのに、

そのセラピストさんは私の外反母趾をみて、

「親に背いている人は、親指が曲がるのよ」

と仰いました。

その瞬間、私はこころのシャッターを下ろしました。

言ってしまえば、“カチン”ときたわけです。

 

まあ、親に背いてないとは言いませんけども。笑

 

幼い頃から外反母趾で

履ける靴が少なかったり

時折うずいたりするわけですが、

そういったことを

「あなたのせいですよ」

と言われたような気分になってしまいました。

 

ちなみに、セラピストさんの施術自体は、

とても丁寧で、ここちよかったです。

施術はものすごくいいので、もう一度行ってみたんですが、

やっぱりそのことが引っかかってしまって…

私は、行くのをやめました。

 

もし、セラピストさんが

親と外反母趾とを結びつけて話したときに

私の反応がよくないことに気づいて、

「あ、なにか、ひっかかりました?」などと

聞いてくださったら、

そのときの思いを共有できて

関係も改善されたかもしれません。

 

相手がそのようにしてくれたら楽なんですが、

私の方も、言われたことに違和感があったりしたときに

こちらから「骨の出方に親との関係が影響するのですか?」とか、

「私のせいっていうふうに言われているように聞こえます」

と、感じているニュアンスが伝わるように

伝えられたらよかったなあ、

と、思ったりしました。

 

なんでこんなことを書いたかというと、

病院に行かなくなる理由と似ているんじゃないかな、

と思ったからです。

 

他院から来られる方とお話していると、

かかっていた病院での出来事を

教えてくださるのですが、

不満だったことについて

伝えておられていないことがほとんどの印象です。

 

もちろん、診てもらっている先生やスタッフに

本当のことは言いにくいという気持ちもあるかもしれませんが、

伝えることで変わることもあるんじゃないかな

と、思うこともあります。

(私も、セラピストさんに言えなかったんですけど…)

 

なので、当院に通院されていて

なんだか引っかかっていることや

ご不満に感じられることがあれば、

教えていただけると

ありがたいと思っています。

 

みなさんと風通しのよい関係でいられる

そんなクリニックでありたいと思っています。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


ペリネイタルロスのこと。

 

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流産や死産など、お産をとりまく赤ちゃんの喪失は、

ペリネイタルロスと言われています、

 

流産は、1回の妊娠につき平均15%の確率で起こります。

そして、年齢とともに増えていき、

40歳で約35%、42歳では40%を超えてしまいます。

また死産率は19.7%です。(出産+死産に対しての死産の割合です)

*妊娠12w以降の死亡を死産とした場合

 

数字でみても

通っておられる方の妊娠歴からも、

流産や死産はめずらしいことではありませんし、

また、一度だけでなく

何度か経験される方も少なくないんです。

 

ただ、めずらしいことではないのですが、

めずらしくないから大丈夫ということではありませんよね。

こういうことがあって、

こころやからだが

いつもとは違う調子になったりしていませんか。

 

ところで、

仕事をされているみなさんは、

こういったことがあったとき

おやすみは取られていますか?

 

妊娠12w以降に赤ちゃんとさよならした場合は、

労働基準法で原則8週間の産後休暇を取るように

義務付けられているんです。

 

12wまでにさよならした場合も、

制度化はされていないかもしれませんが

おやすみしてもらえたらいいなあ…と思います。

 

もちろん、家にずっといても考え込んでしまうから

休まず働いていつも通りに過ごしたい!

という気持ちがある方もおられると思います。

こころとからだに大きく無理がないようなら

出勤して気が紛れる時間を過ごすのもいいですよね。

 

無理に仕事に行かれていたり

休みたいけど休みたいと言えない場合だと

ちょっと心配です。

 

いくら制度があったとしても、

いくら周りの人が休むようにすすめても、

職場の人員が足りていなかったり

休んだら誰かに迷惑がかかるように思ったり、

上司や同僚に知られたくなかったり

上司が理解がなさそうだなあ…と予想してしまうと、

なかなか休みたいとは言えない人が多いんじゃないでしょうか。

 

そんな気がかりがあると

休みを申請することがストレスになってしまいますよね。

また、仕事の状況や立場的に

お休みすることが難しい方もおられます。

 

…でも…必要なときは、休んでください、ね。

 

生きていたら

頑張らなくていいときと

頑張りどきっていうのがあります。

 

頑張らなくていいときは

自分のこころとからだを最優先にするのがいいと思います。

無理はしないほうがよさそうなタイミングって

生きていたら誰にでもあるものです。

 

赤ちゃんへの想いを

めいっぱい赤ちゃんに伝えたり

お二人でシェアしたりして、

自分のこころに添って

少しずつ受け止めていけるように

お時間をとってください。

 

それと、妊娠の途中でさよならになったことを

同じような経験をした人たちと話したかったり、

同じような経験をした人たちの話を聞きたい方がおられると思います。

 

ネットで検索したらたくさん出てくると思いますが

経験者さんたちのコミュニティのリンク先を載せておきますね。

 

iKizuku 働く天使ママコミュニティ【イキヅク】

 

お空の天使パパ&ママの会(WAIS)

 

流産・死産経験者で作るポコズママの会

 

天使保護者ルカの会

 

無理に気持ちを切り替えたりしないで

自分のこころとからだのためになりそうなことを

たくさんしてくださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


親からの孫期待は、すごく負担です。

 

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妊娠のために治療を受ける人は増えていますし、

社会的にも理解がすすんでいると思います。

 

その一方で、今も、治療をしている人に

負担になっているようなことがいくつかあります。

 

例えば、知人の妊娠や出産の知らせや、

通院するための仕事の業務調整、

そして…親からの「 孫 “口”撃」です。

 

親と話していて、

「早く産みや」とか

「子どものことは考えてるんか?」などと

会話に挟み込まれると

心臓がドキッとしませんか?

 

親から妊娠のことを言われると、

ほとんどみなさんプレッシャーを感じたり

親に対して申し訳なく思うと、おうかがいします。

 

ところで、そう言われて、

「そういうことは言わないでほしい」とか

自分の気持ちや思いを伝える人はどれくらいいるのでしょう?

 

そうやって伝えている人って

そんなに多くない印象があるんですが、

私、実は、

「怒らないのはどうしてなんだろう?」

と、思っているんです。

 

そもそも、子どもを産むことが前提なことに違和感があります。

子どもを持とうとするのかどうかも含めて、

親とは他者の“わたし”が、

そのまた他者のパートナーと一緒に

決めることだと思うんです。

 

他者たちの自己決定権に

他者である親が踏み込んでいいのでしょうか。

 

他者の人生に、

自分の理想や価値観を押し付けてはいけないと

私は思っています。

親子であっても、他者なのですから。

 

私がみなさんからおうかがいした印象では

“ 親が孫を楽しみにしているのは当然 ”だと思うし

“ 私だって、孫の顔を見せてあげたいと思う ”けど、

“ 面と向かって言われるとプレッシャーになる ”

というふうに思っておられるように受け止めています。

 

私は、もし孫を見てみたい気持ちがあっても、

親は、その気持ちを伝えること自体を

控えるものではないかなあ、と思っています。

 

なぜかというと、

そういったことは場合によっては

他者に性行為を強要することにつながるかもしれませんし、

親のその願いは他者を使役させて叶うものだから

親の願いが先行してはいけないと思いますし、

言われた方がどんな気持ちになるのか

相手の立場になって考えたとは思えないからです。

自分が言ったことを子どもがそんなに気にかけるとは

想像されてないと思うんですよね。

 

親子だからって

なんだって言っていいわけではありませんよね。

 

親子関係って

とても難しいです。

子どもにとって親は大切な存在で

認められたい相手であることが多いですが、

そうであると同時に親の価値観や感情に

巻き込まれてしまいがちでもあります。

 

親との関係で

こころが押しつぶされそうになったり

言われたことが頭の中をぐるぐるするようなことがあったら、

すぐに伝えてほしいと思っています。

いろんな気持ちを飲み込んだり

頑張って立ち振るまわないようにして、

こころを守っていけるようにしていきましょう。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


臓器や子宮、卵巣に、気をおくりましょう。

 

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みなさん、気功って、やったことあります?

 

気功はけっしてあやしいものではなく

中国古来から伝わる健康法なのですが、

私の学生時代の教授が

気功の研究もされてまして、

先月から3回、気功を習ってみました。

 

習った中に、五臓をいたわる気功があったのですが、

脾・肺・腎・肝・心、それぞれの臓器に

新鮮な気を送るんですけど、

「いつもありがとう」

「酷使しちゃってごめんね」

と、労わりの気持ちを伝えながら気を送るんですね。

 

そうやって臓器に気を送っていたら、

以前、また別の先生から瞑想を習ったときに、

「子宮や卵巣に感謝を伝えましょう」

というレクチャーがあったことを思い出しました。

 

自分の臓器を労わるような時間を

毎日の暮らしの中で用意している方って、

気功とか瞑想とかヨガとか

そういったことを習慣にしている方くらいかもしれませんね。

みなさん、いかがですか?

 

こういうことって

続けていくことが大事なので、

1回だけで何か劇的なことが起こるのではないのですが、

「しっかりイメージすること」って

身体に一定の効果があると思うんですよ。

 

例えば、ちょっと想像してみてください。

夕方、田舎の道を歩いていたら、

後ろから、物音がします。

“ガサッ!ゴソッ!”

振り返ったら…

なんと、もう5mのところに、熊が!!

と、想像したときに、

「ドキッ」と心臓が鳴ったり、

汗が出たり、鼓動が高くなったりしませんか?

実際には何もなくても

イメージが強ければ

実際にそういった効果(影響)が身体に出るんですね。

 

 

「ありがとう」とか

「いつも一生懸命働いてくれているね」と、

ただそういう言葉を言うだけじゃなくて

実感のレベルで想いを送っていったり、

本当に新鮮な気を送っていると強くイメージしながらやっていると、

からだがその想いと響き合っていくことも

あるように思います。

 

子宮や卵巣も、他の臓器も、

ずっとそのときの精一杯で、

働いてくれているんですよね。

 

できたら毎日、

ちょっとの時間でもいいので、

じっくり自分のからだの臓器に

手をかざしたり

ほほえみかけたりして、

労わっていけるといいですね。

 

緊張していたり

一生懸命だったりした臓器も、

少しゆるんだり

気が通って元気になったりして、

本来の力をより発揮できるようになるかもしれません。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


体外受精は身近になってきたけれど。

 

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体外受精で授かられる方は年々増えていまして

2020年のデータでは、13.9人に1人は体外受精で生まれた子なのだそうです。

草津レディースクリニックが開院する1年前の2008年は

50.3人に1人の割合だったことを思うと、

授かる選択肢の一つとして

以前よりも格段と選ぶ方が増えたことがわかります。

このデータは体外受精が保険診療になる前のことなので

保険診療以降はもっと割合が高くなるんでしょうね。

 

私たちスタッフは

体外受精を特別なものだと思っていませんし、

体外受精をしないといけないはっきりとした原因がなくても、

「人工授精3回くらいやって授からなかったら体外受精すすめてますよ~」

と、“ あたりまえに ” 伝えているかもしれません。

 

でも、みなさんにとっては、

体外受精をすすめられたときは

いろんな気持ちがわくのではないでしょうか。

「妊娠に近づくから頑張ろう」というような前向きな気持ちもあるでしょうし、

「ついに体外受精か…。」と、一応想定はしていたけれど

いざすすむとなるとちょっと胸がつっかえるような感じがしたり、

「本当に、私って体外受精しないと授からないのかな?」と、

自分に対しての自信が揺らいでいる感じがしたり

治療の流れに沿えない気持ちがあったりすることもあると思うんですよ。

 

初めは、何か妊娠しにくい要因があるのか調べようって感じで来られて、

タイミング合わせていたら授かるのかなあって思っていたけど

半年くらい経ったら人工授精をすすめられて…、

人工授精にすすむときだって

残念な気持ちになる人もおられるし

妊娠に近づくわくわくを感じる人もおられます。

ともかく、いろいろ思うことはありながらも

人工授精にすすんでみて、

やっぱりちょっと期待したりして、

それでも授からないことが数回続いて…

そして、体外受精と言われて…というプロセスで、

この間に周りの人の妊娠や出産があることも多いですし、

結果的に体外受精をすることに決めても

さまざまな想いを引き連れておられることと思います。

 

「夫婦生活で授かりたかったなあ…」

という想いが残っている人もおられるでしょう。

 

今のところ、

夫婦生活で授かったお子さんと

体外受精で授かったお子さんでは、

小学校就学前の知的能力や運動能力に

大きな差はないようです。

 

「他の友達は、こんなに時間かけずに、

 すぐ授かったのに、私たちだけどうして…」

「周りの人は、お金使わずに子どもできたのに、

 私たちはこんなにお金使わないといけないなんて…」

「お姉ちゃんも妹も、タイミングまでで授かったのに、

 なんで私だけ、まだできないんだろう…」

など、もやもやすることってあると思うんですよね。

自分だけ、苦労しているみたいで、

なんだかみんなと違うみたいで

不公平な気分を感じたりしちゃうことがありますよね。

 

こんなふうに

子どもがほしいという願いに近づくために

通院中は、要所要所で選択をしていくことになります。

選択をめぐって、思っていることや気持ちをシェアしていただきながら、

みなさんそれぞれが最良の選択ができるように

お手伝いしていきたいと思っています。

 

また、折をみて、状況を伝えにいらしてくださいね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


生殖心理学会に参加してきました

 

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2月5日、東京の永田町で開催された

生殖心理学会の学術集会に参加してきました。

 

生殖心理学会とは、

生殖医療におけるこころのケアの学術的向上と

生殖医療の発展のための学会です。

 

今年のテーマは、ゲノムでした。

遺伝医療は生殖医療と密接に関係しています。

例えば、ご自身やご家族に何か遺伝性のご病気や特徴をお持ちの場合、

「お子さんも同じような病気や特徴を持って生まれるのでは…」

と、心配になる方もおられます。

また、流産を繰り返されたカップルや

精子が見当たらなかった方は、

ご自身の染色体に変異がないか

検査される方もおられます。

そして、もう流産を経験したくない方や

早く妊娠したい方、

お二人の染色体に変異があった方は、

着床前検査を実施して

染色体異常がない受精卵を移植するということができます。

(妊娠率は100%ではありませんし、流産率も0%ではありません)

また、妊娠後、心配なようでしたら、

系列の南草津野村病院でNIPTを実施しております。

 

このように、妊娠、出産を巡って、

遺伝子にかかわる選択をしていくことが、

とても身近になってきています。

 

学会に参加して思ったことは、

どういった局面であっても

最終的にはお二人で答えを出していくことになるのですが、

答えを出していかれるまで

(そして、答えを出されたあとも)

周りからのサポートが必要だということです。

当事者さんたちの講演もあったのですが、

答えを出していくプロセスに

関わってくれる専門的な人(主にカウンセラー)と、

同じような立場の人同士の支え合いが必要と仰っていました。

 

結局は答えを二人で出すのだけど、

他の人はどんな選択をしているのか、

たくさんの可能性を知ることで

視野が開けたり、自信をもって選択できることがあります。

また、混乱している中で、

客観的な立場から、状況を一緒に整理していってくれる人、

相手が個人の価値観や倫理観を入れずに相談にのってくれる人がいると、

迷いや心配、動揺などのこころを抱えながらも

なんとか先に進んでいくのに役に立ちます。

 

医療技術が進歩することで

もしかしたら体験していたかもしれない悲しみや苦しさを

スキップすることが可能になった一方で、

「人生でこういう選択をすることになろうとは…」

という側面も出てきます。

 

迷ったり、困ったり、混乱したりするときに

ひとりで(カップルで)考えると、

なんだか自分たちだけが

このようなことに直面しているみたいで、

心もとなくなるかもしれません。

 

どうか、そのままの気持ちを

クリニックに、カウンセリングルームにもってきて、

取り繕わずに教えていただきたいと思っています。

 

どんなことを考えたり思っておられるのか、

どんな状態になっておられるのか、

私たちは知りたいと思っています。

そして、直面されていることに

どんな答えを出していかれるのか、

お一人で(お二人だけで)考えるようにお伝えするのではなく、

一緒に考えていきたいと思っています。

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


やめるということ、と、特別養子縁組シンポジウムのお知らせ。

 

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ライブができるスペースを

13年間運営していた友人がいまして、

そのスペースが立ち退きになったので

今月で閉まることになったんですね。

 

なので、先月あたりから、

こちらでライブをしていたみなさんから

その友人との出会いや想い出、

友人への感謝が伝えられる機会が続いているようで、

「なんだか生前祭みたい」

と、言っていました。

 

こういった機会がないと

どんなふうに思っていたのかとか

聞くことがないから

おもしろいみたいです。

 

確かに、慣れ親しんだ関係では、

改めて想いを伝えることって

しなくなりがちですよね。

(大事なことなのに、どうしてでしょう?)

 

また、友人は、

スペースから物がなくなっていく様子を見ながら

「やめるって好きなんだよね」

とも言っていました。

 

「やめるって好きなんだよね」と言われたときに

私も今やっていることをやめる想像したのですが、

確かに、胸からお腹にかけて

すごくスッキリするような感じがありました。笑

何かを続けていくということは

それだけ大変なことでもあるのですね。

 

友人は自分で「やめる」ことを決めたわけではなく

不可抗力でやめざるを得なくなったのですが、

その結果から生まれる新しい部分を

楽しみにしているのだと思います。

もちろん、残念に思う部分も、

さみしい気持ちも心苦しい気持ちもあるのでしょうけれど…。

そういえば、その友人は

自分にやってきた流れをおもしろがれる人なんですよね。

 

ところで、通院については、

パートナーに治療意思がなくなったり

経済的に治療費が出せなくなったり

通院時間が確保できなかったり

何か別の病気やケガに見舞われたりといった場合は、

ご自分の意思とは違うところで

通院をやめざるを得なくなるかもしれません。

何度も何度も治療を繰り返しても

結果が出ない場合は、

治療を続けるかどうか

ご自分で決断をしていくことになりますよね。

 

こういった決断を

自分でするのは

とても勇気がいりますし、

「治療を続けたいというより

 やめる決断ができないから通院しているんです」

という境地に立つこともあると思うんです。

 

何かの目標に向かって頑張っていて

その目標が叶わなかった人生になるのは

なかなか引き受けがたいことかもしれませんよね。

 

ただ、やめる前はこわかった未来も

やめた後、時間が経っていくと

そうでもないように思えるかもしれません。

やめたからこそ、自分に訪れるものや

人生の流れが変わることがあるからです。

 

ご自分のお子さんを持ちたいという願いが叶うことは

もちろんうれしく、素敵なことでしょう。

そして、そうでない人生であっても、

人生はきっと輝くのだと思います。

 

*************

さて、ここで、情報を一つ、提供させていただきます。

“telling,”という子供を育てたいと願う人へ

特別養子縁組制度の情報を発信しているサイトがあります。

今週2月4日に、特別養子縁組制度の

オンラインシンポジウムがあります。(無料です)

詳しくはこちらのページをご覧ください。→オンラインシンポジウム

 

特別養子縁組でお子さんと家族になられた方は

当院に通われていた方にもおられるんですよ。

いろんな家族のかたちがあって

いろんな幸せがあるんですね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 


からだから、こころへ。

 

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先日、草津駅で、

おそらく70代かと思われる

今からトレッキングに行かれるであろう

男女5、6人をお見掛けしました。

「ものすごくお元気なみなさんだなあ」

と、感心していると、

その中から

「歳とったら、もうこんなことできんで」

という会話が聞こえてきて、

私は「えっ?!」と驚きました。

 

私からみたらお年寄りな印象だったので

「すみません…」と心の中で思いました。

周りからどう見えようと

みなさんの中では、まだまだお年寄りではないのでしょう。

引き続き、お元気でいていただきたいです。

 

先日、知人が、

「なんで人と比べるの?」

「なんで他人と同じように自分もできると思うの?」

と、言っていました。

比べても仕方がないことなんて

本人が一番よくわかっているので、

「なんで比べるの?」

なんて聞き方してもあまり有効じゃないのでは…

と、私はよく思うんですよ。

 

「知人よ。

 正論を言われて

 心地よく感じる人って

 あまりいないのだ。

 心地よくなるのは

 正論を言って

 良い事を言った気になっているあなただけなのだ。

 こういうこと言って感心されるのは

 美輪明宏さんや叶姉妹さんといった類の人たちだけなのだ。」

 と、こころの中で思っていました。

(これは、臨床心理士として、ではなく、

 個人の意見ですよ)

 

「誰かと比べても仕方がないのはわかっていて

 不毛なのもわかっているけど、

 自然とそのように思ってしまうような

 神経回路になっているんだもん…」

というのが、実際のところなのではないでしょうか。

 

「頭ではわかっているけど、

 こころはどうもそう思っていないみたい…。」

そういうことって

よくあります。

 

そういうときは

割り切れないこころの声に

もっと耳を傾けたいところです。

自分で自分に耳を傾けることもいいのですが、

相手が相手自身の価値判断を

できるだけ挟まず、

ただ、「うん、そっか。そうなんだね。」

と、話を聞いてくれる関係でお話していくと、

(ちょっと話しただけで

 「なんで人と比べるの?」

 なんて言わない人との関係で)

自分のこころの声はより明るくなると思います。

 

すぐに、そういった相談相手が見つからないとき、

私は、からだを動かすことをおすすめします。

草津駅で 出会ったおじさまおばさまたちのように

トレッキングなんて最高だと思います。

ヨガやストレッチや太極拳なんかもいいと思いますし、

誰かと一緒にスポーツを楽しむこともいいと思います。

 

こころは頭でコントロールしていくものと

思っている方がおられるかもしれませんが、

からだが安心している、安全であると感じている状態、

リラックスしていると感じている状態だと

脳に感知させるということが、

精神の安定にもとても大切な機序になります。

すぐに、こころの声に耳を傾けられないときは、

からだを安心、安全、リラックスという

心地よい状態にしていきましょう。

 

 

 

 

公認心理師/臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 

 


「もっと早く聞けばよかった」

 

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私は時折映画を観るのですが、

この間、「とべない風船」という映画を観ました。

 

この作品の舞台は、広島県の島。

ヒロイン役の小島凛子を演じるのは三浦透子さん。

凛子は、東京で教師をしていたのですが、

うつになったため教職を辞め、

今は派遣社員として働いています。

派遣の契約が切れたタイミングで

小林薫さんが演じる父親が住むこの島を訪れます。

 

それから、この島に住む人たちと触れ合ったり、

末期がんだった母親が暮らしたい場所として選んだ島で

両親がどんなふうに過ごしていたのかを知ったり、

父親が体調を崩したりと、

凛子にいろいろな時間が訪れます。

とてもこころに沁みる映画で

印象的なシーンはいくつかあったのですが、

特に胸がキューッとなったシーンがありました。

 

それは、映画の後半、

凛子が父親に、教師時代のうまくいかなかったことを語ったとき、

父親は凛子の話をあたたかく聞き

こころが弛むようなアドバイスを送ります。

すると、凛子は、

「もっと早く聞けばよかった…」

と、涙するのです。

 

このシーンが流れたとき

「『もっと早く聞けばよかった…』の感じ、私も知ってる!!」

と思いました。

もう10年以上前のことですが

いつも緊張して接していた人と

やっとちゃんと向き合って話したことがありました。

相手は想定よりも懐が深く

受け止めて話を聞いてくれたとき、

私も凛子と同じように

「もっと早く言えばよかった」

と、口にしたのですが、

あの時の感覚が蘇ってきました。

 

「言うなら今しかない!」という状況になって初めて

口にすることができることもありますよね。

また、自分の中で、

向き合おう、乗り越えようという力が

溜まっていったときに、

今まで言えなかったことを

言えるようになっていることもあります。

 

そして、意を決して言っているということが

相手に伝わっているということも

大切なことのように思うのです。

 

「もっと早く聞けばよかった」

「もっと早く言えばよかった」

というと、後悔が交じってそうな文言に思えますが、

実際は、相手が自分を受け止めてくれたから

発せられる文言なんだと思います。

安心して、あたたかくて、

「それだったら、もっと早く…」

という気持ちが表れていると思うんです。

本当に素敵な文言です。

 

自分でこころを閉じることもあるし

閉じることで守られる自分もいます。

けれど、その世界は全てではなくて、

こころを開いてみることで

開かれた世界が待っているかもしれないことに

希望があるなあ、と思いました。

開けそうなタイミングが来たら

臆せず開いてみたいですね。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


迎春

 

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新しい一年が始まりました。

みなさん、新年をどのようにお迎えでしょうか。

 

新年やお誕生日などの節目は

何かを決めて行動に移す機会になりますよね。

「去年に妊娠しなかったら病院行こうって決めていたんです」

「去年いっぱいタイミングで妊娠しなかったら

 ステップアップしようと思っていたんです」

と、新しい取り組みに移るきっかけにされたというお話を

何度もおうかがいしております。

 

今、ブログを読んでおられる方の中にも

何かを決意された方がおられるのではないでしょうか。

 

何かを決めて行動していくときって、

自分に対しての誇らしさと

これからへのわくわくと

未知のことへの不安が

混在しているような感じがありませんか。

 

私は、このとき特有のこの感じが

わりと好きなんです。

新しい自分に出会う扉を開ける機会は

いつでも作れるわけではないので

とても貴重なことだなあと思っています。

(変化していくことだけでなく、

 継続して何かを続けていくことも

 同じく貴重なことだと思っています。)

 

通院されている中で、

うれしいときや調子がいいときもあれば

悲しいときやなかなか前向きに考えられないときなど、

いろんな状況があるかと思いますが、

そのときそのときの

あなたの考えや気持ちを共にしながら

一緒に進んでいきたいと、

スタッフ一同思っております。

 

また、カウンセリングルームでは、

妊娠にまつわるお気持ちや

人間関係などのお話はもちろんのこと、

気になっていたり引っかかっていたり

なんだか考えてしまうようなことが

妊娠とは直接関係ないことだったとしても、

それがどういったことなのか

お聞かせいただいています。

 

自分で思っていることや理解していることと、

自分のこころに沿って

導き出した理解や答えとは、

また違うものです。

カウンセリングを通して

こころに沿ってお話をする中で、

気になっていたり引っかかっていたりすることに

また違った理解や意味を見つけることもできますよ。

 

自分に対しての自信を失わずに

自分に誇りをもって、

進んでいきませんか。

 

みなさんにとって

こころやさしい一年になりますように…。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


安心に囲まれて、よいお年をお迎えください。

 

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クリスマス付近には雪も散らついて

本格的な冬に突入した感じがしています。

 

当院は、年内は28日午前中まで診療、

来年は4日から通常診療です。

(来年1月から、草津駅西口の駐車場が、

 工事のためご利用いただけませんので、

 お気をつけください。)

 

年末年始を挟むため

一周期、通院をお休みになる方も

いらっしゃいますよね。

 

お休みを取られていた方に

「お休みされていた期間、どうでした?」

と、おうかがいすると、

みなさん、だいたいきまって

「楽でした~。薬のことも気にしなくていいし」

なんておっしゃいます。

通院しなくていいと、

やっぱり楽なんですよね。

 

それだけ、ずっと頑張っていて

気が張っているということなんだと思います。

だから、ゆっくり休んで、

頑張っているこころとからだを

たっぷり労わってほしいです。

 

通院のことだけでなく

お仕事でもお忙しかったり

人間関係で緊張しているでしょうから、

年末年始のお休み中くらいは、

ご自分がリラックスできる環境で

安心できる人間関係の中で、

こころとからだを回復していただきたいな、

と思っています。

 

お休みの間に

誰かとお話する機会があったとき、

何かアドバイスをくれることがあるかもしれません。

 

私は、他人のアドバイスは、

その人の価値観を相手に照らし合わせる性質を

もっていると思っています。

 

アドバイスが響かなかったり的外れだったときに、

アドバイスをした人が

ご自分のアドバイスがハマっていないと気づいて、

方向を転換してくれるのであれば、

アドバイスをした人は

相手のことを見ながら話している人だと思います。

 

けれど、中には、

自分の価値観を相手に取り入れてほしかったり、

自分の価値観を評価してほしかったり、

アドバイス通りに実行してほしいと思っている人も

いらっしゃるんですよね。

それが、本当に相手のためになることもあるかもしれませんが、

相手がそれで調子を崩したり

アドバイスに傷ついていたりしても、

責任をとってくれないような気がしています。

 

価値観が違う人とも

お互い理解しあって…、というのが

理想のように感じますが、

それにはお互いの労力が必要です。

今は会いたくない人、

価値観が合わない人や

価値観を押し付けてきそうな人とは

会わないという選択も、

堂々としていいと思っています。

(要は、我慢して親族に会ったり

 同級生に会ったりしなくていいですよ、というお話です。)

 

安心の中に身をおいて

頑張った自分を回復させることを優先して、

パワーを溜めたみなさんに

また来年、お会いできるのを楽しみにしております。

 

よいお年をお迎えください。

 

 

追伸:

カウンセリングルームに

絵本作家の山田和明さんのポストカードを飾りました。

今日の写真はその一枚、

この絵のタイトルは「降り注ぐしあわせ」です。

 

 

公認心理師/臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 

 


お返事、お待ちしております。

 

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当院に通われている方同士で

お手紙でのやり取りができたら…とシェアレターを始めました。

そして、先日、シェアレター通信の1通目を発行しました。

 

シェアレターを始めて

これが一番最初の手紙ということで、

勇気を出して投函してくださったのではないでしょうか。

(私も、誰か投函してくださるのだろうかと

 ドキドキしながらお待ちしておりました。)

 

大事な思いをみなさんに届けてくださって、

ありがとうございます。

 

シェアレター通信を読まれて、

「私も同じようなことで悩んでるなあ…」とか

「その気持ちわかる~!」とか

「私たちはこういう考えだなあ」とか

みなさんそれぞれに

差出人の方の状況に思いを馳せたり、

また、ご自身の状況と照らし合わせて、

いろんな感想をお持ちだと想像しています。

 

是非、みなさんの思いやメッセージを

お手紙にしたためて、

お返事をくださるとうれしいです。

 

待合室で一緒に座っているみなさんを

「みんな同じ目的でがんばっている仲間」

と、思って励みにされている方が

たくさんおられます。

同じ目的の仲間だからこそ

安心したり背中を押してもらえるような

やりとりができることがあります。

 

みなさんのお手紙での交流が

おひとりお一人の支えになりますように…。

お返事お待ちしております。

 

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


男性側にも要因があるケースの場合。

 

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精子の数が少ないなど

男性側に妊娠へ影響しそうななにかが見つかった場合、

男性に気を遣う女性はとても多いんです。

 

そういった状態の方は

男性外来で専門的に診てもらうことを

すすめられると思うのですが、

精液検査の結果を伝えるのに

胸がグッとつっかえた感じがしたりして

男性外来すすめられたとは

とても言えないという方もおられます。

 

パートナーさんが、

つらそうだったり不機嫌そうに見えたり

「自分のせいだ」なんて言ったりすると、

女性側も胸がしめつけられたり

こころが重くなったりするんですよね。

 

こころの中では

「わたしだって頑張って病院行ってるし

 毎回内診して、注射も打ってるんだから、

 そっちも良くなる努力してよ」

なんて気持ちがうごめいているのに、

パートナーさんの様子をみて

その気持ちを押し込めたりする…。

そんな方も多いんじゃないでしょうか。

 

妊娠は、自分ひとりのことではないので、

とても難しいですよね。

パートナーとしっかり話し合って

「今」お互いが思っているところで

意見をすり合わせして、

合わないところはお互いの妥協点を探して…

そんなふうにすすめておられると思います。

 

「今」にわざわざ “「」” をつけたのは、

例えば、「体外受精はしない」と思っていた人も

時間が経過することによって

意見が変わってくる可能性があるからです。

 

なので、周期ごとに

「今」わたしはどう思っていて、

あなたはどう思っているのかを、

話し合って決めていく、

といったプロセスを歩む必要がありそうです。

 

とはいえ、慣れ親しんだ関係では

お互いの性格がわかったり

普段の関係性から、

「これは言わんとこう」

としていることがあると思うのですが、

「これは言わんとこう」

をすると、きつくなってきたり

進めていけなかったりすることが、

妊活中にはありがちですよね。

 

なので、話し合いのプロセスは

なかなかハードな側面があると思うんです。

でも、このプロセスをしっかり重ねることが

今後いろいろな支えになってくれるのではないでしょうか。

 

ところで、ピンチはチャンスではないですが、

何か困ったりうまくいかなかったりという状態で

カウンセリングに来られたとき、

「ああ、この方が変わっていくチャンスでもあるなあ」

と、受け取れることが、よくあります。

 

人って、これまでの自分のスタンスでは

立ち回るのがむずかしくなってきたときに、

自分自身を変えて乗り越える力があると思うんですよ。

ですから、不妊治療を乗り越えたカップルは、

不妊治療に直面する前のお二人よりも

深くてかけがえのない関係性になられていることがあります。

 

妊娠までにいろんな難しい局面があるでしょうし

チャンスとかどうでもいいから

すぐに妊娠したいというお気持ちもおありでしょう。

苦労せずに妊娠したいものですが、

もしよかったら

チャンスの側面もあるかもしれないことにも

思いを馳せていただけたら…と思います。

 

また、そういったことについても

ゆっくりお時間とって

お聞かせてくださいね。

 

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


治療をやめた方への調査記事から。

 

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“不妊治療を断念した女性が

  子のいない人生をどう捉えているのかを、

  関西大の香川香教授が調査した”

という記事がありました。

 

不妊治療、でも「産まなかった」 おろそかにされる心理面のケア

 

この記事によると、

不妊治療を断念した女性の心理は、

・子のない人生への悲嘆と拒絶

・他者や社会への貢献意欲

・自己の人生への自信

・ありのままの人生の受容

の四つに大別されることがわかったようです。

 

そして、不妊治療終了に影響した理由が、

経済的・就労のこと

配偶者や親の考えなどの、

自ら納得した結果でなかった場合は、

人生を否定的に考えるケースも多いことがわかったそうです。

 

私は、みなさんから、

治療を終えるかどうか、

どうしたら終えられるのか、

そういった逡巡について

おうかがいすることがあります。

 

治療を終えることにまつわる

前向きな面に意識が向けられることもあれば

悲しい面にとらわれるときもあって、

こころが絡まったり、

決めるのがこわかったりしますよね。

 

“「自分たちの子どもと一緒に生きたい」という願いが叶わなかった”

という点においては、

治療を終えることは

悲しみをまとうものかもしれません。

 

けれど、この調査によると、

その先の未来は

悲しみ一色というものではなく、

「わたし」のかけがえのない人生を

慈しみながら暮らしておられる方がたくさんおられるのですね。

 

通院中は、妊娠にまつわることに

エネルギーも時間も心身も

ずっと捧げてきたわけですから、

そのことから解放されることで

楽になる部分は絶対にあると思うんです。

今の自分がやりたいことやキャリアに

思い切りエネルギーをかけることもできます。

そして、治療を通して得た

パートナーとの関係性は

それまでより深く、かけがえのないものになっていて、

これからの大きな支えにもなるでしょう。

 

この記事によると、

これからの人生も

自信をもって生きていくためには、

治療中から、パートナーやご家族が

大きな支えになっている実感があったことや、

ご自分が納得して

治療の経過をたどれたことなどが

大きく関わってきそうです。

 

私は、通院中はもちろんですが、

通院の中断や終わりをめぐっての

いろいろな気持ちやこころについて

立ち止まったり振り返ったりする時間を

大切にしたいなあ、と思っています。

 

カウンセリングは

まず一歩、みなさんから来ていただくという

アクションが必要になります。

カウンセリングにピンと来られた方や、

相談してみたいけど

誰に話していいのかわからないことがある方は、

一度、思ったことや感じたことをお聞かせください。

子どもがいてもいなくても

かけがえのない「わたし」の人生を

堂々と生きていくこれからに向けて、

一旦立ち止まってゆっくり整理してみる時間をつくりませんか。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


自分自身とのおつきあい。

 

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何か大きく妊娠に影響するような

状態や状況がないようでしたら、

体外受精をするまでは

「体外受精をすれば妊娠するやろうなあ…」

と、想定されている方が

ほとんどだと思うんです。

 

分割してきた受精卵を子宮に還すのですから

着床しそうな気がしますよね。

 

ところが、数回チャレンジしても

なかなか妊娠しないこともありまして、

「妊娠って本当にキセキなんですねえ」

と、命の誕生のふしぎを実感されることもあります。

 

子宮に受精卵を還しても着床しない場合

子宮の環境や着床のタイミングの問題などが

妊娠に影響していることもあるのですが、

“ 成長し続けられる受精卵じゃなかった ”

ということがわりと大きな要因だったりします。

(*受精卵の染色体の異常)

 

そうなったときに

医療の力ですすめていくことに加えて

“卵子、精子の質を高くする”ことにも

意識が向くようになるかもしれません。

卵子、精子の質は、

生活を工夫する中で改善が期待できると言われています。

 

どういったことが良さそうかというと

キーワードは抗酸化力になってきそうです。

抗酸化力のある食事、サプリメント、運動、睡眠、たくさん笑うこと、

活性酸素の発生を抑える生活が推奨されています。

(詳しい内容を聞きたい!という方は

 栄養のお話でカウンセリングの予約をとってくださいね)

 

ただ、痛み止めを飲んだらすぐに痛みが和らぐように速く、

生活を気をつけたらすぐに卵子や精子の質が上がるものではないので、

卵子や精子の質をあげる生活は

常日頃から心がけたいところです。

 

妊娠のために

今までよりも気をつけて生活することを想像すると、

ちょっと大変に感じたり、

大げさすぎ、頑張りすぎと感じる人もいると思います。

けれど、こういった生活は、

妊娠のためだけということではなく

人が健康に暮らしていくために

役に立つと考えられているんですね。

 

「子どもがいる人はみんな

 妊娠のために気をつけて生活してたわけじゃないのに…」

というお気持ちもあるかもしれません。

人のからだって、

みんな同じじゃないところがありますよね。

若くして病気になる方が

みんな不摂生だったかというと、

決してそうではないでしょうし、

不摂生していても、大きな病気はない方も

たくさんおられます。

きょうだいがOKだったから

自分もOKかというとそうではありませんし、

その逆もありえることです。

 

自分だけうまくいかないと感じられることも

悲しいけれどもありますし、

他の誰かを、

「あの人、病気になって大変そうやなあ」

と感じることだってあるものですよね。

 

他の誰かがどうであるか、ということよりも、

ここまで生きてみてわかった

自分の特性を受け止めて、

それどどう折り合いをつけて

これから暮らしていくか

というところが大切になってくるのではないでしょうか。

 

自分のからだとこころの特性を知って、

納得いかないところもあるでしょうが

自分自身の様子をうかがいながら受け止めたり、

ウィークポイントは

工夫して守ってあげたり、

そんなふうにしながら、

時折落ち込んだりするかもですが、それも含めて、

自分自身とつきあっていけるといいですよね。

 

みなさんは、自分自身のご機嫌もとってあげられていますか?

 

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 


「シェアレター」で交流しませんか。

 

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みなさんとのお話の中で

「みなさん、どうされてるんですか?」

「私と同じようなことになった人います?」

「周りに同じような状況の人がいなくて…」

と、ご自分だけがこの状況を生きているような感覚になることを

伝えてくださることが多いんです。

 

それぞれにそういったことをおうかがいするので

「あ、この方がこう言ってたことをあの方に伝えたい」

「ああ、この方とあの方が一緒に話せたらいいのに…」

と、勝手にマッチングを想像している自分がいたりします。

(実際には伝えたり会っていただいたりできないので

 ちょっと歯がゆい気持ちになります…)

こんなに身近に仲間がいるなら交流できたらいいなあ…

と、ずっとずっと思っているのですが

なかなかグループでのお話合いの機会を用意できない情勢でして、

それならば、聞きたいことをみなさんに聞いてもらって

それについてみなさんに答えてもらえるような

そういう機会を作ってみようと

“ シェアレター ” を思いつきました。

 

まず、みなさんに聞いてみたいことを

お手紙に書いてもらって、

院内のレターボックスに投函していただきます。

そして、その内容に対してのお返事を

みなさんから募ります。

みなさんからの質問やお返事は

カウンセリングルーム通信で

シェアしていこうと考えています。

今月のカウンセリングルーム通信には、

まず「聞きたいこと」をお書きいただく便せんがついています。

 

SNSという素早いターンで

いろんな情報を得られる世の中ですので、

手紙となると時間や労力がかかるように思う方もおられるかもしれません。

けれど、時間や労力を “かける” ことってすごく大切じゃないかな、

と、私は思っています。

手紙をしたためる中で誰かを思い遣る気持ちが大きくなったり

ご自身の思いが変わったり、自分のこころに気づいたりすることがあります。

その時間が、人としての器を深めてくれることもあります。

私は、手紙が好きなんです。

そうやって気持ちを整理することが

私にもあります。

 

あなたが思っていることは

その他にもたくさんの方が

気にかけていることだったりします。

投函するときドキドキするかもしれませんが

お名前はペンネームで募集しますので、

ぜひご参加ください。

 

「そうそう!!」「わかるわかる!!」とか

「そういう場合もあるよね。」とか

いいこともそうでないことも

シェアできたらいいなあと思っています。

いろんなご質問やシェアしたい気持ちを

楽しみにしております。

 

また「こうして欲しい」といった

ご意見やご要望もお寄せくださいね。

みなさんにとっていいものになるように

改善していきたいと思っています。

よろしくおねがいします。

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 


治療内容のほかに、気持ちや想いもお聞かせください。

 

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妊娠をめぐって、

あなたはどんなふうな軌跡を

たどってらっしゃるでしょうか。

 

通院しているみなさんも、治療をする側も、

1回1回の治療に

精一杯で臨んでいると思うんです。

ところが、

ベストを尽くしても

結果が出ないこともあります。

中には、何回挑戦しても

なかなか難しい方もおられて、

そういった方が他の病院の治療も経験してみようと

転院されることもあります。

そして、転院先でも、

頑張って治療を続けられ、結果が出ずに、

また戻ってこられることがあります。

 

どういった治療をされてこられたのか、

結果はどうだったのか、

そういったことは必ず診察のときにおうかがいしていますし

みなさんもしっかり伝えてくださいます。

 

ところで、

不妊治療をしてきて

どんなことが印象的だったのか、

どんなときに、気持ちがつらくなったりしたのか、

どういう感じで通院していたのか、

パートナーさんとは、どんなふうに支えあえているのか、

気がかりになっているようなことはどんなことか、

というような自分自身の体験について

安心して話せたりシェアできる場所や相手はいますか。

 

結果が出ることが何よりも大事で

結果さえ出れば苦労は吹き飛ぶように思えますし、

実際そうかもしれません。

けれど、妊娠しても、子どもが生まれても、

治療中のあの想いは自分にしか分からないだろうし

忘れられないという方もおられます。

 

自分の気持ち、こころ、感じ、想いを飲み込んだり、

無理にポジティブに考えようとしたり、

見ないふりをしようとすることも、

自分自身を守ったり

なんとか治療を続けていくうえで

必要なときもあると思うんです。

 

でも、一方で、

今の自分自身を

ほんとうのかたちのままで

大切にしていくということも、

できたらいいなあ、と思っています。

 

あなたのこれまでの、今の、

気持ち、こころ、感じ、想いは

どんな感じでしょうか。

そういったことを大切にする時間を

治療と併せて過ごしてみませんか。

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


ついに!タイムラプスインキュベーターが導入されました!

 

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先月、当院にも、

タイムラプスインキュベーターが入りました。

 

タイムラプスは、

一定の間隔ごとに撮影した写真をつなぎ合わせて

コマ送り動画にする手法のことです。

インキュベーターは、

受精卵を胚盤胞へ育てる培養器のことです。

タイムラプスインキュベーターは、

培養器に受精卵を撮影できるカメラがついていて、

受精卵の様子を培養器から出さずにモニターで確認できる最新機器なんですよ。

 

タイムラプスインキュベーターを使用しない場合は、

分割の進み具合や受精卵の状態を確認するために

毎日インキュベーターから受精卵を取り出して

培養士さんが顕微鏡で確認をしています。

このやり方では、

インキュベーター内で一定に保たれている

温度や酸素濃度、二酸化炭素濃度とは

異なった外気や光のもとに受精卵を取り出しますので

受精卵への影響が気がかりではあります。

 

タイムラプスインキュベーターでは

培養器内の受精卵を

15分に1度撮影していきますので、

培養器から受精卵を取り出さなくても

モニターを見れば分割のすすみ具合を確認することができます。

なので、受精卵にストレスを与えることなく

培養しながら観察ができるのです。

 

それに、今までは、みなさんに凍結する直前の写真を

お見せしていたと思うのですが、

タイムラプスによって

分割し胚盤胞になっていく過程を

みなさんにも確認していただけるようになりました。

 

私も見させていただきましたが、

分割が進んでいく様子をみていると

「生きているんだなあ」

という実感がより湧いてきました。

 

タイムラプスで確認された方は、

一枚の写真で確認していたときよりも

より愛着が生まれたりするのではないでしょうか。

 

さて、この大切な大切ないのちを

子宮にかえしていきます。

移植をしてから判定までの毎日、

からだの調子を気遣ったり

おなかに手をあてたり

いのちに声をかけたりして

過ごす人がほとんどだと思います。

 

判定までの毎日って

ものすごく長く感じられますし、

こころも落ち着かないですよね。

 

そして、判定の日。

残念ながら結果が出なかったときは、

次の周期はどうするかを

決めることになります。

そういうときは

結果をきいたときのショックが

頭もからだもこころも

揺らしていると思うのですが、

きっとみなさん

この動揺をグッと押し込んで

次の周期のことをとりあえず頭で考えて

次のためのお薬をもらったりして

帰られるのでしょう。

 

次の日だって

何事もなかったかのように装って、

がんばって

仕事に行く人が

多いんじゃないでしょうか。

しばらくはいつにも増して

妊婦さんやお子さん連れの方たちを

目にしたくなくなるかもしれませんよね。

 

一度子宮にかえした

ひとつの大切な命が

止まってしまったことを知るって

私はとても大きなことだと思っています。

何ごともないふりをするのは

とてもむずかしいと思っています。

 

気を張っていないと

平常心を保てないような

自分の状態や気持ちを

「そうだよね。そうだよね。」って、

話し合える人や場所があれば

そういうときをやり過ごすのに役に立つと

思ってらっしゃる方は多そうですね。

 

「次があるよ」

「がんばろうよ」

「そのうち、元気になるよ」

なんて励ましはいらないから、

ただ今の状態や気持ちを大切に

ただただ話ができる時間や

ただただ自分を労われる時間が

あるといいなあと思いますし、

できたらそういった時間を

ご自分のために

もってもらえるといいなあと思います。

 

カウンセリングは

こころとからだを大切にする時間としても

用意しています。

特に意見を言ったり

無理に深めていったりすることなく、

ただただ自分を大切にする時間としても

ぜひ取り入れていただけたらと思っています。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


話の聴き方、会話のしかた。

 

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普段の人間関係から思うことなんですが、

自分が話したことについて

「そうだよね。そう思うよねえ。」

と、話し相手が言ってくれると、

安心するような感じがするんですよね。

逆も同じで、

相手の人が話していることから

相手のこころを想像して

「ああ、そう思うのもわかるなあ」という気持ちになって

「そうだよね。」と言うと、

更に相手との会話が深まっていくように思います。

 

一般的に、

誰かとの会話の中では

充分に相手の意見をきいて

相手のこころを想像するよりも、

自分の意見を言っていることって多いと思うんです。

「それってこうなんじゃない?」

「こうしてみたらいいんじゃない?」

「別に大丈夫なんじゃない?」って。

 

もちろん

“よかれと思って”

“相手の助けになるかと思って”

意見を言うこともあると思うんです。

そして、そんなふうに言ってもらった意見が

ものすごくこころに響くときもあります。

「ああ!そうかも!そうすればよかったんだ!!」

と、目から鱗みたいなときも

少なからずあります。

 

一方で、相手に意見を言われることで

もっと話したかったこころの声を

言わずに閉まってしまうこともあると思うんです。

「あなたの意見はいいから

 私の話を聞いてよ」

と、口にはしないものの

心の中では思っていることだって

あるんじゃないでしょうか。

 

どちらかが聴き役になっているときって

「今は、自分の意見よりも、

 相手の話を聴くことを

 優先したほうがよさそうだ」

という判断があって

成立しているんじゃないでしょうか。

それには、聴く側にゆとりがないと、

なかなか難しかったりします。

 

自分の意見を言い合える関係性は

とても健康的なんです。

聴いてばっかりじゃ、やっぱり疲れます。

 

みなさんは

周りの人との関係で

どのような関わりになることが

多いですか?

 

きっと相手によって

関係性って変わりますよね。

 

自分が心地よくいられる関係で

いられていますか。

 

相手の話を落ち着いて聴けるゆとりも

自分の話を充分に話せる関係性も

あってほしいなあと思いますし、

お互いの意見をお互いが伝えあうことを

よしとできる関係性でありたいものですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


パートナーさんとの関係にも深呼吸をいれませんか。

 

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妊娠を願って過ごす中で

パートナーさんと

いろんなことを話し合いながら

すすめておられると思います。

みなさんのお話をおうかがいしていると、

パートナーの存在に助けられているときが

たくさんあるように感じられ、

お互いが自分になかったりできなかったりする部分を

補って支え合っておられるんだなあ、と思っています。

 

そうやって助けられることもある一方で、

治療で受けるショックに温度差があるように感じたり、

生活についても自分の方が気をつけているなあって思ったり、

私の身体やこころの負担、わかってくれてるのかなって思うことも

少なくないと思うんです。

けれど、

「そういうことを口にするとパートナーはどう思うんだろう?」

と、相手の反応を想像して

遠慮することもあるのではないでしょうか。

 

お互いを思うからこそ

思っていることを言えなかったり、

相手に求めていることを言ったら

嫌な顔をされたり

怒ったりされて

悲しかったり、

そんなときだってありますよね。

 

何かに向かって一人で立ち向かうときは

自分ひとりが自分の思うように頑張ればいいのですが、

誰かと一緒に一つのことに取り組むときは

お互いの意思や意見を尊重しながら

すすんでいくことになります。

もしかしたら、ある程度の妥協といいますか、

今の相手との間では “どうしようもないこと”を

抱えながらすすんでいかざるをえないときも

あるように思っています。

みなさんは、パートナーさんと、

どんなふうに歩んで来られましたか?

 

臨床心理士とのカウンセリングでは

そういったお話もおうかがいしています。

 

みなさんの中には

「相談したって、状況は変わらないと思う」

と思う方もおられるかもしれません。

 

私たちは、自分が置かれている状況や

自分の本当の気持ちについて、

どんなことでも語れる関係の中で

否定されることなく語れると、

がちがちになっていた心身がほぐれたり

安心感がうまれたりします。

 

また、お話していく中で

「こんなにパートナーが大事だから傷ついていたんだ!」

「話してみてわかったけど、こういうパターンのときは言い合いになりがちだなあ…」

と、一人では気づきにくかったことに

気づいていかれることもあります。

 

そういったこころの変化や気づきが、

通院期間の心身の状態や

パートナーさんとの関係性などが、

自分にとってできるだけ親和性のあるものになっていくことに

つながっていくと思います。

 

そんなふうに

こころにも深呼吸を取り入れながら

過ごしていきませんか。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


「なんで妊娠しないの?」への答えについて

 

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なにか心配なことがあったときに

ネットなどで調べる方は

とても多いと思うんです。

 

特に、思いがけない出来事があったり

なかなか思ったようにいかないときは、

どうしたらいいのか

もしくは、どうしてうまくいかないのか、

調べようとすることは

ものすごくあたりまえなことだと思うんです。

 

こういった行動について

とある臨床心理士の方が

“ 自分の主体性を守ろうとする働き ”

と、説明されていました。

 

なかなか妊娠に至らなかったり

流産になると、

「なんでだろう?」

って、誰もが思うと思うんですよね。

 

それで、その「なんでだろう?」を解決するために、

こういう状態になる原因について知ろうとするのだと思います。

通院を始めるきっかけは

「妊娠しにくい原因があるのかどうか知りたいから」

ということがとても多いです。

 

ただ、妊娠のための検査というのは、

限界があります。

また、何か影響していそうなことが見つかったとしても

それが全てではありません。

どういうことかというと、

例えば、精子が少な目だったりするとしても、

それは検査できる範囲で分かっただけであって、

検査できないところで

他にも影響があるかもしれません。

 

また、例えば、

「年齢的に、確率は低いんですよ」

「おそらく、受精卵の染色体異常だと思いますよ」

「こういう原因が見つかりましたよ」

などと、現状に対してある程度の説明がついた場合も、

納得ができない気持ちになられることもあります。

 

それはきっと、

「でも、どうして、私に、

 こういうことが起こるのだろう」

というお気持ちなんだと思います。

 

「何%くらいの確率で、こういうことが起こるので、

 あなたがたまたま、この確率に入っただけですよ」

と言われたところで、

「なんで、私が、この確率に入らなきゃいけないんだろう…」

という思いが引っかかる…。

この「なんで」に対しての答えは、

どこかに用意されているのものではなくて、

きっと、ご自分の中で、

どんなふうに折り合いをつけていくかというところで

答えになっていくのではないでしょうか…。

 

どうぞ、自分のこころを守りつつ、

自分のこころがして欲しそうなことを

たくさんしてお過ごしください。

 

また、いろんなことを考えたり、

自分を労ったり、を繰り返していく日々の中で、

思っていることを話せる誰かと過ごす時間が

役に立つことがあると、

私は思います。

私たちのクリニックではそういった時間を

カウンセリングという名前で用意しています。

こころを大事にする時間を共にして、

ご自分の中での折り合いを

一緒に探していけたらと思っています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


開院14年目を迎えて。

 

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当院は、この9月で開院14年目に入りました。

 

今日まで、たくさんの方が来てくださり

たくさんの方が卒業され、

周りの方にクリニックを紹介してくださったりと、

みなさんのおかげで

今の草津レディースクリニックがあります。

 

今現在、通院されている方、

妊娠して卒業された方、

卵子提供や養子縁組などの選択をされた方、

通院をやめる選択ができた方、

より自分に合ったところを求めて行かれた方-。

当院での体験や印象って、

お一人おひとり違うものと思います。

あなたにとっては

どんな体験でどんな印象があるでしょうか。

 

もう来られる予定のないみなさんは、

その後、どんなふうに時を重ねておられるのでしょうか。

通院されているときは、

妊娠のことが「人生初めての挫折」のように

感じられた方も多かったと思います。

そういうことがあったのですから

できたらその後は穏やかに幸せにと願うものの、

人生そうはいかないものだったりしますよね。

困ったりつらかったりしたときは、

頼れそうな人に頼ったり

ちゃんと休んだりしながら、

ご自分を大切に日々を過ごしてください。

もしよろしければ、子宮頸がん検診などで

お顔を見せてくださいね。

 

通院するかどうか迷っておられる方は

たくさんおられると思います。

仕事との両立が心配だったり、

原因が知りたいけど見つかったらどうしよう…と複雑な気持ちだったり、

不妊治療を自分たちがするということに気がすすまなかったり

いろんな想いがあると思います。

悩みますよね。

 

いろいろ考え出すと

出足は鈍ってしまうものです。

「やっぱり、次、生理が来たら考えよう」

って、先に送ってしまいがちですよね。

(そして、このサイクルを繰り返す人もいます)

 

妊娠へのアプローチって

お二人で決めるものなので、

通院しないならしないでいいんですよね。

そのことについて誰かに何かを言われる筋合いなんて、ないんです。

 

ただ、もし迷っていたり、

原因があるのかどうか気になっていたり、

いつ排卵しているのか知りたかったりするようならば、

一度来られてみるのもひとつかなと思います。

だって、いつだってやめられますし。笑

一度来てみて、

いつも頭の中で考えている気がかりも含めて

私たちにお話いただくと、

お答えできることはお答えしますし、

一緒に工夫を考えていけると思います。

 

初めて受診するときは

ちょっと勇気がいるかもですが、

その勇気が安心に変わるんだったら

勇気の出番かもしれません。

 

それでは、14年目の草津レディースクリニックで

お待ちしております。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


乗り切れた自分を褒めましたか?

 

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***************

「友達が妊娠したって聞いた….。

 ちょっとびっくりして、

 すぐにおめでとうって言えなかった。」

 

「友達から久しぶりに連絡来て会って、

 『ああ、やっぱりなあ…』って。

 なんか、もう傷つきたくないから

 そうかもしれないって思って覚悟して会った。

 だから、表面上は、

 ちゃんと笑っておめでとう、できた。」

***************

 

他人のことは他人のこと

自分のことは自分のこと、

そう頭では思っているのだけれど、

気持ちがついていかない時ってあります。

 

別にね、そんなに無理に

頭で考えていることを

こころに言い聞かせようとしなくても

いいんだと思います。

こころで感じていることも

本当のことだからです。

 

「おめでとうって言うのが遅れた自分」も

「笑っておめでとうと言えた自分」も、

どちらもすごかったと思います。

突然、大きな荒波が押し寄せて、

舵のコントロールが効かないかも!という状態になったときに、

それに備えて、前もって用意していたり、

戸惑いながらもなんとか乗り切ってみせたり、

すごい力だと思うんです。

そんなふうにできた自分に

「すごいね、がんばったね」

と、褒めてあげましたか。

 

こういうときに

「友達に心からおめでとうが言えなくて…」

と、自分にガッカリされる方が多いのですが、

いやいや、とんでもありません。

ものすごく頑張ったじゃないですか。

きっと、友達の報告にこころが引っかからずに

喜べる自分でいたかったのだとは思うのですが、

「乗り切られて、本当にすごいですね」

と、みなさんに敬意を表したいと私は思います。

 

もし、「え?そんなふうに考えたことなかった…」

と、思われた方がおられたら、

今からでも自分に

たくさん声をかけてあげてください。

「すごいね」

「がんばったね」

「ありがとうね」

「がんばってくれてたことに気づかなくてごめんね」

 

妊娠希望中に落ち込んだりすることって

どうしてもあるなあ、

と思うんですよね。

そのたびに、自分ってちゃんと

がんばって乗り切っていると思うんです。

 

みなさんは本当にすごい!と、

みなさんのお話をおうかがいしながら私は思っています。

 

 

 

臨床心理士・公認心理師 間塚

 

 

 

 

 


妊娠のこと以外の時間の大切さ。

 


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なにかすごく意識してしまうことがあると、

からだが緊張したり

こころが疲れたりすることがあります。

 

考えすぎはよくないっていうのは、

みなさん、よくご存知なことで…。

できるんだったら

考えないようにするんですけど、

気づいたら考えちゃっているってことも

ありますよね。

 

妊娠のことも

「考えすぎちゃうんです」

「気になっちゃうんです」

とおっしゃる方はとても多いんです。

すぐスマホで検索しちゃったり、

気づいたら30分、1時間と検索しちゃってた!

なんてことも、珍しくないと思います。

 

さて、妊娠のことをどうしても意識してしまう毎日を

なんとかしのいでいくために、

3つくらい、妊娠とか関係のない生活場面や

没頭できるものがあるといいそうなんです。

 

いかがでしょう。

何か、妊娠のことを考えずに過ごしている時間って

思い浮かびますか。

 

お仕事されている方は、

仕事中は、妊娠のことを考えなくていいって

おっしゃいますよね。

お仕事と通院の両立が大変な場合もあると思うのですが、

お仕事をしていることで助かることもあるんですよね。

 

他には、どうでしょう。

何か、「楽しかった~!」って思えたり、

もしくは、気分に大きな変化がなく、たんたんと過ごせるような

そんな時間があったらいいなと思うのですが、

そういった時間を過ごしておられますか。

なにをしても考えちゃうなら

早く寝てしまうのも一つかもしれませんね。

(考えすぎているときは眠れないのが常ですが…)

 

今はなかなかできないけど

前に好きだったこととかを

久しぶりにやってみると、

意外とハマった!

なんてことがあるかもしれません。

 

願いが叶う確率をあげるために、

何かできることを調べて

取り組んでいく姿勢も、

とても大事なこととは思うのです。

 

けれど、妊娠は、

いつ願った結果が出るのか

誰にも分からないことなので、

自分が機嫌よく暮らしている時間があることって

きっと支えになると思うんですよね。

 

結婚生活で

独身のときとは環境が変わって、

やらなきゃいけないことが増えたり

やりたいことができなくなったり、

なかなか思うように暮らせないと

感じている方もおられると思います。

 

今の自分は

願いが叶うこと以外に

どんなことがあったら

ちょっと喜びそうでしょうか。

どんなことがあれば

気持ちが落ち着く時間が増えそうでしょうか。

そういった時間は

どんな工夫をすれば

あなたのものになりそうですか。

結婚後の難しさもあるかもしれませんが、

そういった時間を

積極的にもてるといいなあ、と思っています。

 

 

 

臨床心理士・公認心理師  間塚

 

 

 

 

 


なりたい自分になるために。

 

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今年は行動規制がない夏ですが、

コロナの情勢から

「帰省は控えることにしました!」

という話をチラホラお聞きしていました。

会えない気遣いもあるかもしれませんが、

会うと少なからず気を遣うことになるでしょうし

妊娠のことを詮索されずに済むので

気持ちが楽な部分もあるかもしれないですね。

 

 

ところでみなさん

“こうなりたい!”という自分ってありますか?

 

“なりたい自分に近づくために

 どうしたらいいんだろう?”

この間、研修で、

そういったテーマのセッションを受けてきました。

なので、今回は、

そのことをご紹介したいと思います。

 

ます最初に、

「こういう私になりたい!」って

目標を設定します。

そして、今の自分の現状を把握して

目標とどんなギャップがあるのか認識します。

 

それからね、

このギャップはどうやったら埋まるのか、

何があれば埋まるのか、

そういうことを考えるんです。

そして、そのことを行動に移していくと、

目標へ近づいていくそうです。

 

私は臨床心理士の講師の方に

ガイドをしてもらって、

この目標設定をして

現状を確認して、

ギャップを埋めるために

どうしていったらいいのかを考えました。

 

まず、目標を設定するときに

「こういう私になりたい」自分はどんな自分なのか、

具体的にイメージするといいと思います。

例えば、私は、

「臨床心理士としてもっと成長したい」

と、最初に設定したんですけども、

講師の方に

「もっと成長した自分ってどんな自分ですか?

 解像度をあげて教えてください」

と、言われ、

なりたい自分がより明確に鮮明になりました。

なので、より具体的に、言葉にしたり、

丁寧に絵にしてみたりするのがいいと思います。

 

そして、今の自分のことを、

自分ではどんなふうに感じているのか、確認します。

ネガティブな感じ方からも

ポジティブな感じ方からも

今の自分自身を捉えてみましょう。

それから、目標を叶えるために

どうやったらいいのか、

何があったらできそうなのか、

はたまた、何かを手放したらできそうなのか、

じっくり考えます。

今と目標とのギャップを埋める手段は

今の自分ができそうなことで設定しましょう。

できないことを手段にしちゃうと

進めなくなりますので。

(もしくは、進みたくないっていう

 答えが出ているのかもしれませんが…)

 

できそうなことと、目標との間に、

大きなギャップがある場合は、

その目標に近づくために

まず目先の目標をたてると

いいかもしれませんね。

そしてその目先の目標とのギャップを埋めるために

今の自分ができることを考えましょう。

 

本当に今の自分に大切なルートを出せると

自分がより喜んで生きることに

意識して取り組めると思います。

どうぞ、じっくりお時間とって、

想像してみられませんか。

 

私が研修を受けた感想は、

もちろん一人でもある程度は考えられるのですが、

ガイドをしてもらいながら考えると

一人で想像していたのとは

違った方向に落ち着いて、

その落ち着きどころが心地よかったということです。

より今の自分に

大事なことが

クリアになりました。

きっとガイドが

臨床心理学に基づいたアプローチだったことも

大きいと思います。

ご興味がおありの方は、

私がガイドをすることもできますので、

カウンセリングのご予約をおとりいただいて

目標へのルート探しにいらしてくださいね。

 

 

 

 

臨床心理士・公認心理師  間塚

 

 

 

 

 


男性にとってのタイミング療法。

 

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妊娠を目的としたセックスが

うまくいかなかったり

作業のように感じているカップルは

少なくないんですよ。

 

この間、聖隷浜松病院の泌尿器科医である

今井伸先生の男性不妊についての講演を聴いたのですが、

男性が膣内で射精に至る過程で、

勃起して、その勃起を持続させるためには

リラックスさせる副交感神経を優位にする必要があって、

射精は、反対に交感神経優位のもとで行われるので

高い集中力が求められるそうなんです。

1回のセックスで

リラックスから集中への切り替えがうまくいかなければ

膣内射精はむずかしいということなんですね。

 

プレッシャーを感じると、

まず勃起に影響が出るそうです。

妊娠のためのセックスのときは

「今日は妻のためにも、射精しなきゃ!」

「子どものために、今日は絶対に!!」」

など、少なからず意気込んでしまうこともあるかもしれませんが、

そういう状態だとリラックスには遠いですよね。

 

女性側としては

排卵に合わせてタイミングをとるために

毎朝基礎体温を測って

排卵検査薬を毎日試したり、

仕事や予定を調整して通院して

毎回の内診も受けたり

お薬飲んで注射をしているのだから、

その日は最後までいってほしいものですよね。

 

そして、男性側は、

そういった女性の気持ちを想像して

余計にプレッシャーを感じてしまうところがあるのでしょう。

今井先生は、

女性が男性の気持ちを想像しやすいように、

こういった例示を出されていました。

 

“もしも、女性がオルガズムに達しないと

 排卵しないと仮定します。

 指定された日にセックスをして

 確実にオルガズムに達する自信はありますか。

 これが妊活中の男性の日常なのです。”

 参照:「男性不妊症の診断と治療」

    不妊症・不育症ピアサポーター等の養成研修より抜粋

 

女性はもしかしたら

男性は“射精してあたりまえ”

“射精したい生き物”みたいに

イメージしている方がいるかもしれません。

けれど、そうではないんですね。

 

タイミングをとってと言われた日に

セックスができないことで

ケンカになったりギスギスしたりすることって

よくあると思うんです。

でも、それってきっと、

どちらかが悪いというわけではないんですよね。

そもそも、“この日”って決まっていること、

それで今周期の結果が左右されてしまうこと、

そういう仕組みのせいなんだと思います。

それと、現代の日本は、

セックスの回数が少なくて

セックスの満足度が低い傾向にあるそうなのですが、

そういったところも影響していますよね。

 

セックスの話は

友達に話す機会があっても

なかなか具体的に込み入った事情を話す場がないようで、

当院で状況をおうがかいしたときに

「話せただけで、安心しました。

 どこで相談してもいいんかわからなくて」

と仰られるかたが(カップルが)

珍しくありません。

きっと、毎周期毎周期、

排卵前が憂鬱になったり

カップルの雰囲気が悪くなるほど

ご自分の中で抱えておられたんだと思います。

 

妊娠に向けて

どうしていったらいいのか、

お二人にとって

どうしていったらいいのか、

何か前向きな話し合いができると思います。

よかったら、話しにいらしてくださいね。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


夏バテ対策で、心身の健康UP!

 

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蝉も鳴きだして、

本格的な夏になってきましたね。

元気に過ごしておられますか?

夏バテしてませんか?

 

夏バテは

体温調節がうまくいかずに

自律神経が乱れることが原因です。

こうも湿気が多くて暑いと

なかなか体温の調節が難しいですよね。

そして、屋内は冷房が効いていますし、

温度のことだけでも

自律神経の調節は大忙しです。

 

夏バテの症状は

・イライラしやすい

・食欲低下、消化不良

・睡眠不足、眠りにくい

・身体がだるい、疲れがとれない

・ボーッとする、思考力や判断力の低下

というような症状が代表的です。

なんだかうつ病の症状と似ていますね。

 

さて、自律神経の乱れからくる心身の不調ですが、

この状態を立て直すためには

まず睡眠を回復していきましょう。

そして、食事と運動ですね。

 

実は、私は、若い時は生活習慣のことを

そこまで重視していませんでした。

臨床心理士を目指していたころも

生活習慣を整えた方がいいことは知ってはいても

こころの不調って心理学の理論や療法に基づいて

解決していくものだと思っていたところがありました。

でも、経験と経年により、

生活習慣が健康に生きていく上での基本であることと

生活習慣でこころの不調も改善する部分があると知りました。

大事なんですよね、生活習慣。

そして、健やかな生活習慣は

妊娠の後押しもしてくれることも知りました。

みなさん、生活習慣は、健やかでしょうか。

 

まずは、眠りましょう。

「夏バテ 対策」

「眠りの質をあげる方法」などで

検索をすれば、工夫の仕方がたくさん出てきますね。

・眠る1時間前に入浴を済ませる

・食事は3時間前に済ませる

・日中に運動をする

・たんぱく質を摂る、腸内環境を整える

・落ち着ける空間(音楽、アロマ、空調、照明など)にする

・寝具を適したものに改める

・寝る前にカフェインが入った飲料は控える

・寝床で睡眠以外のことをしない

・ストレスを溜めない

というようなことが、王道な工夫ですかね。

 

習慣を変えていったり

心身を整えていったりするのには

ある程度の日数がかかるので、

1日、2日試して効果がなくても

しばし続けて様子をみてみられることを

おすすめしますよ。

 

さて、睡眠大事ですよー!と言うと

「何時までに寝なきゃ!」

「お布団に入ったのに眠れない!」

と神経質に考えてしまうこともあると思うんです。

寝たいときに寝れないと、ストレスですよね。

こういうとき、どうしましょう?

 

頑張っても思ったようにならないときって

どうしたってありますよね。

そういうときは潔く

「しょうがない」ことにしませんか。

 

生理周期によって、卵胞の育ちや受精率が変わるのと同じで、

私たちの身体って変化しつづけていますし、

昨日と今日が全く同じ毎日ではありませんので、

昨日はうまくいったことが

今日はうまくいかないってことって

どうしたってあるんです。

 

寝付けないときは一旦起きて

ゆっくりストレッチしたり、

大きく深呼吸してみるのもいいですよ。

そのときのコツなんですが、

何か考えながらするのではなくて

ストレッチでしたらストレッチに集中して

どこの部分が伸びてそうか

その伸びを充分に感じるということに

意識を集中してみるといいです。

大きく深呼吸するときも

なにか考え事が浮かんでも

それ以上考え事には構わずに、

息を吐いていくときに凹んでいく肺やお腹、

すったときの鼻からお腹に入っていく空気の通り道、

もう一度吐いたときの身体のゆるみ方などに

注意を向けて呼吸するととてもいいですよ。

 

焦らず、少しずつ、

ここちよく暮らせる生活を

取り戻していきましょう。

 

 

 

公認心理師/臨床心理士  間塚

 

 

 

 


休んでいいんですよね、きっと。

 

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この写真は

知人が撮影した

ドイツの農村風景です。

 

ドイツでは、

風邪の症状があって病院に行っても、

大したことではない場合は

受診しなくても手に入るような薬しか出されずに、

「とりあえず休んで自分で治すように」

って言われるんですって。

 

だから、ハーブティや薬草酒を飲んだり

その体調をよくする食べ物を食べたり

薬局に相談しに行ったりして、

外出せずに療養するそうです。

 

それでも治らないようだったら

受診して西洋の薬を処方してもらうんですって。

「できるだけ自分で免疫力を上げて治しましょう」

という考え方のようで、

「薬を飲んで早く治さなきゃ!」という意識はなさそうです。

 

「早く治そうとしないんだったら、仕事はどうなっているのかな?」

と思ったのですが、

「風邪気味かなあ」というときや

「体調崩しかけているなあ」というとき、

ドイツでは、最初の3日間は医師の診断書なしで

病気休暇をとれるようです。

 

4日目以降は医師の診断書がいりますが、

体調不良の内容や病名については

プライバシーの保護から

会社側に伝えられることはありません。

上司の人が「どうして休むの?」

と聞いてしまうと、パワハラになります。

 

いいですよね。

日本みたいにいちいち

“ 生理休暇 ”とか“ 不妊治療休暇 ”とか

名前をつけてしまうと、

なかなか申請しずらいところがありますけども、

(申請しずらいのは、日本人の心性かもですが…)

理由が生理であっても

不妊治療であっても

精神的なことによるものであっても

一括して “病気休暇” なんです。

しかも、この病気休暇、有給休暇にカウントされないんですよ!!

そして、なんと!病気休暇は年間最長6週間とれて、給料全額保証なんです!!

 

この制度を知って

本当にいいなあ、と思いました。

日本も有休消化の義務化とかっていう

ちょっとしたところを推進するんじゃなくて、

抜本的に制度化してほしいですよねえ。

 

風邪気味やちょっとした不調で

仕事を休む選択をとれる人って

日本ではまだ多くないように思うのですが、

みなさんはいかがでしょうか?

 

体調にも影響する

精神的な不調や自律神経系の不調は、

一時的な風邪の症状とは違って

少し長くなることがありますし、

実はたくさんの人がそういった症状とつきあいながら

社会生活を送っていると思うんです。

 

ちょっと動悸が起こっただけでは

ちょっと下痢が続いただけでは

ちょっとめまいがしただけでは

自分のために休むことはできなくて、

いよいよ社会生活に差し支えが出たり

もう家から出られる状態じゃなくなって、

やっと休職になる場合が多いと思うんです。

 

もちろん経済的なこととか

経営上のこととか

謎の根性論とか

いろいろ都合があって

この休みにくい風潮ができたのでしょうが、

雇用されている私たち側にも

「ちょっとしたことで休んじゃいけない」

「少し辛くても頑張らなきゃいけない」

という精神論が備わってしまっているように思えるんですよね。

 

けれど、本当にそうなのですかね?

早い段階で、治してあげられた方が、

結果的に本人にも会社にも

いいと思うんですけど、

どうでしょうか?

 

なんで「ちょっとしたことで休んじゃいけない」

なんで「少し辛くても頑張らないといけない」

と思っているのかっていうと、

誰かが不機嫌になったり怒ったりするからだったり

体調が良くないのは自分のせいだと思っていたり

和を乱したらダメだと思っているじゃないかなと思うのですが、

そんなふうに思ったりしませんか?

 

社会がもっと個人を労っていく世の中に

なっていってほしいと願いますが、

自分で自分をつらい状態にもっていってしまわないように、

「この『こうじゃないといけない』という信念はどこから来たのかな?」

と、自分の中で思い込んでいることを

見つめ直していくことも必要なのではないかなあ

と、思っています。

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


ちゃんと、話を聴いてもらったら。

 

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蚊が出だした6月のある日の帰り道、

学生時代の先輩にバッタリ出会いました。

先輩も、臨床心理士として働いている方です。

本当にご無沙汰の偶然の出会いにお互い驚いていると

先輩は私に近況を尋ねてくださいました。

 

このとき、当たり障りなく

「元気にしてますよ」

「先輩はどうですか?」

と返事することもできたのでしょうが、

実はそのころ、私はちょっと元気がない時期で

“自分の中でいろいろ考える”

“自分の中でいろいろ対策を練ってみる”

ということを繰り返していたときだったのです。

 

そこで、私は、先輩に状況や考えていることを伝えました。

誰かにちゃんとわかってほしかったのかもしれませんし、

なんとかして状況を変えなければ!と思っていたのかもしれません。

 

臨床心理士って、雑談の場では

臨床心理士として話を聴くわけではないので、

先輩は先輩として話を聴いてくださっていて、

そして、話していたのは15分くらいなのですが、

それでも「聴いてもらった!」という実感がありました。

 

実はそれまでも何人かの人たちに、このことを話したことがあって、

それで、その方々に話したときと

先輩に聴いてもらったときと何が違ったのかな?

と、振り返ってみたのですが…

 

先輩の場合

・他に作業をしながらではなく、

 私の話を聴くことに集中してもらえる状況だった

・先輩に「他人の話を聴く」ことが身についていて

 「聴く」ことに重点を置いてくださっていた

・「私、思ったように話していても大丈夫なんだ!」と先輩の姿勢から思うことができた

 

他の方々の場合

・相手は「何かをしながら」聴いていた

・相手のよく似た体験談を教えてくれた、励ましてくれた

・相手が思う「答え」を伝えてくれた

・今の自分を「ダメ」と相手が思っているように感じる発言があった

・自分が話したいことをあまり話せなかった

 

こんな違いがありました。

 

他の方々もみんないい人なんですよ。

私を心配もしてくれていたんです。

どちらかというと先輩との場合がちょっと特別なのであって、

基本的に雑談や日常の会話って

こういうものじゃないかな、

と、思っています。

 

雑談や日常の会話の場合の多くでは、

相手は自分のためを思って

一生懸命考えてくれた意見を伝えて

なんとか状況がよくなるようにとサポートしようとしてくれます。

相手は、自分の話から思い浮かんだ似たような体験について

「自分にもこういうことがあった」と

教えて、励ましてくれます。

相手が考えてくれた意見がなんだか自分にハマらずに

「ん~、それはそうなんだけど、でも…」

と、自分の意見を言おうとすると、

その先の意見をちゃんと聴いてくれることもあれば、

相手は不機嫌になっていくこともあります。

もし自分の話をメインで話したいのなら

「お願い、最後まで私の話を聴いて」

と、伝えないと難しいかもしれませんし、

もしかしたら、そう言っても

「え?いつもちゃんと聴いてるけど?」

と、意図が伝わらないこともあるかもしれません。

 

こういうことがあって

“自分のことを十分に聴いてもらう”

という体験は、

本当にかけがえのないものなんだな

と、改めて実感したのです。

 

さて、先輩に聴いてもらった感じがした日、

私は胸やお腹のあたりがスッキリしているのを

確かに感じました。

そして、少し自由さが増した感じがしました。

こころに?思考に?

余白ができた感じでした。

 

とはいえ、それだけで何か大きく変わったかというと、

その後のいろいろな積み重ねもあっての今だとは思うのですが、

そういう体験があったその日からの私と

もし先輩に会っていなかったその日からの私とは

また違った私だっただろうとも思っています。

 

 

 

 

公認心理師・臨床心理士  間塚

 

 

 

 


流産とライフスタイル、安心感の大切さ。

 

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やっと妊娠判定が出て

喜びもひとしおな中、

流産になることが

残念ながらあります。

 

初めて経験されたときは

「まさか…」

「そんな…」

と、絶句するような感じかもしれませんね。

 

流産は、1回の妊娠につき15%の頻度で起こります。

そして、女性の年齢が上がるにつれてこの頻度は高くなるので、

40歳をすぎると40-50%の確率で流産に至るようです…。

35歳以上の女性の38%は

流産の経験があるということです。

この数字だけをみると

周りに流産されたという方があまりおられないかもしれませんが、

おられないというよりか

多くの方が流産の体験を話しておられないのだと思います。

 

無事出産できるように

何に気をつけて過ごせばいいか、

活動量や運動量、

アルコール、カフェインなど、

どれくらいが適量か

気にされている方もたくさんおられます。

 

体重は、流産だけでなく

妊娠合併症にもつながりますので、

標準圏内でいてくださるのがいいですね。

 

喫煙やアルコール摂取は

子どもが生まれてくる確率を下げるそうです。

 

カフェインは一日300mg以上を摂ると

流産が増加するという報告があるようですが、

それを否定している報告もあるそうです。

ところで、カフェインというと

コーヒーを思い浮かべがちなように思うのですが

カフェインは、エナジードリンク、お茶や紅茶、

チョコレートにも含まれていますよ。

 

そして、運動ですが、

「あまり動くと流産になるんじゃ…」と思う方や

「前に流産したとき、仕事が忙しくてバタバタしてたんですよ」と

流産との関連を心配される方がわりとおられるのですが、

運動が流産につながるというエビデンスはないそうですよ。

 

というのも、

初期流産は妊娠10W程度までに起こる流産なのですが、

原因の大部分(80%)が受精卵の染色体異常なのです。

その他、器質的な部分で、

流産につながりやすい体質である場合と、

カップルどちらかに染色体異常が認められる場合があります。

 

流産になった方が

「あのとき、ああしていなければ…」

と後悔されることはどうしてもあるのですが、

多くの場合は

この受精卵は、染色体に異常があって出産には至らないと、

最初から決まっていたということになるんです。

 

ところで、流産を経験した方が

次の妊娠から出産に至られるときに

精神的なケアが有効だとエビデンスで出ています。

(カウンセリングの効果が実証されています)

 

出産希望の女性が

“やさしく、愛情をもって、労わられている”

というような実感がもてるといいそうですよ。

自分にやさしくしてくれる人や安心できる人、

あたたかい気持ちになれる人と

一緒にいたり、お話して、

自分がいい状態でいられる機会をつくってみませんか。

周りの人に、あたたかく、やさしくしてもらって、

自分自身も、自分にやさしくして、

不安な気持ちはぬぐい切れないですが

おだやかな気持ちも感じながら

過ごしていきましょう。

 

参考:「不育症管理に関する提言」改訂委員会 「不育症管理に関する提言2021」

    兵庫医科大学産科婦人科 福井淳史「不育症の診断と治療」

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


気持ちに蓋をしない恩恵

梅雨に入ると身体が重たく感じますが、

毎年、きれいな紫陽花を見られることは、うれしいです。

 

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きょうだいや友達が

妊娠、出産していると、

妊娠の経験がなかったり

子どもがいなかったりすることに

こころがざわつく人は多いです。

ご自分と同じように

妊娠、出産に向かって取り組んでいる人と話すと

安心する部分がありますよね。

けれど、その人との間でも、

これまでの経過や治療内容などで

比べることもあるみたいですね。

 

例えば、タイミング療法をしばらく続けていて

毎回生理がきてしまうと、

こころがつらくなったり、

不安を感じたりしてくる人が多いです。

けれど、自分のそういう気持ちに気づきながらも、

体外受精をしている人や

自分たちより長く治療をしている人を知っていると、

「まだ、そんなに長く治療しているわけじゃないし、

 何年もやっている人とか

 体外受精すすんでもなかなか妊娠しない人もいるから

 こんなんでつらいって言ったらダメですよね」

と思おうとする傾向があるように感じていますが、

いえいえ、つらいって言っていいじゃないですか。

 

つらい感じがするって

とても大切なサインなので、

今の自分が感じていることを

なかったことにしないで

気づいていることはとても大切だと私は思います。

それに、その感じをたよりに

次の手を考えたりできると思うんです。

 

例えば、

タイミング療法を続けていて

妊娠できるのか不安な気持ちが大きくなっているようであれば、

そのことを先生に相談して、

タイミング以外の方法も考えてみてもいいかもしれません。

 

夫婦生活のことで気がかりがある場合で

なんともお二人では風穴が開けられないっていうときは、

そのことをご相談くださってもいいかもしれません。

夫婦生活のことを他の誰かには話しにくいかもしれませんが、

話せたことですごく安心してくださったり

こころがゆるんでくださる方は、とても多い印象がありますよ。

 

また、私は家族や知人に状況を伝えた方がいいと

一概には思っていないですが、

自分の状況を話せたことでスッキリした!

こころが軽くなった!

とおっしゃる方もおられるので、

あなたが言ったほうが楽になれそうな相手には

お話してみるのも一つかもしれません。

 

いずれにせよ、自分の中につらい感じがあるから、

状況を自分にとってできるだけよくしていく工夫を

考えることにつながると思うのです。

だから、なかったことにしないで、

ご自分の中からの声に耳を貸してあげると

少し違った世界が開けてくるのではないでしょうか。

 

つらいとか

しんどいとか

不安とか

そういった感じって、

どちらかというと

あったらダメな気がしたり

自分がちょっと幸せでないように思えたりするものですよね。

けれど、

そういった感じは

あってしかり、だと思うんです。

まずは「そういう感じがあるな」

と気づくことからはじめませんか。

そして、その感じが、

あってもいいもので

今の自分に役に立つ感じであることを知っておくと、

少しゆとりができるかもしれませんね。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


体外受精をめぐって、浮かびがちな思い

 

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最近じめっと暑い日が続くなあと思っていたら

6月になりましたね。

コロナでしばらく自粛されていたイベントやお祭りも、

今年は、通年通りに開催されるものが多そうですね。

私たちのいつもの夏に、また会えるでしょうか。

 

4月から保険診療が始まって、

みなさんにもこれまでと勝手が変わったことについて

対応していただく必要がありましたので、

少しバタバタされたかもしれませんね。

 

「それで、結局いくらで体外受精できるの?」

という質問を、何度かおうかがいしています。

 

採卵から移植まで1回行うと

10万~20万ぐらいになりそうですね。

1度にいくつか受精卵を凍結できたら、

1回目の移植で結果が出なかった場合

次周期は採卵はせずに

ストックしている卵を移植していきます。

すると、採卵にかかる料金はかかりませんので、

次周期は移植にかかる料金のみのお支払いになります。

 

自費診療で体外受精を行うと

個人や病院で差はありますが

50万くらいはかかるでしょうから、

保険診療は、料金面での負担は少なくなります。

 

「それだけ安く体外受精にすすめるのなら、やってみたい」

と、ステップアップを希望されたり

治療を再開される方をたくさんお見掛けします。

保険診療になったことで

自費診療のときは躊躇していた方が

ステップアップされるきっかけにはなっているようです。

 

ただ「保険診療でも10万超えるのかあ…」

と思う方もおられるでしょうね。

「治療せず授かった人たちは

 お金かけずに済んでるのに…」

という想いが湧く人もいます。

お金も時間もかけなかった人への

うらやましい気持ちや、

なかなか妊娠に至らないことを

ちょっと不運に感じちゃうのは、

保険診療でも自費診療でも

大きくは変わらないですよね。

 

そんな気持ちも引き連れつつ

「やっぱりやれることはやろう!」

「後悔しないようにしよう!」

「子どもを授かる可能性が高くなるのなら、がんばろう!」

と、みなさん取り組んでおられます。

 

いろいろ思うことはあるし、

「できたらこうだったらよかった」

という想いは絶えないと思いますが、

叶ったらうれしい願いのために

何を選択するべきか、

もしくは絶対に嫌なことを避けるために

何を選択するべきか、

みなさんそこを大事に

決めておられるように感じます。

 

テレビや本、ネットから伝わる

自分の気持ちを代弁してくれるような

同じような体験をしている人たちの声に救われたり、

妊娠のことを話したら

いろいろ配慮をしてくれる

職場の人や知り合いが有り難かったり、

治療の詳しい内容を知りたいときに

丁寧に説明してくれる

先生やスタッフを心強く思っていただいたり、

そして、

「子どもがいなくても、

 2人の暮らしが十分幸せなのも、ほんと ♡」

と思わせてくれる人と一緒にいられる人生をしみじみ感じたり、

ご自分に確実に注がれている温もりや幸運を

たくさん感じながらすすめていってくださいね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


後悔しない選択をする難しさ。

 

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NHKの “あさイチ” という番組があります。

5月16日(月)の放送は

「今こそ本音で語ろう 不妊治療・新制度」というテーマで

人工授精や体外受精・顕微授精、男性不妊の手術が

保険適用になったことの紹介に多くの時間が割かれました。 

そして、ゲストの安田美沙子さんの妊娠希望期間中のお話や、

不妊治療の末、治療を終えたカップルが

治療の経過と今の暮らしについて語ってくださる時間がありました。

 

また、19日(木)は、

着床前スクリーニングと出生前診断の特集がありました。

着床前スクリーニングは

まだ保険適用ではありませんが、

移植の不成功や流産を繰り返された方や

染色体に変異をお持ちのカップルに

当院でも受けていただくことができます。

移植の不成功や流産の原因の多くは

受精卵の染色体異常と言われています。

着床前スクリーニングでは

受精卵の染色体数の異常を調べることができますので、

染色体数の異常がない受精卵を移植して

妊娠、出産へ至っていただくことを目的として行っています。

ご興味、関心のおありの方は

診察室でご相談なさってくださいね。

 

妊娠に対するあらゆる選択は

基本的にカップルお二人で話し合って

答えを出していただいています。

不妊治療の病院としては

そのために必要な情報を提供して、

お二人に願うことといえば

「後悔しないように選択してください」

ということなのですね。

この「後悔しないようにしてください」は、

私自身も本当に大事だと思っているのですが、

この選択をすることが難しかったり

苦しかったりすこともあると思うんですよね。

 

例えばですけども

治療の経過が長くなってきて、

体外受精に進む話が出てきたときに、

多くの方にとっては

後悔しない選択は、体外受精に進むことになるようなのですが、

「体外受精って、治療の最後だから、

 これで妊娠しなかったら…と思うと、怖いんです」

という気持ちになると

教えてくださる方はすごく多いんです。

それに、採卵がどれくらい痛いのか、

仕事と調整できるのか、

といった現実的なところも不安だったりします。

後悔しない選択をするためには、

そういった不安も引き受けることになるのです。

 

最初、不妊治療の病院に行きたいと提案するときだって、

後悔しないために病院に行きたいのに

「自然に授かるの待とう」とか

「医者にセックスのタイミング決められたくない」とか

パートナーさんに言われると、

後悔しないために話したことだったのに

傷ついてしまうこともあるかもしれません。

 

二人で決めるということは

二人で結果を受け止めるということですが、

一人ひとり考え方も違えば

受け止め方も違ってくるでしょうし、

また、二人で決めることだから

余計に難しいということもあると思うんです。

 

あさイチでインタビューを受けておられたカップルも

二人の妊娠への向き合い方が合わないときがあって、

そのときには二人で受診して

病院で相談したことで、

向き合い方が変わったと仰っていました。

 

二人での話し合いがうまくいかないときは

第三者を頼って、

いつもの話し合いに違う風を吹かせてみることが

いい刺激になることもあると思います。

 

後悔しない選択をするために

自分に湧いてきた気持ちを

パートナーさん以外の人にも話しながら

進めていくことって

とても大切なことなんだと思います。

 

二人での話し合いが煮詰まったとき、

お互いの考えが合わないとき、

答えは出ているけど不安が残るとき、

パートナーには言えない気持ちがあるとき、など

いつでも話しに来てください。

湧いてくる気持ちと連れ添いながら

一緒に進めていきましょう。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


保険適用の体外受精について

 

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不妊治療の保険適用が始まりまして、

過去に体外受精をしたけれど

しばらく通院されていなかった方や、

2人目を望んでいて

経済面から体外受精は考えていなかった方たちが、

体外受精を見据えて

通院を始められました。

 

やはり経済的な部分がネックになっていた方は

たくさんおられるようですね。

保険適用が励みになる部分は大きいと思います。

 

ところで、

保険適用の体外受精と

自費の体外受精では、

できることが異なるのですが、

そのことについてはご存知でしょうか。

 

保険適用の体外受精も

自費で行う体外受精も、

採卵して、受精を確認し、

胚へ成長したたまごを

子宮に移植するという過程は一緒です。

 

では、どこが違うのでしょうか。

 

体外受精では、

採卵するために、卵胞を育てていくのですが、

今までの自費の採卵では、ベストな採卵に向けて

ホルモンの検査や超音波エコーを必要なだけ実施することができました。

ところが、保険適用の体外受精には

ホルモン検査や超音波エコーに回数制限(基本的に3回まで)がありまして、

その回数内でしか確認をすることができません。

「じゃあ、制限回数を超える分は自費で診てもらえないの?」

と思う方がおられるかと思いますが、

 

保険診療と自費診療を

交互に行うことはできません。

そのため、

自然周期での採卵や移植など、

ホルモン状態や子宮・卵巣の様子を

細やかにチェックすることが望ましい場合は、

保険適用で治療をすると

ベストな採卵、移植が難しいかもしれません。

 

SEET法や内膜スクラッチ、

子宮内膜受容能検査や子宮内細菌叢検査は

保険適用にはなっていませんが、

これらは先進医療という位置づけで、

検査や処置にかかる費用のみ自費となりますが

保険適用の周期の中で実施することができるようになりました。

 

また、当院も着床前診断(PGT-AとPGT-SR)の認可施設になりまして、

繰り返す流産や移植の不成功を避けるために

着床前診断を希望される方がおられるのですが、

こちらは保険適用ではなく、

また先進医療としても認められていない現状ですので、

着床前診断をご希望の場合は、

保険適用で体外受精をすることはできません。

(今後、先進医療として認められていく可能性はありますが、

 はっきりとしたことは分からないのが現状です。)

 

このように、今まで自費で行っていたこと全てが

保険適用になったわけではありませんので、

今までと同じ治療を希望したくても

保険では全く同じようにはできないということが起こります。

 

けれど、保険適用での体外受精は、

費用の面ではとても助かる方も多いと思うのです。

今までの体外受精よりも出費が少なくて済みます。

それに、保険適用での体外受精にも回数制限があるのですが、

制限が移植6回まで(40歳~43歳未満の方は3回まで)なので、

採卵については、移植できる受精卵ができるまで

回数制限なく保険適用内でチャレンジできます。

こういったメリットもありますので、

今まで費用のことが気になっていた方は、

保険適用内の治療で受精卵ができる見込みがあるようでしたら

まずは保険適用でチャレンジされてはいかがでしょうか。

 

費用も気にはなるけれども

自分に適した治療をすすめてもらいたい気持ちがある方、

今までの経過から

オーダーメイドで細やかな治療をご希望の方は、

先生と十分に相談して

納得した治療をすすめていただけたら…と思っています。

 

気になることや分からなくて困ることは、

是非ご相談くださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


GWのお知らせと、男性の災難への女性の反応。

 

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もうすぐゴールデンウィークですね。

もしかして10連休の方もおられるんですかね。

ちなみに、当クリニックはカレンダー通り、

30日(土)、2日(月)、6日(金)、7日(土)は

診療しております。

ゴールデンウィーク中なら

パートナーさんと一緒に受診できる方もおられるかもしれません。

パートナーさんと一度一緒に来てくださいと

先生から打診されているみなさま、

この機会にいかがでしょうか。

また、逆にゴールデンウィークは忙しい!

というみなさまは、

また落ち着いた頃にいらしてくださいね。

 

 

知人の男性に血尿の症状があって

尿道の内視鏡検査をしたんですって。

検査のとき

服を脱いで

内診台と同じような台に寝ると、

腰あたりにカーテンが引かれて

足元を開いた状態で固定されて、

まず麻酔ゼリーを尿道に入れられて

そこへ内視鏡を入れたらしいのですが…

ものすごく痛かったらしく(叫びまくっていたらしいです)

内診台みたいな足が開いた状態も嫌だったみたいで

もう二度とやりたくないって言ってました。

 

けれど、この話を女性にしても、

あまり同情されないんですって。

「女性はいつも足広げて検査してる」

「子宮体ガン検査だって痛い」

とか、そういう感じの感想なんですって。

そしてだいたいの女性は爆笑するらしいです。

 

一方、男性にこの話をすると、

「うわあああああああああ!痛そう!!

 絶対やりたくない~!!」

と、だいたいの人が悲痛な表情を浮かべるらしいです。

 

私もだいたいの女性と同じように、

「女性はいつも…」と言ってしまいました。

やっぱりどこかで

「女性ばっかりこういう検査して…」

「女性の気持ちが少しは分かったか!」

という気持ちがあったんだと思います。

そして、もちろん爆笑していました。

 

 

それで、その人に

「妊娠のために卵管の検査があるんだけど…」

と、検査の説明したら、

「痛そう…」と大変さがわかるような表情をしたんですよ。

そこで、

「もし尿道の内視鏡してなかったら、

 卵管の検査の理解度って違ったと思う?」

と聞いてみたら

「…うん…。違うだろうな。」

と言っていました。

 

男性に女性ならではのことを分かってもらうのって

難しい部分がどうしてもあると思うんですよね。

女性が男性ならではのことを理解するのも

難しいのと同じように。

今回のように似たような体験があれば

より実感に近い想像ができるのかもしれませんが。

 

自分がどんな体験をしているのかは知っておいてほしい。

本当は分かってほしい。

分かってもらえないと、悲しいような感じがするかもしれません。

 

自分が体験をどう感じているのか

知ってもらう努力をすることは大前提として、

“相手のことを分かることは難しい

 相手に分かってもらうことは難しい”

ということを知っておくことも

こころの救いの一つになるような気がしています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 


体験をシェアできる関係。

 

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妊娠までの道のりについてブログを開設したり、

SNSで本名とは別のアカウント作って

妊娠希望している人たちと交流したり、

妊娠に関する情報をフォローしている方って

そこそこおられるような印象があります。

 

みなさん、すごいですよね。

自分にとって

今必要なものを

ちゃんと求めていける力があるんですね。

 

似たような体験をしている人と

お互いの体験をシェアできるって、

安心したりホッとする場なのではないでしょうか。

 

願った結果が出なかったときや

職場や家族、友人との関係で、

何度も「グサッ」「ズキッ」とくる体験を

されていると思うんですが、

似たような体験をしている人の間では

体験していない人にはわからないことも

言葉にしなくてもわかってもらえる感じがしたり、

相手のことを思い遣った交流ができますね。

いつもはこころにバリケードを張っているかたも

ここでは解けているような気がします。

 

パートナーさんに大きな不満はないけど、

わかってくれる人にはいいたくなるプチ不満なんかも

こういうところで解消できそうですよね。

診療内容、注射や処置の感想なども、

詳しくやりとりなされているんじゃないでしょうか。

自分の状況を普通に話せる関係は

とても支えになるんですよね。

 

そして、もうひとつ。

あなたがが誰かをを励ましたりすることもあると思うんですが、

この体験って、ものすごく大きいと思うんです。

誰かが頼ってくれることは

(頼られる内容や限度があるにせよ)

うれしく感じることが多いですし、

励まして元気だしてもらえると

喜びも大きくなるでしょう。

それに、

励ましは相手のかたへの想いではあるけど、

自分自身への想いでもあると思うんです。

そういった体験が

自分を癒すことにつながっているんじゃないでしょうか。

 

ただ、この妊娠希望中のコミュニティは、

みなさんも気がかりではあると思うのですが、

ずっと続くものではないかもしれません。

誰かが妊娠、無事出産となると、

今までと同じようなつきあいでは

なくなってしまうこともあるからです。

 

あなたが妊娠したときは

居心地悪い気分になるかもしれませんし、

周りのかたが妊娠したときは

さびしい気持ちが出てくるかもしれません。

妊娠したいし、妊娠してほしいけど、

なかなか複雑なところですね。

 

でも、それまでに、

お互い支えになっていたことは

ほんとうですし、

誰かが妊娠したからって

その経験がなくなるわけではないですよね。

 

それに、人とのおつきあいって

人生のいろんな時期で

変わっていくと思うんです。

 

ある時期に誰かとものすごく近い関係になって、

時が移ろえば

また別の人とつながったり

別の人との関係が深まったり、

そういうふうに変化しながら

つながり続けるものかなあとも思います。

 

なので、時には誰かの助けになったり、

今必要な誰かを頼ったりしながら、

今は今のつながりを

大切にしていきましょう。

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


うらやましく思って、当然だと思います。

 

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この写真は1週間前に撮ったものです。

たった1週間でずいぶん桜の花は散り

青々しい葉が出てきていますね。

 

こんにちは。

 

さて、

友だちが妊娠したときの心情を巡るお話が

カウンセリングルームで

一番よくおうかがいするトピックのように思います。

 

「友だちが妊娠して

 言葉ではおめでとうって言ったけど

 内心喜べないんです」って、

今まで本当にたくさん聞きました。

 

そういう気持ちに自分がなることが

どうにも耐えがたくって、

泣くつもりはなかったのでしょうけど

感情がこみあげて

涙を流される人も少なくないんです。

 

私はいつも聞きながら思っていました。

本気で妊娠を願っている場合や

切実に妊娠を願っている場合は特に、

妊娠した友だちをうらやましく思う気持ちや

自分が置いていかれているような気持ちは、

自然と抱くものじゃないかな、と。

 

似たような出来事としては

友だちと同じ人に好意を寄せていて

相手の人が友だちを選んだ場合、

友だちと一緒に同じ職場に面接にいって

友だちだけ採用になった場合、

ものすごく気に入ったマンションが

売約済で契約できなくて

友だちがそのマンションに入っていた場合、

などが考えられますが、

いかがでしょうか。

 

そういったことは

これまでも起こったかもしれないし

これからも起こるかもしれません。

 

もしかしたらこの先、

友だちの子どもと

自分の子どもを

比べてしまうこともあるかもしれませんよね。

(親が子どもを誰かと比べると

 子どもにとっては心が緊張しますし

 条件つきで愛される体験になってしまうので、

 こうなる事態は避けられることを願っています…)

 

「よそはよそ、うちはうち」

「他人(ヒト)は他人、自分は自分」

と、よく言われますよね。

きっと、そう思えず苦しいときがあるからこそ、

そういうふうに言い聞かすのではないかな、と想像しています。

 

また、「友だちに命が宿ったんだから!」と、

「命」や「生命」は絶対的に喜ばれるべきもの!と

ものすごく強く思っている方がおられるように思います。

受け継がれていく命を喜べない自分って

ものすごくこころがせまいんじゃないかって

自分にがっかりしたり自分を嫌になられてしまうんです。

 

友だちだからって

命や生命のことだからって

「こう思わなきゃいけない」

と、決まってはいないと思うんです。

その時々の、相手と自分との関係性や

自分の価値観、状況などから

素直な気持ちがわいてくるので、

今の自分にはその気持ちが本当だと思うんです。

 

「こういう時はこう思うべきなのに」とか

「こう思える自分でいたいのに」という自分には

ちょっと待っていてもらって、

今の自分が素直に感じることを

「そうかあ。私、この状況をそう感じるんだなあ」

と、否定せずに、今は可愛がって受けとめてみられませんか。

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


不妊治療の保険適用が始まります。

 

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桜の季節になりました。

特に何か楽しみなことがあるわけではなくても

桜の季節ってちょっとうきうきした気分になりませんか。

 

桜の季節は、年度の変わり目です。

4月から生活が変わる方も

おられるのではないでしょうか。

無理しすぎずに、ぼちぼちと

新しい生活に慣れてくださいね。

 

さて、みなさんもご存知でしょうし、

4月になるのを待ち望んでいた方もおられると思いますが、

今まで自費診療だった人工授精や体外受精が

4月から保険適用の範囲に入ります。

経済的な負担が大きいと感じておられる方は多いので

うれしい変化ですよね。

 

とはいえ、今回の保険適用で、

今までできていたことが

できなくなる部分もあります。

 

例えばですが、

エコーや採血の1周期内の回数が制限されます。

今までは必要に応じて細やかに確認して

お一人おひとりのベストなタイミングを

先生が見極めてくださっていたのですが、

今後、保険診療では回数が決められていますので

今までと同じような診療ができなくなってしまいます。

「じゃあ、回数より多くエコーや採血が必要な場合、

 その分は自費で診てもらえないんですか?」

というご質問がありそうですが、

今回の保険適用の決まりで

1周期の間に、自費診療と保険診療を

混ぜることができないんですよね…。

(*先進医療と認定されているものを除く)

なので、保険診療で診療を受けられる場合は、

制限回数内で確認できる範囲まででの診療になります。

 

また、みなさんそれぞれ、

信頼している薬剤や治療法がおありかもしれませんが、

今まで処方していた薬剤や治療法が

全て保険適用になったわけではないようなのです。

ですので、ご希望の治療が

保険診療で受けられるかどうか、

先生と話し合いながら進めてくださいね。

 

一方で、体外受精における保険診療の制限は

移植6回まで(40歳から43歳未満の方は3回まで)で、

今までは採卵のみでも助成金を申請することができましたが、

これからは移植の度にカウントすることになります。

つまり、保険診療で体外受精・顕微授精を試みて

卵子が獲得できなかったり

受精卵ができなかったとしても、

その周期は保険診療の回数制限にカウントされません。

それに今まで助成金を使用した回数は

リセットされますので、

今から6回(あるいは3回)まで保険診療で移植ができます。

 

ただ、先にも触れましたように、

一周期にできる採血やエコーに制限があったり

保険適用になっていない薬剤や治療法があったりするので、

自分にあった採卵法でのチャレンジが

保険適用の範囲内では難しい場合も出てくると思うんですね。

そうすると、

自分の身体には合ってなさそうな方法で

保険適用で採卵を試みるか、

自分の身体に合ってそうな方法で

自費診療で採卵を試みるか、

というような選択肢も出てくるかも…なのですよ。

 

なんとも、歯痒いです…。

 

お一人おひとり、身体の状態が違いますので

様々なケースの方に対応した保険適用制度にしてほしいなあ…。

と思うのですが、

みなさんにとっては、いかがでしょうか。

 

ただ、二人で現状を把握して、

二人で考えて決めていただくということは、

今までと一緒です。

もしかしたら、今まで以上に、

二人で現状を把握していただく必要

何を選択するか二人でしっかり相談していただく必要が

出てくるかもしれませんね。

 

治療をすすめていくうえで

何か困ったことや

うまくいかないことがあったとき、

とりあえずご相談ください。

誰かと話すと

今までより自由に考えられたり

やる気が出てきたり

こだわりを捨てられたり、

そういった話す前には思いつかなかった変化が

訪れることもありますよ。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


ストレス解消のために食べることについて。

 

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みなさんは、

ストレス解消のために

たくさん食べることはありますか?

 

この間、ドラマの中で、

女性が「ストレス解消のため」と言って

たくさん食べていたのですが、

その女性に男性が

「ストレス解消のために食べているのではなくて

 食べたいからストレスを言い訳にしているんですよね」

と、言っていたんです。

 

…さて、どっちが本当なんでしょうね。

 

普段は妊娠のために気をつけているけど、

生理が来たときは

お菓子めっちゃ食べます!とか

お酒飲みます!といった声は

しばしばお伺いします。

 

本当は思うように食べたいし

飲みたい日もあるけど

日頃はセーブしていて、

生理が来たときは

飲んだり食べたりすることをゆるしてあげよう!

というお考えなのですね。

きっとそれだけ

毎日意識してがんばっておられるのでしょうね。

時折そんなふうにして

こころを解放してあげるのも

すごくいいと思います。

 

ところで、

食べたい気持ちがずっと続いたり

毎日たくさん食べたりしている場合は、

それがストレス解消のためだとしても

心身のバランスが崩れている可能性もあります。

 

食べてストレス解消という解決策よりも

そのストレスの受け止め方や

違ったアプローチを考えた方がいいかもしれません。

 

また、食べることで、

満たされていない気持ちを

代わりに満たしているというように

解釈される場合もあります。

 

日頃我慢していて

時折、ご褒美感覚で

食べたり飲んだりするのは

楽しい感じもあって好きです。

ただ、すぐには解決できないモヤモヤや

一人で解決できないモヤモヤを

食べたり飲んだり

買い物したりして

解消している気分になることは、

ちょっと違う感じがしています。

 

気持ちと行動を結びつけて考えると

言い訳しながらその行動を続けていったり

パターン化することがあります。

やっぱり気持ちは気持ち、

行動は行動。

ストレスはストレス、

食欲は食欲だと思うんですよ。

「腹が立ったから焼肉に行く」と考えると

たくさん食べることへの罪悪感が消えて

ストレスも少し解消されるような気がするかもしれませんが、

「腹が立つことがあってまだモヤモヤしてるなあ…。」と

「さて、夜ごはんは何食べようかな。

 今日は焼肉が食べたい感じがするから、焼肉行こう!」は

別のものとしてそれぞれあるんだと思います。

 

ストレスについては

どうしていけそうか

どう受け止めていけそうか

どうつきあっていけそうか

一緒に考えていけたら嬉しいですし、

ご飯はできたら毎日おいしく食べたいですね。

 

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


ご感想をありがとうございました。

 

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この間、通院されている方に

「ブログ読んでますよ」と声をかけていただいて

とてもうれしかったんですが、

ブログの内容への感想ではなくて

「写真、おもしろいですよね」

と仰ってくださったんです。

私は何の変哲もない写真だと思っていたので

「え?オモシロイですか?」

と、どういうことなのかお聞きすると、

「普通だったらこれを撮ろうと思わないですよ」

と仰られました。

 

写真は私がスマホで適当に撮っているもので、

私は写真が趣味というわけでもなければ

ものすごい散策好きでもなく、

いつも「ブログ用の写真がないー」

と、生活圏内の風景を慌てて撮っているので、

確かにわざわざ撮ろうとは思わないようなものが

おさめられている感じがあるかもしれませんね。

慌ててはいる中でも

一応、そのときちょっと心が惹かれた光景を

切り取ってはいるつもりなのですが。笑

 

ですので、そうやって撮ったものを

「おもしろい」と受け取ってくださった方がおられたことに

驚きと喜びを感じました。

 

私としては奇を衒ったような写真ではなく

普通の写真だと思っていたのですけど、

誰かが「こんなふうに受け取ったよ」

と言ってくれることで、

初めてそれに意味が出たんだと思います。

受け取ってくれる方がいて

その方との間では

「おもしろい」という意味が出たのです。

 

これって、とても有り難いことなんです。

 

自分自身のことや

自分自身の振舞い、言動について、

自分で意識していることや意図的にやっていることもありますが、

他者にそのとおり伝わっているかというと

そういうわけではありませんよね。

意識や意図が伝わっていないことも

想定とは違ったふうに伝わっていることも

たくさんあると思うんです。

相手に言ってもらうことで

「あ、私ってそういう人なんだ」

「私ってそういうふうに映っていたんだ」

と、その人との関係における自分の姿が立ち上がってくるものです。

だから、自分自身について、

感じたことを素直に伝えていただけることは

とても有り難いことだと思っています。

 

こういうことって

言い方や伝え方を間違えると

相手を指摘するような

ちょっと攻撃的な感じで伝わってしまって

誤解されることもあるかもしれないので、

直接伝えない方も多いと思うのです。

(私に伝えてくださった方とは、このことを二人で笑いながらお話していました。

 とてもいい伝え方をしてくださったと感謝しています。)

けれども、自分が相手にどのように伝わっているのか

素直に悪意なく伝えてくれる人の存在は貴重ですし、

また相手にもどのように受け取っているのか伝えるということも

大切にしたいなあ、と思いました。

想定外に映っている自分の姿を

伝えてもらうのは、

怖い面もありますが

それも含めてとてもおもしろいです。

 

お伝えくださった〇〇さん、どうもありがとうございました。

今日の写真は、いかがでしょうか。笑

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


いろいろある一つの生を全うできますように…。

 

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この間の祝日、朝ドラを観て、

そのまま “あさイチ” を流しておこうかなと思ったら

あさイチがお休みで、

サンドウィッチマンの病院ラジオが流れてきました。

 

病院ラジオは、

サンドウィッチマンがパーソナリティとして

その病院の患者さんや元患者さんにお話を聴く番組です。

 

今回の病院は、熊本県にある大きな産婦人科でした。

不妊治療から母体胎児集中治療室、新生児センターもある、

周産期医療の総合病院みたいなところです。

 

今回登場された方々は…

 

・妊娠6ヶ月で破水して、7ヶ月で早産したため

 赤ちゃんは自力で呼吸できなかったので、

 半年間赤ちゃんが入院していたという方

 

・無精子症で精巣内の精子を採取して

 顕微授精でお子さんを授かった方

 

・双子のうちの一人に血液が届かなくなって帝王切開したけれど

 その後、ご本人さんの腕の中でその赤ちゃんは息を引き取ったという方

 

・交際相手と入籍をしないで妊娠、出産して

 特別養子縁組に出そうと思っていたけれど、

 やっぱり自分で引き取ることにしたという方

 

・3回の流産ののちに、妊娠8ヶ月で早産。

 その2年後に、ご本人さんが大腸がんステージⅣだとわかったという方

 

お話を聴いていると

妊娠前から産後まで

おひとりおひとりそれぞれに

いろんなことがあるんだなあ…

と、改めて思います。

私たちの病院は不妊治療専門なので

妊娠までのいろいろはたくさん知ってはいるのですが、

当院を卒業されたあとに流産や死産になられることもありますし、

出産で大変な思いをされたり悲しい思いをされたり、

産後の子育てがものすごく大変だったり

また人生における様々な出来事があったりと

それぞれに、いろいろあるんだろうなあ、と思っています。

 

比べるわけではなくても、

どうも自分だけが大変なんじゃないかって

どうして自分はうまくいかないんだろうって

そんな気になることもあるものですので、

「みんなもいろいろあるんだなあ」

ということをちゃんと知っていることで

心持ちが変わることもあるのではないかな、

と思ったりしています。

 

自分の身に起こることについて

どうしていくか選択したり

光を失いかけたり

なんとか受け容れていったりと、

私たちはそうやって

悲しみも内包しながら

一生懸命自分の人生を紡いでいます。

みんな、そうだと思います。

 

そうやって一人ひとりがやっとの想いで紡いできたものを

暴力的な力は一瞬で踏みつぶしていってしまいます。

一人ひとりのかけがえのない一生が

理不尽な力によって

蔑ろにされてしまわない世の中であり続けることを

切に願っています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 


“ わたし ” のストーリーを楽しみつつ大切に。

 

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この間、SNSに流れてきた広告が

「通院しなくても

 栄養をたっぷり摂らなくても

 運動しなくても

 妊娠できる」

といったような見出しだったんです。

出来心でそのサイトをクリックしたくなりましたが、堪えました。笑

広告の内容は、いったい何だったのですかね。

 

時折、

「不妊治療中に何度採卵しても

 もう受精卵もできないことが続いたので

 治療もやめて子どもをあきらめて過ごしていたら妊娠しました」

というようなエピソードを耳にすることがあります。

 

そういうことがあったときに

「妊娠って確率だから、そういうこともあるよね」

と、淡々と受け止める方もおられるかもしれませんが、

「きっと、通院のストレスや

 毎日妊娠のために頑張ってきた生活からも解放されて

 リラックスして暮らしていたから、

 今の私だったら生まれてきたいって

 赤ちゃんが来てくれたんだと思う」

と、今の暮らしやご自身の状況が

妊娠に必然であったかのように受け止める人の方が多いように思います。

 

こういったエピソードを耳にすると

「私、今すごく神経質になってるし、それでダメなのかも」

「助成金分はとっくに使い切ったのに、このままじゃいつまでやってもダメな気がする」

「あきらめたら妊娠するって聞くし、あきらめたらできるんかな」

なんて思いがよぎったりするのではないでしょうか。

なかなか出産までたどり着けない日々が募ると

今取り組んでいることに自信がもてなくなる瞬間もあると思います。

 

もしかしたら本当に

通院や生活習慣と違うことで

妊娠に寄与するものが

存在するのかもしれませんが、

“〇〇したから妊娠した”というのは

結局のところ

その方の「ストーリー」なのだなあ、と思っています。

 

妊娠したときの自分の状況や

そのとき自分が取り組んでいたものを

妊娠に寄与したと受け止める、

そのことがその方にとっては

腑に落ちるストーリーになっているのだと思います。

その方にとっては

それが真実なのですよね。

 

どういった情報を信じるのか

どういったアプローチをしたいのか、

今まで取り組んだことがないことをやってみたくなったり

「そこまではしなくてもいいだろう…」と思ったり

いろいろ迷うことがあると思います。

医療領域でおすすめしていることと

民間でおすすめされることは

内容が違ってきますしね。

 

一人ひとりにストーリーがあって

ストーリーに正解はないのですが、

主人公である“わたし”が

このストーリーの中でどんなふうに物事を受け止めて

どんな部分で変化があって

どんな部分は自分らしさを貫きとおすのかということなども

歩んでいく楽しみにしていきたいですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


「質問してよかった」と思いたい。

 

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みなさんは、質問するのは上手ですか?

私は、わりと下手な方だと思っています…。

 

質問するときって、

それまでにいろいろと考えてひっかかっていたり

ざわざわしている気持ちが

乗っかってくるんだと思うのですが、

その乗っかっている何か、を

伝えてないことが多いと思うんです。

 

例えば、体外受精にすすむかどうかで迷っているとき、

いろんなことが頭をよぎると思うんですよね。

お金のやりくりや

痛みがどれくらいなんだろう…とか

注射に毎日通わないといけないのだろうか、とか

そこまでやって妊娠しなかったらどうしよう…とか

親に言おうか、言ったらなんて言われそうかとか、

いろんなことを考えると思うんですよね。

 

けれど、自分の中では

「体外受精にすすんだほうがいいんだろうなあ」

と、なんとなく思ってはいて

方向は決まっているんだけど、

もう少し気持ちを固めるために、

人に聞きたくなることがあって。

 

「体外受精すすんだほうがいいですか?」

って聞いたら

「経過や年齢から、すすまれることをおすすめします」

というお返事だったり、

「体外受精すすめられてるんだけど、不安なんです」

って聞いたら、

「みなさん、最初は不安ですよ」

っていうお返事だったりで、

「う~ん…。そういう返事が欲しかったんじゃないんだけど…」

と、感じることとかあると思うんですよね。

 

質問を受ける側の多くの人は

質問された内容の言葉に対して

お返事すると思うんです。

質問をする相手がお友達やご家族であったり

お話する時間が十分あるようでしたら、

質問の答えが思った通りではなくても

そこから自分が言いたかったことを十分に言えると思うのですが、

そういう状況じゃない場合って

どうしても一問一答になってしまいがちです。

それで、

「ああ、こんな質問しなかったらよかった…」

と、後悔してしまうっていう…。

 

せっかく勇気を出して聞いたのだから

「勇気出してよかった!」

と、思いたいですよね。

 

私は記者会見を見ているとよく思うんです。

「質問する人はみんな所属と名前伝えて、

 質問の意図も伝えたらいいのに…」って。

 

自分の思いをちゃんと伝えられたら

質問を受ける人にも親切に伝わると思いませんか。

 

例えば、

「体外受精にすすむ気持ちはあるんですけど、

 なんだかいろいろ考えてしまって、

 背中を押してもらえませんか?」

とかね。

「体外受精をすすめられていて

 夫婦でも話し合っているんですけど、

 なかなか結論が出なくって、困っているんです。

 夫は●●という意見で

 私は■■という意見で

 もう2週間、平行線なんですよ。

 どう思います?」

とかね。

 

「こういうふうなことが知りたい」

「こういうふうなやりとりをしたい」

という気持ちがあっての質問なのだったら、

どうしてそう思うのかを、伝わるように伝えられたら、

お返事する人も求められていること理解しやすくなるので

より寄り添って答えてもらえるような気がしています。

 

誰かに質問するときは、

自分がどんなふうに質問されたら

求めるような答えに近いやりとりができそうか、

どんなふうに聞かれたら一問一答になってしまうのか、

想像してみるのも大事だなあ…

と、私もよく反省しているので、

想像力を働かせながら

質問力をつけていこうと思います。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 


誰かにとっての普通であってもなくても。

 

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恋愛のカタチや

結婚するかしないのか、

性生活を求める人ばかりでないことや

子どもを持つか持たないか、

そういった性質や価値観について

いろんなスタンスや状況の方がおられると思うのですが、

個人の性質や価値観に対して

自分の考えを押し付けて言ってくる人が未だにいる世の中で

びっくりしています。

 

「早く結婚しないと」

「早く子ども作らないと」

 

なぜ、自分の価値観が

相手にとっても当たり前だと思うのか、

問いつめたい気分になります。

(そういった光景に出くわすたびに

 「いつまで昭和の感覚やねん!」とツッコミたくなるのを、

 グッと抑えている私です。笑)

 

一時期、“ 普通とはなにか ”とか

“ 普通でありたい ”とか

“ 普通はつまらない ”とか、

普通に関することが

トピックになっていました。

“ 普通 ”がこれだけ取り上げられるということは

きっと多くの方が “ 普通 ”に合わせることに疲弊したりとか

“ 普通 ”から溢れてしまった感覚があったりとか

“ 普通 ”じゃないかもしれないことが怖くなったり、

そういった体験をしているからではないかと推察していますが、

いかがでしょうか。

 

私はどっちかというと

「…普通かどうかってどうでもいいんだけど…」

と思っている方だと思うのですが、

とはいえ、人間というものは自分のことには無自覚なものなので、

私の中の普通というものが

誰かにとっての価値観とはそぐわず

傷つけていることもあるのだろうとも思います。

どういった立場であれ、

価値観を押し付けないように気をつけたいですね。

 

普通というのがマジョリティと同じような意味合いだと仮定して話をすすめますが、

ある人の、人生における数々の選択がどれも多数派だったところで、

そうだからといってその人がしあわせだとは限らないと

私は思っているんです。

しあわせだと思っている人もいれば、

周りからは「しあわせそうでいいね」と言われるけど

そうでもないという人もいるでしょう。

結婚して子どもがいることをしあわせと思う人もいれば

結婚して子どもがいて

ものすごく大変な思いをしたり

家族から逃れたい気持ちになっている人だっています。

本当はつらくなってきているのに

自分はしあわせだと信じ続ける人もいます。

 

だから、カタチを手に入れても

なんの安心にも保証にもならないと思っています。

 

ひとつ、安心になるかなあと思っていることがありまして、

それは、自分のことを理解してくれる人がいることです。

自分が多数派であろうとなかろうと

そういったこともひっくるめて

それよりも大事な部分で

ちゃんと認めてくれる人がいること。

そういった存在はありがたくて

安心に値することだなあ、と思っています。

 

なんとなく求められているカタチのことは置いておいて

ありがたい存在の人がいてくれて誇りだなあ、

ということに目を向けてみるのもいいかもしれませんね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


なにが、ひっかかっているのでしょうね。

 

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今までの治療経過や年齢のことを考えると

体外受精にすすんだ方がいいんだろうけど、

すすむのが怖いというお気持ちをよくおうかがいします。

採卵の痛みや、仕事との兼ね合いを心配される方は多いですが

そのことで足踏みされる方は少ない印象で、

「体外受精でできなかったら、と思うと、怖くてすすめないんです」

とおっしゃる場合は、

とても迷われる印象があります。

体外受精以上の治療法がないのに

それでもできなかったら…と思うとこわくなる、

そんな想いをするかもしれないんだったら今のままでいい…。

そういった心境になられているのですね。

 

確かに、望んでいる結果がでるかどうかわからないことに向かっていくのは、

とても勇気がいることだと私も思います。

 

では、どうでしょう。

今までも結果が出る何かを通過したことが

おそらくあるかなあ、と思います。

例えば、受験や試験、試合、コンクール、告白、就職の面接…

どれもそのときの自分にとっては

とても大事な局面だったと思いますが、

そういったことは

どのように乗り越えてこられましたか。

 

違いとしてよくお伺いすることは

今までの経験では努力をしたらある程度結果が見えたと。

けれど、妊娠に関しては

努力次第でどうにかなるものじゃないから…と。

 

もしかしたら、

「今周期も妊娠しなかった」という結果が積み重なっていって

自分たちが妊娠できるという見通しが

もてなくなっていらっしゃるのかもしれませんね。

 

ところで、

もしできる限りチャレンジしても授からなかったら

あなたは実際に自分自身がどうなってしまいそうだと

想像されているのでしょうか。

 

パートナーさんの反応が気になって、いたたまれないでしょうか?

パートナーさんがどう感じるか、気になりますよね。

でもきっと、それはパートナーさんも同じで

あなたのことを気にかけるのではないでしょうか。

 

親に申し訳ないですか?

親に孫を見せて安心させてあげたいという想いも幾ばくかあるかもしれませんね。

ちょっと想像していただきたいのですが

あなたがあなたの親だったらば、

そんなに頑張ったあなたに

「申し訳ないなんて思うことないのに…」と思いませんか?

 

周りの人たちにどう思われるかが心配ですか?

…今、私はどう伝えようか、何度も書いては消したのですが…

本当に分かって欲しい人が分かっていてくれたら

他の人が自分をどう思っているかは

どうでもいいかなあっという気がしていますが、いかがでしょうか。

 

そして、本当は他に

もっと大きな気がかりがあるのかもしれません。

 

「体外受精にすすむのこわいんです」と教えてくださったからには

しっかりおうかがいしたいのですが、

初診のときは通院の説明がメインですので

カウンセラーとしておうかがいすることができていません。

それに、きっと何回かお話を重ねながら

整理していくお気持ちでもあるように思います。

とても大事なことだと思いますので

また改めてゆっくりお話にいらしてください。

 

あなたが本当に自分の選択に納得して

通院されることを願っています。

 

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


新たな気持ちで。

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お正月休みがあけて二週間経ちました。

毎年「今年は積極的に妊娠に向かおうと思って」

と通院を始められる方がおられるように、

新年やお誕生日という節目は

何かのきっかけになることがあります。

 

今年はどんな年にしたいですか。

一年後、どんな気分で今年を終えたくて、

その状態に向かうには

今どうしておいたらいいのか、なんてことを

思い描いてみるひとときも大事ですよね。

目標に向かうという意味でも大事だし

本当に自分にとって必要なことを整理する

という意味合いでも大事だと思います。

実りのある一年になるといいですね。

 

当院は「不妊治療専門のクリニック」で、

みなさんたくさん調べておられる中で

「1年タイミングとって妊娠しなかったら不妊症」と書いてあるのを見て、

「自分はまだ不妊症じゃないから病院に行くには早いのかな」

と思われる方もおられるのですが、

妊娠をご希望であれば、

どんな状況の方でも来てもらえるので、

ご自分たちが不妊かどうかということは

あまり考えてもらわなくてもいいと思います。

みなさんそれぞれの妊娠を巡るプロセスに

お手伝いをさせてもらうというだけですので、

検査だけ早めにしておきたい方もおられるでしょうし

思い立ったタイミングで

是非、ご予約のお電話をいただければと思います。

 

今までの経験上

踏み出すまではいろいろ不安だし怖いけど、

踏み出してみるとそうでもなかったりすることがあります。

先に先に考えすぎずに

行動してみるのもいいかもしれませんね。

 

毎日の暮らしも

妊娠への想いも

パートナーさんとの関係も大切にしながら、

今年を歩んでいきましょう。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


二人三脚だから。

 

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冬至も過ぎてそろそろ年末です。

お仕事がおやすみになり

ご夫婦でゆっくり過ごせる時間ができそうですね。

 

妊娠のための過程は

(というか、結婚生活そのものがそうかもしれませんが)

夫婦二人三脚で、歩むことになりますよね。

 

二人三脚と一心同体は違うので、

旦那さんの関わり方が

「気を遣ってくれるし励ましてくれるし助かってる」

とは思う反面、

「やっぱり全部はわかってもらえないな…」

と、感じるプチ孤独もあるようですが、

それは仕方がないことなのかもしれません。

 

妊娠への過程は二人三脚ですが

不妊治療は女性側に大きく負担がかかることになりますよね。

なので、心身面からサポートされてほしいですし、

普段の暮らしも頑張りすぎないでくださるとうれしいです。

 

じゃあ女性側だけが大変かというと

男性側もすごくジレンマがあるんだなあ、と感じています。

「妻と代われるなら代わるのに…」

と思う人もおられます。

男性側が積極的に進めたい場合や

女性の辛そうな姿をずっと見ていて苦しい方は

特に「代わってあげたい」と思うかもしれません。

それに、自分の身体じゃないからわからなかったり、

女性の気持ちの変化に気を遣って対応していたりと、

男性の立場でみてみると

それはそれで葛藤の連続なのではないでしょうか。

 

体験や気持ちが夫婦で全く一緒ということには

多分ならないものですが、

共有できる部分もあると思うんです。

女性が悲しんでいるときに

同じ種類で同じ量の悲しみかはわからないですが

男性も同じように悲しみと感じることもあると思います。

ですので、話すときに

「もう自信がない…つらくて続ける気が起こらない…」

と言うよりかは、

「結果がなかなか出ないと本当に妊娠できるのか、自信がなくなってくるね。

 このまま続けていても大丈夫なのかなあ。どう思う?」

というように、二人のこととして話してみるのもいいかもしれません。

 

「私の気持ちは、夫には分かってもらえない」

「僕もつらいし悲しいけど、妻の方がつらそうだから言えない」

ではなくて、

二人の気持ちとしてここは共有できる部分だなあ、と確認できると

プチ孤独も少しゆるむのでは…と思ったりしています。

 

さて、このブログが2021年の締めになりそうです。

今年もみなさん、それぞれ精一杯頑張られたことでしょう。

是非、二人でお互いを労って

こころもからだも温かく、よいお年をお迎えくださいね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


「不妊治療中の自分」だけじゃない。

 

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****************

原因も特にないのに

受精した卵を戻しても妊娠しないのは

なんでなんだろう…

なんでなのか知りたいです

妊娠できなかったらどうしよう…

周りの人に私のせいって思われそう…

****************

 

「なんで妊娠しないのか原因を知りたい」

今まで何回も何回もおうかがいしてきました。

この想いを語ってくださるとき

私も胸が痛みます。

 

体外受精にすすむ方には

検査上問題はなかった方も

たくさんおられます。

初診のときに私とお会いした方は

私からもお伝えしていますし

説明会でも先生が説明しておられますが、

原因を全て調べ上げられるものではないということが

ものすごく歯痒いところですよね。

 

体外受精をして受精卵を移植したら

みなさんすぐ妊娠されるかというと

そうではないこともあります。

基本的に3回移植して妊娠、出産につながらなかったときは

着床検査と不育症検査の紹介をしています。

検査を紹介すると

「まだ調べることがあってよかった」

と、前向きにとらえる方もおられます。

きっと、できることは全部やったと思って、

次の一手に困っておられたのでしょう。

一方で、検査の紹介をきいても

「検査して、何も問題なかったらどうしたらいいんですか?」

「妊娠する気がしないんです」

と、妊娠できるか不安な気持ちが

強くなっている方もおられます。

 

当院からすすめる検査を受けていただいて

問題がない場合、

「出産まですすんでくれる力のある受精卵と出会うのを待つ」

ことになってきます。

 

もちろん先生が採卵の方法や移植の方法を

これまでの経過をみながら工夫してくださいます。

いい受精卵との出会いということは

やはり卵子も精子も細胞が活性化した方が

期待できるでしょうから、

そのためのサプリメントも取り扱っていますし、

食事や運動、生活などを見直すことで

変わっていく部分もあるかと思います。

 

そんなふうにいい受精卵との出会いのために

アプローチしつつ、

みなさんにはできるだけ豊かに過ごしていきたいです。

やれることはやっているのですから、

気に病みすぎずに

他のことにも目を向けて、

自分にやさしく

自分が楽しい、喜ぶ時間を

しっかり過ごしてほしいです。

ある思考にとらわれてしまうと

新しい考えが入ってきにくいし

頭の切り替えができなくなることがあります。

 

「不妊治療中の自分」ばかりにならないように

「仕事が好きな自分」も

「旦那さんと二人でも幸せな自分」も

「大好きな趣味の時間を楽しむ自分」も

いろんな自分を大切にしてください。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


こころを守って。

 

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最近、卒業アンケートを読み返していました。

当院で妊娠して卒業された方の感想やご意見を

ホームページに掲載させていただいているので

ご覧になっている方もいらっしゃいますかね。

 

このアンケートを書いてくださったのは

結果的に赤ちゃんを授かった方たちなので

「あきらめないで」「信じてがんばって」

と、背中を押すような声が多く届いています。

通院する一番の目的は授かることでしょうし、

「頑張ってよかった。みんなにも妊娠してほしい」

と、思っての言葉だと思います。

ご自身の願いが叶ってよかったですね。

 

似た境遇の誰かへのエールは

自分の体験をもとに送られる傾向があります。

治療をやめることを知らせてくださった方に

このアンケートを書いてもらっていたら

また違ったニュアンスの文章が

私たちやみなさんに送られたのかな、と思うと、

その思いも受け取ってみたい気持ちになりました。

 

子どもがいる人生かそうでないか、

どちらの道を歩むのかで

人生が大きく異なることになるとは思います。

ただ、私個人といたしましては

子どもがいる人生の方が素敵だとか

子どもがいる人生の方が良いとか

そういったようには思っておりません。

ただ、また違った人生なんだろうな、と思っています。

 

人の人生って他者が評価できるものではないじゃないですか。

誰かの人生と誰かの人生を

また誰かの人生と自分の人生を

比べたりすることがあるかもしれませんが、

そもそも比べられないものを比べても

出てくる答えは正解じゃないし、

意味がないんじゃないかな、と思っています。

 

みなさんがそんなふうな考えかどうかは分かりませんが

「誰かと自分を比べること」を

しないほうがいいと考えている方は多いですよね。

 

今はSNSがあるので

友達の範囲が広くなったといいますか、

SNSがなければ知らなかったことって

たくさんあると思うんです。

SNSがなかった頃は

個人的に連絡する関係性じゃないと

他人の情報が入ってこなかったのに、

今は個人的に関わりのない人の情報まで

入ってきてしまいます。

こういった個人的な情報が拡散されていることも

こころの平穏に影響しているように思います。

 

自分がどういうことに影響されやすいかは、

自分が一番よくわかっているものですよね。

そういった刺激を避けたりすることも

穏やかに過ごす一つのアイデアだと思います。

 

自分を大事にするために何ができて何が必要か

また何を避けたり距離をおいた方がいいのかということに

目を向けていきましょう。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


”期待” との付き合い方。

 

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私たちは、

無自覚なうちに

期待を抱いてしまっているものです。

 

例えばですが、

オリンピックやスポーツの大会で

その競技や選手に詳しくなくても

「この選手は金メダルを取りそうだなあ」

と思っていた選手が

金メダルに届かなかった場合、

ちょっとがっかりしませんか。

 

友達やパートナーに対しても

期待した感じと言動や対応が違ったら、

「え?なんでそんなことするの?」

「どうしてこう思ってくれないの?」

「こういうふうに考えてくれたらいいのに…」

など、思うこともあるのではないでしょうか。

 

また、赤ちゃんが欲しい理由に

「親が孫を期待しているんで」

「おばあちゃんが、『まだか?』って言うんで」

とお伺いすることも多いです。

こんなふうに、期待される側になることもありますよね。

 

期待してがっかりしたり

期待されてつらかったり

なかなか大変ですよね。

(適度な期待であれば、

 頑張る支えになることもありますが)

 

 

学生の頃に

「期待は勝手だ」と

先生に言われたことがあります。

その当時、親の期待を裏切らないようにと

親にとっての「いい娘」でいなければいけないと思って

しんどい想いをしている子たちが

とても多かったんですよね。

 

「あなたは私の期待を裏切った」という言い方をすることがあります。

そういった言い方から受ける印象では

期待に応えないことがいけないような感じがするかもしれませんが、

「期待を裏切った」という表現は、

期待した人の一方的な言い分のように感じています。

 

そう考えると

誰かが自分に期待をしているからと言って

それに応えて喜ばそうと思わなくても、

いいんじゃないかと思っています。

自分の望みの分だけ

頑張ったらいいんじゃないのでしょうか。

 

一方で、自分が誰かに期待していて、

その期待が叶わなかったときについては、

そのことを自分が受け止めることが必要ですよね。

自分ががっかりしたからと言って

期待を向けた誰かが悪いわけではないのでしょうから。

 

期待とは、うまく付き合っていきましょう。

 


成長した!と言えるすごさ。

 

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このブログで何度か農家の友達が出てきているのですが、

その友達は農主なんですね。

それで、友達が雇っている、ある従業員さんの態度や言動について

戸惑ったり驚いたり困ったりすることがあると

今まで何度も話を聴いていて、

その度に従業員さんみんなで話し合って

その従業員さんが働きやすい環境を作る努力をしてきたのですよね。

そういった話を聴くたびに

「友達も周りの人たちも、妥協して工夫してえらいなあ」

と感心していたのですが、

2ヶ月くらい前にも

その従業員さんから

友達も雪さん(友達の奥さん、仮名。雪さんも一緒に働いておられます)も驚きというか

「自分はよくて他人はどうでもいいの?!」

というような言動がまたあって、

その状況を細やかにメールで伝えてくれたんですよね。

「ちょっと冷静になるために

 とりあえずグチらせて!!」って。

 

その一件は、メールを読んだ私も

「えっ?!それは、腹立つ!!

 人として、どうなん?って言いたくなる!!」

と、一緒になって怒るような内容で、

友達は

「もうこのまま一緒にやっていくのは

 僕も雪も難しいなと思ってるし、

 一回その人と話し合ってみるし、

 雪とも、話し合います」

と返事をくれていました。

 

あれからどうなったのかなあ、と

気にはなっていたので、

この間、その友達の野菜を買いに行ったときに

その後の話を聴いてみたのです。

 

そしたら、

「あれから、ちゃんと話して、

 向こうも今は気になる言動もなく

 働いてくれてるし、

 まあいいかな。」

と友達が言うので、

私は友達や周りの人たちのおおらかさに驚きました。

 

「まあ、めちゃめちゃ大変やったし、

 人に自分の考えとか伝えるとか

 普段せんから苦手なんやけど、

 ちゃんと向き合ったし。

 雪ともめっちゃ話し合ったし。

 俺、成長したわ!」

と、言っていました。

 

この話を聴いて、

不快なことや腹が立つことは

できたら経験したくないものですが、

そういう想いをしながらも

その状況で必要な努力をして

自分の成長に変えていった友達と

その友達の思いや判断を受け容れた雪さんは

すごいなあと思ったのです。

 

どんな出来事であっても

なんでも受け容れられるなんてことは

なかなか人間業ではないと思っているのですが、

受け容れにくいことを

受け容れられるようなカタチに変える努力をして

受け容れていくという

一つの在り方に触れさせてもらいました。

 

何か難しいことや受け容れにくいことと

ちゃんと向き合った先に

成長、変容というものが待っているのかもしれませんね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


不安な気持ちがあるところに、ビジネスあり。

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私は、多分、

誰かのエネルギーに飲み込まれることが

とても苦手です。

 

誰かに着いていきたい!!

その人のようになりたい!!

その人が言うことは間違いないから信じる!!

というタイプの方もおられるので

そういった方には私のこの感覚は

ご理解いただけないかな…とは思うのですが。

 

例えば何かの講習会とかで

担当の先生がバッチリと笑顔を作ってエネルギーに溢れていて

周りの人たちもその波長にあわせてリアクションしたり

先生を必要以上にあがめていたりすると

私は「無理だ…」と身体が拒否しちゃいます。

そんなところで、

「では、目を閉じて、ゆっくり呼吸をしましょう。

 まずは、子宮に手をあてて、

 いつも頑張って働いてくれていることを感謝しましょう。

 感謝の気持ちが、あなたの手から子宮に伝わりますよ~。

 それでは、次に、

 自分がこうなったらいいなという姿を想像しましょう!

 幸せな自分の未来を想像して

 あたたかい気持ちを味わいましょう。」

と、レクチャーがあったら、私は即退席したくなります。

このあと、絶対、感情を溢れさせる人がいたり

感動を呼ぶ系の感想が飛び交ったりしそうなんです。

そして、先生がものすごく感謝されて、先生が救われていそうなんですよね。

それはいいのかもしれませんが、

最初からそこに目的がありそうなので苦手なんです。

今書きながら想像して、背筋がぞわぞわしました。

(*注 この会は私の想像のもので実在しません)

 

とはいえ、子宮に手をあてたり、

感謝の気持ちを送る想像をしたり、

自分にとっての幸せを想像したりすることは

心身にとってはいいことであると思うのです。

レクチャーの内容自体は間違ってはいない、と思います。

私の想像ですから、ないんですけどね、このレクチャー。笑

 

通院以外で、

妊娠のサポートになるなにかを

受ける方もおられるし

探している方もおられます。

結果がなかなか出なかったり

不安になったり焦ったりすると、

他にもいろいろやりたくなるものだと思います。

他にも取り組むということは

取り組み先の人に治療の状況を話しながら妊娠にのぞめるので

お話すること自体も支えになりますよね。

 

そうやって何か他のことを始めたタイミングで

もし結果が出たら、

「今まで妊娠しなかったのに!これのおかげかも!」

という気持ちにもなると思います。

結果が出るんだったら

何だってやりたいという方もおられます。

 

こういったことに

様々なビジネスが入ってきます。

そういったビジネスは往々にして

宣伝広告の力や集客力にものすごく長けています。

もちろん本当にみなさんに必要な

商品やセラピーもあるかもしれません。

 

ところで、商品やセラピーを通して、

みなさんが求めているものの一つは

「自分という個人を、本気で応援してくれる人」

「本当に親身になって、アドバイスをくれたり状況を理解してくれる人」

なのではないかなと思うときがあります。

 

何か始めてみようかと

もし迷うときは、

当院のスタッフにも相談してみてくださいね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


気持ちを切り替えたいのですが…。

 

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「すごく焦ったり、不安になったりしたとき、

 『ストレスがあったらよくないなあ』と思うのに、

 なかなか気持ちを切り替えることができません。

 どうやって気持ちと付き合ったらいいですか?」

 

カウンセリングルームでよく話題になることのひとつに

気持ちの切り替えのことがあります。

 

友達がもう2人目妊娠してるってSNSで知ってショックだったり

今回妊娠しているかどうかものすごく気になったりとか、

そういったときがどうしてもあるのですが、

どうやったら通常運転の自分でいられるのか、

みなさん知りたいと切実におっしゃいます。

 

気持ちを切り替える方法は

いくつかあると思うのです。

試しに、「気持ちを切り替える方法 妊活」でググってみたのですが(笑)、

他の方の体験談を交えて結構出てきますね。

気持ちを切り替える「方法」としては、

運動、吐くことを意識した呼吸、瞑想、眠るなどが、おすすめですよ。

ただ、スマホですぐ検索できるので、

みなさんもうググったあとだと思うんですよ。

そして、気持ちが不安定な時に検索すると、

妊娠しやすくするなんとか療法とか

妊娠にご利益があるなんとか商品とか

そういった宣伝が救いの光に思えることがあるので、

できることは試したいお気持ちがおありでしょうが

そういうときはグッと踏みとどまって、

その代わりに、「ネットでこういう情報見つけたんですけど…」

と、話しにいらしてください。

 

どうやったら通常モードの自分でいられるのか

たずねてこられる方は、

工夫はしているものの難しくて困っておられるか

他のみなさんはどうしているのか知りたくて来られることもあれば、

「今、私、気持ちの切り替えがすごく難しい状態なんです」

ということを、誰かに伝えたい気持ちもあって、

来られることもあるように思います。

周りの人には言っていなかったり、

話せている人はいるものの

どこかわかってもらえていないなあと感じておられるように、

お見受けしています。

 

妊娠を望んでの暮らしの中

ショックで足元が掬われそうになったり

不安で心臓がバクバクしていたり

気になって眠りが浅くなってしまったり、

そういったときもありながら過ごされている方は

多いと思うんです。

気持ちの持ち方って、大変ですよね。

 

泣けてくるときもあったり

なんとか気持ちをやり過ごしたり

ちょっとホッとする出来事があったり

自分に合った工夫を見つけられたり、

いろいろありながら通院を続けておられることを

お話しながら通ってもらえたらうれしいです。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


「がんばって」と言われて。

 

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お昼間はまだ暑いのですが、

日が暮れるのが早くなってきたなあと思っていましたら、

もう10月なのですね。

 

「がんばれ」という言葉があるじゃないですか。

こころが弱っている人に言っちゃダメよと言われたりしていますが、

わりとよく使われる言葉ではあるかなあと思います。

気がついたら口にしていたり、

人からかけてもらうこともよくあるのではないでしょうか。

 

先日、友達が

「がんばって」と言ってくれたんです。

気軽な「がんばって」ではなくて、

私の状況を想像した結果の

少し心のこもった「がんばって」だと受け取りまして

大きくはありがたい気持ちになりました。

ただ、ありがたい気持ちだけではなくて、

「あなたはこのまま頑張ったらいいと思ってくれていても

 この状況をこのままでいいとは思っていない私がいるなあ」

とも思いました。

そうは言いませんでしたけどね。笑

 

誰かからの一声って

結局のところ

相手が声をかけてくれたその状況や状態、出来事を

自分がどんなふうに受け止めているかで

ずいぶんと響き方が変わるんだなあ、

と、思いました。

 

自分もやる気になっていたり

あまりいろいろと気にしていなかったり

「まあそういうものかな」と思っていたりすると

励ましの声が力になったりします。

自分が気にしていたり

「今のままじゃダメだな」と思っていたりすると

励ましの声が重石のようにのしかかったり

見えない刃となってこころを切り裂いたりするのでしょう。

 

その一声が

こころをざわつかせるようなものであっても

そのときに

「そういうこと言われると苦しい」とか

「今の私は、それで傷ついた」とか

言えたら何か変わるかもしれませんが、

その場ではっきり言葉にできなかったりすることもありますね。

 

そういうことが

数日経つともう過去のことになって気に留めていなかったり、

笑い話にできているんだったら

それは大丈夫なんだろうと思います。

 

こころに引っかかっている場合や

焦ったり考えすぎたりする場合は、

自分の中の大事なものが

傷つけられていたり

守れていなかったりするかもしれません。

 

お心当たりがある方は

私と一緒に

こころがどんな状態でがんばってくれているのか

見つめてみませんか。

今の状態や傾向について

じっくりみていくことで

焦りや懸命さや頑なな傾向が

落ち着いていくことがありますよ。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


体外受精が増えて、こころは?

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先日、新しい統計結果が出まして、

2019年に体外受精で生まれてきたお子さんは6万598人だったそうです。

生まれてきたお子さんの14人に1人が体外受精での誕生という割合になり

過去最多の人数を更新したそうです。

この年には、約600施設で過去最多の45万8101件の体外受精が行われたということです。

 

当院が開院した2009年に

全国で体外受精で生まれてきたお子さんは2万6680人

治療件数は21万3800件でした。

また、これまでに、日本で体外受精で生まれた方は、71万931人になるそうです。

 

開院したころは

「不妊治療に通っていることは、誰にも言えない」

という方が多かったですが、

今は不妊治療の経験がある方が身近におられ

情報交換ができたりお話を聴いてもらえることもありますし、

職場に話して治療される方も増えてきたように感じています。

 

そういった意味合いでは

以前よりもハードルが低くなってきているように感じています。

ただ、いざ自分が通うことになったり

検査を受けにきたつもりだったのにその後なかなか授からなかったりして

その間に親族や知人が妊娠していくと

「なんで私は妊娠しないんだろう…」

と、思うこともあるんじゃないでしょうか。

「みんな、ふつうに、妊娠するのに…」と。

このように感じられる気持ちについては

以前も今も、大きく変わっていないように思います。

 

クリニックの待合室では

同じような想いを抱きながら通っているみなさんがいて

心強かったり、励みになったり

「みんな頑張っているから、頑張ろう」

と、思えることがありますが、

クリニックの外では

私たちの現実がとても小さな世界に思えたり

他の人はしなくていい苦労なのかと思ったり

胸がギューーッと締め付けられる感覚がすることもあります。

 

たくさんのみなさんが

そうやって

時には前向きになったり

時には置いていかれている感じがしたり

いろんな想いを抱えながら

ご自身の現実と向き合っておられます。

 

先生との診察で

またスタッフとの関わりの中で

安心したりホッとしたりして帰っていただける日もあると思います。

それでも、思いがけない結果や、

なかなか願ったように進まない日々に、

こころが重くなってくることもありますよね。

また、普段の人づきあいなどでも

複雑な気持ちになることもあるでしょう。

そんなときは、どんなことがちょっと気になったり

どんなふうな気持ちになったり

どんなときに胸がざわざわしたりするのかを、

お伝えいただければと思っています。

そういった時間をもっていただくと、

そのことを違った視点から見てみたり

少し気持ちが軽くなったり

ぐちゃぐちゃの気持ちがまとまったりするような

お手伝いができるかと思います。

 

自分のことを

いやにならないように、

のびのびした自分の状態で

妊娠をめぐる毎日を送っていきましょう。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


快眠のために

 

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最近は涼しくなってきて

とんぼが飛んでいたり、虫の声がしたり、

9月なんだなあ、としみじみ思っています。

 

さて、お話している中で

ぐっすり眠れないという方がおられます。

引っ越しなどで環境が変わったり

生活スタイルが変わると

眠るのが難しくなることもありますよね。

 

どうしたら眠れるようになるのかを

みなさんすでに調べておられるのですが、

 

 朝起きたときに、体内時計をリセットするため日光を浴びる

 朝ごはんを抜かない

 たんぱく質をしっかり食べる

 日中に運動をする・身体を動かす

 夜ご飯は眠る3時間前までに

 アルコール・カフェインを摂りすぎない

 眠る1時間前には、38~40度くらいのお風呂に浸かる

 眠るときはパジャマを着る

 眠る1時間前からはスマホやパソコンを見ない

 気がかりやストレスがあるときは考えすぎないようにする

 リラックスした環境を整える

 眠くなってからお布団に入る

 

といったことが快眠のためによくすすめられています。

 

きっと、いろいろ試しておられるでしょうし

試してみて「あまり効果がなかったなあ」

という方もおられると思います。

自分にとってよい状態になるために

今できる工夫はされているみなさん、

頑張っておられますね。

 

こういうことって

数日試しただけでは変わらなくて

ずっと続けていって少しずつ整っていくものなので、

自分の習慣にしていくことがポイントなのですね。

頑張りすぎないように

楽しさを見つけつつ続けてくださいね。

 

生活はある程度整っているけど

何か気になることがあったり

ストレスがかかっていて眠れない方、

もしくは眠れないから

健康的な暮らしがままならない方もおられることでしょう。

その場合は、少し心地よく暮らせる工夫を

一緒に考えていったり、

繰り返されるストレスで麻痺していたことなどを

スッキリしていくようなセッションができますので

カウンセリングルームにお話しに来てください。

 

うまく眠れないことも

今のあなたにとっての

何らかのメッセージかもしれないと、

私は思っています。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 


新型コロナワクチンは妊娠に影響ありますか?

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新型コロナウイルスのワクチン接種が進み

接種済の方々もおられますが、

受けるかどうか迷っておられる方もおられます。

 

「ワクチンは2回打たないといけないから

 2回打つのを待っていたら妊娠が遅くなっちゃうし…」

「ワクチン打ったことで、

 何か体質が変わって、妊娠しにくくなったら嫌だな」

「排卵後や移植後にワクチン打って

 受精卵に影響したり流産になったりしないかな?」

 

迷われている方の多くは

こういった心配があってのことのように思います。

 

今までに接種してきたインフルエンザや風疹などワクチンは

そのウイルスのタンパク質の一部を投与して

それに対して免疫ができるものでしたが、

新型コロナワクチンは

ウイルスのタンパク質をつくる情報の一部を注射します。

この情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部がつくられ、

それに対する抗体などができることで

免疫ができるという仕組みになっています。

*厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A参照

 

妊娠への影響について、

参考になりそうな情報先へのリンクを紹介します。

 

・日本産科婦人科学会:

 新型コロナウイルスワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)について 

 http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210814_COVID19_02.pdf(第2版)

 http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210617_COVID19.pdf (第1版)

 

・厚生労働省:

 新型コロナワクチンQ&A

 私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか。

 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html

 

・日本産婦人科感染症学会:

 女性のみなさまへ  新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)Q&A

 http://jsidog.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20210721190701-  57649255BD0A756A3E48F8FEB3D9AC5B55FDB9F89BB2D2EFC9C5AA308C98CC3D.pdf

 

 

現在のところ、

妊娠希望中の周期であっても

妊娠中や授乳中であっても

ワクチンの接種は止められていないようですね。

 

ただ、副反応が出る方がおられますので、

できれば副反応が出ても大事に至らない時期に

接種されると安心かな、と思います。

 

それと、やっぱり、気持ちの問題もありますよね。

今のところ、妊娠や流産に対するワクチンの影響は

認められていないようですが、

「ワクチンを打った周期に妊娠したらなんとなく不安だなあ」

と感じる方もおられるかもしれません。

そういった方は、ワクチンを打つ時期は治療をお休みして、

安心して妊娠に向かっていかれてもいいかもしれませんね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


今年の夏休みは、いかがお過ごしですか。

 

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夏空を見上げていると

「青くて気持ちいい~!」

と、夏の気持ちよさを感じるのですが、

すぐに「暑い…」と屋内に避難しています。

みなさん、夏は好きですか?

 

まだまだお出かけしにくい情勢が続いていますが

今年の夏はどのようにお過ごしでしょうか。

帰省も控えてくださいって

お願いが出ていますよね。

会えない間に家族は歳を重ねていきますし

「できるだけ会いたいのに…」

というお気持ちの方もおられるでしょう。

 

一方で「親族の集まりは、今は避けたいな…」

というお気持ちの方もいらっしゃることでしょう。

そういう方たちにとっては、

帰省を控える理由があって

気分的には楽な部分もあるかもしれませんね。

妊娠のこと、触れられたくなかったり、

理解してもらえるなら言いたいけど

ありがた迷惑な言葉をかけられると

「ムムムッ!!」としますし、

悲しまれても嫌だし、

できればそっとしてほしい時もありますもの。

 

因みに、当院にはお盆休みや夏休みはありません。

いつも通り、日曜・祝日以外は診療しております。

普段、パートナーさんとゆっくり過ごせない方も

一緒にいられる時間がもてる時期かもしれませんね。

いつも時間に追われてバタバタ過ごしているから

時間に少しゆとりがある今、

パートナーさんと妊娠のことをじっくり話したいと

思ってらっしゃる方もおられるかと思います。

是非、お二人には、

正しい情報と知識をもとに

考えたり相談したりしていただきたいと思っています。

 

お話をおうかがいしていると、

妊娠しにくいことには必ず原因があって

その原因が見つかったり

100%妊娠できるように治せたりすると

思ってらっしゃる方が度々おられます。

また、治療の内容や妊娠についての情報を

診察を受ける女性側からパートナーさんに伝えながら

進めておられる場合が多いかと思いますが、

伝えるのにエネルギーがいることがあります。

パートナーさんが疲れていたり時間に追われたりしていると

落ちついた雰囲気で伝えることも難しいかもしれません。

 

ですから、ご都合が合うようでしたら、

是非お二人で説明会に来られることをおすすめしています。

 

今のお二人の気持ちや状況にあわせて

現実的な判断も交えながら

決めていってくださいね。

それでは、

こころもからだも

喜ぶような夏をお過ごしください。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


常日頃からこころもケアを

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開催を巡ってさまざまなことがありましたが

東京オリンピックが始まりましたね。

 

心技体という言葉があります。

スポーツの世界において

心(精神力)と技術と体力のバランスのことを言いますよね。

 

こころって

何か困ったときにケアをしてあげるものではなく、

常日頃からケアをしていくものなんですよね。

 

スポーツの世界に限らず、

ちょっとイライラしていたり

なんかもやもやしていたり

すっきりしない感じがあったり

気になっていることがあったりすると、

例えば、仕事のパフォーマンスや、

家族や同僚との関わりや、

暮らしの要所要所が

本来の自分のそれとは

違うものになってしまうことがあります。

 

こころの状態が私たちに与える影響は

とても大きいものなのです。

 

まずは、自分のこころに意識を向けてあげるということが

とても大切ですね。

いろんな状態、もしかして受け容れにくい状態になっている場合も

その状態を無視しないでいることが大切です。

自分が悪い、というわけではなかったり

気づくことで修正できることも多いですから。

 

そして、こころって

自分でなんとかできると思っている人が

いまだに一定数おられるような気がしているのですが、

もちろん自分で調整する技術や能力を

もっておられる方もおられますが、

やっぱり誰かとの間でその能力が発揮されることが多いと思っています。

 

この間、研修で、

自分のこころの状態について

振り返る機会があったのです。

私は1人でもよく

こころの状態を振り返ったり確認したりしているのですが、

研修では先生にガイドしてもらいながらやっていたら

自分1人で振り返るときとは全然違って

また別の視点からこころを見つめることもできて

ものすごくスッキリしたのです。

 

そうやって

誰かとの関係の中で

こころの状態を確認していくことが

とても貴重だということには、

やってみて初めて気づくものなのかもしれません。

 

暑い夏はしばらく続きそうです。

身体も心もバテてしまわないように

毎日自分を大事にやさしく過ごしてくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


栄養と妊娠のこと。

 

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土用の時節になりました。

みなさん、うなぎって召し上がられますか。

 

うなぎは、とっても栄養たっぷりなんですよ。

日本食品標準成分表2020によると

たんぱく質が100gあたり17.1gも含まれているんです。

鶏もも肉よりも多いんですよ!

他にも、ビタミンは、A、D、E、B1、B2

ミネラルでは、鉄、亜鉛、カルシウムが豊富です。

 

ビタミンDは、100gあたり18.0μg含まれています。

このビタミンDは、

初診時にもお伝えしていますが

妊娠に大きく関わっているのです。

ビタミンDがたくさんある人のほうが

妊娠率も、出産率も高くなるんですよ。

ですから、初診時に、

ビタミンDの検査もおすすめしています。

 

血中ビタミンD濃度が30ng/ml以上あると

着床率が有意に高い傾向があるそうです。

日本の研究で、

不妊治療をしている方の血中ビタミンD濃度を測定したら、

30ng/ml以下の方が約9割だったそうです。

20ng/ml以下だとビタミンD欠乏と判断されますが、

当院でも、20ng/ml以上という結果が出る人の方が珍しいくらいです。

 

ビタミンDは、鮭、さんま、さば、いわしなどにも

比較的多く含まれていますが、

食事だけで十分なビタミンDを摂ることは

残念ながら難しいです。

日光浴でビタミンDを作ることもできますが

紫外線を積極的に浴びることには心配がありますね。

こういった理由から、

ビタミンDの摂取には

サプリメントをおすすめしています。

 

特にダイエットをしていなければ

一日の摂取カロリーは足りるとは思うのですが、

現代は質的な栄養失調だと言われています。

必要な栄養素なのに足りていないものが、わりとあるようです。

また、たんぱく質が不足していると

サプリメントを飲んでも栄養が十分吸収されないようですよ。

 

栄養は心にも関わります。

精神科でも栄養療法を取り入れていたりしますが、

それは質的栄養失調により

精神面でも不調が現れるからで、

治療効果も上がっているようです。

 

ー「食べることは生きること」-

よく耳にする言葉ですが、

自分の生まれもった性質や能力を

ちゃんと発揮しながら生きていくことに、

食べることが直結しているのだと思います。

 

バランスよく

おいしく食べて

元気に夏を過ごしていきたいですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


今の自分の状況だったら、怒るよね。

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この間、友人が怒っていたのです。

 

ざっくりした内容としては、

“私は迷惑かけないように

  自分の仕事をしっかりしているだけなのに

  職場の人から嫌味を言われることがある。

  その人は私に気を遣ってくれない。”

というようなことでした。

ただ、すごく語気が荒いのに、

「私、めっちゃ怒ってる」

「私、めっちゃ腹が立っている」

とは、言わないんです。

「向こうも大変やとは思うし

 こんなこと思ったらあかんのやけど」

って、言うんですよね。

 

友人がそう言うと、

私は思わず「え?!めっちゃ怒ってるのに?!」

と、言ってしまいました。笑

怒っているのに

「こんなこと思ったらあかん」って思っちゃうと、

心中ものすごく複雑じゃないですか。

だって、怒りは自分が確かに感じていることなのに…。

 

聴いていると、友人は、

自分が引っかかったことなんて気にならない人間でいたいとか

相手より年上だし理解のある余裕のある人間でいるべきとか、

そういう信念みたいのがあったようです。

こころはいろいろ引っかかったり、腹が立ったりしているけど、

頭で考える自分像は、そういったものも気にならないゆったりした自分で、

頭の中の自分像と自分の実感との間にギャップがあったみたいですね。

 

こういうことって

誰にでもあると思うんですよね。

よくおうかがいするのは

「友達が妊娠したって連絡があって

 おめでとうって言ったけど

 こころの中では全然そうは思えない。

 おめでたいことなのに、喜べない。」

という内容なんですが、

こうするべきだと思うのに

気持ちがついていかないんだー!

っていうとき。

やっぱり、あると思うんです。

 

頭の中の自分像と自分の実感が

ぴったりしていたら

こころは安定しているはずなので、

そりゃあそういられたらいいのですけどね。

頭の中の自分像と自分の実感の差が

大きくなっていくと、

やっぱりこころは落ち着かなくなって、

自己嫌悪に陥ったり

周りを責めたり

不安になったりしていきます。

 

そういうときは、

まず感じていることを

ダメだとか思わないで、

「そう感じているんだなあ」

って、思ってみたらどうでしょうか。

そう感じている自分を

ダメって言っちゃうのは、

なんだかちょっと自分のこころを

無視しちゃっているような気がしませんかね。

 

頭の中の自分像は置いておいて、

今の自分がどんな状態か

もう一度見つめてみることが役に立ちそうです。

自分の現状にじっくり目を向けてみると

「私、なかなか頑張ってるやん」

「それは怒るのも仕方ないよね」など、

自分のことをちゃんと

捉え直すことができるかな、と思っています。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 

 

 


「私の話を聴いてほしいんだけど…」

 

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この間「あ、私、ショックを受けているなあ」

ということがあって

一日気持ちが晴れなかったので、

「ちょっと、話聴いて?」とお願いして

知人に話したんですが…

失礼かもしれないですが

知人は話を聴くのがめっちゃ下手だったんです。笑

 

私の話の内容を聴くと、

知人は結構強い口調で

私がショックを受けた状況に対する意見を言って、

影響していそうな私の性格について指摘をし、

「そもそも、なんでそれでそんなにショックを受けるのか理解できない」

と、言っていました。

 

知人の言っている内容は

状況からして正しいのかもしれないのですが、

「違う違う!私が求めているのはそうじゃない。」

と、こころの中でずっと思っていました。

私は誰かの意見がほしかったのではなくて

話を聴いてほしかったんですよね。

 

でも、人の話を聴く練習って

多くの人はやっていないものですよね。

だから、期待しても、期待通りにはいかないものなのかも…

とも思いました。

 

それにしても、

コロナの影響か

梅雨の影響か

それとも、個人個人のことでなのか、

なぜだかわかりませんが、

最近、人と出会うと、

「うわ~、ストレスたまってるんやなあ」

っていうくらい、誰かにしゃべりたいという人が多いんです。

そして、わりとみんな怒ってるんですよね。

怒りたいのに、しっかり怒りきれないというか、

怒りの受け皿がなくて、溢れている感じで話されるなあ、

と、思っています。

怒りは、悲しい気持ちや傷つきなどから

生まれることが多いんですよね。

 

みなさんには、

十分に自分の話を聴いてもらえる関係がありますか?

とくに、聴き役になりがちな方々は、

どうされているのか、ちょっと気になっています。

安心して、ご自分の話ができる関係が

少しあるといいなあ、と思っていますし、

よかったらカウンセリングルームも

使っていただけたら、と思っています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


こころは、開いたほうがいいのかなあ。

 

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私は、みなさんから

いろいろとおうかがいさせてもらっているので、

妊娠・出産をめぐるさまざまな難しさや心境について

時には、なかなか他の人には言いにくいようなことも

教えてもらうことが多いとは思うんです。

 

けれど、みなさんの体験や気持ちの

どれだけのことを知っているのだろう、

と、ふと思うことが度々あります。

 

“ 一人で悩まずに、相談してください ”

というフレーズは

至るところで見聞しますが、

そのフレーズに触れて

「相談しに行こう!」

と思う人ってどれくらいおられるのでしょうね。

 

「誰かにわかってほしいけど、知られたくない」と思うことも、

「絶対誰にも話したくない」と思うことも、

「他の誰にも、わかるはずがない!」と思うことも、

あると思うんです。

 

私は、臨床心理士なので、

もし何かひっかかっていたり 気になっていることがあれば、

おうかがいできたらと、もちろん思っているのですが。

自分の気持ちや困っていることについて

できたら知られずに過ごしたいこともあるでしょう。

それに、今はネット上での情報交換が本当に多いですので、

自分の顔や名前を知られることなく

似たような経験のある方と情報交換したり、

「いいね」を押してもらったりすることもできます。

 

それだけ、自分のこころを開くことは、

勇気がいるし、リスキーでもあることなんですよね。

こころをオープンにすればいいってものでもなく、

開くことで傷つくこともやっぱりあると思うのですよ。

 

だから、きっと、

私が知らないこと、知らないこころの側面も

たくさんたくさんあると思っています。

 

こころって本当に奥深いし

身体の怪我がや病気と違って隠せちゃうし、

無理に見せるものではないかなあ、とも思います。

 

ただ、それでも、

もし何か話したかったり聞きたいことがあったり

心身が疲れてたり本調子じゃなさそうなことがあったら

ぜひ来てもらいたいなあと思っていますし、

誰かに話してしまうことは躊躇するけど

こころをすこやかに保ちたいときは、

詳しい内容までは話してもらわなくても

こころの状態を整理して理解してもらえる方法もあるので、

ご希望の方はぜひおっしゃってくださればと思っています。

 

みなさんそれぞれのやり方で、

波をなんとかやり過ごしたり

たまには乗ってみたりしながら、

こころもすこやかに、やっていきたいですね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


意味があるもの、意味があるとは思えないもの。

 

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空気が湿気を帯びてきて

夏に移ろいゆくにおいを感じます。

 

数日前に、ミュージシャンの44歳の女性がなくなられて、

(脳出血で突然、でした)

私の周りは彼女と親しい人が多いので、

SNSが悲しみに溢れています。

 

彼女との想い出を語ったり、

ふざけ合っている写真を載せたり、

彼女へのメッセージを書いたり、

彼女の魅力を伝えようとしたり、

動揺とやりきれない想いが吐露されていたりと

スマホの画面がいろんな弔いに溢れている中で、

知り合いの一人が、

『全ては必然で意味がある、って 人は言いがちやけど

 それを認めたらあの大好きな人たちが

 こんなにも早くあっちに行ってしまったことにも

 意味があるのかよ、あってたまるかよ、

 と思うので

 おれは全てのことには意味はないと思いたいで。』

と、発信していて、

心の逃げ場ができた気がしました。

 

病気になって、今までと生き方を変えることになって、

「あの病気があって、今の自分になれました!

 だから、あの病気になったことに意味があったと思います。」

と受け止めることだって、もちろんあります。

意味があるかどうかは、

それはその人が意味があると受け取ったらね、

と、私は思っていて、

周りが決めることじゃないと思っています。

 

例えば、流産を経験したときに、

「妊娠できることがわかってよかったね」とか

「赤ちゃんがお空から見守ってくれていますよ」とか

「きっと、また赤ちゃんが還ってきてくれますよ」と

声をかけられることってわりと多いと思うのですが、

私は、そう言われたとみなさんから聞いたときに、

わりと胸がざわざわしています。

声をかけられたようなことをみなさんも感じているのだったら

その声かけは支えになるのだろう、と思います。

でも、そうは感じていないのに言われたときって

言葉になっていない想いが胸の内にグッと溜まりませんか?

 

世の中、いろんなことがあります。

理不尽なことや

平等じゃないと思うことは、

たくさんあります。

意味があると思うボックスに入れられるもの

意味なんかないボックスにしか入らないもの

またその間を行き来するもの、

いろいろなものがあるのだ、と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


安心感や信頼感の恩恵。

 

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特に妊活に力を注がれている

漢方薬剤師さんののオンライン講座があって

視聴していたのですが、

「漢方のプラシーボ効果、4割!」

と、仰っていました。

 

ご存知かと思いますが

プラシーボ効果は「偽薬効果」と言って、

簡単に言うと、

薬そのものに効用はなくても

「絶対効く」と思うことや安心感

処方してくれた先生との信頼感などの心理作用によって、

症状が治ったり効果が出ることを言います。

 

漢方薬剤師さんが仰っていた

「プラシーボ効果、4割!」は、

どんな漢方でも4割というわけではなく、

この方が紹介している漢方の内容や漢方薬に興味をもって

「自分もこれでよくなる!」と

前向きに捉えて取り組まれると、

それだけで4割の方に効果ありますよ

というようなニュアンスだったかと思います。

きっと、この方は、

著書も売れているし、SNSのフォロワー数も多いので、

多くの方が、

「この人が薦めることをやってみよう!」

と思う魅力があるのだと思います。

 

逆の意味あいの「ノーシーボ効果」もあります。

「この薬で吐き気や頭痛が出る人もいますよ」と言われて、

偽薬なのに実際に吐き気や頭痛が出ることがあります。

これを「ノーシーボ効果」といいます。

これは、薬や先生に対しての不安感が作用していると

考えられています。

 

このように、

実際のことは分からないけど、

信頼と不信

安心と不安

思い込み、

そういった感情や認知が

結果に影響することがあるようです。

 

みなさんにもこのような経験はありませんか?

 

私は20代前半くらいのときに

「なんか頭痛が続くしすっきりしないな」

という日々が続いたので、

小さい頃からのかかりつけのお医者さんに

5、6年ぶりくらいに行きました。

先生の診療では

毎回ベットで仰向きになって、

先生がお腹を撫でてくれていて、

そのときも

もう大人になっていたのに、

同じようにやさしい眼差しで

お腹を撫でてくれました。

なんだかすごく安心したことを覚えています。

 

すると、家に帰ってから、

気になっていた頭痛もないし

心身がすっきりしている感じがありました。

特に治療や投薬があったわけでもないので

これはまさに、プラシーボ効果だったと思います。

 

プラシーボ効果は

狙って効果をあげられるものではないと思いますが、

安心感や信頼感が根底にあれば

そういった効果につながっていく可能性があります。

安心感や信頼感、

大切に育てていきましょう。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


今の自分にあるもの。

 

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私には、自由業をしている

学生時代からの友人がいます。

彼の父親は医師です。

 

彼とは知り合って20年以上経っていて

今まで聞いたことがなかったんですが、

先日、ふと聞いてみたんですね。

「お医者さんになろうとは、思わなかったの?」って。

 

彼の答えはこうでした。

「高校に入ったときまでは、

 長男だしそうなるのかなあ、とは思っていたけど。

 今が一番楽しいし。

 医者にならなくてよかった、とも思わないし、

 医者になっていたらよかった、とも思わない。」

 

 

私たちは、

「こうならなくてよかった」

「こうじゃなくてよかった」

と、他の可能性を否定することで自分を肯定したり、

「こうしておけばよかった」

と、選ばなかった選択肢に

現状より良い未来があったかのように考えることがあります。

彼には否定も後悔も比較もなく

今への肯定があるのみでした。

 

生きていない方の人生が

実際のところどうなのかなんて、

わからないですもんね。

 

手にしなかった方の生き方を憂いたり

それを否定することで今を肯定しなくたって、

今、自分に起こっていることだけをただただ

「いいんじゃない」

と、思えるって、とても健全だと思うのですが、

意外とむずかしいことなのかもしれないとも思うんです。

 

「あなたの人生、素敵ね」と

周りの人たちから思われていると安心することが

多かれ少なかれあるものなのかなと思うのですが、

その安心を得たい気持ちが強いと

基準が周りになっちゃうんですよね。

周りの人がそう思ってくれるような選択肢をとって、

そう思われるようなスペックを構えたりするんですよね。

今の自分を「いいね」って言える人は

周りに重点を置いたスペックはいらないと思うんです。

 

自分自身に「いいね」と判断する基準を

今の自分にないものについては置いておいて

自分にあるもので確かめてみると、

恵まれていたり

ラッキーだったり

楽しめていたりするところもあるなあ

と、再発見できるかもしれません。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


どうして子どもが欲しいんだろう。

 

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みなさんは妊娠を希望して通院されているので、

「妊娠するまであきらめない!」

という心構えで来られている方はもちろんおられるのですが、

治療を終える可能性もいれながら

希望ももちながらという状態で

通院されている方もおられます。

 

みなさんがおっしゃるように、

タイミングがバッチリだったり

精子の状態が良かったり

いい受精卵を戻せたりしても、

生理が来たり妊娠判定の結果が出ないとなると

「期待しすぎないようにしよう」と思っていたところで

こころの浮き沈みを感じるものですよね。

そういった期間が続いていくと

モチベーションを維持することが

なかなか難しいときがあると思うのです。

 

そんなときに、ふと、

「どうして子どもが欲しいんだろう」

と、考えることがありますよね。

時折、「『どうして子どもが欲しいんだろう』

っていう根本的なことまで考えてしまって…」

と、考えてたらいけないことのようにおっしゃる方もおられますが、

状況的にそう考えるのも自然な流れだと思います。

そして、とても大切な問いだと思います。

 

子どもが欲しいという気持ちは

どこから来ているんでしょうか。

「大人になったら結婚して子どもを育てるものだと思っていたから」

という方がほとんどなのではないか、と想像しています。

“学校の先生”、”フライトアテンダント”、“看護師”

といった「将来の夢」と掲げたものとは別に、

あたりまえにそうなるものだと思っていた未来像なような感じが

なんとなくするのではないでしょうか。

 

また、周りの人は授かっているのに、

自分たちは授からないということで、

自分が人として欠陥があるように

思う方もおられます。

そして、周りの人から

子どもができない人なんだと

思われているのではないかと想像して

苦痛を感じる方もおられます。

 

子どもがいるかいないかで

人としての価値が変わることはないと、

私は思っているのですが、

周りの人にそう言われたり

もしくは自分でそう思ってしまうと、

子どもができることで

救われるような気がするのではないでしょうか。

 

子どもに限らず、

自分の身体、能力、性格、

パートナーさんとの関係など

人生のいろんなことが授かりものだと思うんです。

自分の人生で起こることとそうならないことがあって、

それは他人の人生で起こっていること

比べるようなものではないのでしょうね。

 

どうして子どもが欲しいんだろう。

みなさんは、どんな想いがありますか。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


パートナーさんとの関係。

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妊娠を願って暮らす中で

パートナーさんとの関係は

とても大切ですよね。

 

お二人が妊娠を願うことで

初めて妊娠に向かっていけるものですので、

同じぐらいの温度を保っていられれば

パートナーさんとの関係に

大きく困ることはないかもしれません。

でも、そうではない場合、

時に、パートナーさんとの関係を

難しく感じることもあるかと思うんです。

パートナーさんに対して気を遣ったり

もしくはパートナーさんに対して期待したりすると、

疲れたり悲しかったり、

一人で頑張っているような気持ちになるのではないでしょうか。

 

カウンセリングルームで

パートナーさんへの想いが語られることは多いです。

パートナーさんへの愛情や感謝の気持ちもありながら

申し訳ない気持ちだったり

もどかしい気持ちだったり、

不満に思うことがあったりと

とても様々な想いを抱いておられる印象があります。

 

パートナーさんは大切な人だし

一番の理解者であってほしいからこそ、

意気込みにズレが生じたり

「生理来たら泣くの、見たくない」

と言われたりすると、

「私の方が欲しいのかな」と

心を強く保てなくなることもありますよね。

 

カウンセリングルームには

ご夫婦で来ていただくこともできます。

 

家だとなかなか伝えられなかったり

聞けなかったりすることがありますが、

第3者がいることで

言葉にできたり

耳を傾けられたりすることがあります。

 

今、妊娠をめぐって、

パートナーさんとの関係は

いかがですか?

 

もし気になることがありましたら

お一人でももちろん

お二人でも

いらしてくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


自分のために抜け出してみよう。

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環境や人間関係の変化など、

自分が変わっていくきっかけになることって

いくつかあります。

 

私は、

友達などの言動を見聞きして

「あ!私もずっとこのことにこだわってんだなあ。

 もうそんなことにこだわってないで

 この先のステージに進んでいこう。」

と、思ったことが何度かあります。

 

相手が自分と似たようなことをしていたり、

自分と同じような境遇で、

これまでの悲しかったり嫌だった経験を

ずっと引きずっているような状態だったときに、

「そんなのもったいないんじゃないかなあ」

「なんか煮詰まってそうやなあ」と思って

自分の変化につながっていくのですが、

そういうことは相手に対して思っているようで

実は自分自身に思っていることなんだと思います。

 

相手の姿に

自分で自分を不自由にさせている部分を

映しているんですね。

そうすることで自分自身を客観的に見れて、

「そんなことにこだわっていても

 結局、何も生まれないよね。

 何も変わっていかないよね。」

と、はっきり気づくのです。

 

おもしろいですよね。

 

自分ひとりだったら

殻に閉じこもったり

自分を甘やかしたりして

なかなかその状況から抜け出そうとしないのに、

他人を通してその状況を眺めた途端、

「あかん。抜けよう。」

と思うなんて。

なんて現金なんだろうと思いました。笑

 

そういえば、

泉ピン子さんのインタビュー記事を読んでいて

彼女は、今までに60億くらい稼いだそうなのですが、

ビルも持っていないし貯金もないんですって。

買い物が好きで、お気に入りのブランドものの服やバックに囲まれているそうです。

「一回きりしかない人生で、

 着たい洋服着て、好きなジュエリーつけて、

 好きなバック持って、食べたいものを食べた。

 誰かのために生きるのでなく、

 自分のために生きるのだから、

 私は自分の人生に悔いはないね。

 ビル背負って死ねないでしょ?」

と、語っておられます。

一方で、樹木希林さんは、

ものをほとんど持たない方でしたよね。

服も本当に必要な枚数だけだったと思います。

しみがついている服も

「(しみが)かっこいいでしょ」と、おっしゃってました。

服のことだけを考えると

正反対なお二人ですが、

どちらもかっこいいな、と思います。

自分が「こう生きたい」と思うとおりに

全てがうまくいくことは難しい中で、

意志に沿って生きている方って

見ていて気持ちが良いですよね。

 

何が言いたいかと言うと、

思ったようにやっていったらいいんじゃないか、

ということです。

ある状況から何か抜け出せないときって、

過去の出来事の中に自分を縛ってしまったり

周りからどう思われるのかを気にしていたりすることが

よくあるかと思います。

周りからの目を気にしたり

本当にしたいことをしなかったり

本当はしたくないことをしたりするのは、

なんだか自分がもったいないんだなあ、

と、結局は自分が(誰かを通して)

教えてくれたりするんですよね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


通院の他に取り組みたいこと

 

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妊娠のためにいいこと、悪いこと

みなさんたくさんご存知だと思います。

ところで、

妊娠のために「いいこと」と「いいと言われていること」

「悪いこと」と「悪いと言われていること」を

線引きするのって難しくありませんか。

 

ネットの記事や

本を読んだりしていると、

どこまでが統計上、医学上本当に妊娠に関わることで

どこからが体験談の収集程度のものなのか

私もわからなくなることがあります。

体験談収集のものや、妊娠に良いと銘打って販売しているものも

自分にも効果があるような気になる文章で書かれてますし

そう書かれていると惹かれてしまう気持ちもわかります。

 

年齢や身体の状態にもよりますが、

基本的な生活習慣と食生活を整えて

心身を健康に保ちながら、

先生がすすめるようにやっていけば

妊娠の可能性はあると思います。

基本的な生活習慣と食生活というのは

毎日の十分な睡眠

たんぱく質不足にならないバランスのとれた食事

適度な活動(ごろごろしたままの一日を過ごさない)

嗜好品のある方はほどほどまでに。

これらは、こころを元気に保つためにも大切なことです。

妊娠のために

通院以外の何か取り入れてもいいのですが

こちらを整えるのが優先だと思うんです。

 

私も自分の暮らしを振り返ってみました。

毎日6時間前後しか眠れていなかったり

朝ごはんが果物だけの日が多かったり

お肉もお魚も食べていない日があったり

時折シャワーで入浴を済ませていたり

いろいろ思い当たることがありました…。

あかんやん!って思ったのですが

思い当たったことに気を付けて暮らせば

もっと健やかで快適に過ごせる可能性があるということ。

のびしろがあるので、うれしいです。笑

 

自分の中では今の暮らしが普通になっていて

暮らしが自分の心身を

どれくらい支えてくれているのか、

それほど気にしていませんでした。

これが毎日繰り返されていて

その積み重ねで自分が成り立っていると考えると

心身への影響はとても大きいですよね。

だから、日々の暮らしから

自分を大事にしてゆきたいと思っています。

自分に無理をさせすぎず

必要なエネルギーがチャージされている暮らしを

重ねていこうと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


姿勢を見直して、心身をあるべき姿に…

 

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最近、調子はいかがでしょうか?

というのも、私の周りで、

体調がすっきりしないという話を

ポツポツ聞くのです。

私と同年代~10歳上くらいの方たちなので

年齢的なところもあるのかな、と思うのですけど。

たくさん聞くのは

むくみや冷え、便秘や下痢、

経血の様子が以前と変わってきたこと、

肩こり、腰痛、股関節がかたい、

マスクのせいで呼吸が浅い、

考え事が多い、なんとなく不安、

過去の出来事がひっかかっている、

など、ですね。

 

私は今になって、姿勢の大切さを実感しています。

小さい頃、親や先生に、

「姿勢が悪い!」「姿勢正しくしましょう」

と、指摘をされたことがわるのですが、

そのときは、身だしなみを整えるのと

同じような感じでの指摘だと思っていました。

けれど、姿勢が正しくないと歪みから痛みが出たり、

呼吸が浅くなったり、内臓が正しい位置からずれたりします。

結果的に、冷えや自律神経の乱れ、内臓機能の低下に

結びつくことがあるようです。

 

パソコンの前に座っていたり、

スマホを使っている時間が長い方は

特に姿勢が猫背になっていたり、歪んでいるかもしれませんね。

そして、多くの方がコロナのことで

緊張したり、身を守ったりされているかと思いますので、

身体に力が入って、前傾姿勢になっているかもしれません。

また、自分に自信がなかったり、

コミュニケーションが苦手な方も、

猫背になりがちと、よく言われています。

 

さて、姿勢を確認してみましょう。

両足の裏を地面につけて、

膝と股をタテに伸ばして、

腰を引かず反らさずに骨盤を立てて

背中を曲げず反らさずに立てて

肩を曲げず反らさずに立てて

肩甲骨も立てながら首も立てる。

身体の中心に一本の芯棒が通っているようなイメージで

曲げずに反らさずに立てて整えてみてください。

どうでしょう、いつも無意識にとっている姿勢と

何か違いはあるでしょうか。

姿勢を意識して過ごしてみると、

心身の調子もよくなるかもしれません。

姿勢を整えたら、息を10秒くらいかけて吐ききって、

3秒くらいで吸う呼吸を10回程度繰り返してみましょう。

正しい姿勢での呼吸は

いつもより深い呼吸になるはずです。

心身をあるべき姿に、少しずつ整えていきましょうね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


「私は、すごい!」

 

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2021年になりましたね。

年が明けた途端に

コロナや寒波で

健康的な暮らしが心配になりますが、

元気に新たな年をお迎えでしょうか。

 

今年も採卵や移植が始まっていますし

卒業された方々もおられますし

新しく当院へお見えの方々もおられます。

いろんなことがありますが

できるだけ穏やかに過ごしながら

できることを粛々とやっていきたいですね。

 

私は、みなさんが初めて当院を受診されたときに

お会いする機会が多いのですが、

そのときに、どういった経緯でここに来られたのか

うかがうことがあります。

端的に説明してくださる方は、

「排卵検査薬も使ってタイミングとってたんですけど、

 半年経っても妊娠しないんです。

 何か原因があるのかな、と思って、不妊専門だったんでここに来ました。

 本当はもうちょっと早く来るか迷ってたんですけど…。」

というように、だいたい2~3文で説明してくださいます。

本当はみなさんそれぞれ、ここに来られるまで

時に誰かにドキッとさせられることを言われたり、

パートナーさんに気を遣って言えないことがあったり、

妊娠に至らないことが歯痒かったり、と

この2~3文の中には感情が揺さぶられるいろんな体験が

含まれていることが多いんですよね。

 

そして、通院しだしてからも

検査で問題なかったのに妊娠に至らなかったり、

人工授精に進んだと思ったら半年も経たないうちに

体外受精のことを考えることになったり、

パートナーさんに気持ちを分かってもらえていないことに悲しくなったり、

やっと妊娠したけれど赤ちゃんが育っていかなかったり、

何度も体外受精をしていて受精卵ができるのに妊娠はしなかったり、

思ったより歳を重ねていくことになって「こんなはずじゃなかったのになあ」と思ったり…

それぞれにいろんなことを体験されたりしますよね。

 

みなさん、いろんな想いがありながらも、

ご自分たちの目的に向かって

頑張ってらっしゃって、

本当にすごいなあ、と感服しています。

 

なので、「私、すごいなあ。めっちゃ頑張ってるやん。」

って、自分にちゃんと感心してほしいと思います。

だって、もしも、みなさんが体験していることを

お友達から聞いたとしたら、

「すごいなあ。〇〇ちゃん、頑張ってるなあ。」

って、自然と思うのではないでしょうか。

自分のことも同じだけ、感心しながら、

過ごしてもらいたいなあ、と思っています。

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 

 


今年のこころの整理、おすすめします

 

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いよいよ年の瀬が迫ってきました。

今年一年、みなさんにとってどんな年でしたか?

 

このブログを読んでいらっしゃる今、

もし、お一人でゆっくりできるようでしたら、

「私にとってどんな一年だったかな?」

と、自分に問いかけてみてください。

どんなことが思い浮かびますか?

 

思い浮かべたことについて

「こういうことが印象に残っているんだなあ」と

気づいておきましょう。

 

「これはすごくよかった!」ということもあれば、

ものすごく困ったこともあったかもしれません。

そのとき、困ったことであっても

今はそのように感じていないかもしれませんし、

今もまだ気がかりが続いていることもあるかもしれませんね。

 

大切なことは

それぞれの内容というよりも、

そのことを今はどのように感じているのか、

ということなんだと思います。

 

「このことはすごくよかった、と感じているんだなあ。」

「あのときはすごく困ったけど、今は7割くらいスッキリしているなあ。」

「このことには、今もモヤモヤした感じがあるなあ。」

と、一つひとつのことに対して、

今の自分がどのように感じているのか、

気づいておきましょう。

 

いかがでしょうか。

どんなことを感じられましたか?

 

さて、では来年に向かうために

少し整理をしたいと思います。

 

想像してみてください。

思い浮かべたそれぞれの内容ですが、

「ここなら置いておいて安心」

というところを探して、置いてみましょう。

 

どんなところでもかまいません。

(例えば、星空に浮かんでいる雲の上など

 どこでもいいんです。

 もちろんご自身の身近なところでも構いません。)

そこに置いておいて

こころでしっくりきたり落ち着くようなところを

見つけてみてください。

「ここかな?」と思い当たったら

本当にその場所がOKなのか、

こころに確認してみてください。

OKになるまで探してみましょう。

一つひとつ順番にそれぞれの場所を探して

置いてみてください。

 

置けましたか?

 

置けたら、

今年一年頑張った自分を労ってください。

「よく頑張ったよね」

「ちゃんと前に進んでいっているね」

自らの想いをしっかりと

自分で受け止めてください。

 

いかがでしょうか。

今、どんな感じがしていますでしょうか。

 

みなさんのこころの整理に

役立っていればいいなあ、と思います。

 

今年の年末年始は冷え込みそうですね。

温かくして、よいお年をお迎えください。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


自分に起こっていることを、別の視点で見てみること。

 

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早いもので、あと2週間で今年も終わりです。

とてもイレギュラーな一年だったように思いますが、

みなさんの暮らしはいかがでしたでしょうか。

 

リモートワークになって

気が楽に過ごせたという方もいれば

人に会えないからさみしいという方もおられました。

いつもと違う暮らしを余儀なくされると、

普段の何がプレッシャーになっていて

何が支えになっているのかを、

改めて実感しますね。

 

この間、友人が、

「私、スピリチュアルって興味なかったけど、

 友達が、今までの世界は、山羊座の土の時代やったんやけど

 12月から、水瓶座の風の時代に入るって言ってて、

 これって200年に1回くらいのタイミングらしいんよ。

 ほんで、その流れに乗れている人は、

 関係が切れる人とは切れていって、

 本当に大切な関係の人だけ残っていくんやってって言われて、

 私、そういや、切れていく人とは切れていってたなあ…

 私この流れに乗れてたんやなあ…って思った。」

と、言っていました。

 

スピリチュアルや占星術というものを

信じるかどうか、親和性があるかどうかは、

一人ひとり違うので、その点に関しては置いておきますが、

そういったものは、

自分に起こっていることや

世の中の流れ、時代の流れにおける事象について、

どういうことで起こっているのか、一説を担うものではあるかと思います。

 

特にそういった説明を受ける機会がなくても

人生は進んでいくわけですが、

そういった説明が自分の中でしっくりきたときは

ものすごく意味のあるものとして

価値づけられるのだと思います。

そして、そのことで、

自分自身のことを

肯定できたり、安心できたり、

こころの支えになったりするんだと思うんですよね。

 

基本的には自分の尺度で

人と関わったり、物事を判断することが大前提ですが、

その上でさらに、

「こういう流れがあったからそうなったんだよ」

という説明があってそれがしっくりきたときは、

こころが「そっかあ!そうなんだ!」

と、返事するのでしょうね。

 

やっぱり、誰かに、

「ちゃんと進むべき方向に進んでるように思うよ」

と、言ってもらえると、

単純にうれしい気持ちになると思います。

スピリチュアルや占星術のセラピストに限るわけでなく

時折、そんなふうに、

自分の過程を誰かと一緒に確認できる機会をもつのもいいものですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


心身両面からのサポートを。

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不育症検査の保険適用外の検査について

最大5万円助成することが検討されていると、

ニュースで耳にしました。

 

流産・死産を経験された方で、

その後、不安障害やうつのような精神状態になる方が

約 75 % おられるそうです。

どういった背景で妊娠されたかによっても

受け止め方が変わってくると思うので、

妊娠を強く希望していた人だけに絞って調査をしたら、

不安障害やうつの状態になられる方は

もっと多いんじゃないか、と、推測されます。

 

流産や死産のことを

旦那さんしか知らないこともあるでしょうし、

職場の方や親族の方には知らせていても

ご自身の現状や気持ちは

全てを言わずに包み込んで、

周りに気遣われないようにしている方も

おられると思うんです。

 

そういった体験をされたみなさんへ

カウンセリングの保険適用も考えられていくと

ニュースでは伝えられていました。

そういった状況のときは

カウンセリングを受ける機会を

できるだけたくさんの方がもてるように…

という方針であり、推奨なんでしょうね。

流産・死産のあと、

カウンセリングを受けながら次の妊娠に向かっていった方は、

赤ちゃんを授かられる確率が高くなるという

研究結果も出ています。

 

自分が本当に思ったり感じたりしていることを

誰かに伝えるということを、

勇気がいるように感じる方もおられるでしょう。

経験上、本当に思っていることや感じていることを

表現しないようにしていると、

余計に心がカチコチになるように思っています。

もちろん、カウンセリングというかたちでなくても

心を大切にしていける機会があって

健康に過ごせることもあると思うのですが、

あまり「カウンセリング」という名前にかまえずに

話しに来ていただけたら…と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


家族のカタチ、それぞれ。

 

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卵子提供を受けて第1子を授かった友人から

第2子も授かったよ、とお知らせがありました。

 

家族のかたちに思いを馳せながら振り返ってみると、

私の周りには、

授かり婚の人、

結婚して1~2年で授かった人、

結婚して何年も経ってから授かった人、

結婚後、一般不妊治療で授かった人、

治療は人工授精までと決めておられてご夫婦住まいの人、

体外受精へ進んで授かった人、

子どもを持つかどうか迷っている人、

不妊治療は受けない選択をした人、

子どもを持つには高齢だからと夫婦2人で生きていくことにした人、

結婚はしない主義な人、

いつかは結婚できたらいいなと思っている人、

子どもがいて離婚した人、

子どもがいる人と結婚したからもれなく母になった人など、

いろんな人がいます。

 

私は決して友人が多い方ではないと思うのですが、

本当に一人ひとり違うんだなあ、と思っています。

みんなちゃんと「自分」を生きているのだな、と思っています。

みんなどこかで何かの選択をして、

その選択の先の責任をとっているはずなんです。

 

体外受精をして2人子どもを授かったけど、

子育てのことですごく落ち込んでうつっぽくなった方もいます。

他の人からも、子育ての壮絶さは聞いています。

とはいえ、子どもの存在に喜びを感じておられることも事実です。

子どもがいらっしゃらない夫婦も

2人で同じ仕事をしながら夢を叶えたり、

お互いやりたいことをしながら暮らしを共にしたり、

それぞれに喜びがおありのようです。

恋愛を独身らしく楽しんでいる友人もいるし、

結婚制度に価値を感じず、自由に暮らしている友人もいます。

 

どの人生においても

それぞれの喜びと大変さがあるのだと思います。

 

どの人生がいいかどうかなんて決められるものではないですし、

いつ何があるかは分からないとはいえ

まだまだ先の人生がある方のほうが多いでしょう。

本当に自分の人生がよかったと思うかどうかなんて

生き切ってみないと分からないですよね。

 

その過程で起こることは

妊娠のことに限らず、

自分の力だけでは叶わないこともあると思いますし、

思いがけない災難だってあると思うのです。

 

だから、願いが叶わないからといって

不幸ではないと思うんです。

 

ただ、願いを叶えるために、

自分たちがどこまで努力してみるのかを

ちゃんと選択したという体験は、

この先を生きていくのに

支えになる体験だとは思っています。

 

家族のカタチがどういったカタチでも、

自分が所属する家族や自分自身を

自分が愛おしく想っていることが、

とても大切なように思っています。

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 


こころのもやもやに対してのアプローチ

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「旦那さんはすごく協力してくれるし

 職場も理解があるので、

 通院していることにストレスはないんです。

 そういう意味では恵まれているんです。

 ただ、これから体外受精していくんですけど、

 採卵ってどれくらい痛いんですかね。

 受精卵どれくらいできるかな…

 体外受精しても妊娠しなかったらどうしよう…

 そういった不安はあります。」

 

何をストレスと認識するか、とか、

どの程度の負担をストレスがあると思うか、とか

人それぞれだと思うんですよね。

だから、不安はあるけどストレスはないという人もいれば、

その不安をストレスだと思う人もいらっしゃいます。

 

今こころにあるもやもやや、すっきりしない感じを、

「なんか、そういうのがあるなあ」

と、分かっていることって大事だと思うんです。

ストレスや不安、緊張などがあるのは

自然なことかと思いますので、

まずは「私、そういうふうに感じている」

ということに気づいておくということ、

自分の実感を無視しないということが、

とても大切なことだと思います。

 

そういった感じに気づいたら、

そのもやもややすっきりしない感じに

自分だけのタイトルをつけてみるのもいいと言われています。

例えば、

「先の見えないトンネルの中」

「人生で一番むずかしいことに挑戦中」

「長いジェットコースターに乗車中」

という具合に。

この、もやもややすっきりしない感じって

もっと、ぴったりくる感じに言い表せないかなあ、

と、探ってみてほしいです。

ぴったりする感じが見つかったときは

けっこう腑に落ちたり

こころが動いたりすることがあります。

 

また、そのタイトルがぴったりくる今の自分には

どんなふうなサポートをしてあげるとよさそうか、

想像しやすくなるかもしれません。

こころがもやもやしたり、すっきりしないという感じって

今の自分に対しての何かのシグナルだと思うので、

何のお知らせなのか考えてみる機会にもなりますよね。

 

そして、そういうふうに感じているということを、

誰かに話しているということも

支えになるかと思います。

話すことで

今まで自分でギューッと抱えてきた感情を

手放すことにつながりますよ。

 

ストレスがあるかどうか、に関わらず、

自分のこころに何か

ひっかかっていたり、もやもやしていたり

すっきりしなかったり、窮屈だったりする感じがあったら、

是非、そのことを話しにいらしてくださいね。

 

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 

 


治療のおわりの先の物語。

 

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「朝が来る」という映画を観ました。

 

不妊治療をやめられて

特別養子縁組で赤ちゃんを迎えた夫婦と、

中学生で妊娠して育てることができず

その夫婦に赤ちゃんを授けた女性の物語です。

 

私が観た映画館は

隣の席を空席にする感染対策がなされていました。

鑑賞席はほぼ埋まっていて

ご年配の方が多かったように見受けられました。

 

赤ちゃんを迎えた夫婦(因みに、井浦新さんと永作博美さんです)は、

不妊治療をやめて

二人で楽しく過ごされている中、

温泉旅館に宿泊中に

TVから流れてきた特別養子縁組のドキュメンタリーをみたことがきっかけで、

二人で子どもを育てたいという希望を持たれました。

夫婦で特別養子縁組の斡旋団体の養親の会に参加されるシーンもあるのですが、

実際に特別養子縁組でご家族になられた方々も

映っておられました。

 

一方、望まない妊娠や、

望んでも育てられない妊娠というのも起こることなので、

赤ちゃんを産んで

斡旋団体に引き渡される方々の姿も

真摯に描かれていました。

 

ご夫婦間での妊娠が難しかった場合、

精子提供や卵子提供を受けるのか、

二人の人生を歩んでいくのか、

どなたかから産まれた子どもを育てていかれるのか、

もしかしたらこれをきっかけにお別れなさるのか、など

いろんなこれからがあると思うのです。

何が良くて何が悪いのか、

何が正解で何が間違いなのか、という

一義的な物差しが全く当てはまらないことって

たくさんありますよね。

 

さて、カウンセリングルームでは、

「治療の長いお休みや終わりのときのセラピー」を始めました。

しっかりとお時間(70-80分)をお取りして、

今考えていることや思っていることをお伺いしたり、

これまでのことを一緒に整理したりして、

噛み切れない想いも納得できる想いも大切にしながら

これからへの暮らしへ向かっていただくための機会になれば…

と思っています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


終わりは、はじまり。

 

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よく買いに行っているケーキ屋さんで

店長を任されていた方が、

独立してご自分のお店を出されるため、

10年修業されていたそのお店を卒業されました。

 

卒業される日にもケーキを買いに行ったのですが、

その彼女と一緒に長年働いていたスタッフさんが

「さみしいです」と気持ちを口にされると、

オーナーさんはそのスタッフさんに、

「みんなね、去っていくんだよ。

 あなたも、いつか去っていくんだよ。」

と、やさしく仰ってました。

 

自分の勤め先以外で

誰かの退職に立ち会う機会はあまりないので、

ちょっと不思議な感覚ではあったのですが、

私もあたたかいような淋しいような特別な気持ちになりました。

 

そんなことがあって、

「そうだよね、ものごとって必ず終わりがあるよね」

という当たり前のことを

ぼんやり考えていました。

 

例えば、毎日会社に出勤するときなんかに、

「この生活、いつまで続くのだろう…」

と、途方に暮れたりすることもあると思うのですが、

必ずどこかで終わりが来るのですよね。

自分で終わりにすることができることもあるし、

終わりになるまでそのままでいることもあるかと思います。

 

そういえば、

もう10数年前に「すいか」というドラマがあったのですが、

登場人物の女子学生が、

アイスの当たりを4回か5回連続で当てて、

やっとはずれたときに、

彼女がすごくホッとするシーンがあったのですよね。

(アイスが当たるのって嬉しいことのように思いますが、

 当たりすぎると大変そうでした。)

彼女にとっては

「やっと終わったあ」という解放感があって、

「終わるのも楽しいかも」と思う場面として

描かれていました。

 

「終わる」には、

悲しいや淋しいや残念だけでなく、

解放感やこれまでの労いや、

これからのはじまりがあるのだなあ、と思います。

 

「この生活を絶対続けないと!」

という張り詰めた状態よりは

「いつか終わるんだよね」

「いつ終えてもいいんだよね」

と考えておくと、

心に余地が生まれることもあるかもしれませんね。

 

 

追記:街のあちこちから、金木犀の香りがしています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


こころも大切にすることが自然だと思っています。

 

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漫画を読んでいたら、

(因みに、「ミステリと言う勿れ」という漫画です)

アメリカでは、

刑事が犯人を殺してしまった場合や

事件に巻き込まれたり傷を負ってしまった場合、

その刑事は自動的にカウンセリングを受けることになっていて、

カウンセラーがOKを出さないと

仕事復帰できないようになっている。

ということが、書かれていました。

アメリカでは、

「カウンセリングに行く」ことが

当たり前の社会なのですよね。

 

日本は、どうなのでしょうね。

身体的な病気になったり

怪我をしたりしたら、

回復を待っていきますが、

こころの方も積極的にサポートされているでしょうか。

(こころへの負荷が身体症状に出ることもあるのですが…)

 

日本はメンタルケアがものすごく遅れています。

身体的な症状は治療するし、検診もあるのに、

こころのことは、

「各々で頑張ってなんとかしてください」みたいな感じを受けます。

身体的な症状がある人や怪我をしている人に、

「頑張って!根性で治して!」

なんて、誰も言わないでしょう。

じゃあ、こころも一緒なんじゃないでしょうか。

 

日本の社会でも、カウンセリングに

当たり前に行くようになればいいと思います。

そのためには、質の高いカウンセリングセンターがたくさん必要だし、

気軽に行ける料金設定も必要だと思っています。

 

先に挙げたアメリカの例は

「刑事が犯人を殺したり、事件に巻き込まれたとき」だったので、

「それは、特殊な状況だから、カウンセリングが要るんじゃない?」

と思う人もいるかもしれないなあ、とも想像していたのですが、

カウンセリングが必要か必要じゃないかって

線引きはないんです。

 

こころに負荷がかかるときや

気がかりになることがあるときは誰にでもあって、

負荷や気がかりの内容や大きさがどうであれ

こころはケアされた方がいいです。絶対に。

そういうときにその負荷と距離をとって

こころへの負担を軽くしたり、

その負荷を負ったこころを労わったり、

気がかりになっていることとどう付き合うかゆっくり話し合ったり、

どうなってゆくのか分からないことに対しても

根性論で乗り切らないような向き合い方をしたりすることは、

とても大切なことですし

そうしていくことが自然なように思っています。

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 


「我のままにある」ということ

 

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読んでいた本に書いてあったのですが、

「わがまま」を、広辞苑で引いたら、

「自分勝手に振舞うこと」という普通の意味の他に

「我のままにあること」という意味合いもあるんですって。

そして、「我慢」を引くと、

「自分ができないことをできるというふうに自惚れている驕慢の一つ」

と書いてあるそうです。

 

この意味を読まれてみて、

みなさんはどう思われたでしょうか?

 

「わがまま」は「自分勝手に振舞うこと」という意味で

理解して使っている方が多いかと思います。

「我のままにあること」という意味もあるんですね。

この意味で「わがまま」を捉えると

様々な状況下であっても

自分が自由でいられているような印象を受けました。

 

そして、「我慢」の意味が、

「自惚れ」「驕慢」であるということに、

読んだときはびっくりしました。

我慢しているときって、

「そうせざるを得ない」と感じているときや

「相手を思ってそうしたい」という思いがあるときだと思うのです。

けれど、自分が無理をしているのであれば、

それは「自惚れ」なのかと思うと、

なるほど、納得!という感じです。

 

読んでいた本で

どうして「わがまま」や「我慢」が取り上げられたかというと、

「自分に慈悲を向けましょう」ということが書かれていたからです。

ちなみにですが、この慈悲は、

おそらく「抜苦与楽(苦しみを抜き楽しみを与える)」

という仏教用語の意味合いで使われていると思います。

 

まずは、人に尽くすのはやめましょうということ。

誰かに尽くせば、その相手から何かの機会を奪うことになります。

そして、自分自身も本当は消耗していきます。

 

そして、自分を責めるのもやめましょうということ。

本に書いてあったのですが、

不妊治療を年々もしていてやっと授かったお子さんを流産された女性が、

「私の身体はどこかおかしいんじゃないか」

「あんなことしたから、こうなったんじゃないか」

と、すごく自分を責めるんです、と。

私も、流産をされた方々から、

「あの時、仕事をセーブできなかったから…」

「私のお腹は育てない環境なんじゃないか」

というような声をたくさん聴いています。

 

もちろん、そういった気持ちが浮かぶことは、

自然なことなんだと思うんです。

理由を知りたい気持ちもありますしね。

ただ、自分への思いやりを大事にしてね、

ということなんだと思います。

 

きっと、

まずは自分自身が自由であって、

自分自身を思いやれていて、

幸せがあることに気づいている。

そういう自分でいることが、

結果的に周りの人たちの力になるんだよ

ということなんだと思います。

 

みなさんは、

自分自身の考えや行動に決まりや制限はありませんか?

自分自身を思いやっていますか?

なかなか難しいことかもしれませんけれど、

今の自分はどんな感じか点検してみて

「私、我慢してるわ~」という心当たりがある方は

今よりちょっと「わがまま」になっちゃいましょう!

 

 

文献:増井武士・池見陽 「治療的面接の工夫と手順」  創元社

 

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 


不安を支えてくれるものを大切に。

 

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「卵子が育ちにくくて、なかなか移植できないんです。

 私、妊娠できますか。」

 

 

体外受精は

今のところ保険診療ではないので、

人工授精までの治療とは

治療費が一桁違ってきます。

(その分、妊娠率は高くなりますが)

 

体外受精では、採卵に向けて

卵胞(卵子が入っている袋)を育てていくのですが、

卵胞が十分育たなかったり

卵胞は育って採卵してみたけど卵子が未熟で受精卵ができなかった場合も

その分の治療費がかかってしまいます。

 

卵胞の育ち具合は

周期によっても変わってくるのですが、

卵胞が育ちにくい傾向がおありの方や

AMH(卵巣予備能)が低いと言われている方は、

この先受精卵ができるのか、心配になると思います。

そして、

診察の結果を旦那さんに伝えるとき、旦那さんの反応を気にしたり、

診療費の捻出に溜息ついたり、

スマホで卵が育ちにくい人の治療を探したり、

ネット上に流れてくる“これで妊娠率上がるますよサプリ”の広告に魅かれたり、

治療をやめた人のブログを読んだりすると思うんです。

 

ご存知の方が多いと思いますが、

栄養もとても大事で

特にたんぱく質はたくさん摂ることが勧められています。

もし、細身の方でお食事を制限されているようならば、

たんぱく質がたっぷり吸収されるお食事は、

ご自身にもとても良いことだと思います。

 

さて、

「卵子が育たないけど、妊娠できますか。」

この言葉は、

「こういう状態なんですけど妊娠したいんです。

 けれど、この先、卵子が育って無事に着床してくれるのか

 自信がなくなってきているんです。

 また育たなくてがっかりするのにも疲れてきました。

 同じ状態で妊娠した人っていますか?

 まだ頑張る価値ってあるんですか?」

という気持ちが含まれての言葉だと思っています。

 

頑張っていても手ごたえを感じられないと

自分の選択に迷ったり、否定的になってしまうこともあると思うのです。

それでもあきらめずに続けてこられて

本当に大変だったんじゃないかと想像しています。

 

しかも、続けるかあきらめるか、

自分で決めないといけないですしね。

自分で決めて実行していくことって

すごくエネルギーが要ると思うのです。

 

今の自分にあるもの、

自分が好きなこと、

大切な人との関係、

自然の中でゆったり過ごすこと、

そういったものもとても大切です。

妊娠に向けて頑張っている自分のこころを

支えてくれるものだと思います。

そういった時間も味わいながら

ご自分のエネルギーにしていってください。

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 


開院11年目を迎えました。

 

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草津レディースクリニックは

9月で開院11年目に入りました。

草津レディースクリニックに通われていたみなさん

その後、いかがお過ごしですか。

時折、ブログを読んでくださっている方もおられるでしょうか。

卒業後いろいろなことがあったかもしれませんが、

今を、生き生きと過ごされているといいなあ、と思っています。

 

11年経って、

不妊治療に対しての特別感というものが

なくなってきているように感じています。

開院当初と比べると、

妊娠のことを話せる知人がいるという方が

多くなったなあ、と感じていますし、

精液検査の説明をしたときに

驚かれたり困られたりする確率が

ぐっと減ったなあ、と感じます。

 

それでもやっぱり、

通院するかどうか迷われた方は多いですし、

体外受精にすすむときも不安を感じられたりと、

以前も今も変わらないものもあります。

 

草津レディースクリニックは不妊治療専門のクリニックですが、

“不妊治療専門”と紹介されていると、

「妊娠に対してのアプローチが、まだ半年だし…」とか

「年齢的にまだ若いかも…」という方は

今、受診していいのか迷われると思いますし、

原因を知りたいけど知るのも怖いという気持ちもありますね。

(ちなみに、妊娠をご希望されている方でしたらどなたでも、

 どんな状況の方でも、来院してくださって大丈夫ですよ。)

体外受精にすすむときも、

「採卵って、どれくらい痛いんだろう」

「体外受精で妊娠しなかったらショックすぎる」

「卵子がとれなかったらどうしよう」

など、進むのが怖い気持ちになることがあるかと思います。

 

また、そういった気持ちは

言語化すれば他の誰かのと似ていたりするかもですが、

本当は一人ひとり違うのだと思います。

それぞれの背景や環境によっても違うし

妊娠に対する思いもそれぞれです。

 

困ったことや、不安なこと、

悲しいこと、つらいこと、悔しいこと、

どうしていいのかわからないこと、など

いろんな気持ちがそれぞれにあると思うので、

思うことがあったら

お伝えください。

一緒に考えてほしいと思って来ていただけたら

一緒に考えたいと思っています。

じっくりお話いただくことで整理されそうなことは

おうかがいしていきたいと思っています。

なので、そういった気持ちの幾分かは

クリニックに置いて帰ってください。

 

不妊治療を体験している方は増え、

周囲の理解もある程度は期待できるようになったけど、

自分の思いや気持ちや状況をすべて理解してもらえるかというと

残念ながらそうではなくて、

“自分だけ”の体験という側面がどうしてもあるように思います。

卒業されるまで

スタッフみんなで

みなさんが心強くいられるような

サポートをしていきたいと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


自分たちの価値観で生きる。

 

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だいたい70代以上くらいの親世代の方たちからすると

ルンバに掃除を任せてしまうことは

もしかして横着だったり、

手を抜いていると思われることなのかもしれません。

 

昔の日本家屋の板間は

しっかりほこりを履いて

丁寧に拭いてこそ、

きれいに保たれる材質でもありましたしね。

 

時代が変われば

人々の生活様式も変わり、

一つ前の世代では考えにくかったことが

今の世代では受け入れられたり

反対に、失われていったりします。

 

家族のカタチも

一世代前と今では、だいぶ変わってきたと思います。

これからもその時代に合わせて

まだまだ変わっていくでしょう。

 

それぞれの時代で、

自分にとっては当たり前の価値観があって、

その感覚はなかなか変えにくいものかもしれません。

 

幼い頃から、

「何になるのが夢なの?」

「どんな人と結婚したいの?」

という質問をされて育つと、

「夢を叶えないといけない!」

「結婚して、家族を作らないといけない!」

という意識が植え付けられているかもしれません。

 

でも、これは、

育ててくれた人たちの世代の価値観で

次の世代に願ったことです。

なので、本当にそうしなきゃいけないことは

全くないと思うのです。

 

ただ、願った人たちは、

自分の願った通りにならなかったことで

どこか悲しかったり不安になるかもしれないのですが…。

自分とは違う価値観を生み出して生きている人たちを

なかなか受け入れられないかもしれません。

身近であればあるほど。

 

でも、だからと言って、

誰かの価値観で認めてもらうために

生きているわけではないので、

自分のことで心を乱されると気にはなるけど

気にしなくていいと思うんですよね。

たとえ、自分にとって大切な人と価値観が違っても、

自分が体験していることって

自分にしかわからないし、

それを引き受けていくのは

自分しかないのですから。

 

私たちの目の前には

たくさんの選択肢があります。

その選択肢には、

今までは想定してこなかったものも

含まれているかもしれません。

自分の人生は自分が背負うものです。

パートナーさんとよく話し合って

この先の生き方を選んでいってください。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


親に話すべきかどうかについて。

 

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不妊治療は

現代でメジャーになったサポートですから、

そういった背景もあってか

おかあさんたちには言いにくいという側面もあるかと思います。

おかあさんたちの時代でもサポートを受けた方もおられますし

「あなたを授かるまで〇年かかったのよ」

と、伝えられた方もおられますが、

おかあさんたち世代は相対的に授かりやすかった印象を

多くの方がもたれていると思います。

 

親の立場で子どもから不妊治療のことを聴いたときに

子どもに対して親が言うことと、

もし親が妊娠と向き合う子どもの立場になったときに思うことは

きっと違うと思うのです。

 

多くの人がそのときの自分を主体として

意見を言いがちです。

子どもに対して、親は特に、

「子どものために自分が正しく導いてあげないと」

という想いを乗せて意見する傾向があります。

それに、子どもが置かれている状況に傷つく親もいます。

さらに、「かわいそうだ」とか「おかあさんもつらい」とか

親側が抱いた感情を表明して、余計に重荷を与える方もおられます。

「相手のことを想像して発言してほしいなあ」

とも思うのですが、

一方で、親に子どもが願う親像を求めるのも難しいことだなあ、と思います。

自分にとって完璧な親はいないですもんね。

完璧な夫、完璧な先生、完璧な親友といった

自分にとって完璧な人っていうのはいないものです。

だから、うれしくてありがたいときもあれば、不満なときもありますが、

距離が近い人ほど、少しのすれ違いであっても、

こころが揺れやすくなってしまうと思います。

 

治療のことを親に話すのかどうか、

妊娠についてどう考えているのかを親に伝えるべきかどうか、

多くの方がどうしようか悩むところではあります。

どんな反応が返ってくるのか

実際のところは、伝えてみないとわからないです。

想像と違う反応で、「言ってよかった!」と思うかもしれません。

もしかしたら、何かしらの援助をしてくれることもあるかもしれませんしね。

 

時折、「本当は親にも伝えるべきなんでしょうけど、なかなか言えなくて…」

と、親に伝えていないことに申し訳なさを抱いていらっしゃる方がおられます。

私は、そこに申し訳なさや罪悪感は抱かなくていいものでは…と個人的には思っています。

親への報告義務はないと思っているからです。

立派な大人が、信頼しているパートナーと一緒に決めたことなんだから、

それだけで全てだと思っています。

けれど、そこで申し訳なさや罪悪感を感じる人にとっては

とても苦しい状況だと思います。

きっと、これまでも親が認めてくれるように生きてこられた人だったり、

親が喜んでくれることをしようとされる方だったり、

親の気持ちを揺さぶりたくないなあと思う方だったりするのではないでしょうか。

 

親はずっと親ではあるかもしれませんが、

人生を進めるにつれて

誰かとの関係性ってどんどん変化していくものだと思っています。

 

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


誰かに相談することについて。

 

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通われているみなさんから、

友達やきょうだいも通っていたとか

同僚が通っているからとか、

当院はそういったきっかけだったと

おうかがいすることが少なくありません。

 

通院する前って

行こうかどうしようか

すごく迷うことが多いと思いますので、

話ができる人がいるって

頼もしいなと思います。

 

以前は、他の誰かに相談している人は

もっと少なかったように思います。

今は、もちろん相談している人との関係性にもよるのでしょうけれど、

治療の相談ができる先輩がいる方が多いですね。

一方で、例えば20代などの比較的若い年齢で治療をしている人は、

治療をしている同世代は他の年代の人たちよりも少なくはなるので、

「同じ歳くらいで妊娠しない友達がいない」ということに、

不安やさみしい気持ちになる方がおられます。

30代、40代の方からすれば

若さってこの上ない武器に思えるかもしれませんが、

本人からすると

それがすぐの確実な妊娠を保証するものではないので

「若いから大丈夫よ」という言葉は

励ましとは思えないこともあります。

 

妊娠を希望していることは同じでも、

そのときの状況や思考、体験などによって、

どんなふうに思うかは変わってきますよね。

同じ状況の人と話をして

「そうそう!」

と、わかりあえるような気持ちもあると思うのですが、

自分が感じることっていうのは

自分だけのものという側面もあると思うのです。

 

自分の状況や体験を理解されていないと、

気軽に励まされてしまうこともあると思います。

「ちゃんときいてくれていたら

そんな励まし方しなかったんじゃないかな」

というような、

励ましてもらったけど釈然としないパターンって

わりとあるようですね。

ただ、どうしてもわかってもらえないことってあると思うので、

こちらが毅然としていることってすごく大切だと思います。

 

そろそろお盆の帰省時期だなあ、と思っています。

でも、今年は、コロナが収束していないので、

帰らない理由を作りやすいなあと思っています。笑

もし帰省で嫌な思いや悲しい思いをしそうだったら、

私はそんな思いまでして帰らなくていいと思っていると、

毎年このブログで言っています。

家族、親族の関係は、

思っているよりとても複雑なこともあります。

子どもがいるいないに関わらず

自分のこころが健やかでいられる関係でいたいものですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


お天気のことは、仕方ないですね。

 

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この間、知人(20代半ばで、今は妊娠を希望していない女性)が、

「私、子どもめっちゃ好きなんです~。

 かわいい赤ちゃんのインスタとかフォローしているんです~!」

と言って、フォローしているサイトを友人と私に見せて、

「かわいいでしょ?かわいい~!癒される~!」

と、嬉々と話していました。

 

みなさんがよくおっしゃってる、

“ 不意打ちの地雷 ”の一例って、こういう瞬間ですよね。

ただ「赤ちゃんがかわいい」って話している人が隣にいるだけなのに、

ヒヤッとしたり、ドキッとしたり、

心が締め付けられてしまうシーンじゃないかな、と思いました。

 

こんなふうに

相手にとってはただの世間話なのだけど

その内容に人知れず傷ついていたりすることって、

誰にだってあると思うのです。

 

例えば、いじめにあったことがある人が、

「いじめって、いじめられる方も悪いよね~」

と、誰かに言われたら、

腹が立ったり、悔しかったり、

「いじめられたのは自分のせいなんだ」と責めてしまったりと、

心中穏やかではないと思います。

例えば、自分でお料理屋さんを開業して、

もの凄く工夫もして、死に物狂いで働いているのに、

経営がなかなか軌道に乗らなくって困っている人が、

同じような個人店で人気のあるお店がSNSで投稿されているのを見たら

悲しい気持ちになってしまうこともあると思うのです。

 

誰かの何気ない会話や発信が

自分の中の何かに触れることがあると、

こころは揺らいでしまうものです。

 

けれど、これはあくまで、

自分とは関係のないところで

発言・発信されたことなんです。

だから、お天気みたいなものだと思います。

不意の夕立なんて、避けられるものではないです。

嫌だけど、しょうがないですよね。

 

個人の事情を知っているのに

直接何か言われたりしたのならば、

これはちょっと話し合う必要が

(場合によっては、関係を変えていく必要が)

あるかもしれませんが。

 

運悪くお天気が崩れることは

全く以って、あなたのせいではありません。

落ち込んだ気分が少し戻るように、

いっぱい泣いたり、

何か好きなことをしたり、

いつにも増して自分をケアしたり、

いい匂いに癒されたり、

さっさと眠ってしまったり、と、

やさしい時間を過ごせるといいですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

追記:ようやく、長い梅雨が終わりそうですね。

ただ、猛暑になりそうな予感がしています。

夏を元気に乗り越えていきたいですね。

 

 

 

 

 

 


助成金のことと、雑感。

 

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夏になってもコロナの感染力っておさまらないのですね。

今年はどうしてもイレギュラーな生活が続いていますね。

ご存知の方が多いとは思いますが

コロナ感染予防で治療を見送っておられる方々への対策として

今年度は高度不妊治療の助成金の年齢制限が緩和されています。

通常は、40歳未満で体外受精を開始したら6回、

40~43歳未満で体外受精を開始したら3回、

条件を満たした場合に助成を受けられるのですが、

今年度は3月31日の時点で39歳であれば

41歳になるまでに体外受精を開始したら6回、

3月31日の時点で42歳であれば

44歳になるまで3回の助成を受けられるそうです。

御自分が適応になるか、

各自治体に確認なさってみてください。

このことで、選択の幅が広がった方もいらっしゃると思います。

焦りすぎずに、お二人で話し合って決めてくださいね。

 

話は変わりますが、

「はちどり」という映画を観ました。

ちょうど私が中学生だった時代の

韓国の中学生のお話でした。

あの時代がそうだったのか、

映画の中学生の環境がそうだったのかわからないのですが、

自分たちがやりたいことやなりたいものがあっても

有名大学に入ることに未来の可能性を絞られて勉強を強いられたり、

世間的に“いい子”でいることを求められたりしていました。

そして男性が優位な時代でしたね。

日本のその時代の中学生と似ている部分があり所々懐かしく思いましたが、

中学生に感情移入して観ると、とても息苦しかったです。

 

親たちが考える

子どもが幸せになるためのレールというものも

未来の可能性の一つかもしれませんが、

私の仕事の経験上では、

本人にとってはあまりいい結果になっていないことが

多いような気がしています。

そのレールにのって

安心するのは親の方なんですよね。

 

今はもうみなさんも大人ですし

誰かに従わないと暮らしを脅かされるわけでもありません。

大人になったら、親とのしがらみというか

そういった関係から解放されるかと想像していました。

けれど、親子関係って自分を作る根底みたいなものですし、

関係性も続いていくものですから、

今もそのしがらみにひっかかちゃうこともあると思うのです。

 

「親に認めてほしい」「わかってほしい」

そういう想いは、

大人になってからも、求めてしまうものかもしれませんね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


性のこと。

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みなさんは、自分の生殖器に、

どんなイメージや感覚がありますか?

と、聞かれたら、

ドキッとします?ヒヤッとします?

もしかしたら「なんてこと聞くの?」

と思う方もおられるかもしれませんね。

 

生殖器におけるイメージは、

誰しも複雑なことが多いそうです。

ポジティブな想いをされたこともあれば、

つらかったり、悲しかったりといった想いが

詰まっていることもありますし、

性について、どういった意識のもとに育てられたか、

また、自分がどういった感覚のもとで

どういった体験をしてきたか、

そういったことがすべて詰まっているからです。

 

また、日本では特に、なのかもしれませんが、

性教育というものが十分ではなく、

性にまつわる話はなかなかオープンにされにくいところがあるので、

個人特有のイメージや体験だけが

積みあがっていってしまう傾向があるように思います。

 

いざ、生殖器に向き合ってみると、

確かに、いろんな想いが詰まっているように

私も思っています。

 

けれども、食べることや眠ることと同様に、

性は私たちの一生に関わることです。

子どもを産んだらさよなら、

更年期を過ぎたらさよなら、

というものではないですので、

自分の性の在り方について

一度向き合ってみる機会をもつことは

一人ひとりにとって大切なことなのではないか、

と、思っています。

 

私は最近、「セックス・セラピー入門」という本を読んでいます。

日本性科学会が出している本です。

性にまつわる支援に関わる専門職向けに書かれている本ですが、

特にそういったお仕事をされていなくても

役に立つ本だと思います。

性生活にまつわることで何かアドバイスが欲しいけど

第三者には相談しにくいという方は

参考にされてみてはいかがでしょうか。

 

妊娠を望んでの暮らしの中で

性生活がこれまでと質を変えてしまうことや

置いてきぼりにされてしまうことって

あると思うのです。

 

自分にとっての性生活、生殖器との暮らしに

微笑みながら過ごしたいですね。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


こころにひっかかっていること。

 

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「妊娠しにくいのって、なんでなんだろう」

「あの人はすぐ妊娠したのに…」

「年齢って言われるけど、同じ歳でも妊娠する人いるし…」

 

そんなことが頭の中をめぐるときに

「もしかして、昔、中絶したから、

 神様が私をお母さんにしてくれないのかなあ」

「実は夫とのセックスは心地よくなくて、

 本当にいいセックスじゃないから妊娠しないのかなあ」

「私、たぶん、発達障害なんじゃないかなあって、

 そういう特性があると思っているんだけど、

 それで妊娠しにくいんじゃないかなあ」

というような、

今までの出来事、自分の中でひっかかっていることを、

妊娠と関連しているのでは

と、思うこともあるようですね。

中には、わりと確信をもって

関係していると考えている人もおられます。

 

妊娠の可能性のある生活をしているのに

なかなか妊娠しないと

どうして妊娠しないのか、納得できないですよね。

 

そんなときにさっきのような考えが浮かぶのだと思いますが、

もしかして、本当は、100%そのせいだとは思っておられないかもしれません。

同じような経験をしている人でも

妊娠されている人もおられることもご存知でしょうから。

そういうこともわかっていても、

自分はそういうことで妊娠できないかも、と

考えてしまうような状況なんだなあ、と想像しています。

 

そういうときって

自分の中で心にひっかかっていることが

にょきっと顔を出すのですよね。

 

誰だって心にひっかかっていることや

自分ならではだと思っている特性や傾向、

生活の環境、家族関係、人との関係、

いろんなことがあるとは思うのです。

 

そういったことって

何か別のことで不安だったり自信をなくしたときに

こころをざわつかせる要素になったりします。

 

今からの妊娠には直接関係のない出来事でも

ざわざわすることについては、

自分なりの落としどころや受け止め方、もしくは対処などを

考える機会を作ってみられるのも大切なことだと思っています。

一緒に、整理したり考えたりしましょう。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


頑張ってくれて、ありがとうね。

 

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わたしたちの臓器って

わたしたちが生まれてからずっと

働いてくれています。

 

体内に何か異常があると

お腹が痛くなったり

おしっこの回数が多くなったり少なくなったり

心臓がバクバクいったりして、

私たちに教えてくれます。

 

そうやって働いてくれるのがあたりまえみたいで、

例えば、便秘になったときに

「私の腸、ダメだな」とか、

排卵が遅れたり、生理が来たときに、

「私の子宮・卵巣は、他の人よりダメなのかな」

といった考えが、

ふと浮かんだりすることもあると思うんです。

 

「正常に働いていない。ダメだな。」

 

私も、わりと、

ここの臓器が弱いとか

ここの臓器が人並みじゃないとか

思っていました。

 

ところが、この間、ふと、

「いやいや、全然ダメじゃないわ。

 むしろ、ありがとう、やわ。」

と、いう感覚が、ふわっと沸いたんです。

そしたら、身体がゆるんだ感覚が、確かにあって、

ゆるんだ感じを味わって初めて、

「そっか、そんなに緊張させていたのか」

と、びっくりしました。

 

ずっと私を支えてくれている臓器のみなさんは、

もともと、私がもって生まれた機能状態に、

私の生活習慣やストレスなどの影響も引き受けて、

それでもその時のベストを尽くしてくれているのでしょう。

そう思いを馳せると

なんて、ありがたい!

という気持ちになりました。

 

実際に私の臓器と会話できるわけでもないですし、

私が臓器に対してどう思うのかということで

何かが変わるのかどうかは

今の私にはわかりません。

「ダメだ」と思っていようが

「ありがとう」と思っていようが

臓器としては一緒かもしれません。

 

けれど、「ありがとう」と自然に思って、

その時に、本当に身体がゆるむ感覚があったことも、確かです。

しばらく、それぞれの臓器にはありがとうを伝えて、

少し異常なことが起こっても

「今はそうなんだなあ。

 頑張ってくれてありがとうね。」

と、ただ受け止めながら過ごしてみようと思っています。

 

 

 

臨床心理士   間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あたりまえの有り難味。

 

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この間、知人が数日不在にしていて、

知人は猫を3匹飼っているので、

その間は、知人の知り合いが輪番しながら

様子みにいくことになりました。

 

私も友人と一緒に様子をみにいったのですが、

ドアをあけた瞬間から

いつもと空気が違っていました。

なんというか、

空気が滞っているような

そんな感じがしました。

一緒にいた友人も

同じ空間にいるのに知人がいないだけでこんなに違うのか、

と、驚いていて、

「たましいは、その場所に宿るんやねえ」

と話す声色からは、さみしさが伝わってきました。

 

猫たちの様子もいつもと違ってみえて、

鳴き声はか細く

目に力はなく、

いつもよりコミュニケーションを

取ろうとしてこなかったように感じました。

 

猫には言葉が通じないので、

この状況を理解してもらうこともできないし、

私はとても切ない気持ちになりました。

 

知人が無事に帰ってきたので

また友人と一緒に訪ねると、

知人が戻ったその空間は

いつもの場所に戻っていました。

猫たちはいつもとおり、

場の安心感を土台に

のんびり眠ったり、

知人に文句を言ったり、

ひざに乗ってきたりしました。

私は、とてもホッとしました。

 

帰ってきた知人に友人は、

「いない時に来たこの空間は、トラウマ体験やったよ」

と、言いました。

私も「日常って大事やねえ」と言うと、

知人も「ほんと、そう」と言いました。

知人は、不在だったときのこの空間を

全く知らないわけですが、

知人は知人で

離れてみて思ったことがあったのかな、

と思います。

 

日々の暮らしであたりまえになっていることは

普段はあまり意識しませんよね。

怪我をしたり風邪をひいたときに

「なんでもない毎日はありがたかったなあ」

なんて、思ったりしますけど。

そうなってみないと

いつもあたりまえにあると思っていることが

どれだけありがたいことが

実感しにくいように思います。

そして、こういう感覚って

普段どおりの暮らしに戻ると

また薄れていってしまうのですよね。

 

大切にしたいことって、

ちゃんと

日々の中に

あるものなんですね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


自分のクセや傾向に、さようなら。

 

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40歳代後半の友人が

「最近やっと、こころのバランスがとれるようになったわ」

と、話してくれました。

 

私が会うときの彼女は

いつもいろんな人とよく話されているし、

好きなことへは一直線で、

バイタリティのある印象でした。

彼女の人生の中で大きな決断をされたときがあって

そのときは周りの方との関係で感情的になられてはいましたが、

彼女自身の内面について、

彼女がどう思っていたのかということまでは

私は知らなかったのです。

 

彼女が伝えてくれたことによると

彼女はこれまで、周りの人の一言に傷ついたり

影響を受けたりすることが多かったそうです。

例えば、彼女は自営業なのですが、

同じく自営業の知り合いが

「お店、忙しいわ~!!」

と言っていたら、

「私はもっと頑張らないといけないんだ…」

と、比べてしまったり、

親しい友達ではなくても親身に関わっては

励ましきれなくって落ち込んだりしていたのですって。

「自分を自分以外のことで許容オーバーにしてたんよ」

と、気づいたことを教えてくれました。

 

彼女が具体的に話してくれて初めて

私は彼女が背負ってきたこころというものを知りました。

他人が内面でどういうことを思っているのかは

話してもらわないとわからないものですね。

 

友人は、

「やっと人と比べなくなった~!

人間関係も、

『本当に親しい人じゃなければもう関わらなくてもいいかな』

って、気にならなくなったら

やっと楽になった!」

って言っていました。

そんな友人のすっきりした顔が

とても素敵でした。

 

こころを病むというのは、

「いつもの自分とは違った精神状態」のことかと思いますが、

こころが病む、病まないでなく、

多くの方が自分のこころというものをもてあそんだり

「私はどうしてこういうふうに思うんだろう?」

と、考えたりしているものではないでしょうか。

 

誰にでも自分の傾向やクセがあります。

それをどう生かすのか

折り合いをつけるのか

もしくは捨てていくのか、

どんなアプローチをしていくか、で

生き方がずいぶん変わっていくと思います。

今の自分の考えや価値観は、

全部「私が正しいと思っていること」というわけではなくて、

育ってきた過程で身についてしまった

持たなくてもいい信念みたいなものだってあるはずだから。

自分が本来の自分でいられるように

アプローチしていきたいな、と

彼女をみていて思いました。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


小さな「できた」

 

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少しずつ、外出自粛の動きが緩和され、

営業再開するお店が出てきましたね。

しばらくの自粛要請があって

外出する用事は大幅に減ったので、

時間に追われる感覚が

少なくなっていました。

時間があるっていいですね。

 

私は普段、だいたい「今日はこれとこれをやって…」と、

段取りを立てることが多いのですが、

段取り通りに済まそうとバタバタしたり

「まあいっか」と段取りを放棄したりしていました。

なので、段取り生活をやめて

優先順位をつけてみることにしました。

そして、一番優先したいことをするために

他にやりたいことはとりあえず置いておくことにしました。

 

そうすると

その日一番優先したいことを

ほぼ毎日できるようになりました。

もちろん、他のことは手付かずだったりするのですが

それでも、「できた!」と思えるのです。

「ああ、あれもしようと思ってたのに、できなかった…」

と、“できなかったこと”に目が向くのではなく、

“やろうと思ってできたこと”に目が向くようになりました。

 

あれも、これもと、効率良く生活することも

時には助かるし必要なこともあります。

また、生活が戻ってきたら

そんなふうな暮らしに戻っていくかもしれません。

けれど、身体は一つしかないんだから、

無理せずにできる範囲のことを

味わいながらやっていこうかなあ、と思っています。

 

みなさんは、どんな変化がありましたか?

治療をおやすみされているみなさんも

たくさんおられます。

おやすみされたみなさんも

通院されていたみなさんも、

選ぶのにどちらも勇気がいったことと思います。

まだまだ気をつけながらですが、

ぼちぼちやっていきましょう。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


幡野広志さんのこと。

 

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GWが終わりました。

お家でまったりな連休で

時間がたっぷりあったので、

ずっと気になっていた

幡野広志さんの “なんで、僕に聞くんだろう。”

という、ネット連載を読んでいました。

 

幡野広志さんは1983年生まれの写真家、狩猟家さんで、

2017年に多発性骨髄腫という血液のガンを発症され、

余命3年を告げられています。

幡野さんが病気のことを公表されると、

なぜだかガンの相談だけではない

ありとあらゆる人生相談が幡野さんのところに集まってきたので、

そういった相談に答えておられる連載が

“なんで、僕に聞くんだろう。” です。

 

幡野さんの答えは、

どちらかというと

「はっきり言いますね~」

という感じの答えなのですが、

相当細やかに

相談者さんや周囲の在り方に想像を巡らして

相談者さんへの想いや意見を仰っていて、

その真摯さにとても感嘆して読んでいました。

 

誰かの思考や気持ちはその人のもので

その人の気持ちはその人にしか分からないものですが、

誰かの似たような体験、似たような感情は

他にも思い当たる人がいるものです。

きっと、たくさんの人がこの連載を読んで

自分を勇気づけたり、

一歩踏み出そうと思ったり、

こだわることをやめたりしているのだろうなあ、と想像できます。

もちろん、私もそのうちの一人です。

 

この連載の中で、次のような内容の相談があります。

 31歳のとき、不妊治療の末に授かった男の子を死産しました。

 体外受精まで進んでも結果が出ないなかでの自然妊娠でした。

 その後、仕事をやめて治療に専念しましたが、

 妊娠することはできないまま、35歳になりました。

 治療期間は8年、費用はトータルで1000万にも及び、

 そろそろ終了しなければならない、すべてやり尽くしてしまった、

 そんな気持ちです。

 精神的にも疲れました。

 ここまでなんだか色々なものを失いました。

 喪失感を、治療を頑張ることで、先への希望で埋めてきたのです。

 夫との仲は良好で、この先2人でもやっていける、と言ってくれます。

 でもなかなか元気が出ず、今でも塞ぎ込むことが多いです。

 失った赤ちゃんを思って悲しいのか、罪悪感なのか、

 努力した治療の結果が出なかったことを怒っているのか、

 わからなくなります。多分全部です。

 今は夫と仲良く過ごせるだけでも、幸せ。心からそう感じています。

 楽しくて2人で笑うことも多いです。

 でも辛い気持ちは毎日のように襲ってきて塞ぎ込んでしまいます。

 いつか楽になれる日はくるのでしょうか?

              (ポムポムプリン 35歳 女性)

引用:cakes「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」 2020年1月20日掲載

 

有料記事なのですが、

途中までなら無料で読むことができます。

https://cakes.mu/posts/28551

 

幡野さんの回答は

幡野さんの言葉で読まれたほうがいいと思うので

ここでは控えておこうと思います。

私が変にまとめてしまって

本来伝えたかった幡野さんの想いが

幡野さんのものでなく伝わってしまう可能性を避けたいからです。

 

この記事を読んで、いろんなことを思ったのですが、

今日のブログはいつもより長いのに、感想まで書くと、

「え?どんだけスクロールするん?」

という長さになってしまうので、一点だけ書いてみます。

 

不妊治療のこともガン治療のことも

もしかしたら他のいろんなことも、

自分が経験している苦しさ、悔しさ、悲しさといったものは

経験していない人にわかってもらうのは難しいことじゃないか、と思います。

内容は違っても、

「誰にもこの気持ちは話せない」

「話しても分かってもらえない」

「話したら、全くそぐわないアドバイスをされる」

という経験は、多くの方がしているのではないでしょうか。

そういった経験はしているはずなのに、

誰かの相談にのるとき、

なぜだか、自分が相談する立場だったらば、

「この人に言わなければよかった」

と思うような聴き方になってしまうことがよくあると思うのです。

そうなってしまう理由のひとつは

「役に立ちたい」という想いだと思っていて、

そこで、「励ます」という行為が出てくるのですが、

誰かがが誰かを励ましているときって、

相手じゃなくて自分を正当化したい気持ちが

大きくなっているような気がします。

「励ます」ことって、

「頑張って!絶対大丈夫だから!」とか、

「少しくらい休んでみたらどう?」とか、

聴き手の “良かれと思って”を

言葉にのせることではないはずなのですよね。

 

本当に、相談した人は、

「励まして」ほしいのか。

自分がどういうふうに聴けば、

相談した人にとって

本当の励みにつながるのか。

そういった想像に力を入れると

本当に「役に立てる」かもしれないなあ、

ということを、記事を読んで考えていました。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


波が静まるまで…

 

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みなさんは人生設計をたてる方ですか?

「いつまでに、○○になる」

「いつまでに、○○する」

と、目標をたてて暮らしていますか?

 

振り返ってみると、私たちの考え方として、

いくつくらいまでは遊んでもいいとか、

何歳頃までに結婚するとか、

今の仕事を何年続けてみるとか、

なんとなくの設定みたいなものが

わりとあるなあ、と思っています。

 

その設定通りにいかないことも

やっぱりあるものかなあと思っていまして、

今回のコロナ禍では、

想定をしていたこれからの暮らしが

どうなるのか分からくなってきているなあ、

と、感じています。

 

溺れたときって

焦って頑張って泳ごうとすると

事態は余計に悪化しますよね。

溺れたときは、

身体の力を抜いて仰向けに浮いていると

助かるそうです。

 

平穏で安全なときは

思いっきり積極的に行動できると思います。

そうでない状況のときって

なんとかしようと頑張ったり足掻いたりしがちなのですが、

じたばたしないで

じっとしてみてもいいかな、と思っています。

 

自分で決めた設定に間に合わなくなると

なんだか焦りを感じることもあるのですが、

少し先延ばしにして

また取り組んでいくこともできます。

そこは、自分の中の設定を

外してあげてもいいのかもしれませんね。

設定がずれることが

どれくらい困ることなのか、

なんで焦っているのかを

よくよく考えてみると、

“自分の都合が悪いから”

という理由だったりすることも多かったりします。

 

思い通りにならないことも受け容れて

荒波が穏やかになるのを待ちましょう。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


ちゃんと、ギクシャクする。

 

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現在、多くの方が外出を控えておられると思います。

外出を控えることで、

同居している家族と一緒にいる時間は増えていきます。

家族と長い時間一緒にいることで

いつもはできないことができることもありますし、

ニュースにもなっていますが

一緒に居すぎることでつらい気持ちになることもあります。

 

“ 一緒にいればいるほど

   相手とのこころの距離は遠くなってしまう感じがする ”

そのことについてちゃんと話し合えたら

また次の関係性に行けるのでしょうけれども、

そのことにまつわる想いは

言葉で伝えられることはなく、

拒否したり攻撃したりする行動にすり替わって

どんどん関係性が難しくなっていくことがあります。

 

こういった事態について

「夫婦がギクシャクしないために」

という新聞コラムが掲載されていて、

・同居するための夫婦関係ではなかったですか?

・夫として、妻としてどうありたいのか、互いにむきあってみよう

といったアドバイスが載っていました。

この新聞コラムを受けて

臨床心理士の東畑開人さんは、

「ちゃんとギクシャクして、

ギクシャクしていることについて話し合うのが大事だ。

『向き合う』とはギクシャクすることなのだから」

と、コメントされていました。

 

できたら、もめたくないし、不機嫌にさせたくないし、

自分が怒ったり悲しい想いをするのも嫌だし、

言わなくても察してほしい…

というのが、本音なのではないでしょうか。

 

コロナのせいでギクシャクしたというわけではなくて、

今までなんとなく流してしまっていたことが

環境が変わることで

流せなくなってしまった、という感じなんでしょうね。

 

今、こういう状態になったからこそ、

ギクシャクをお互いが意識化して

ギクシャクしていることについて話し合うことで、

今までの関係性を変えていけるチャンスかも!

と、受け止めることもできるかなあ、と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 


こころも大切に待ちましょう。

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最近の情勢により、

どこかピリピリしていたり

イライラしやすくなっている

日本、世界ですね。

 

どれだけ意識をして気をつけているかは、

国からの強制力が他国ほど厳しくない日本では

どうしても個々人の判断になってきます。

ご自身の基準や考えとは違った言動に触れると

「え?どうして?!ちゃんと考えているの?!」

と思うときが、少なくないのではないでしょうか。

 

もちろん、納得できないことには、

意見をする権利があるとは思うのです。

ただ、多くの人の怒りのエネルギーが溢れていて

こころが食傷気味になってきているのも感じています。

みなさんのこころは

今、どんな感じですか。

 

大変な思いをされている方へは

できる範囲で手を差し出しながら、

気をつけながら待つことくらいしか

今できることはないのかな、と思っています。

 

どのように待つのか、

その過ごし方ってとっても大事で、

こころも大切にしながら待ちたいと私は思っています。

先のことを心配しすぎず、

「手間かけて料理作ったら美味しい」とか

「日が長くなってきて、今日も夕焼けはきれい」とか

「在宅勤務になったから、青空見られて気持ちいい」とか

今をちゃんと感じながら待ちたいと思っています。

ちゃんと傍にある

嬉しい、楽しいを、見つけながら。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


自分の価値観?

 

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私たちはいろんな観念や価値観を持っています。

そういったものって、

自分で選択して得たものよりも

これまでの育った環境で意識せずとも身についたものの方が、

圧倒的に多いように思います。

 

例えばですが、

「旦那は家事を手伝ってくれます」とお話くださる方は、

どこかで“家事は主に女性がやるもの”

という観念があるのでは…と想像しています。

「手伝ってもらう」と表現されるということは

家事についてお二人が対等ではないということですから。

念のために補足しておきますが、

私はフェミニストという立場ではありません。

 

特に根拠もなく

「普通はこうするもの」

「だいたいの人はこうするもの」

と、決まっているかのような感覚があるものは、

自分で選んだわけではない観念や価値観であることが多いです。

自分、また相手が身に着けている観念や価値観で

窮屈にしてしまっていることってあるので、

そういうことに気づいたら

根拠のない観念や価値観を

「ポイッ!!」と捨てちゃっていいと思うんです。

基本的には、自分の暮らし、相手との暮らしが

うまく回っていくようだったらばそれでいいわけで、

それがどんなかたちであってもいいわけですしね。

 

私の友人夫婦は共働きで忙しく

またどちらも料理が得意ではないので

平日はお弁当をとっています。

洗濯物も別々で、自分のものは自分でしています。

お互いに負担をかけ合うことがなくていいと言っていますよ。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


頑張るとき、頑張らないとき。

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「頑張ったらあかん」と、

実際に誰かに言われたことってありますか。

 

私はね、あるんです。

もう20年くらい前の話ですが、

学生時代に先生に言われました。

そう言われたときは、

「なに言ってるんだろう。全然頑張ってないのに。」

と、思っていました。

そして何より、

「頑張ったらあかん」

と言われたことに衝撃を受けたように思います。

今でこそ、「頑張りすぎないように」と言われることも

珍しくない世の中になりましたが、

そんなふうに言う人はそれまでいなかったし、

「え?頑張らない?それでどうするの?」

と、思いました。

それまでは

頑張ることが素晴らしいことで

頑張らないと良い結果は得られない

というようなことが当たり前のような考えをしていました。

 

振り返ってみると、

当時の私が、実際に何かを頑張っていたかというと、

そういうわけではなかったと思うのですが、

「こうじゃなきゃ!」 「これぐらいしないと!」

というような、

「頑張らなきゃダメだ!」

という気持ちが強かったのかな、と思っています。

 

あれから20年経った今は、

頑張ることと頑張らないこと、

どちらも大切だなあ、と思います。

何かの目的を達成しようとするときは、

その達成に必要な実際的な努力が要ることもあります。

よく言われることですが、

結果も大事ですけど、どういった過程だったかということが、

その先の自分を支えてくれると思います。

 

ただ、なんのために頑張っているのかということを、

ちゃんとわかっていることが大切だと思います。

実際的な目的の背景には、

「頑張って結果を出さないと、周りに認めてもらえない」

「周りがやっているから、私も頑張らないと」

など、自分が主体になっていない想いが

隠れていることがあると思うのです。

 

周りの人たちの考えや期待は置いておいて、

本当に自分が望んでいることが掴めたら

それに向かって頑張ることは素敵だと思います。

できたら「ワクワク」しながら頑張れたらいいなあ、と思います。

何かを背負っていて頑張っている場合は、

その状態で頑張らなくてもいいんじゃないか、と思います。

一旦、荷物を置いて、お茶でも飲んでのんびり深呼吸したら、

背負っている荷物の中身を吟味して、

「自分にとって本当に大切なもの」だけを鞄に入れ直して、

軽くなった自分で、世界を見つめてみるのもいいんじゃないかと、

私は思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


自分で選んだ関係が家族のはじまり。

 

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先日、生殖心理学会に参加してきました。

私は、その中で、

「パートナーと一緒になるところが家族のはじまり」

という話が印象に残りました。

 

私たちの記憶には、

親をはじめとする養育者から育てられた経験があって、

その育ててもらった集合体を自分の家族だと思っている人が多いと思います。

けれど、親は選べないので、

認識上は家族であっても、心の中では家族とは思いたくなかったり、

親の愛情が重すぎて困ったりということも少なくはありません。

「だから、あなたの家族はあなたが選びましょう。

あなたが選んだパートナーとのユニットがあなたの家族のはじまりです。」

という話でした。

 

そして、自分の家族がどういったかたちであろうと、

そのかたちで存在していいはずだと、強調して仰ってました。

どういうことかと言うと、

世の中には、夫婦と血のつながりのある子どもがいる家族もいれば、

夫婦どちらかと血のつながりのある子どもがいる家族、

夫婦どちらとも血はつながっていない子どもがいる家族、

夫婦の性がいわゆる男女ではない家族、

夫婦2人の家族、

夫婦どちらかと子どもの家族…

いろんな家族のかたちがあります。

けれど、人によってはマジョリティではないかたちであることで

肩身の狭い想いをされることもあるかもしれません。

また、マジョリティにいる人たちは、

悪意がない場合もあるとは思いますが、

マイノリティの人に対しての視線があたたかくないことがあります。

けれど、これはあってはならないこと。

どんなかたちであってもいていいはずなんですよ、

と、強く訴えておられました。

 

私たちは、マジョリティを目指しているわけではなくて、

ただ自分の想い、生き方に素直に選択していっているだけです。

選択したことに対しては、

自分が一番誇りを持っていたいものです。

たとえ、誰かに認めてもらいにくいことであったとしても。

パートナーさんと2人で選んだ選択に

誰もが誇りを持って生きていられる世界であるべきだと思います。

マイノリティとかマジョリティとか、

どっちであってもいいなあ、と思っています。

だって、大事なのは、そこではないですもの。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


無駄かもしれないことも、いいんです。

 

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少しの間、技術の修得のために、タイに行っていました。

初めて行った場所だったので

様々なことに感動していたのですが、

この旅の中で

「何をしていても、いいんやん。」

と、実感できたことが、

とても大きな収穫となりました。

 

受講時間外の朝や夕方に、

「せっかくタイまで来たんだから!」

と思って、近所を自転車でウロウロしたり、

日本では歩かないだろう距離を歩くことがありました。

何なのか全くよくわからない食材を買ったり、

ご家族で収穫したフルーツを仕分けしている様子や

ソンテウ(相乗りタクシー?)に小学生がたくさん乗っている様子など

街の人たちの暮らしを垣間見たり、

宿でたまたま出会った日本の人と一緒にマーケットに出かけたり、

お寺がとにかく多いのですが、どのお寺もものすごく煌びやかでびっくりしたり、

いろんな刺激を受けました。

 

そんなふうに出かけることもあれば、

ただ単に、景色をみながらボーッとしたり、

いろんな鳥や動物の鳴き声を聴きながら

ベッドの上でゴロゴロしたり、

庭に出て鶏に近寄ったら、跳び蹴りされたり、

宿で作ってもらっているご飯を味わって食べたり(とっても美味しかったです)、

外にあった椅子に座るだけで何もしていなかったりもしました。

 

こんなふうに積極的に動いている時間と、

自らは何もしない時間がありまして、

日本で過ごしている中では

“何もしない” を、しにくかったり、

結局何もしなかったとしても

そのことを肯定的に捉えることが難しい場合もあるのかなあ

と、思うのですが、

「何をしていてもいいなあ」

と、思ったのです。

 

積極的に動きたいときは動くけど、

常に刺激がないといけないわけでも、

何かをしていないといけないわけでもないなあ、と。

「時間、無駄じゃない?」

という考え方もあるかもしれないですが、

無駄かもしれないことも、いいじゃないですか。

のんびり、何もしない時間を過ごすということも

とても贅沢で、ゆとりのある時間でした。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


心配、ありがとう。心配、いりません。

 

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立春が過ぎました。

節目は、ちょっと凛とした空気が流れる気がします。

少し日も長くなってきているみたいで、

夕暮れどきに見上げた空には

昼の月が残っていて、

夕日に少し照らされて

ほんのり黄金色になっていました。

 

今年は、全然雪が降らなくて、

このまま春を迎えていくことを

どうなのかなあ、と思っていたらば、

ようやく初雪が降りました。

 

さて、誰かに心配された経験って

誰にでもあるかとは思いますが、

心配されることをどんなふうに感じていますか?

心配してくれてありがとう、と思いますか?

余計な心配しないでいいし、と思いますか?

これは、心配の内容や相手との関係性に拠っても違うとは思うのですが。

 

誰かに心配されるということは

相手に自分を思ってくれる心があるってことで、

そんなふうに思ってもらえる人がいるのは、

ありがたいことだなあ、

と、うれしく感じることが多いかな、と思います。

ところが、相手の心と自分の心とでは

同じような心もあれば違う心もあるものなので、

相手にとっては当然のように思っている心配が、

自分にとっては一方的に感じたり

そんなふうに思われるのが重荷になったりすることもあります。

また、期待に応えたい性格の方だと、

誰かを心配させているという状態が耐えられなくて、

心配をなくそうと頑張ったり我慢したり

労力を使うことになるんじゃないでしょうか。

 

相手の心配は

お互いの関係性で生まれたものというより、

相手の自分に対しての想いや

相手が認識している自分との関係性で

生まれるもののように思っています。

 

相手の心配を

素直にありがたく感じるときは、

「そう思ってくれて、ありがたいなあ」

と、自然と自分のパワーなるなあ、と思います。

相手の心配に

心がざわざわ、チクチクするようなときは、

相手の思いにのみこまれてしまわないように

「あなたがそう思っていることは、私には関係ないもーん!」

と、バリアを張ってみるのも一つだなあと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


説明会はリピートOKです。

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パートナーとお2人で

今、どんなふうに妊娠に向けてアプローチするのかを

話し合ったり決めていくのにあたって、

正しい情報と知識が必要になってくると思います。

 

正しい情報と知識をお伝えする機会として

出席された方も多いと思いますが、

当院では、”不妊説明会”と”体外受精説明会”を

月に一度、土曜日に開いています。

出席していただくタイミングはお任せしていますが、

私は早めの出席をおすすめしています。

 

ですので、説明会に出席したときは、

自分たちが体外受精をしていくとは思ってらっしゃらない場合もありまして。

その後1年くらい経って

体外受精にすすむかどうか考えるようになられたときに、

体外受精のことがなんとなくしか分からず不安になられることがあります。

 

そういった方には、

体外受精を自分が受けるかもしれないという感覚をもって、

もう一度説明会に出られることをおすすめしています。

改めて説明会で聞かれる内容は、

最初の頃に聞いたときとは

また響き方が変わってくると思います。

それでも分からないことや不安なことがあれば

説明会の後に質問を承っていますし、

また診察に来られたときにでも

ご質問くだされば…と思います。

 

今は、本当にたくさんの方々が体外受精をされていますので、

体外受精をされたお知り合いに話を聞かれることもありますが、

だいたいの方が、

「話を聞いたら毎日注射を打ってて大変そうだった」

「薬の副作用ですごくしんどかったって」

「仕事しながらは無理って言われて」

と、体外受精を躊躇するような感想を持ってこられます。

 

体外受精という方法は同じであっても、

病院によっても、また人によっても、

方法や薬剤が変わってきます。

採卵日まで毎日注射を打つ方法もあれば、

数回の注射で採卵する方法もあります。

副作用を感じる方もいれば、感じない方もいます。

治療のために仕事をやめる方もおられますが、

やめずに体外受精をされている方のほうが多いですし、

採卵の日はお仕事を休めるようでしたら

仕事をやめなきゃできないということでもないように思います。

 

体外受精をする選択をされても、そうでなくても、

お2人が正しい情報や知識を得て、

お2人の考えや思いとを話し合って出された決断であれば、

それがお2人にとっての正解なのだと思っています。

体外受精の印象や人づてに聞いた話は少し横において、

実際がどういったものなのかをちゃんと知った上で、

ご自分たちはどうしていくのかを、決断をしていってくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


適度に取り組みましょう。

 

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“水は、毎日2リットル飲みましょう。”

という主張を、何度も目にしたことがあります。

必要量の水を摂取しないと

血がどろどろになって循環が悪くなるし

老廃物も排泄できなくなって代謝も落ちるといった理由からです。

「水って、生命維持に大事なんだなあ」

と、思って、2リットルの水を飲む必要があることに

私は何の疑いも持っていませんでした。

(実践はしてなかったんですが。)

けれど、先日、

「『水を2リットル飲まないと!』って言う人がいますが、

 水は飲みたいときに飲んだらいいんです。

 水を飲みすぎると、胃酸が薄まって消化力が落ちるし、

 胃酸の細菌やウイルスを殺す役目も弱まります。」

ということを書いていた人がいて、

「そう言われたら、そんな気がする…」

とも思ったりしました。

とは言え、お水は足りていた方がいいでしょうから、

自分のからだに負担をかけない程度に

無理なく摂りましょう!

という塩梅がいいのかな、

と思っています。

 

目にする情報によって主張が違ったりして、

「状態をよくするには、どうしたらいいの?」

と思うことって、たくさんあります。

こういうことって

本当に気にするべきことなのか、

また、気にするとしたらどれくらい実践する必要があるのか、

判断していくのに、困る場合があると思います。

 

妊娠に良さそうな生活習慣についても、

例えば、「私は運動不足で妊娠できないんですか?」

と、気にされている方もおられるのですが、

健康な身体づくりには、適度な運動量が必要です。

運動すると代謝が上がり筋肉量も増え、血行がよくなるという点では、

きっと妊娠をしていくのにもよい身体づくりになると思います。

とはいえ、相対的に痩せ体型になると妊娠にはよくはないですし、

過度な運動は活性酸素を生み出すとも言われています。

また、「運動しなきゃいけないから、寝る時間を削るしかない!」

「運動しなきゃいけないのに、できていないから妊娠しない!」

なんて考えが強くなるようでしたらば、

「運動はした方がいい」という神話とはさよならしたほうが

健康に暮らせそうな感じもします。

 

“ ほどほど ”や“ 適当 ” という具合は

素晴らしい塩梅だと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


「 今、ここ 」

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新しい一年が始まりましたね。

年末年始、リフレッシュできましたか?

 

私は、学生時代からずっとお世話になっている恩師に会いにいきました。

実は、先生は3年くらい前からアルツハイマーと言われていて、

一昨年に奥さんを亡くされてからは

その進行が速くなってきたように思います。

そうなってから、だんだんと、

先生と私の関係性は、それまでとは変わっていきました。

先生は、今までのように、

学術のことを話すこともなくなりましたし、

仕事のことなどの相談もできなくなりました。

そうやって、今までの先生ではなくなっていく様子を

訪ねる度に目の当たりにしては、

私はとても悲しい気持ちになっていました。

 

でも、この間会ったときは、

私の悲しい気持ちは小さくなっていました。

この間は、先生の今の状態を、

「そうなんだなあ」と思っただけだったのです。

もう何かを覚えていくのは難しくても、

今までしていたことをしなくなっても、

同じことを何回も話しても、

「そうなんだなあ」って。

先生も特に困ったり悲しんだりしてるわけでもなさそうに

今の暮らしの状況を話してくれるから、

そう思えたのかもしれません。

それまで悲しい気持ちが大きかったのは、

きっと、過去があるからで、

過去にあったままでずっとあってほしいと思っているから

気持ちが追いつかなかったのでしょう。

今はもう、過去は過去で、

今の先生は今の先生と思っています。

 

そう思ったときに、ふと、

「今、ここ」というメッセージを思い出しました。

それは、学生時代に、

先生が声を大にして、

「大事なんは、『今、ここ』やぞ」

と、言い続けてくれたメッセージです。

その言葉を思い出して、

「そっか。これが、『今、ここ』か。」

と、思いました。

 

過去は過去、

そして、今は今。

今まであったもの、

また逆に今まで手に入らなかったものに

執着することなく、

今を大切に過ごしていこうと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


“仕方がない”、という強みとともに。

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他人に文句やグチを言っているのを聞いたことがない

機嫌もだいたいいつも同じ調子の知人がいます。

 

知人はいつも楽しそうにしていて、

「この方は、落ち込んだり、腹が立ったりすることないのかな?」

と、気になっていたので、

先日、思い切って聞いてみたのです。

 

そしたら、その方は、

「落ち込むこと…、落ち込む……、いやあ、ないなあ」

って、おっしゃるんです。

「え?嫌なこととか悲しいこととか理不尽なこととか…」

と、もう少し聞いてみると、

「それはあるけど、それは仕方ないことやん?

 自分が悪いわけじゃないんやし。」

「理不尽なことはあったけど、

 これはネタになる!って思ってしまうからなあ。

 面白がったらいいんや~。」

と、次のようなエピソードを話してくださいました。

 

“僕が厄年の誕生日やった日に

  会社の上司から電話かかってきて、

  お客さんのクレーム電話を転送されて、

  明らかにお客さんの勘違いやのに、お客さんが

  「今から家まで謝りにこい!」

  って、怒ってて。

  「いやあ、僕、もうご飯も食べてお酒も入ってるんで、

   今日はおうかがいできません。」

  って、言ったら、

  「タクシーがあるやろうが!」って。

  お客さんの家は和歌山で、

  「陸続きなんやから、タクシーで来れるやろうが!」

  って言われて、

  「そうですねえ」って。

  そっから家出てタクシー止めて

  タクシーの運転手さんに

  「すいません。和歌山までいくらくらいですかね?」

  って聞いたら、

  「6万くらいですね」

  って言われて。

  「そうですか。じゃあ、お願いします」

  って乗ったら、

  タクシーの運転手さんが

  「うっひょーーー!!お客さん、マ~ジですかーーー!!」

  って、すごい顔して喜ぶから、

  「え?!何この喜び様!こんなんある?!」

  って、めっちゃおもしろくなってきて。

  着いたら着いたで

  もう夜中やったし向こうも落ち着いてるから

 ほんまに来られてちょっと困ってて、

  「いや…もういいし。」

  って、あんな怒ってた人がなってて、

  そんなんもおもしろいし。

  そんなんあったら会話のネタになるし。”

 

もし、知人の立場だったらば、

例えば帰宅しているのにお客さんからの電話を回した上司や、

勘違いを理解せずに怒り狂って無理なことを言い出すお客さんに、

腹が立つ人がたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。

 

他にも理不尽でものすごくおっかない話もあったんですが、

その話でもやっぱり

知人は途中でおもしろくなって笑って

その笑いに相手が引きつられて解決しているんですよね。

 

知人はどの一件でも

“怒り” という感情を攻撃的に出してないんですよね。

もしかして、抱いてすらないのかもしれませんが。

知人は必要以上に自責感を抱かない方なんだと思います。

そして、 “仕方ない” という落とし場所をとても広く持っていて、

どんな状況でも“おもしろいセンサー” が働く方なのでしょう。

 

知人の真似は到底できそうもありませんが、

「自分が悪いことをしたわけじゃないし」

「仕方ないことやし」

という判断ができると

「まあ、いいか」と思える度合いが大きくなりそうだなあ、

と思いました。

 

さて、今年もお疲れさまでした。

年末年始のお休みはお忙しい方もいらっしゃるでしょうが、

是非とも今年1年、

頑張った自分に、やり抜いた自分に、いっぱい悩んだ自分に、

「お疲れさま」 、「頑張ったね」 、「大変やったね」

と、労う時間も大切になさってくださいね。

よいお年をお迎えくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


風通しよく過ごすために…

 

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開院当初は、男性がついて来られることが少なかったですが

ここ数年は、カップルで来院される姿が本当に多くなりました。

初診の日には、スタッフから初診説明をさせていただくことになっていて、

私も初診説明の担当の1人になっています。

 

説明を終えて

「何か気になっていることとか聞いておきたいことありますか?」

と、おうかがいしたときに、

私の感覚では、

おひとりで来られるときよりも

おふたりで来られるときの方が、

体温表のつけ方や

治療の内容、妊娠の確率など

そういった現実的な面の質問はあれど、

気持ちを吐露されることが少ないように感じています。

話す準備をしていないと

急には思い浮かばないものかな、と思いますし、

1人のときと2人のときでは、

話せる内容も変わるものかな、とも思っています。

 

時折、「このことを聞いてみたい!」

と、来られるカップルがおられます。

そういうときによく思うことなのですが、

おふたりで話しておられる内容でも

第3者に話すと、

また違った響き方をするなあ、と思うのです。

 

きっと第3者に話すときって、

自分の考えや心情や状態も含めて

どういった状況なのかを伝わるように話すからでしょうね。

そして、私に説明してくださったことを

一緒にパートナーさんも聞いているわけですが、

お相手の方が私に話している内容を聞いて、

「あ、そんなふうに考えてたんだ。」

「へえ、そう思ってたんだ。」

と、気づかれることが少なくありません。

 

きっと、毎日の暮らしの中では、

現状をどう良くしていこうか、

という、現実面の話し合いはできても、

相手をどう思っているのか、どう考えているのか、

ということは、ストレートに言葉にしにくいものなのかもしれないなあ…

もしくは、明言しなくても伝わっていると思っていることもあったのかもなあ…

それとも、相手を思うが故に、どこまで伝えていいのか迷いがあったのかなあ…

などと、想像しています。

 

特に何かで困っているという時ではなくても、

現状やこれまでの経過を

自分の言葉でお話いただくことで、

心の風通しはよくなることがあると思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


みんな違う人間だから。

 

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この間、久しぶりに教授や同級生と会いました。

そこで、ここ10数年話題の、

発達障害についての話になりました。

 

発達障害にもいろいろな種類がありますし

1人ひとり内容も異なるものなのです。

教授のお子さんもそういった傾向があったみたいで、

小学生のときにランドセルを公園に置いて帰ってきたことがあるそうです。

そういった生活全般についての注意力は

少し足りないところがありながら、

英語の能力は高く、TOEICでは高得点を取っておられ、

今は美術の才能を活かして装丁の仕事をされているんですって。

 

そういったことも含めて

“みんなに同じことをさせるという教育は変わっていったほうがいいね。

  能力をもっているところを育てていかないと。”

という話になっていきました。

 

心理士は、例えば学校に行かない学生に会ったりしますが、

学生が学校に行くようになることを目的として

会っているわけではありません。

“学校に行かない”という表現はどういうことなのかを考えながら、

その学生が持っている力を発揮できるように、

こころに負担をかけすぎずに過ごしていけるように、

と、思って関わっています。

学生にとって学校がそういった場所でないのならば、

学校に無理に行かなくてもいい、

という価値感があります。

 

ただ、本人にとっては、そういった、

「みんなができることができない」

ということを経験すると、

「自分はどうしてできないのか」

と、悲しくなることもあるかと思います。

 

そういうときに、

「できるようになるように、頑張ってみよう!」

と、ものすごく頑張ってみることも

一つの解決法ですね。

そして、そういうときに、もうひとつ。

“みんなと同じじゃなくてもいい”  という選択肢があります。

この選択肢って、

「もっと当たり前に選ばれていいのになあ」

と、私は思っています。

人間ってみんな人間という点では同じですけど、

1人ひとり、全部違うんですから。

自分が持って生まれた能力や素質でやっていくのであって、

誰かにできて自分には難しいこともあれば

その逆だってあるのが当たり前だと思っていますし、

そういうものだと思うのです。

 

カテゴリー分けをすると多くの人たちと一緒だとしても

それで何かが保障されているわけでもありませんし、

カテゴリー分けでは一緒でも、

やっぱり1人ひとり別の在り方をしていると思います。

自分の中の当たり前とは違った他人の在り方を尊敬し合いながら、

相補的に過ごしていきたいなあ、と思っています。

 

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 


妊娠に効果的なセルフケア足もみ練習会。

ブログでも案内していましたが、

11月に、流産や死産を経験された方と

妊娠に効果的なセルフケア足もみ練習会をしました。

参加くださった方から、

「実践できてよかったです。やってわかることがあるから~。」

「妊娠が続くように、できることはしたいと思っていたんです」

というお声をいただいていて、

そういった機会をまた作れたら…と思っていました。

 

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そこで、12月21日(土)は、

診察が9時15分の受付までなので、

10時から、セルフケア足もみ練習会をすることにしました。

今回、お1人目希望で通院されていて、

流産や死産を経験された方を対象として開催させていただきます。

対象でないみなさまとも

また練習の機会を作れるように調整しますね。

 

足には、臓器の反射区があります。

子宮や卵巣、生殖器、脳下垂体などの反射区を圧すことで

妊娠にかかわる臓器が元気になって老廃物が出ていくと思うと

次の妊娠を少し安心して迎えることができませんか?

また、足は老廃物が溜まりやすく冷えやすいです。

足もみをすることで、老廃物を流して血行を良くすることができます。

冷えや血行が気になる方にも効果があると思います。

 

今年一年、頑張ってきた自分を労いながら

足をもみましょう。

そして、温かい心身で、来年を迎えましょう。

 

みなさん、お待ちしています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


“私だったら”○○だけど、“あなたは”○○しない。

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誰かの行為や言動に対して

「普通、こういう状況だったらこうしない?」

「私だったら、こういう時こうするけどな…」

と思うことってありませんか?

 

それって、

「だいたいの人は、そういうことしないよね?」

というときには、思うことが多いと思います。

また、その他に、

他の人に聞いたら別にそこまで思わないみたいだけど、

なんか私は無性にそう思う!

ということもあります。

 

前者だった場合は

そういった一般的な常識や社会の感覚が身についていないと

生きていくのが大変ですから、

自分の身を守っている感覚かとも思います。

後者だった場合はどちらかというと

個人の性格や相手との関係性に拠るところが大きいかな、と思います。

自分の中では、

我慢している感情だったり

悔しい気持ちだったり

理不尽だなあと思っていることを

なかなか言えなかったり分かってもらえなかったりしたときに、

そういったことを思いがちな気がしています。

そして、ご家族や友人、同僚に

「私だったら絶対そんなことしないのに!」

「よくこういう状況でそういう態度取れるなあって思って」

なんて言って、

もやもややイライラを吐き出したりするのではないでしょうか。

こういうときって

自分の中では自分の感覚が正義みたいに感じてしまって

他人の意見ってなかなか聞き入れにくいです。笑

 

けれど、自分の想像が及ぶ世界じゃないところも

きっといっぱいあるわけで、

自分の視点では許せないようなことも、

相手の立場だったら

そうしても仕方がないこともあります。

 

自分の中に起こっている気持ちっていうのは

できるだけ伝えたほうがいいと思うのですが、

「そう思って当然でしょ?」

「あなたおかしいでしょ?」

という感じで伝えるのではなくて、

「こういうときに、こういう対応だったから、こういう気持ちになった」

と、 “あくまでも私の視点では”という前提で伝えたいと思います。

そして、相手の視点ではどうだったのか、

を、聴けるようなしなやかさを、持っていたいと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


根幹を大切に。

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毎月発行している

“カウンセリングルーム通信”ですが、

内容によって、みなさんが手に取られる数が変わります。

9月号の “妊娠に効果的な足もみマッサージ” は

今までで一番多くの方が手にされたもので、

通常の倍以上もの発行部数でした。

その後、足もみ、されていますか?

 

先日、足もみの講習をしました。

紙面だけでは伝わらないこともあるので

参加者さんは「実践できてよかった」と仰ってました。

足のツボを圧したり揉んだりすることで

血流がよくなったり、むくみが取れたりします。

子宮や卵巣や脳下垂体の反射区を圧すと

妊娠のサポートになると習いましたが、

単純に、「身体がぽかぽかしてきた」 「足がスッキリした」

という変化も大事なんじゃないかなあ、と思いました。

 

時折、「妊娠に効果があります!」という謳い文句に

飛びつきたくなることもあると思います。

そういった宣伝をされているものの中には

本当に妊娠に効果がある内容のものもあるとは思うのですが、

今回講習していても思いましたし

今年は特に思ったことなのですが、

まずは、自分が健やかでいることがあってこそ、

という気がしています。

 

ごはんをバランス良く

好き嫌いなく主菜や副菜も食べて、

仕事はほどよいストレス具合でやりがいを感じたり、

時折、誰かと話したり

自分の好きなことをしたりして、

家事は適当な加減で良しとして、

「この人と一緒になってよかったなあ」

と実感できる瞬間があって、

お風呂に入って身体を温めて

ぐっすり眠る。

 

もちろん、いろんなことはあるので、

こんな理想通りにはいかないとは思いますが、

やっぱり毎日の暮らしが

今の自分をつくっているんだと思います。

健やかでいられるような暮らしがあってこそ。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 


こころとは違った言葉

 

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言葉とこころが

一緒じゃないことって

わりとあるような気がしています。

 

相手がこころとは違うことを言ってそうなときは

言い方や雰囲気で

「無理してそう」 「本心じゃないやろうなあ」

と察することがあります。

 

相手を不快にさせたくなかったり、

本心を伝えることを迷っていたり、

嫌われたくなかったり、

雰囲気を壊したくなかったり…、

そういった思いが強いようだと

本心を相手に気づかれないようにしていることも

あるかもしれません。

 

相手を信じられない気持ちや

相手との関係性に不安があるときなんかは、

自分にとってうれしい言葉であっても

「本当にそう思っているのかなあ?」

と、思ってしまったりします。

「本当にそう思っているの?」

と、問い正すこともあるでしょう。

 

本心を知りたいけど

本心が望んだものでなければ怖いものです。

 

逆に、本心を隠して、

相手の機嫌をうかがうこともあるでしょう。

本心を言いたいけど

本心がどう受け止められるのか怖い。

そういう思いから

なかなか状況を変えられないこともあるかもしれません。

 

こういった状況について

「言いたいことは言うようにしましょう!

 思いを抱えないようにしましょう!」

なんて、アドバイスするのは、正論だなあと思います。

そうできたら、すごくいいですもの。

ただ、多くの場合は

「言いたいことが堂々と言えるようなら苦労はしないよ~」

という状況だから、

本心を聞けなかったり言えなかったりするのだと思います。

そして、本心を聞いたり言ったりするのに、

そういう“タイミング”というものもあるように思います。

まずは、そういうふうに感じたりする気持ちや

何かを守ろうとしているその状況に、

寄り添っていきたいなあ、と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


相談の種類

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ちょっと悲しいことや落ち込むことがあったときに

「なんとか前向きに考えられたら…」

「プラスの面に目を向けよう」

と、気持ちを変えられるように試みることがありませんか?

 

そういった試みで、

本当に気持ちを変えることができる場合もあります。

試みてもなかなかうまくいかないときは

きっと、気持ちと思考がバラバラな状態におられるのかなあ、

と、思います。

 

この間、私は気持ちがおさまらなくって

とても困っていました。

なので、その困り事には関係のない知人に

そのことを話すことにしました。

 

相談って、2つの種類があると思うんです。

1つは実際的な相談で、対策や答えを求めているもの。

例えば、

「1年間、避妊せずに週に2~3回夫婦生活があったのに、

一度も妊娠しなかったんです。

妊娠のために、どんなことができますか?」

という相談に対しては、

「夫婦生活での妊娠を難しくしている要因があるかどうか、

まずは検査をしていきましょう」

というような実際的なアドバイスができるかな、と思います。

 

もう1種類の相談は、答えが自分の中にあるものです。

例えば、「仕事をやめようか悩んでるんですけど…」とか、

「旦那さんに対して腹が立ってしまって…」といったことです。

この種類の相談を、周りの誰かにしたときに、

「こうしてみたらどう?」

と、客観的にアドバイスをもらっても、

「う~ん…でもそうすると…」

と、アドバイスがあまり響かなかったりします。

だって、このことを一番考えているのは自分自身ですから、

他人がアドバイスしてくれていることは

今までに考えたことがあることの方が多いものです。

 

あれこれアドバイスされることなく

聴いてくれてるという実感の中で

思ったことをただ話していると、

ガチガチだったこころに

少しゆとりやあそびが出てきます。

そうすると、

今までなんとなく思い浮かべたことはあっても

選ばなかったことを選んでみようかと思えたり、

無理やりじゃなく前向きに捉えられたり、

手放してしまおう!と思えたり、

そんなふうに、自分の本来のエネルギーが戻ってきたりします。

 

私は、話す機会をもって

ものすごく変わったわけではないのですが、

一時よりも気持ちが楽だなあ、

と、実感しています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


ピア・サポートの会、詳細について

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流産・死産を経験されたみなさんの

ピア・サポートの会について、

もう少し詳しく、内容をお伝えしたいと思います。

 

「流産したことを話したら、前向きに考えられなくなりませんか」

「なんか、慰めあいみたいにも思えて…」

と、この会に興味をお持ちだけれども

どんな内容なのか気になられているご意見をいただいています。

確かに、内容について十分説明できていなかったので

そういった会と想像される方がたくさんいらっしゃるかもしれません。

そういう会ではないのですよ~!!

と、強く言いたいので、ここでお伝えさせてください。

 

この会の目的は

「来てよかったなあ」

と、思ってお帰りいただくことです!

前半は、ご自宅で自分でできる足もみマッサージを

みなさんで一緒に練習します。

子宮や卵巣、脳下垂体など、

妊娠に関わる反射区をバッチリ覚えていきましょう。

これから寒くなって、冷えが気になる方がいらっしゃると思います。

マッサージは血行促進にもなりますよ。

是非、マスターして帰ってくださいね~。

*ハンドクリームやボディクリームがあれば

 もってきてください。

*床に座って練習するので、座布団やブランケットを

 もってきてください。

 

その後、温まったところで、

「こういうとき、みんなどうしてるのかな」

「誰かに尋ねられたらいいなあ」

と、普段から素朴に思ってらっしゃることを

みなさんの中で聞いてもらったりできたら…

と、思っています。

 

同じ経験をされたみなさんでの会ですが

そのことを取り上げてみんなで話しましょう!

ということが前提ではありませんよ。

ただ、誰でも参加OK!で開催するよりも

ちょっと安心しながらご参加いただけるかなと思います。

「人見知りなんです~」という方にも

無理にお話いただこうとは思っておりません。

そのとき、その場の雰囲気やみなさんの感じに合わせて

できるだけあたたかく過ごせる時間にしたいと思います。

 

同じ時間を過ごしてくださる方を

お待ちしております。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


健やかな土台。

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歩いていると

キンモクセイの香りがする季節になりました。

季節が移ろいでいくこの時期、

みなさんの身体はスッキリしてますか?

 

健やかな心身のために

健康的な生活習慣にしましょうと

小さい頃から言われています。

土台が健やかであることって

やっぱりとても大事だなあ、

と思っています。

 

すぐに効果や結果が出てほしい気持ちは

誰にでもあると思うのですが、

毎日の暮らしの中で

心身に負担をかけていること、

乱れていること、

足りていないこと、

過剰になっていること、

そういうことを一旦見直してみて

暮らしから整えていくだけで

こころやからだの調子も変わっていきます。

本来のあるべきところに

ちゃんと戻っていきます。

すると、もっている力が

ちゃんと発揮されるようになります。

 

土台が健やかだと

何かあったときも

比較的大崩れすることなく回復できたり

必要以上にこころを傷めたりしにくくなります。

 

さて、暮らしを見直していくときに

「正しい生活習慣にしよう!!」

と、意気込んで、ものずごく頑張りすぎてしまうと、

途中でしんどくなってしまったり

結局力み過ぎてしまうことになります。

緊張しすぎていなくて

弛みすぎてもいない

ほどよい緩みのある状態が

こころにも身体にもいいんじゃないかと思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


流産・死産を経験されたみなさんで集う ピア・サポートの会 のお知らせ

 

流産を経験されている方は、

おそらくみなさんが想像されているよりも

たくさんいらっしゃるという実感が

私たちスタッフにはあります。

けれど、友達や同僚から

「私、流産したの」

とは、あまり聞く機会がないかもしれません。

 

「周りは順調に出産していったのに

 どうして私はダメだったんだろう」

「次、妊娠しても、また流産したらどうしようって

 不安になってしまう」

そういった思いを抱えながらも

新しい命との出会いに向けて頑張っている仲間が

近くにたくさんいます。

同じような思いを抱えて頑張っている人たちで

一度、お話ししてもらえたらいいなあ、

と、ずっと思っていて、

今回、こういったピア・サポートの会を企画しました。

 

いきなり話すのは緊張する方もおられると思いますので

最初は妊娠に効果的な

セルフ足もみマッサージの練習をして、

みなさんの気持ちが少しなじんだところで

お話しする時間にしようと思っています。

 

開催日は11月2日(土)14時から16時です。

詳細は院内のポスター、チラシで確認していただいて、

受付かお電話にてご予約をお願いいたします。

 

久しぶりのグループ企画、

私はとても楽しみにしています。

一期一会、素敵な時間になりますように。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


自分という登場人物を、一読者としてながめてみる

 

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「人生という物語の主役は自分なんだ」

と、言ったりします。

さて、「○○○○(自分の氏名)の半生」

とかいうタイトルで

自分を物語の主役とした本を想定して

最初から開いていってみると

意外な発見があったりします。

ちょっとやってみてください。

 

いつも自分が見ている世界って

自分が主体ですから

自分自身のことは見えていません。

こうやって物語にすると

自分自身を含めた世界を

今の自分が見ることになります。

こういった客観的に自分を見る視点って

普段はあまりないと思うんですよ。

 

幼稚園のころ、小学生のころ、学生時代。

家族関係での自分と家族、

恋愛関係での自分と相手、

職場での自分と上司や同僚、

友人関係での自分と友達、

いろんな場面での

自分に起こった出来事が

本には書かれています。

一つの物語として読んでみましょう。

 

そうすると、

自分の周りの人と自分とのやりとりを

落ち着いて見ていられる気がします。

今までは、腹が立ったり、悲しくなったりしたことでも

ある程度のことまでだったら

あまり感情的にならないですし、

ショックだったりした出来事も、

むしろ「おかしい~。はははっ!」

と、おもしろがれたりします。

 

自分を俯瞰で見てみることで

なんだか楽な気分になったり、

「それならこうしたらいいのに」

って自分が受け入れられそうなアドバイスを

自分に送れたりします。

相手に向けていたネガティブな気持ちも

また違った角度から相手をみることで

変わることもあります。

きっと、他にも、

いろんな発見があると思いますよ。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


「~しなきゃいけない」に、さようなら。

 

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「~しなければいけない」

っていう思いや考え方って

その人を不自由にしちゃう側面もあるのかなあ、

と、思っています。

 

この「しなくちゃ」という信念を守るために

時間に制約が出たり、

こころが求めてなくても頑張ったり、

身体も無理したりするかもしれないからです。

 

そして、自分が、

「こうしなきゃいけない」

「こういう場ではこうするもの」

と思って行動していると、

そうはしようとしない誰かといるときに

「どうして、こうしないのかな?」

「もう!こうしてほしいのに!」

と、ちょっとイライラすることがあります。

…これって、

相手にとっては

いい迷惑ですよねえ。

 

「~しなきゃいけない」には

“嫌われないように”

“がっかりさせないように”

“期待に応えられるように”

“良く思われるように”

というような

“相手から思われたい自分像を守るため”

という役割があるんじゃないかな、

と、思っています。

 

そして、私は、

そういうことから

もっと自由でいてもいいよねえ~

と、思っています。

無理なことは無理してやらなくてもいいし、

したくないことを頑張ってしなくてもいいし、

相手ががっかりしたって

しょうがないものはしょうがないんじゃないかなあ。

 

人間関係での緊張や努力って

本当にエネルギーを消耗しちゃいます。

もう少し自分が自由でいられると

ちょっとしたことでイライラしなくなったり、

相手ががっかりしても 「しょうがないよね~」と

心に留めず流しておけたりするんじゃないかなあ、

と、思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


たんぱく質の恩恵!?

 

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最近、心身の調子がいいなあ、と思っています。

 

何か変わったことといえば

ここ1ヶ月、たんぱく質を意識して摂っていることです。

1日に必要とされているたんぱく質を

摂れていなかったことに気づいてから、

毎日必要量に足りるように

食事をしています。

 

トリプトファンという

主にたんぱく質に含まれる必須アミノ酸が、

精神を安定させてくれるセロトニンや

快眠を助けてくれたり体内リズムを整えるメラトニンに

なっていきます。

なので、私の心身の調子のよさは

たんぱく質を摂ることにしたからなのかな、

と、わりと確信を持っていたりします。

 

私がずっと妊娠したいと思っていて

このタイミングで妊娠したらば、

「たんぱく質摂ったら妊娠したよ!」

と、言ったりするかもしれません。

 

でも、本当のところは、

わからないですよね。

そもそも私の心身の調子のよさが

本当にたんぱく質のおかげなのかも

わからないですし。

意識してから、まだ1ヶ月ですしね。

たんぱく質以外の要因だって

いろいろあるでしょう。

検証できないことって、

たくさんあります。

 

「○○したら妊娠したよ」

いっぱい聞くと思います。

でも本当に

「○○した」ことで「妊娠した」のかは

わからないですよね。

 

自分にとって本当に必要なことと

周りを見て“正解”のように思えることは違うので、

見極めていきたいところです。

 

そう言っておいてなんですが

妊娠していくからだづくりにはもちろん、

健やかな暮らしには

たんぱく質は必要なものとされています。

食事を楽しみながら

十分なたんぱく質を摂っていきたいですね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


自分の幸せ、それぞれの幸せ。

 

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多くの人が

「幸せだ」と感じるだろうことを

必ずしも自分も

「幸せだ」と思うとは限らないなあ

と、思っています。

 

だって、誰かに

「よかったね。幸せやね。」

と言われたから

「私、幸せ」

って感じるわけじゃないですから。

 

周りの人と価値観が違ったときに

「相手の人に合わせないと!」

「あれ?私、ズレてる?」

と、自分の価値観を訂正しようとする方も

いらっしゃるかとは思いますが、

こういうことは

相手に合わせるものでも

みんなと一緒じゃないといけないものでもないなあ

と、思っています。

 

そういった誰かとの違いにぶつかると、

自分がどういう人なのかという

自分の土台や輪郭を

感じることができるので

おもしろいですよね。

 

自分の選択や生き方について

周りの人から驚かれたり

不思議に思われたり

意見を押し付けられそうになったり

することもあるかもしれないですが、

それはもう

その人との価値観の違いってだけで、

相手の価値観にそぐわないからといって

もし相手が気分を害したとしても

「だってしょうがないじゃん。違う人間なんだから。」

と、私は思います。

どうして相手の価値観と

同じじゃないといけないのでしょうか。

 

人の生き方や価値観は

この先、もっともっと多様化していくんじゃないかな、

と思っています。

「こうじゃなきゃ」という枠組みは

どんどん緩くなっていくと予想しています。

 

自分の価値観と

周りの人たちの価値観は

それぞれに存在していてよくて

それぞれが同じくらい大事なものなんですよね。

どっちかが正しいとか

どっちかが尊いとかでは

ないはずなんです。

 

自分が幸せかどうかなんて

自分にしか分からないものです。

誰かに判断されるものでもないし、

誰かのそれと比べられるようなものでもないですね。

誰がなんと言おうと

自分にとっての幸せって

たくさんあるんじゃないでしょうか。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


からだから、こころから、自分をケア。

 

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先日、足もみマッサージの講習会を受けにいってきました。

 

足の裏には、からだの部位や臓器や神経の反射区があって、

そこを圧したりするのですが、

自覚している症状と関連しているところが本当にゴリゴリでした。

施術もしてもらったのですが

そこまで気にしていなかったところもゴリゴリしていて…。

自分の状態を客観的に知ることができました。

 

からだのことも、こころのことも、

自己判断しないで

専門の人に診てもらう機会をもつことは

とても大切だなあ、と思いました。

 

私が習った足もみマッサージは、

毎日続けてやると

年齢÷10=○ヶ月を目安に

効果があらわれてくるそうです。

 

そう聞いて、私は、

「毎日ってなかなか大変だなあ」と思いました。

すると、先生が、

「一流のスポーツ選手って絶対ケアしているんです。

だから実力が発揮できるんですよ」

と、仰ったのです。

 

私は、自分をケアするということに

なんだか特別なことのような印象があったのですが、

そう言われてみると、

「そっか!当たり前にするものなんだあ」

と、思えました。

 

スポーツ選手じゃなくても

みんな毎日の暮らしを

頑張っているものですよね。

 

からだにもこころにも

ささくれたところへは絆創膏を、

傷ついたところからは膿みだしを、

耐えたところには温かく手を充てて、

また明日いつもの自分でいられるように

しっかり自分をケアしてあげたいな、

と思うようになりました。

 

みなさんは、何か特別疲れたわけではなくても、

自分のこと、ケアされていますか?

 

マッサージの先生に私の仕事を伝えて

妊娠に効果があると言われている

足もみのやり方も教えてもらってきたので、

これはまた、院内のカウンセリングルーム通信で

ご紹介できればと思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


こころ、ってむずかしい。

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夏が来ました!

豊かな食事とぐっすり睡眠で

夏に乗っていきたいですね。

 

最近、“こころ”というものを、

ああ、むずかしいなあ、と感じています。

学問としてのこころを説明できても、

「こころってなんだろう?」

と、思ったりしています。

臨床心理士ですが、

こころ、は、ずっとずっとむずかしいです。

 

なんだかですね、

“考え”だったり

“信念”だったり

人生で培った“傾向”や“反応”だったりに

こころが支配されているような気がして、

(もしくは、そうすることでこころを保っているのかもしれませんが)

こころがどうなのか

よく見えない感じがしています。

 

こころが感じていることを

いちばんにした暮らしって

なかなかむずかしいんじゃないかと思います。

そして

自分のこころが

本当に何を感じているのか

わからないよ~!

という方も少なくないと思うんです。

 

「こうじゃなきゃいけない」

「こうすることが素晴らしい」

「本当はこうしたほうがいいと思うけど…」

「こんな自分じゃ愛されない」

というようなことが

幾ばくかこころを見えなくしちゃうように

感じています。

 

そういう生き方って

多かれ少なかれ誰でもそうですし

身についてしまっている部分が多いですよね。

 

でも、人って

今までのこととか

誰かの間でできあがった関係性とか

当たり前に請け負ってきたこととか

「そうじゃないといけない」って思っていたこととか

いつでも手放していいはずですよね。

 

なので、

自分の中でしみついている考えなんかを思い浮かべたときは

「そういう自分じゃなくてもいいんやで?」

って、自分に伝えてあげることにしています。

すると、ちょっとこころが開いている感じがしています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


自分の中だけで怒らないで。

 

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友達が妊娠したり

親族が妊娠したり

同僚が妊娠したり…

そういった周りの人の妊娠の知らせには

こころが大きく揺さぶられますよね。

「おめでとう!」 「わあ、よかったね!」

と、他の人たちが妊婦さんに笑顔を向ける中、

おめでたいことだけど

祝福する気持ちにはならなくて

困る方もたくさんおられます。

 

同僚に妊婦さんがいると

産休に入られるまで

大きくなってゆくお腹をみていくことになりますし、

その人が他の同僚と

妊娠のことや出産のことを話していると

その場にいづらかったり

会話に入っていきにくかったりすると、

みなさんからよくおうかがいします。

 

妊娠したいと思っていることを

信頼できる同僚が知ってくれていると、

ちょっと心強かったり

気を回してくれて助かったりすることも

あるみたいですね。

一方で、

こういった状況だから感じる

自分が思ってるまんまを

誰にでも十分に察してもらうのはやっぱり難しいですよね。

私も聴いていて、こころがざわざわしましたが、

「妊婦さんのお腹撫でたらご利益あるから、撫でさせてもらったら?」

と、強引に撫でさせられたなんてことを

仰っていた方もおられました。

状況を伝えてなくて配慮してもらえないのは

仕方がないところもあるかもしれませんが、

伝えているのに

言われたくないこと言われたりすると

悲しい気持ちになりますよね。

 

こういうときに

「そういうこと言わないでもらえますか?」

と、口にするのは難しいのですね。

家族にはそうやって言っている人はいますが、

他人には言いにくいですかね。

そういうときの悲しくて腹が立った気持ちを

言えないままで

こころにひっかかっているなんてこと

ありませんか。

 

「腹が立った~!もう、なんなん~!」

というエピソードも

めっちゃウェルカムなので、

自分の中だけで怒らないで

カウンセリングルームに

話しに来てくださいね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


いつも、いつでも、自分を労って。

 

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当院の初診時の問診票に

“ストレスはありますか?”という質問があって、

“はい” か “いいえ” でお答えいただいているのですが、

どちらにも○がついていなかったり

“はい” と “いいえ” の間に○をつけておられる方が

実は少なくないのです。

 

そういった方にストレスについておたずねすると

「ないとは言えないけど、めちゃくちゃ溜まってもないんで…」

「ストレス、あるのかどうかわからないんです」

「ちょっとはあるとは思うんですけど、まだ我慢できるんで」

というようなお返事が多いです。

みなさん、ほんと、誠実にお答えくださっているんですね。

 

「ストレスがあります!」と、はっきり自覚している人は、

ストレスを減らせるように工夫したり、発散したり、

自分を労ってあげようとしたりすると思うんです。

「ストレスはあるけど、困るほどじゃないです」という場合だと、

ちょっと大変でも頑張れちゃう人が多いんじゃないかな、と思っています。

 

自分では特に「頑張った!」という実感がなくても

「大変なのは自分だけじゃないし…」という思いがあっても、

頑張らないといけないわけではないし

自分を労ったり、自分を楽にさせてあげたらいいと

私は思っているのです。

人間って、なんか、

「頑張ったからご褒美あげよう」というような

“~したら”  “~だから” って風習がありますが、

「そんな条件つけなくていいのに…」

と、常々思っています。

だって、いつでも自分にやさしくできるほうがいいじゃないですか。

 

ストレスがあってもなくても

いつもより疲れてなくても

そのときの自分を労ることができる。

こころが喜ぶことをできる。

身体が楽になる工夫ができる。

こういった日々の積み重ねが

“ストレスが溜まっている” 状態にならないような

工夫のひとつなのかな、と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 


自分自身のちょっとした変化を楽しむ。

 

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私がみなさんに初めてお会いするのは

カウンセリングルームの利用案内をさせていただくときです。

 

そのときに、困っていたり不安なことがあれば

ちょっとおうかがいさせてはもらっているのですが、

そのときは、なんというか、

心理カウンセリングにはなっていないです。

初診の日に利用案内もさせてもらった場合は特に

お話をおうかがいする時間もそんなにないですし、

どちらかというと、助言とか情報や知識の提供の方が多くなりがちです。


当院のカウンセリングは30分と50分のコースがあります。

心理カウンセリングに興味がある方は、

改めてカウンセリングに来ていただきたいと思っています。


カウンセリングって、

「どんな内容のことを話してもらってもかまいません」

というのは本当なのですが、

そういう条件って

「どれだけ大変な話でもかまいません」

というふうに、受け取られがちだなあ、と思っています。

「わざわざカウンセリングに行くような内容のことじゃないかも…」

と、自分では思うようなちょっとしたことでもいいですよ、とも

声を大にして言っておきたいです。


大切なのは、内容がどういったものかではなくて、

自分が感じていることをどれだけぴったり話せたかどうか

だと思っています。


内容自体、すぐに解決することでもなかったりすると、

「話に行っても、現実的には何も変わらないし」とか、

「結局自分がどうするか次第だし」とか、

受ける前にあれこれ迷うこともあるかもしれません。

変わるのは現実面ではなくて、

話に来られた方自身の“なにか”や“どこか”です。

そして、そういったご自分の中の変化で、

現実面もおのずと変わっていくところがあると、

私は思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


「わあ~、すごいね!」「とてもいいね!」

 

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誰かにほめてもらうって

とてもかけがえのないことだなあ、と

最近特に思うようになりました。

子どもやペットは、ちょっとしたことでほめられるのに、

大人になってからはほめられるのも一苦労です。笑

 

ほめられたことって

ものすごく自信になりますよね。

すると、どんどん能力が発揮されますし、

その先、難しいことがあったとしても

「乗り越えてやるぞ」と燃えることでしょう。

 

ほめてもらってなかったら

自分の力を

自分の基準の中だけで評価しますので、

周りの人たちが

「すごいね!」 「いいね!」

と、言ってくれるようなことだとは気づかないまま…、

ということもあります。

 

子どものころに「すごいね!」「いいね!」と言ってもらったことを

大人になってからの仕事につなげている方って

多いのではないでしょうか。

 

自分の何かに

もしくは、したことに対して

「どう受け取ったのか」

伝えてくれる人がいるというのは、

とてもありがたいことなのですね。

 

そういうことって

もう長いつき合いだったり

気を遣わない関係だったり

そこまで親しくない関係だったりすると、

相手に対しての「すごいね!」「いいね!」を

なかなか伝えなくなっているなあ、と思うのですが…

みなさんはいかがですか?

 

ひょっとすると、伝えないのは、

もったいないことなのかもしれません。

「すごいね!」 「いいね!」 と感じたときに

誰にでもそう伝えられる人でありたいです。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


ようやっと梅雨の気配でしょうか。

 

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この間、不妊治療をしていた友達に会いました。

彼女に、

「ねえ、不妊治療をしている人って何か特徴ある?」

と尋ねられました。

治療をしていた本人にそんなこと尋ねられるとは思っていなくて

びっくりしながらこれまでを振り返ってみたのですが、

「え…?そうは言っても、

身体の状態も、子どもが欲しい思いも、状況もそれぞれだからねえ…」

というのが、私の率直な感想でした。

 

その後も彼女の質問は、なんとなく私の頭に残り、

今まで出会った方に特徴があったのかなあ、と

思い巡らせていました。

 

ふと、思いついたことは、

たくさんの方が時間と闘っているということでした。

「○○歳までに妊娠したいんです」

「友達が妊娠したんで、私も同級生にしたいんです」

「今度、里帰りするときには、妊娠の報告がしたんです」

「来年から仕事が忙しくなるので、今年度中に妊娠したいんです」

「夫が単身赴任するので、それまでに妊娠したいんです」

「体外受精にすすむまでに妊娠したいんです」

「今回の体外受精で妊娠しないとダメなんです」

事情はそれぞれなのですが

自分の中で「~までに」と願っているということを

聴く機会が多かったように思います。

 

周りの環境との兼ね合いで

「どうしても~までに」

と思う気持ちを、抱くことはあると思います。

妊娠を“自分のことだけ”として考えていくことが

難しいときもありますよね。

それに、経済的にも精神的にも

早く結果が出てほしいとは

誰もが考えることだと思います。

 

期限のことを思い過ぎると

気持ちってついていかなくなることがあります。

お話を聴いていると

「やっぱり考えすぎるとしんどいから、もう検索はやめました」

と、工夫されていたり、

「友達が出産して、同級生になれないってわかったら、ちょっとふっきれた」

と、時間の経過と状況の変化で楽になれたりすることもあるようですね。

そんなふうに

妊娠を望んでいる自分の気持ちと

うまくつきあえる距離感を探ったり

時間が経過したり状況が変わる中で

「~までに」と強く願う気持ちも

変わっていくことがあります。

願ってらっしゃった期限を過ぎても

通院を続けておられる方たちは、

きっとどこかで気持ちを切り替えられたのですね。

みなさんの力の入り具合も、

ちょうどいいくらいに落ち着いていきますように。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


“ちゃんとやってきたこと”を、覚えておく。

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誰だって病気になりたくないのと同じように、

通院せずに子どもを授かりたいものだと思います。

 

初めて受診した日、

気になっていた検査を受けたとき、

薬を使ってみたとき、

人工授精にすすんだとき、

採卵したとき、

移植したとき…。

そうやって、自分の中で、

ハードルのように感じていたことを

受け入れていくときは、

そんなふうに頑張った自分を

誇らしく感じることがあるのではないでしょうか。

大きな一歩ですものね。

 

通院を始めてからこれまでのことを

“今までやってきたことを

 誰とも比較することなく

 ただ自分の文脈の中で振り返ってみる。”

そういった振り返り方をすることはありますか?

周りと比べず、純粋に自分のことだけを考えると、

自分に対して

「よくやってきたよねえ」

と、実感することがあると思います。

その実感は、自分で自分を支える力になると思います。

 

通院されている方みなさんの願いは同じですが、

その過程は1人ひとり違いますよね。

治療内容を通して

パートナーさんとよりしっかり向き合えるようになったり、

仕事の仕方を工夫してみたり、

自分たちの中でいろんな変化があることでしょう。

そうやってちゃんとやってきたことを

日々の流れの中に埋もれさせてしまわずに

“ちゃんとやってきたことだ”と

シールを貼っておきませんか?

先のことを想像して不安が大きくなったときに、

貼っておいたシールが、落ち着きをもたらせてくれるように思います。

 

 

臨床心理士 間塚

 


自分に合った病院に。

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待合室に、“Jineko”というフリー雑誌が置いてあります。

Jinekoは不妊・不育症を生きた方へのインタビューや

不妊治療専門医による悩み相談やアドバイスなどが掲載されています。

 

治療に通っている方へのインタビューを読んでいると

通っている病院が自分に合っているかどうかが大切と

何人かの方が仰っているのです。

 

周りに不妊治療をしている方がいたら

その方たちからも情報が入りますし、

治療をしている方のブログを読んでいる人も多いでしょう。

なかなか結果が出なくて

「本当に妊娠できるのかな…」って思うときに、

誰かが「この注射打った周期に妊娠したよ」とか

「採卵の方法を変えたら、卵が何個か育って妊娠できたよ」と言っていると、

「私にはすすめられないけど、大丈夫なのかな?」

と、ちょっと懐疑的になってしまったりすることもあるみたいですね。

 

妊娠のためのすすめ方って、病院によって違います。

そして、みなさんの状況や状態によっても変わってきます。

誰かが妊娠した方法は

そのカップルにあったものであっただけではなく、

そのカップルが妊娠するタイミングだったのだと思います。

 

妊娠を待っている間、

いろんな情報にこころが揺れると思います。

もちろん、今取り組んでいること以外の方法を知らない場合もあるので、

正しい情報は役に立つこともあります。

ただ、得た情報が、自分にも試す価値がありそうなものなのかは、

先生に尋ねてみられませんか?

なぜこれはすすめられないのか、

なぜこれをすすめられるのか。

ちゃんと説明してもらえると、ほっとしたり、合点がいきますよ。

 

そう考えると、コミュニケーションってとても大切ですよね。

自分に合っている病院かどうかは、

“妊娠に対して満足のいく治療をしてもらえた”ということだけでなく、

“聞きたいことをちゃんと聞けて、答えてもらえた”

ということも含むんだと思います。

何かひっかかることがあったり、

聞いてみたいことがあれば、

先生やスタッフにたずねてみてくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


納得してすすめていくこと。

 

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当院では、ご夫婦に納得しながら通院していただけるように

ご夫婦のご希望を尊重して診療をしています。

 

ところで、今までのことを振り返ってみると、

自分がどういった家族や環境のもとで育ったのかということから、

受けてきた教育上の体験や、就職先の職場環境や業務内容、

誰かとの出会いや別れ、病気などのさまざまな出来事は、

自分が納得しているいないに関わらずに起こってきたものが多いです。

私たちは、納得して決めていくことよりも、

そうやって身の回りに起こったことや出来事と

どうやって折り合いをつけていくか

どうやって受け入れたり納得していくか、ということに

たくさんのエネルギーを注いできたのではないかと思います。

 

納得して決めていけるようであれば、

自分のペースですすめていくことができますね。

ただ、その中で、これまでと変えていこうとするときには、

もしかしたら、難しさを感じることがあるかもしれません。

「いつからステップアップしたらいいのかな」

「いつまで治療をしていようかなあ」というときに、

自信や決断力が伴わずに、

パートナーに後押ししてほしかったり、

先生に決めてほしい!と思うようなときも

あるのではないかなあ、と思います。

そういったことは、

自分の気持ちで決めていいことなのか迷いますし、

「本当にこれでよかったのかな」と

不安になることもあるかもしれませんよね。

 

もしかしたら、変化していくときは、

「6割は現実面も考えて納得しているけど、

 4割くらいは、まだそわそわしている…」

というような気持ちではあるけれども、

「エイッ!」と、

次の扉をあけているのかもしれませんね。

 

扉の向こうに

開けてよかった景色があるとうれしいですね。

“開けてよかった!”に、していく力が

みなさんに備わっていると思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


平成から令和へ。

ブログ

 

長いゴールデンウィークが明けました。

その間に、平成から令和に元号が変わりましたね。

何かの節目って、

それまでのことを振り返ったり

これからの目標を考えたりするきっかけになりますよね。

みなさんはどんなふうに平成とさよならして

令和を迎えられたでしょうか。

 

私は、この節目に、

「過去って更新できるんだなあ」と、

ちょっと感慨深い気持ちになっていました。

 

みなさんにもあるかもしれませんが、

あまり思い出したくない、いい思い出ではない過去があったんですね。

その当時に私とそこまで近しくなかった人たちに

「自分はこう思われているだろう」という予想もあって、

その予想は、あまり心地よいものでもなかったのですね。

もちろん「そういう時期があったから、今の私がある」という受け止め方も

一部ではしているのですが、

かといって過去が変わるわけではありませんでした。

 

そして、平成から令和に変わっていくときに、

当時に出会っていた近しくはなかった人に会う機会があったのです。

お互い、今の自分が考えたり感じたりしていることを、

気兼ねすることなく話ができて、その話の内容もとても豊かだったんですね。

私が「こう思われているはず」と思っていた視点も、

その人からすると、そこだけではない私に対する視点があって、

その視点は私にとっては全く嫌なものではありませんでした。

そういったことをやりとりしていくうちに

ガチガチに固まっていたこころが

スーーッと溶けていく感じが確かにありました。

私にとっては、ものすごく大きな出来事でした。

 

現状に対しての思いや、今の自分自身への評価は、

あくまでも「今」のものなんだなあ、と思いました。

この先ずっとそうってことではなくて、

きっと何かのきっかけで違った受け止め方になっていくんでしょうね。

そうやって今の自分が過去のアルバムを再構成していって、

未来の自分が今の自分を再構成していくのかな、と思います。

 

何か嫌な思いをしたときに

「そのうち良いこともあったりするよ」とか

「それがあったから、良かったって思える日がくるよ」

という気持ちの持ち直し方ってありますが、

「そうは言ってもそうじゃなければよかった」ということも

どうしてもあると思うんですよね。

「そうじゃなければよかった」という事実は変えられないかもしれないけれど、

そのことに対しての自分の受け止め方や思い込んでいた部分なんかは

きっと変わっていくんじゃないかな、と、強く感じることができた元号越しでした。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 


響きあうタイミング

 

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 ―自分にとって何かつらいことや不当なことがあったときに

 「“どうして”こういうことになったのか、“どうして”こういう目にあうのか」

 と考えるのではなくて、

 「“どうしたら”これから自分が晴れやかに生きていけるのか」

 を考えていけたらいいですね。―

といった内容のメッセージが目に触れました。

 

そういったアドバイスが

「そっか。どうしてって考えていても仕方ないし、

 自分のためにできることを考えよう!」

と、 “スッ” と心に入ってくるときもあります。

そういうときって、きっと、自分のこころの中で、

そういうふうな整理ができかけているタイミングなんだろうなあ、

と、想像しています。

これからの自分に対して、わくわくする感じですね。

 

「なんかいいこと言われてるな」とは思いながらも、

「そうは言われても、“どうして”って思っちゃうよ」

「そんな前向きに考えられないよ」

っていうときだって、あります。

自分にとって重要なことであればあるほど、

すぐにこころを切り換えるのは難しいですし

悲しみや悔しさって大きいものです。

 

誰かのアドバイスや励ましが

頭ではわかってもこころではしっくりこないことって少なくないと、

みなさんの話を聴いていて実感しています。

そういうときって、

「この人には、私の気持ち、あまりわかってもらえないな」

と、さみしい気持ちになったり、

「この人は多分いいこと言ってるのに、どうしてその気になれないんだろう」

と、残念な気持ちになったりしますよね。

 

“良かれと思って” 言ってくれたことだけど、

“ありがとう”と受け取れないこと、ありますよ。

 

きっと、このブログに書いていることも、

どなたのどんなタイミングにも共鳴し合うかというと

そうではないと思うんです。

読まれている方の状況や性格などいろんなことと、

ブログを目にしたタイミングによって、響き方って変わりますから。

「そんなことないよ~」

「わかってないよ~」

と、思う内容の日もあるんじゃないでしょうか。

 

そうは言いながらも、

どなたかとは響き合える内容、タイミングだといいなあ、

と願いながら、毎回ブログを書いています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 


GWは、自分のリフレッシュに。

 

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桜の見頃が過ぎていき、もうすぐGWですね。

今年は10日間休み!という方も、多いのではないでしょうか。

当院は4月28日(日)~5月6日(月)の9日間、休診になります。

 

「今周期は、タイミング診てもらえなさそうだなあ」

「早く採卵したかったけど、無理なのか…」

「移植ができないから、妊娠が先送りになる…」

そんなふうに、休診を残念に思う方もおられるんじゃないでしょうか。

 

休みの周期を入れずに、ずっと治療をされている方もおられます。

「1周期だって無駄にしたくない!」というお気持ちかもしれませんが、

そういった方は、今回の外的な要因で治療がおやすみになる周期を、

心身ともに緩めたり、何も気にせず思い切り楽しんだりと

主体的に過ごされてみるいい機会かもしれません。

 

通院しなくてもいいので

仕事が終わったらまっすぐ家に帰れますね!

「今日は診察があるから、早く切り上げて帰らないと…」と、

ハラハラしなくてもいいですね。

排卵後、移植後の暮らしにはより一層気を配る方も

今周期はいつもより考えすぎずに暮らせるかもしれません。

お薬、血液検査、注射、内診についても

こころがちょっと緊張していたりするかもしれませんし、

心身が解放されるのではないでしょうか。

 

一旦、なにもしない状態になってみないと、

自分がどれだけ頑張っていたのか、気づかないものです。

治療している時間としていない時間の違いを

しみじみ味わってみてください。

そして「私、いつも頑張ってるんだなあ」

「よくやってるなあ!すごいな、私!」

って、自分の頑張りを称えてください。

ついつい結果ばかりに目がいきがちですが、

自分がどんなふうに取り組んでいるのかということを改めて振り返って、

「落ち込んだり痛かったりいろいろあるのに、頑張れてる私ってすごいんだ!」って

自分でちゃんと、ちゃんとわかってあげていてくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


想いが一緒にならなくて。

 

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“家裁で調停の仕事をしている知人から、こんな話を聞いたことがある。

 言い合って、言い合って、言い合ったはてに、万策尽きて、

 もはや歩み寄りの余地、「合意」の余地はないとあきらめきったそのときから、

 ようやっと「分かりあう」ということがはじまる、と。

 この話はいろんなことを考えさせる。

 まず、分かる、理解するというのは、

 感情の一致、意見の一致をみるということではないということ、

 むしろ同じことに直面しても、

 ああこのひとはこんなふうに感じるのかというように、

 自他のあいだの差異を深く、

 そして微細に思い知らされることだということ。

 いいかえると、他人の想いにふれて、

 それをじぶんの理解の枠におさめようとしないということ。”

 ―「臨床とことば」より抜粋―

 

「相手に分かってほしい」という想い、

その想いが満たされないことで

心が不安定になったり、不満に思ったりすることがあります。

自分の望んだようなリアクションでないと、

「あの人が分かってくれないの!」と、家族や友人に話して、

満たされなかった気持ちを聴いてもらうことがあります。

 

自分の感情や意見は

自分だけのもので、

相手の感情や意見は

自分とはまた別のもの。

本当は、そんなこと、分かっているはずなんですよね。

 

自分がどう思っているか、相手に知ってもらうことはできても、

同じように感じてもらうことってできないものですよね。

 

逆に、相手の考えや思いを知ろうと聞いてみても、

「え?ちょっとよくわからない」とか、

「普通だったら、この場合こう思わない?」

と、言ってしまったりすることもあります。

自分の考えや判断基準の枠は

相手のそれを全てカバーできるものではないのに、

ついつい自分の枠内で考えてしまうことがあります。

 

そんなふうに

自分を分かってもらえないと思うことで、

また、相手のことが分からないと思うことで、

時に、自分のこころの箱から、

こぼれ落ちそうになる感情もあります。

悲しみ、怒り、不安、苦しみ…。

 

そういった感情って、

相手との関係がきっかけとなって感じることになりますが、

そもそもは、自分のこころから湧き出るものです。

ところが、なかなか抱え切れなくてもてあましては、

相手にぶつけてしまっていることもあるものです。

 

全てを分かり合える関係って難しいものですが、

同じような感覚や価値観が通じ合うときは嬉しいですし

そうでない部分はお互いの個性として認め合いながら、

人との関係を生きていきたいなあ、と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


こころが自由になって。

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最近、定期的にカウンセリングに来ている方たちの妊娠が重なって、

喜びとともに新しい命が無事に育っていくことを願ってやみません。

 

今回のみなさんの妊娠は、

私にとって「へえ~!」というタイミングでした。

どういうことかというと、

「あれ?この方、前と様子が変わってこられたなあ…」

と、感じていたタイミングだったんですね。

前ほどは妊娠のことばかりの思考にならないように工夫をされていたり、

旦那さんのことを改めて大切に思うようになられていたり、

自分がほどよく過ごせる生活スタイルに落ち着かれていたり…

みなさんから醸し出される雰囲気や語られることが

なんだかちょっとこれまでと変わってきているんですねえ、という時でした。

 

とはいっても、妊娠のことを全く意識せずに過ごされていたのかというと

そういうわけではなかったんだと思うんです。

妊娠を希望しているから起こる気持ちの波との付き合い方を模索されて

その方なりの距離感で取り組んでらっしゃったように思います。

 

妊娠していくまでの気持ちの持ち方って難しく感じることがあります。

妊娠のことばかり考えてしまったり

ストイックな生活を自分に課していたり、

どうしても自分に負担がかかるように感じてしまって

旦那さんとの関係にも不満を感じたり、

周りからの言葉に気持ちが揺さぶられて

自分のペースで向き合いにくいときがあったり、

時には自分の心が嫌になることもありますよね。

 

そんないろんな葛藤も経験しながら

今の自分が大切にしたい人、大切にしたいことに対して誠実に、

自分の気持ちに対しても素直に、

自分の考えだけにとらわれず視野を広くもちながら過ごされていました。

そう思い返すと、みなさんの

“心が自由になっていっていた”という表現がピッタリな気がしています。

心が自由になっていくところまで自分をもっていかれたみなさんを

私はとても尊敬しています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


知らないから「自分だけ」のように思えて、、、

 

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先日、私の父が手術を受けました。

年末あたりから

検診で病気の疑いが出て再検査をすること、

再検査で病気が確定したこと、

治療法として手術を選択したことなど

その都度、父から報告を受けていました。

父は、「よくなると思っている」 「心配しなくていい」

と、特に深刻そうでもなく話していたので、

私もその言葉とおりに受け止めていました。

 

手術が終わって2日後、お見舞いに行きました。

病室の窓からは、陽が傾いた空模様が建物に映っている様子が見えました。

傷口が塞ぎきれていない状態の父は、

今まで見てきた父とはやはり違いました。

「起き上がらなくていいよ」と私は言ったのに、

ベットの柵を頼りに、踏ん張りながら上体を起こした父。

私がベットの近くにイスを持ってきて座ると、

手術の詳しい内容や現状を話し出しました。

それから私は、今まで語られることのなかった

検診で病気が疑われたときの気持ち、

手術を受ける日までの戸惑いや

前向きに考えるきっかけなどを、

その時々ではなく一通りのことが終わったそのときに

聴くことになりました。

 

想像したら当たり前のことなのですが、

父はやはりこの病気であることがすごくショックだったようで、

手術に対しても恐怖心が大きかったんだなあ、と

話を聴いて改めて実感しました。

 

その父の話の中で、

父の心が少しほぐれたんだろうなあ、と思ったことがありました。

それは、同年代の人たちの集まりで

父が自分の病気のことを伝えたときのことなのですが、

そうすると、周りの人も同じ病気になっていて予後は良好だったり、

同じ病気ではないけど大きな手術をしていたりと、

それぞれのことを教えてくれたそうです。

父は、「みんな自分からはそういう話はしないから知らなかっただけで、

みんなこの歳やしそれぞれにいろいろあったんやなあ。」

と、思ったそうです。

また、予後良好という、同じ病気の先輩の話は

「自分も大丈夫」と思える力になったそうでした。

 

今は、妊娠のことや治療のことを

通院前に知人同士で話してられたり情報交換されている方も

本当に多くなりました。

周りに事情を話せる人がいない方も

病院に来ると「同じようなことを願っている人がこんなにいるんだ!」

と、ちょっと心強く感じられたんじゃないでしょうか。

 

自分に何かあったとき、

決してそんなことはないはずなのに、

自分だけに不幸が訪れたように感じられることがあります。

けれど、実際のところは、

いろんな人がいろんな経験をしながら生きてらっしゃっるものなんですね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


中村獅童さんの講演をきいてきました。

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歌舞伎役者の中村獅童さんをご存知ですか。

先日、中村獅童さんと精神科医との対談があったので

聴きにいってきました。

 

みなさんは、中村獅童さんにどんなイメージをお持ちでしょうか。

獅童さんは、自分のことを「僕は弱い人間なんで…」と仰ってました。

 

獅童さんの人生には、

「それってマイナスのことなんじゃないか」と

何もしらない他人ならば思ってしまいそうなことがいくつか起こりました。

例えば、獅童さんのお父さんは歌舞伎役者を廃業されていますので、

中村勘九郎・七之助さんや市川海老蔵さんのような世襲制ではありませんでした。

また、一度離婚を経験されていることや

数年前には脳動脈瘤、おととしは肺がんにもかかられていることは、

一見“そうでなければよかったこと”のように思えることもあります。

 

ところが獅童さんは、

「マイナスを希望に変化させる」

「いいイメージを思い描いて、マイナスのことばかり考えない」

と、仰っていました。

 

世襲制じゃないことに対しては

「自分一代で名前を大きくさせるチャンスだ」と捉え、

病気になったことも

「自分を見つめたり、この先を考えるための休暇」だと

前向きに捉えたそうです。

 

獅童さんは役者になってから世に名前が出るまで時間がかかった方なので

「あなた主役やっていくの難しいですよ」と言われたこともあったそうですし、

「お父さん、歌舞伎やめちゃって可哀想だよ」というようなことも言われたそうです。

けれど、「世襲制の他の役者と自分を比べてはいけない」、

「1人ひとり抱えているものが違うんだからうらやましいとは思わない」、

「最大のライバルは自分自身」、と言い切っておられました。

 

第一線で活躍し続けている人の精神力はとても強靭だと思いますので、

獅童さんがこれまでの経験と強い意志で培われたこの力を、

誰もが真似をできるかというと、正直なところ私には難しいなあと思うのですが。笑

けれど、獅童さんも、

マイナスのように思える事態の渦中にいらっしゃるときは、

人知れずものすごく悔しかったり悲しかったりしておられたんじゃないかと想像しています。

乗り越えられての今だから、言える部分もあったのでは、と思っています。

 

何より、獅童さんは、とても誠実な対応をされていました。

自分をよく見せようとか、ちょっと有名人ぶるとか、

そういった姿勢はいっさいなく、

考えていることや思っていることを

熱量をもって、真摯に伝えようとしてくださいました。

そういった誠実さって、気持ちがいいものです。

 

獅童さんについて熱く書きましたが、

私は特別、獅童さんのファンっていうことではないんです。笑

ただ、獅童さんが自分の弱さを認識して、

自分の道を切り開くための強さへと変えていかれた姿勢って

どなたにも響くものがあるんじゃないかなあ、と思って、

ご紹介させていただきます。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


ついつい、答えてしまいがちなこと。

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先日、あるスタッフが「忙しかったんですね。大丈夫ですか?」

と、声をかけてくれたのですが、私は咄嗟に「大丈夫です」と答えました。

咄嗟だったので、満面の笑みでもなければ、おどけるわけでもなく、

ただ「大丈夫です」と口にしていました。

そう口にした瞬間、空気がちょっと変わってしまった気がして、

条件反射のように「大丈夫です」と答えてしまったことを後悔しました。

スタッフが「忙しかったんですね。大丈夫ですか?」に込めてくれていた想いを

しっかり受け取ることができなかったなあ、と思って…。

 

誰かに「大丈夫ですか?」と尋ねられて

「大丈夫です」って答えがちな人は、

私だけでなく結構いらっしゃるように思うのです。

 

当院では、初診時に通院の案内や検査の説明をさせていただいていて、

私もその説明係をしていることがあります。

その説明のときに「何か気になっていることありますか?」とお尋ねして

「大丈夫です」と答えられる方って多いんです。

もちろん、本当に 「大丈夫」 の場合もあると思うのですが

私と同じように即答で 「大丈夫」の場合もありますし、

「思っていることはいっぱいあるけど、今ここで言っていいのかな」

「聞きたいことはあるけど、なんて言ったらいいんやろう」

「このこと話してどう思われるか不安やなあ」

という気持ちがあって「大丈夫」と答えられる場合もあるのでしょう。

クリニックに来られるまで

きっといろんな気になることや不安なことがあったと思うのですが、

思ったり考えたりしていることを口にするのって

ちょっと力がいりますものね。

 

そして、なんとなくですが、

人に頼ったり甘えたりすることに慣れてない人や

「しっかりしていなきゃ」という意識がある人は、

ついつい「大丈夫」「なんでもないよ」と答えがちなんじゃないかなあ、

と、感じています。

 

今回のことがあって、

これからは、誰かに「大丈夫?」と聞いてもらったときに、

せっかく聞いてもらってるんだから

せめて大丈夫かどうか逡巡してから答えたいなあ、と思いました。

そして、結果的に「大丈夫です」と返事するんだとしても、

「うん、ちょっと忙しかったけど大丈夫そうです~。ありがとうございます!」とか

「私もちょっと大変でしたけど、○○さんも大変じゃなかったですか?」とか、

反応だけの返事にならないように少し意識しようと思いました。

そう心がけるだけで、

きっと、何かが変わっていくんじゃないかな、と思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


だって、わたしのせいじゃないもん。

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誰にでも、俗にいう “コンプレックス” を感じること、

「私、こうじゃなかったらよかったのに」

「もっとこんなふうだったら、こんな劣等感抱かないのに」

と、思うことがあると思います。

(因みに、臨床心理学で“コンプレックス”が意味するものは、また別なのですが。。。)

 

自分がそう感じていることは、いつの間にか、

「自分はダメだな」という自分への評価を生み出しながら

気づかないうちに自分の心に根付いていっちゃいます。

根付いてしまったことは、

普段ずっと意識しているわけではないですが、

例えば何かの話題で触れられたりすると

急に意識の中にあがってきます。

胸がざわついたり締め付けられたり

血の気がひいたり、逆に頭に血がのぼったりする感覚とともに。

 

私も、先日そういうことがありました。

私が気にしている身体的なことが

知人との間で話題になったのです。

その会話は、もちろん悪意は全くなかったですし、

揶揄するような感じでもなく、ごくごく普通のとりとめのないものでした。

頭の中ではそう思いながらも、

そのときの私は、ざわざわしたり、ちょっと悲しい気持ちがあったりしました。

 

そうしていると、ふと、

「だって、私のせいじゃないもん」と頭に浮かんで、

浮かぶとほぼ同時に、そう口にしていました。

すると、そう言った瞬間、どこかでかまえていた心が

ふわっとゆるんだ感じがしました。

「そっか。自分のせいじゃないよね」ということに改めて気付いたら、

自分に対して“ダメ”と評価していた部分が

「え?ダメじゃないよね」

という評価に、少し変わりました。

 

私たちの人生では

自分が引き起こしたわけじゃない何かを引き受けていく部分がわりとあります。

そういったことに気持ちが滅入ったり、

「なんで自分が…」と思うこともあるのですが、

また少し気分が変わったら

「仕方ないなあ。私が引き受けてやるっ!」ぐらいに思えることもあるかもしれませんね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


なにもなかったわけじゃない。

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毎日の暮らしの中で、幸運な出来事があったり

「良くなった」 「嬉しい!」と思えることがあると、

やりがいを感じたり、「運が味方してくれてる!」と思うことがあります。

一方で、失敗したり、悲しい出来事があったり、

頑張ったけど結果がついてこなかったりすると、

「自分はだめだ」と思ったり、人生が世知辛く思えたりすることもあります。

 

では、“特に何も変化のないこと”については、どうでしょうか。

私たちって、この“変化のないこと”には、

なかなか意識を向けていない場合が多い気がしています。

怪我をしたり風邪をひいたりすると

「今まで当たり前に過ごしていたことってありがたかったんだなあ」

なんて思ったりするのに、

元気になっていつも通りの暮らしが続いていくと

その実感さえも薄れていってしまうように思えます。

 

「今日も特に何もなかったなあ」という日々が続いていても

それは本当に何もないわけではなくて、

もしかしたら自分が何気なく心がけていることが積み重なって

“いつもの日常が今日も続けられた” という結果を得られているのかもしれません。

どこかでなにかのタイミングがずれていたら事故にあったりしていたかもしれませんし

「何もなかった」というのも大きな幸運のように思えてきます。

 

今の状況を大きく変えられるような求めてた出来事があると

救われた気持ちになるのも確かなのですが、

当たり前のように過ごせている今日も、

いろんなことの積み重ねと幸運がもたらしてくれたものですよね。

みなさんの暮らしの中で、

今日もいつもと同じように

夫婦ともに無事に家に帰ってきて

ご飯を食べて、

お風呂に入って、

「明日も早いし、もう寝よう」と眠りにつける

特になにもなかったように過ごされた今日は、

とても幸運な結果だと、私は思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


自由になれる。

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「今年はどんな年にする?」という話を

一月は特にたくさんするんじゃないかと思います。

みなさんはどんなことを心がけようと思ってらっしゃいますか?

 

この間、友人が

「人からどう思われるか、気にしなきゃいいんだよね。気にすると何もできなくなるし。

 今年はやろうと思ったことは、先にあれこれ考えたり気にしたりせずに、やろうと思って。」

と、言ってました。

 

“自分は人からどう思われているんだろう”

きっと、ほとんどの方が、この視点とのつき合いに苦労されているのではないでしょうか。

 

私は、昨年、また別の友人に、

「私、人にナメられやすいみたいで、この間も…」と不満を言ったら、

友人に「それは、あなたにも“人をナメる”ことがあるからだ」と

はっきり言われました。

そのことについてしばらく思い巡らしてみたのですが、

友人は「人をナメることがあるから、“ナメられている”と受け取る視点を持つんだ」

と、伝えていたのでしょう。

ナメたりナメられたりなんて気持ちにならなければ、

そんなふうに受け取ることもありませんもんね。

 

そう考えると、

「他人にこう思われているようで嫌だ!」と自分が思うことって、

主に自分のこころが生み出しているんじゃないかなって思ったんです。

相手はそんなこと思わない人かもしれないし、

そこまで自分に興味がないかもしれません。笑

 

“人からどう思われているんだろう”は、

人に思われているかもしない自分像を

自分の中で想像して心配してしまっているようなものかもしれませんね。

 

ということは、自分のこころって、

自分でもっと自由にさせてあげることができるのかもしれません。

みなさんは、自分のこころ、自由にしていますか?

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


おやすみの力。

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年末年始のおやすみも終わって

生活がそろそろ通常運転に戻ってきた頃かと思います。

 

いつもより長めに休んだあとの日々の暮らしは

それまでは気になっていたことがそこまで気にならなくなっていたり

今までとは違った視点をもっていたり

臨むことに対して意識が高まっていたりといった変化があるように思います。

 

そういった変化に出合うと、

自分の中ではそれほど大きなこととは思っていなかった毎日の蓄積が

意外と自分のこころを不自由にさせていたんだなあ、と気づきます。

自分で自分に厳しい評価をしていたり

他人に対しても自分の常識や価値観を求めてしまったり

いろんなことで窮屈になっていたなあと、気持ちが改まりました。

 

しばらくのお休みの間、

年の変わり目もあって1年を振り返ったことや

時折しか会わない人たちに出会ったこと

何も起こらずに時間が過ぎていくことをありがたいと思ったことなど、

いろんなことがある中でいろんなことを想ったり実感していました。

日常と違った時空間や環境にしばらく身を置くと、

日常に戻ってきたとき、日常自体は結局いつもどおりだったとしても

自分の挑み方や居方が違ったりしているなあ、と変化を楽しく感じました。

 

みなさんも年末年始の関係で

今周期は体外受精をおやすみされていたり

通院自体をおやすみしている方もおられるので、

いつもと違う周期が入ることでこころにも変化があったと思います。

いつもと違った視点から今の自分の状況を見つめてみたり

いつもこなしていることを休むことで生まれるゆとりを感じたりされている方も

いらっしゃるのではないでしょうか。

 

「治療をやめたら授かった人がいるんです。やっぱりストレスってよくないのかな」

と心配されている方がおられます。

治療をやめて授かった方の中には

治療のストレスから離れたこともあって授かられた方もいらっしゃれば、

そのときたまたま妊娠できる環境が整った方もいらっしゃると思います。

ストレスでどれだけの影響を受けているのかは人それぞれなのですが、

こうやって少し“いつもとは違う時間を過ごしてみる”ことで

いつもの自分がどういう状態か感じてみて

また次から新たな気持ちで過ごしていくことは有意味なことかもしれませんね。

 

今年もみなさんのいろんな想いの傍らに居られたらと思っています。

みなさんそれぞれの今の想いを伝えにいらしてくださいね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


かけがえのないたくさんの幸せ

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「子どもがいないと幸せになれない」と、

ある方が仰いました。

みなさんの中にも、同じように思っておられる方がいらっしゃるかと思います。

 

「子どもがいることで感じることができる喜びを感じたい」

「他の人が当たり前に授かっているのだから、私も同じように授かりたい」

「妊娠に向けてすごく頑張っているのだから、報われたい」

そういった想いは、妊娠を願う日々の中で自然に抱くものですし、

授かったら、今ある不安やくよくよしちゃう気持ちが“パッ”と晴れるでしょうね。

「授かったら幸せ!」と思う気持ちも当然だと思います。

 

私の先輩からの5年前の年賀状に、

“幸せは、日々の中にかくれています”というメッセージが添えられていました。

(補足ですが、先輩は以前、妊娠のために通院されていた経験があります。

 5年前も今も、旦那さんとお2人で過ごされています。)

当時の私は

幸せは手にいれるものだと思っていたのか、

過ごせている毎日や出会う人との関わりを当たり前と思っていたのか、

“言われていることはわかるけど、実感できない”という感じでした。

 

それから、何年か歳を重ねていく中で、

幸せって、幸せを感じる瞬間に向かって努力して満たされることだけでなく、

本当になんでもない日々のふとした瞬間に「ああ、私、幸せだなあ」と感じるものだったり、

「ああ、この人とこういう時間を過ごせて、私は幸せだったなあ」

と、振り返ったときにしみじみ感じるものなのかなあ、と思うようになりました。

私は、「ああ、ありがたいなあ」 「こういう瞬間ってあったかいなあ」と感じたときに、

幸せを実感しています。

 

私は、人間として暮らせる生活環境が保障されていれば

幸せを感じるための条件はないと、今は思っています。

どの人にもその人の人生でしか味わえない幸せが

自分で実感しているよりもたくさん散りばめられているように思います。

それを、幸せと受け取る状態に今いるかどうか、それ次第かな…と。

 

さて、年の瀬ですね。

掃除や年越しの準備にお忙しいと思いますが、

今年もきっとたくさん隠れていたであろうかけがえのない幸せについて、

よかったらぼんやり思い巡らしてみてくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 


イライラの正体

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普段の暮らしの中で、ちょっとしたことでイライラしちゃうことは、

誰にでもあるかと思います。

 

この間、友人としゃべっていたのですが、

友人が自転車を漕いでいたら、導線上を前から人が歩いてきたんですって。

友人は、避けようとしたのですけど、

車も走っていたので、歩いてくる人もある程度気を遣ってくれなければ

スムーズにはすれ違えない状況だったんですね。

けれど相手は避けようとしてくれずに、急ブレーキをかけることになったんです。

その時に、「私が来るのわかってるのに、なんで避けてくれないの?」と

相手の人にイラッとしたそうです。

 

おもしろかったのは、この後、友人が、

「でも、人じゃなくて、例えば、木が倒れていて邪魔だったとしたら、

そこまでイライラしないで止まったり避けたりしたと思う。」と言ったことでした。

友人は、避けたり、止まらなければならないことにイライラしたわけでなく、

相手が同じように状況を把握して気を遣ってくれなかったことに

イライラしたんですね。

人って、期待したことが叶わなかったときに、

イライラしたり、悲しい気持ちになったりするものです。

 

振り返ってみると、私たちは、無意識のうちに、

「こういうとき、たいていの人はこうするはず」 

「こういう立場なんだからこうするべき」

という信念を抱いて、相手に求める傾向があります。

「夫なんだから、一緒の気持ちで妊娠に協力するべき」

「親なんだから、子どもが困っていたら助けてくれるはず」

「多少の無理をしても、約束は守ってくれるはず」

「うれしい出来事だから、一緒に喜んでくれるはず」

「年下なんだから、気を遣ってくれて当然」

「上司なんだから、聞いたらやさしく教えてくれるべき」

こういった期待を無自覚に抱いていて、

期待通りにならないと、イライラしたり悲しくなったりします。

 

みなさんは、どういったことを周りの人たちに期待していますか?

自分が抱いている相手への期待に目を向けていくことで、

イライラしたり悲しい気持ちになっている出来事への受けとめ方が

また違ってくるのではないかなあ、と思っています。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


ひとの生き方、私の生き方。

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気がつけば平成30年12月で、今年も早や最後の月ですね。

今年の12ヶ月、みなさんにとってどんな月日でしたか。

 

実は私は、“目標に向かって一生懸命頑張る” “計画を立てて過ごす”ということが、苦手です。

時によって、「できるならそうしたいなあ」と思うことはあるのですが、

「しなきゃいけない」と思うと、びっくりするほどやる気が起こらなくなります。笑

なので、一生懸命頑張ったり、計画を立ててたくさんのことをこなしている方をみると、

「本当にすごいなあ」と尊敬しています。

私は、気ままなんです。

 

先日、知人と会う機会がありました。

知人の奥さんは、いつもてきぱき作業をされてて、行動力もあって、

自営業も手伝ってらして、この間はご自分でお着物もお召しになられていました。

「すごいなあ。私には全然真似できないなあ。」と口にすると、

知人が「うちの奥さんはそうしかできないからそうしてるだけですよ。

気ままな人だからこそできることもあるでしょう?」

と、言いました。

その言い方は、私を励まそうとしているような感じではなくて、

「燃えるごみは燃えるごみ専用のゴミ箱に捨ててください。

 空き缶は空き缶入れに捨てましょう。」というような、

“あっさり” した言い方でした。

 

そう言われて、ちょっと心がスッキリしました。

自分にできないことができる人をみていて、

私は「私もそうしなきゃいけないんじゃないか」という気持ちになっていたんですね。

「私も同じように頑張る努力をしないといけないんじゃないか」と

どこかで心がざわざわしていたのだと思います。

けれど、相手からすれば、性格や性質上、そうしないと気が済まないようだったのです。

“そういった風な生き方がその人の生き方というだけで、

それはそれでいい面もそうでない面もあるだろうし、

私は私の生き方でいい面もそうでない面もあるだろうし、

それぞれの生き方で生きたらいいじゃないですか”と、

知人は、そういった捉え方をしていました。

私が勝手にいろいろ思って心がざわざわしていただけで、

現実は私が勝手に思っていたこととは違うものだったのです。

 

そのことに気づいても、私にないものをもっている人はやっぱり魅力的で、

そういったところを今後も尊敬することに変わりはないのですが、

必要以上に比べたり、自分を“できない”と思ったりしなくていいんだなあ、と思いました。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 


ぜんぶ。

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今年逝去されたさくらももこさん。

きっと、みなさん、さくらさんの作品に触れたことがあると思います。

先日、ニュースで知ったのですが、

さくらももこさんの「ぜんぶ」という詩が

合唱になっているんですね。

 

ぜんぶ

大切なことは
ぜんぶここにある。

泣くこと 笑うこと
怒ること 喜ぶこと

あたりまえの気持ちは
あたりまえのものとして
そのまま 今ここにある。

もうどこへも行かなくても
なんにもしなくても
どこへ行っても
何をしても
ぜんぶそのままだ。

引用:さくらももこ著 「まるむし帳」 集英社文庫

 

生きているといろいろな気持ちに出会います。

泣いたり、怒ったりするときって、

恥ずかしかったり、悔しかったり、悲しかったりするものです。

そういうときに、

「ああ、こんなんじゃダメだな」 「元気ださないと!」

と、今の気持ちではいけないように思うこともあるかもしれません。

 

この詩を読むと、

今、わたしが抱く気持ちは

あたりまえなんだなあ、と、思います。

 

なんにもしなくても

何をしても

きっと、わたしはわたし。

大切なものはずっとここにあって、

何かで価値が変わるものではないんだって、

教えてくださっている気がします。

 

さくらさんの詩、

みなさんにはどのように響きましたか?

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


心を開いたり、心を守ったり。

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みなさんは、特定非営利活動法人Fineをご存知ですか?

Fineは不妊を体験している方々のセルフ・サポートグループです。

目を通された方もおられるかもしれませんが、

Fineの代表、松本亜樹子さんのコラムが掲載されていたので、リンク先を紹介します。

“不妊のことを一人で抱えないで”、というメッセージです。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181112-OYTET50037/?catname=column_matsumoto-akiko

 *うまくリンクが繋がらないようですので、

  アドレスを直接入力してご覧くださると幸いです。

 

以前に比べると、

自分の状況を誰かに話している人も多くなってきたように思います。

話すときに勇気がいることもあったでしょう。

みなさんからおうかがいすることを思い浮かべると、

話している方は、気持ちを出せている分、

主体的に行動できている印象があります。

話していないと、

隠したり、気づかれないようにしたり、というところに気を回す必要があるので、

気持ちにゆとりがもてなかったり、考え過ぎてしまうこともあるかな、と思います。

けれど、「傷つきたくない」 「相手になんて思われるか不安」という想いもあるでしょうし、

自分の心を守るために話さないようにすることもありますよね。

 

私はこの記事の中の、

“不妊治療で2年通院している方が、講演後に松本さんのところにいらして、

「今まで一度も泣いたこともないし悲しいとも思ったことなかったのに」と言いながら涙を流された”

というエピソードが特に心に残りました。

“悩んでいること”、“つらいと思っていること”、“悲しいこと”などと、

カテゴリーをつけてしまうと、ピンとはこないけれども、

誰かの話を聴いている中で、自分の中にある琴線に触れて実感したり、

ただ話をしている中で、自分がどういったことを感じているのか、少し実感できたり、

そういったことってあるなあ、と思います。

 

自分を守るために心を防衛することも、その時を過ごしていくのに必要だったりします。

適度な防衛にプラスして、

時折は、心を守っている鎧を脱いで解放してあげる時間もあるといいですね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


命のはじまり。

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体外受精で受精卵ができると

受精卵の写真をお見せしながら状態を説明しています。

受精卵の写真を見て、

神秘的な気分になったり

感動される方はたくさんおられます。

自分たちの新しい命のはじまりが

そこに写っているのですから、

それは特別な想いがすることでしょう。

 

タイミングや人工授精では、“妊娠”が命のはじまりのように思いましたが、

体外受精では、受精卵で2人の命のはじまりを見ることができ、

移植のときに受精卵が子宮に戻る様子をモニターで確認していただけます。

移植してから「お腹の中にあの卵がいるんだなあ」と思ったり、

お腹にいてくれるだろう卵に向かって話しかけたりすることもあるでしょう。

受精しているかどうか分からなかった人工授精までとは、

判定日までの日々も違った心持ちだと思います。

たくさん想いを馳せられることでしょう。

そして、残念だった場合も、

「流産ではないけど、卵を育ててあげられなかったなあ…。」

というふうに思えることもあって、

それは人工授精までとは違った感覚だとおうかがいしています。

 

体外受精をされた方だから分かる体験があるのだな、と思います。

受精卵に出会えることは体外受精をされた方の特権で、

そのことを誇りに思ってらっしゃる方もたくさんおられます。

そういった話をおうかがいすると、

心に、じーーーんっ、と響くものがあります。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


旦那さんの気持ちと似ていたのかな。

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個人的なことですが、

この数ヶ月で知人を2人なくしました。

私はそのときに2段階の悲しみを味わうことになりました。

1段階目は、知人をなくした悲しみ、

2段階目は、知人と深い関係だった人が悲しんでいることへの悲しみです。

どちらのときも、私は、なくなった知人よりも

知人と深い関係だった人との親交が深く、

告別式が終わって数日後にその人と会う機会がありました。

けれど、深く悲しんでいる状態のその人に

「励ましてもホッとするわけでもないやろうなあ」と想像をすると、

私から言えることなんて何もなくて、

過ぎていく時間をともにするだけでした。

“ずーん”と沈んだ雰囲気のいつもと違う状態のその人といて、

その人の気持ちに思いを馳せると悲しくてやりきれなくて、

私の方も肩が重くなっていって疲れていきました。

一緒にいてもその人の悲しみって埋められるものでもありませんし、

何もできない自分が苦しくてつらかったです。

 

人をなくすことと、妊娠を希望していることは、別のことなのですが、

私はふと、なくなった知人と深い関係だった人と一緒にいる自分が、

妊娠を強く希望している奥さんが苦しんでいることにつらさを感じている旦那さんと

同じような感覚なのではないかなあ、と思ったのです。

「なくなった知人-知人と深い関係だった人-私」と

「妊娠を希望していること-奥さん-旦那さん」という関係性が

似ているところがあるのではないかなあ、と。

私はその人が悲しんでいることに対して何もできないことを苦しく思ったのですが、

旦那さんの中にも「僕は精子出すだけやしなあ」と、

他に奥さんの苦しみに対してアプローチができずに歯がゆく思う人もいるのではないでしょうか。

 

旦那さんの中で、奥さんにどうしてあげたらいいのか、と考えている方はとても多いです。

「毎日必死で体温はかって、生理前はすぐ怒るし、生理になったら落ち込むし、

そうやって苦しんでいるのを見ているのもつらいし、

僕だって子どもはほしいけど、そこまで苦しい思いをしてまで、頑張らんでも…。

2人でも幸せといえば幸せだし、そんなに思いつめなくてもいいんじゃないか。」

と、いう旦那さんの声をよくおうかがいします。

旦那さんは奥さんにもう少し楽な気持ちになってもらえたら、と、

「焦らなくてもいいよ」 「別に2人でも幸せだよ」と伝えたりするのですが、

そういうと旦那さんは奥さんに、

「私ほどは子どもを欲しいと思ってないのね」

「私は、今すぐ子どもが欲しいし、1年、2年ものんびり待てないよ」

と、言われたり、思われたりすることもあるようです。

そうすると旦那さんは、もう何が正解なのかわからなくなってしまう、と。

旦那さんは旦那さんなりに奥さんを想って言ったことなのですから、

それで奥さんが怒ったり泣いたりすることがあると、

何も言えなくなるし、妊娠のことに自分から触れるのも怖くなってしまうかな、と思います。

 

妊娠のことはご夫婦2人のことで、

2人で同じ気持ちで臨めたら心強いだろうとは思います。

ただ、お互い性格も考え方も違いますし、

どんな局面でもお互いが全く同じ気持ちということはないでしょう。

通院、内診、採血、服薬などの負担は奥さんの方が大きくなるでしょうし、

妊娠も奥さんの身体で起こる反応ですから、

旦那さんと奥さんでは、負担も取り組み方も違ってくるかと思います。

旦那さんには旦那さんの妊娠を巡る大変さが、

奥さんには奥さんの妊娠を巡る大変さが、

それぞれにあるのだなあ、と思います。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


性生活とのおつきあい

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妊娠していくのに性生活は大切ですが、

実は性生活で悩んでおられる方は多いのです。

 

妊娠のために排卵にあわせての性生活が続くとつらくなったり、

結婚後や出産後などに少なくなっていったり、

結婚するまで性生活の経験がなかったり、

夫の勃起持続や膣内射精が難しかったり、

性交痛がひどかったり、

パートナーに対して性欲が湧かなかったり、

パートナーはいい人だけど性生活は合わなかったり、

困っておられる状況はそれぞれです。

 

そういったことって本当のことを口にしにくくて

どうしても呑み込んでしまいがちかと思います。

 

性生活のハードルが高い場合、

性生活をもたなくても妊娠はできます。

そのために通院をする方も少なくはありません。

だから、妊娠したいからなんとしてでも性生活をもたなきゃいけない!

というわけではないんですよね。

 

一方で、

性生活は妊娠のためだけにあるわけではないという考えもあります。

そういった考えをお持ちの方は、

「このままでいいのかなあ」

「この先、何十年もこの状態なのかなあ」と思うと

心がざわざわするのではないでしょうか。

 

人間として生を受けた私たちにとって、

自分にとっての性生活とどのようにつきあっていくのかということは、

とても大切なことだと思うのです。

「こうしたら満足いく性生活になるよ!」というようなアドバイスをするのは難しいですが、

どういったことに困っていて、どうしていくことができそうか、

どうなっていきたいのか、など、

一緒に話しながら考えていきたいなと思っていますので、

そういったこともお話にいらしてくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 


いつもより丁寧に伝えてみる。

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誰かとのやりとりで、

自分の気持ちや主張したいことをなかなか言えないこともあるかと思います。

そういった場合は、

「こういう場合は、自分から言わなくても相手が自分の気持ちに気づいてくれるはずだから…」と

相手に甘えている場合もあるでしょうし、

「私の気持ちを言ったら相手が傷つくかもしれないし」と

気を遣って言いにくい場合もあるでしょう。

そして、自分が思ったことを伝えることで、相手を困らせるかもしれないし、

断られるかもしれないし、そうなると自分が傷ついてしまうから怖くて言えない

という場合もあるかと思います。

 

ちょっと振り返ってみていただきたいのですが、

誰かに何かを伝えるときに、

主張したいことだけを言ってしまって、

どういった気持ちでそういう気持ちになったのか

どういう意図でそういった質問をしたのかということまでは

伝えられていないことはありませんか?

 

夫婦間ではよくあるやりとりなのですが、

「なんで最近忙しいの?」と、奥さんが旦那さんに尋ねたとします。

(ちょっと話が逸れますが、「なんで?」「どうして?」は、

 相手には責められているように聞こえることが多いです)

旦那さんがそのとき「奥さん、なんか怒ってるんかな?」と思うと、

「今、大きい仕事が重なってるし、会議も続いてるから」と、

“会話を切るように”答えるかもしれません。

すると、その雰囲気から奥さんは「忙しいと話もしてくれない」と思ってしまって

「ふ~ん」と返事をして会話が終わる可能性があります。

もし妊娠のことや、通院のことで何か話したいことがあったんだとしたら、

「旦那は私よりも妊娠のこと、真剣じゃないんだ」と思って

孤独感が増したり、怒りが湧いたりするかもしれません。

今の状況や気持ちを伝えて「私はこうして欲しい」と言ってみることは、

なかなか難しく勇気がいることかもしれません。

けれども相手にとっては、あなたが何を思って何を考えているのか、

ちゃんと言ってもらわないと分からないものです。

 

自分から言わなくても相手に汲み取ってもらえたら楽ですし、

傷つけたり傷ついたりもしたくないものですが、

言わないことで傷ついたり苦しくなったりすることもあります。

どんな想いをしているからどうしたいのか、ということを、

押し付けるわけではなく「私はこう思っているよ」という温度で

伝えていけるといいですね。

 

臨床心理士 間塚

 

 


樹木さんの人生観から

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先月、女優の樹木希林さんがお亡くなりになられましたが、

私は樹木さんがとても好きでした。

映画で拝見する樹木さんに毎回感銘を受けていたのですが、

メディアを通して伝えられる人間性にも惹きつけられる部分がありました。

 

樹木さんは、娘さんの也哉子さんに

「おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」

と、よく仰っていたと、お葬式の挨拶でお話されていました。

 

妊娠のことをいろいろ想う日々の中で、

周りの人が妊娠したり、子育ての話をしていると

悲しくなったり腹が立ったりすることがあるかと思います。

親からも「○○ちゃんは、すぐ子どもできたけど、まだなの?」などと

言われてしまうこともあると、おうかがいすることもあります。

自分で誰かと比べてしまったり、

他人が誰かと誰かを勝手に比べて、その価値観を押し付けてきたり、

人と比べることから無縁でいることは難しいですよね。

 

そして、“平気でいる”ことも、なかなか手強くて、

やっぱり、生理が来たり、判定結果が出なかったりすると、落ち込んだり、

ときには「私は妊娠できないんじゃないか」と、

動揺したり不安になったりすることもあるでしょう。

 

私たちは他の誰かと比べたり、時に比べられたりしていますが、

どういったことやどういった時に幸せを感じるか、ということや

どんなことでどれだけ悲しいと思うのか、ということは、

人の数だけ種類があるので、その人にしか分からないものじゃないでしょうか。

また、人生には、想ったとおりにならないことも含まれています。

自分の力ではどうしようもないことも引き受けて生きていかなければなりません。

人と比べたって意味がないことを

私たちは勝手に比べているのかもしれません。

また、他人が自分と誰かを比べることがありますが、

それはその人個人の価値観にしか過ぎないものではないでしょうか。

ですので、周りのことに動揺せずに、“わたしはわたし”として、凜としていると、

平気でいられるのかもしれませんね。

 

誰かの生き方に

どの時期に、どんなふうに触れて、どのように自分に響かせるかも、

人生におけるタイミングであり、縁だなあ、と思っています。

みなさんの中に、今、こういった樹木さんの人生観に“ピン”ときて、

より自分らしく豊かに強く生きていく後押しとされる方もおられるのでは…と思って、

今回はこういったブログにしました。

 

臨床心理士  間塚

 

 


通院のついでに楽しみを。

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秋は祝日が比較的多く、

連休前後は特にたくさんの方が来院され、

お待ちいただく時間が長くなってしまっています。

待ち時間が長いときは、

少し外出していただるける場合もあります。

最近は外の空気が気持ちが良く

ちょっとした気分転換にもいい季節になってきましたね。

 

遠方の方は特に、かもしれませんが、

「買い物して帰ろうと思ってます」

「街に出てくる感覚で通院しています」と思って通院されている面もあるようですね。

通院時間や交通費など、全部を「治療のため」と思ってしまうと

ゆとりがないときは、イライラしたり不満になったりするかもしれませんし、

通院以外の目的があるのはいいなあと思っています。

もしかして、通院していなければ来ない場所だったかも。

通院することで、縁が出来た場所です。

通院のついでに寄ったお店で、お気に入りの靴が見つかるかもしれません。

診察が終わってから、今日はどこに寄り道しようか、楽しみにしている方もいます。

電車に揺られなければ、今日はゆっくり本を読む時間をもっていなかったかもしれません。

 

メインの予定は通院なのかもしれないけれども、

1つ1つの体験にはメインもサブもありません。

お気に入りの靴に出会えたことや

ゆっくり本を読む機会があったこと

そういった1つ1つの体験も、じっくり味わってみてください。

すごくワクワクしている自分がいたり

ドキドキしている自分がいたりするのではないでしょうか。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


10年目に入りました。


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草津レディースクリニックは、この9月から、開院して10年目に入りました。

その頃に授かられたお子さんは、今は小学生になられているんだなあ、としみじみ思います。

通院されていたみなさん、その後はいかがでしょうか。

いろんなことはあると思いますが、お元気に過ごされていることを願っています。

 

開院当初は、まだ”妊活”という言葉は使われていませんでした。

時の流れとともに、体温を管理するアプリが普及したり、

鍼灸院などで“妊娠のために体質改善したい方”と書かれるようになったり、

著名人が不妊治療の体験をオープンにされたり、テレビで不妊治療が特集されたりと、

“妊娠のための取り組みをしている人がいる”という現状が知れ渡ってきたように思います。

 

不妊治療についても、以前は、

「夫婦で一定期間妊娠できるように取り組んで、授からなければ病院へ行く」

という考えの方が多かったですが、

今は、「早く妊娠したいから、自分たちでタイミングとるより病院来た方が確実だし」

「お互いの身体に問題がないか、早めに知っておいた方がいいから」と、

建設的に判断をして来院される方も多くなりました。

 

この10年で、妊娠のための医療技術も発展し、さまざまな研究も積み重ねられています。

そういった流れを時には取り入れながら、みなさんの希望に寄り添ってきました。

たくさんの方の願いが叶っていきました。

ただ、まだすべての方が希望通り授かれるわけではありません。

ご夫婦との血の繋がりを絶対的な希望としない方には、

体外・顕微授精での妊娠が難しそうな場合の選択肢の1つになっている

精子提供や卵子提供の窓口も広がり、

養子縁組も様々な団体が斡旋しているので、子どもを授かる選択肢も多数です。

このように、妊娠についての意識が高まり、

また、妊娠にまつわる医療行為などの選択肢が増えたことで、

子どもを授かるということに対して様々なアプローチができるようになりました。

その反面、選択していくことが難しかったり、勇気がいったりする局面があるかもしれません。

 

人生の中で、“子どもを授かること”について、思いを巡らせたり取り組んだりするのは、

とてもとても大切なことだと思っています。

みなさんそれぞれの考えや気持ちをおうかがいしながら、

今、みなさんがご夫婦のためにされる選択を納得しておこなえるように

スタッフそれぞれの立場からサポートしていきます。

大切な時を、一緒に過ごしていきましょう。

 

臨床心理士  間塚

 

 


やった方がいいことをやっていく準備。

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「やらないと!とは思うんだけど、積極的に行動できなくて…」

そんなとき、ありませんか。

「頭では分かってるんだけど、なんか気持ちがついてかなくて…」というとき。

 

「やった方がいいんだろうな」ということを分かっていても、

「手に入らないかも」「できないかも」「叶わないかも」という想いが強くなると

なかなか行動したり実行したりできなくなることがあります。

 

「体外受精も考えてはいるんですけど、どのタイミングで進んだらいいのか…」と、

いつから体外受精に切り換えたらいいのか悩まれる方はたくさんおられます。

「できたら自然で授かりたいし」

「体外受精にすすんだら、今より仕事との両立が難しそうだし」

「お金がたくさんかかるし」

「採卵したことないから、不安だし。痛そうだし」

こんなふうに、体外受精にすすむかどうか考えるときに

多くの方たちが迷われる理由というのはいくつかあります。

そのうちの一つに、

「体外受精までして妊娠できなかったらショック過ぎて…」

という想いがあって進むことをためらわれる方もたくさんおられます。

 

そうですよね。

妊娠の確率が一番高い方法で、

今までよりもいろんな面で負担になる治療をしても

望んだ結果が出るかどうかわからないと…

想像するとやっぱりこわいですよね。

 

そういった、結果が出なかったときのことを想像して躊躇したり、

「でも、同じことを続けていても妊娠は遠いかもしれないし進もうかな」と思ったりを、

行ったり来たり揺れながら、どうしようかと考える時期があるかと思います。

 

そして、もし、旦那さんに「やってみようよ」と言われたら、

進める人もいるんじゃないかな、と思ったりもしています。

自分だけの判断では心細かったりすることでも

その判断を同じように支持してもれたら、

それまでとは違った気持ちで取り組めるかと思うのです。

 

背中をおしてほしいこと、

見守っていてほしいこと、

こわい気持ちがあるのを知っておいてもらうこと、

自分が心強くいれるために必要そうなことから準備してみませんか?

 

臨床心理士  間塚


「前よりストレスは少ないはずなんだけど…」

今週の日曜日、なんとなく観ていた高校野球でしたが、

その試合内容が心を奪う展開の連続で、気づけば釘付けになっていました。

瞬間、瞬間にかけられたいろんな人のいろんな想いと努力と願いが、

とてもとてもあつくて、胸がいっぱいになりますね。

 

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ストレスって、

何か嫌なことや悲しいこと、辛いことなど “ネガティブなこと” に対して感じるものと

思っていませんか?

 

「環境が変わって、ストレスは前よりなくなっているんですが…」と仰いながらも、

次のような “気になること” がある方がちらほらおられます。

動悸がしたりイライラしやすかったり

急に悲しくなったり

それまではなんともなかった体温がガタガタしたり

しっかり眠れなかったり

頭が重かったり、胃がすっきりしなかったり

肩がこったり、なんとなくだるかったり、

といったようなことです。

 

こういったことは、何らかの病気の症状の場合もあるので、

専門外来で、病気かどうか診てもらうことも大切な一手です。

 

それで、ストレスのことですが、

ストレスは、“ネガティブなこと” だけではなく、

実は、一見、自分にとって“良いこと”であっても、付き物なのです。

例えば、結婚、妊娠、出産や、

転職や職場内の配置換え、退職、引越しなども、そうです。

 

なぜかと言うと、良いことであっても、“変化” が求められるからなんです。

何か出来事があると、

その出来事の前と後では、違った生活をしていくことになります。

すると“今までと違う”ため、どこかで力が入ったり、力の入れ具合がわからなかったりしがちなのです。

例えば、今まで少し波がある海を平泳ぎしていた人は、

波が穏やかになったら、平泳ぎは同じでも、この波に合った力の入れ方など工夫をすると思います。

もしかしたら、速く進みたくてクロールに変える人もいるかもしれませんよね。

このように新しい環境に対応することで、負荷がかかってくることがあります。

 

ですから、先にあげた “気になること” は、

環境が変わったことから起こっていることかもしれません。

新しい環境に頑張って慣れようとしている自分がいたり、

今までと違う暮らし方になんとなく満足感がなかったり、

「今の状況の方が良いのは間違いないから、文句は言えない」と思っていたりしませんか?

早く慣れようと思いすぎないで、

まずは、自分が心地よく過ごせているかどうか、確認してみましょう。

「前と大変さは違うけど、今は今で大変なこともあるなあ」とか、

「今は楽だけど、その分毎日にメリハリがないなあ」とか、

「これから順調に暮らしていけるか、漠然と不安な想いはあるかも…」とか、

自分の中で改めて気づくことがあるかもしれませんね。

 

臨床心理士 間塚

 

 


生活のバランスと治療と

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毎年、夏になると、

教員の仕事をされている方の来院が増えます。

毎日お忙しくされていて、夏休みになってやっと来れるみたいですね。

逆に、夏が繁忙期の方や

幼稚園や小学校に通うお子さんがおられる方はおやすみされることもあります。

 

生活は、仕事や家事、家族のこと、地域のこと、

いろんなことで成り立っています。

仕事で毎日忙しくてゆとりがないと、

「通院しないとな…」とは気になりながらも、なかなか一歩が踏み出せないこともあるでしょう。

また、「お子さんや今の生活状況に負担をかけて通院するのは控えたい」との考えもあるでしょう。

 

時折、「こんな感じで病院にきてすいません」と仰る方がおられます。

「仕事があって、来ないといけない日に来れないんです」とか、

「母親が病気していて、介護を優先させながら来れるときに来たいんです」とか、

不妊治療よりも優先させたいことがあるけどできる範囲で治療もしたい方は、

少し申し訳なさそうに、そう仰います。

中には「先生に失礼かもしれないのですが…」と、気にされる方もおられます。

 

不妊治療も生活の一部ですから、

今、どれだけ治療に取り組んでおきたいのか、とか、

生活の他のこととのバランス具合とかは、

みなさんお一人ひとり違うかと思うのです。

不妊治療の病院に来るからといって、

何よりも治療を優先しなきゃいけないと決まってるわけではありません。

来れる範囲で通院される場合は、しっかり診てもらうより確実性には欠けるのですが、

その範囲での通院もしていただけます。

 

今の生活状況で、どんなふうに不妊治療とつきあっていくのか、

妊娠したい気持ちと折り合いをつけていくのか、

みなさんそれぞれの向き合い方があると思います。

通院に万全な状況を準備するのは難しいこともあるでしょう。

「優先しなきゃいけないこと」と「優先したいこと」をもう一度整理して、

(「優先しなきゃいけないこと」は、実は自分で強くそう思い過ぎていて、

 頼んだり、伝えたりすると、融通がきくことが意外と多かったりします。)

生活の他のことと大切にしたいこととのバランスをとりながら

自分のペースで通院してみてくださいね。

 

 

 


親族の集まりについて。

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さて、やってきましたね、帰省の時期。

親族に妊婦さんや赤ちゃんがおられる場合は特に、

帰省は憂鬱に感じられますよね。

 

私は、毎回、“『無理して行かない』ことも大切なこと” とお伝えしています。

明らかに嫌な想いをすると分かっているのだったら、行かなくてもいいと思いませんか?

行かない選択をしようとすると、

「お義母さんはみんなが集まるのを楽しみにしているから」

「こういう状況でも、気にせず明るくいれたらいいのに」

と、心苦しく感じることもあるかもしれません。

そんなふうに実は気を遣ったり頑張ったりしているあなたを、

どなたかが気遣ってくださるようでしたら、少し安心できるかもしれませんが、

集まる人数が増えると、気遣いは行き届きにくくなりますものね。

何よりも、まずは、あなたがあなたの心を守ってあげませんか。

 

そうとは言っても、「行かない」選択がしづらくて、

仕方なく、親族の会合に行く方もおられることでしょう。

その日が来るのが嫌で、想像すると “ブルー” な気持ちになると思います。

そういうときは、せめて、

「私は本当は行きたくないけど、めっちゃ我慢して頑張って会合に行く」ということを

どなたかに分かっておいてもらえないでしょうか?

そして、会合が終わったら、どんなことがあったりどんな気持ちになったかを、

その方に伝える予定をしておいてほしいなと思います。

そうすることで、会合に行く前も会合中も、

「このことを伝えよう」と思いながらいられますので、

一人で全てを受けとめなくてもよくなって、あなたを支えてくれると思いますよ。

「誰に言ったらいいかな…」という方は、私に伝えにいらしてくださいね。

 

みなさんそれぞれのスタイルで、自分の心を労わりながら乗り越えられますように。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


「旦那さんには分からない」こと。

 

先週から、猛暑が続いています。

みなさん、体調はいかがでしょうか。

熱中症にはお気をつけて、無理をなさらずにお過ごしくださいね。


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妊娠を望む日々の中で、「旦那さんは、私の気持ちを分かってくれない」という声を

今までたくさんたくさん聴いてきました。

 

単純に、旦那さんが生理周期や妊娠のしくみをあまり知らないことが原因なこともあります。

そういった場合は、知識を補うことで、“分かってくれるようになる”ことがあるかと思います。

 

では、知識がないから分かってもらえないわけではない場合、

どうやったら「旦那さんに分かってもらえた」と思えるのでしょう。

例えば、“夫婦間で治療方針に温度差があったけど旦那さんが歩み寄ってくれたとき” でしょうか。

―「まだ妊娠考えて1年経ってないし、1年はタイミングでいいやん」と言っていた旦那さんに、

「毎回生理くるとすごい落ち込むし、これがいつまで続くのか分からんのはもうしんどい」と話したら、

「わかった。じゃあ3ヶ月はタイミングで様子みて、そのときにまた考えよう」って言ってくれた。―

というやりとりがあったら、「分かってもらえた!」と思えるかもしれませんね。

 

“分かってもらえるための工夫” をして、“分かってもらえた実感” があったら、

旦那さんとの間で感じておられる “こころの距離” が、これまでよりも近くに感じられるかと思います。

 

ところで、みなさんからお話を聴いていると、

「旦那さんには私の気持ちは、分からないと思う」と感じられる方も多いです。

妊娠を望んで暮らされている中で、

体温が気になって眠りが浅かったり、生理前の身体の感覚でいろいろ想像したり、

何度も採血や投薬を繰り返したり、通院のために仕事を切り上げたり、

妊娠しにくい原因が分からなくても

「夫の精子は悪くないし私の卵の質かな。」「子宮の環境がよくないのかな。」と考えたり、

流産の身体への負担やその後の気持ちの変化など、

“女性だから” 背負わざるをえないことや、身体で体験したりする部分があるものですよね。

そういった部分では「旦那さんにはわからない」と感じるものかなと思います。

「2人のことだけど、どこか自分だけが味わっているような気持ちになる」ことはあるみたいですね。

 

「旦那さんには分からない」ことがあっても、

旦那さんが気遣ってくれたり、

いろんな想いを聴いてくださっていると実感できると

「分からないのは当然」と、“そういうもの”として受けとめられるかもしれません。

きっと、「自分だけ…」と思ってしまうと、気持ちもきつくなってくるのでしょうね。

 

一方で、旦那さんには旦那さんで、

「奥さんには分からない」と思っておられる男性ならではの気持ちが

きっとあるのではないかなあ、と思っているのです。

お互いがそういった気持ちをもちながらも、支えあっていけるといいですね。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


それぞれの卒業

 

地震に続き、大雨による被害がありました。

報道を見るたびに、被害は大きくなっていっていて、

時間を追うごとに把握されていく被害に、いたたまれない気持ちになります。

みなさんをはじめ、ご親族やお知り合いの方々、ご無事でしたでしょうか。

被害にあわれたみなさまには、謹んでお見舞い申し上げます。

 

三休の蓮

 

当院では、妊娠されて妊婦検診先へ卒業される方が毎月20名ほどおられます。

こういったかたちでの卒業を望んで通院される方がほとんどかと思うのですが、

“不妊治療の卒業”=“妊娠”というわけではなくて、

“不妊治療を終えること”も“不妊治療の卒業”です。

 

治療を終えるときに、先生やスタッフに終わりを伝えて卒業される方もおられれば、

終わりと決めていても、終わることを誰にも言わずにやめていかれる方や、

「終わりにする」と決め切れなくて、誰にも言わないまま通院からは足が遠のく方など、

終わり方も人それぞれ、です。

 

以前、不妊治療を受けておられた方が、講演会で、

「私は、まだ不妊治療をやめたとは言ってないんです。

 長い間、休んでいるんです。

 はじめようと思ったら、いつでもはじめられるんです。」

と、おっしゃってました。

この方は、“治療をやめた”ことにすると、妊娠の望みがなくなるように思えるから、

長い間“治療を休んでいる”気持ちでいると説明されていました。

 

「妊娠は何歳まで」

「治療費がいくらまで」

「体外受精は何回まで」

「次、移植ができたら、結果が出なくても最後にする」

ご自分たちの中で、“なんとなく”想定していた線引きが近づくと

“治療を終える”ことが頭をよぎると思います。

ご夫婦で、どれだけ妊娠に取り組むのかを、改めて話し合いながら、

“終えた方がいいと思う理由”と、“やめたくない理由”を並べては、

どうしようかと迷われることでしょう。

 

「いつまで治療をするか、決められないんです」

「次周期で一応最後にしようかなとは思ってるんだけど…」と揺れ動きながら来られるとき。

「結果が出なければ、今日は最後の日かもしれない」

「これで私たちの治療は終わりです」と決めて来られる日。

そのとき、その日、ここに至るまでのみなさんそれぞれの物語があると思います。

 

治療を終えるという選択は、とても大きな選択だと思います。

頑張ったけど授からなかった悲しさもあるでしょう。

治療をやめられるホッとした気持ちも少しあるかもしれません。

いろんな気持ちがおありかと思います。

 

どうか、“今の自分たちにやれるだけのことはやったということ”は、十分に自負なさってますように。

治療を終える卒業も、

あなたが、妊娠と向き合って頑張ってこられた証に、間違いないのですから。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


カウンセリングの扉

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「カウンセリングを受けてみたらどう?」と誰かにすすめれたり、

「行ってみようかな」という気分になっていたとしても、

「でも…何話したらいいのか分からない…」と考えてしまうと

なかなか行けなかったりするんじゃないかな、と思います。

 

カウンセリングに来られるときに

“何を話したらいいのか”、を、考えてきていただかなくても大丈夫なのです。

「なんとなく、すっきりしなくて…」とか、

「何かについて話したいってわけではないんですけど、誰かに話してみたくて」とか、

「とりあえず来てみました」とか、

そういった感じだからこそ、カウンセリングを受ける意味があるように思います。

なので、迷うようでしたら来ていただけたら…と、思っています。

 

カウンセリングは自分の心に、違う方向から光をあてる機会になります。

自分で自分のことを振り返ったり、いろんな気持ちを見つめたりすることがあると思いますが、

自分の中で考えていると、自分の傾向が反映された考えになります。

一度、自分のことを話せる場所で話してみることで、

いつもと違った心の受けとめ方が生まれることがあります。

リフレッシュになりますし、前に進む機会にもなるかと思っています。

また、カウンセリングの中で、

「あ!胸につっかえていたことが、今、言葉に出せて、スッキリしました」

と、おっしゃる瞬間があります。

なんとなく“もやもや”したり“スッキリしない”状態だったりすることが、

お話する中で、どういった心の働きからだったのか気づくことができると、

とてもスッキリするものです。

 

どうぞ、今のそのままのあなたに、

来ていただければと思います。

 


地震があって。

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大阪北部を中心に、地震が起こりました。

みなさん、大丈夫でしたか?

通勤中だった方や通院しようと思ってらっしゃった方、

大変な想いをされたことと思います。

また、ご家族やお知り合いは、被害にあわれておられませんか。

まだ、この地震がおさまったのかどうか分からないですし、

みなさん不安な想いを抱えておられることと思います。

 

ニュースやSNSの情報は、

受信する側の受けとめ方次第で

役に立つものにもなれば

不安を煽るものにもなるなあ、と

今回改めて思いました。

何かあった場合の備えはしておきながらも、

できるだけ冷静に判断していきたいですね。

 

今、私たちの心身は、今の状態を乗り越えようと

必死で頑張ってくれている状態です。

なので、こういった時期は、

いつもより血圧が高かったり、

呼吸や心拍数が速かったり、

柔軟に考えられなかったり、

集中力や判断力が低下したり、

イライラしたり、

口数が減ったり、

眠りにくかったり、

悲しかったり、茫然としたり、

恐怖感が強かったり、

「いつもの自分と違うよ」という状態になっていることがあります。

 

これは、“何かあったとき”に心身が頑張ってくれている証で、

この状態はそう長く続くものではないと言われています。

そういう状態になるのも、自然なこと、なのですね。

 

もし、「少し心身を休ませてあげたい」と思う場合は、

例えば、夜、いつものように眠れないなという方は、

夜でなくてもいいので休めそうなときに休むようにしてみたり。

落ち着かないなという方は、

できるだけ誰かと一緒に過ごしてみたり。

イライラしたり集中できない場合は、

いつもよりゆっくり丁寧に作業をしてみたり。

こういった状況ですから、

自分も“試運転”みたいに思って、過ごしてみませんか。

 

何よりも、これ以上の被害が出ないことを祈っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 


「万引き家族」を観て。

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映画“万引き家族”が、カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞しましたね。

これからご覧になられる方々もたくさんおられると思います。

 

祖母、夫、妻、妻の妹、息子、娘の6人の、

誰も血が繋がっていない家族のお話です。

養子縁組でお子さんを授かられるご夫妻もおられますから

父母と子どもに血の繋がりがない家族はたくさんあるとは思うのですが、

おばあちゃんも妹も含めて、誰の間にも血の繋がりのない人たちが家族って、

ちょっと奇妙な感じを受けますよね。

 

“万引き家族”というタイトルの通り、

父と息子、ときどき娘は、万引きをします。

万引きで盗ってきたものは、一家の生活を支えています。

そして、この息子と娘は、夫と妻が“拾った”子です。

劇中では“拾った”と表現されてますが、“拾った”というか、

子どもの親が虐待をしていたので、誰に許可をとるわけでもなく、家に連れてきたんです。

そして、それから、一緒に暮らしているんです。

万引きさせながら。

あたたかいご飯を食べさせながら。

 

子どもに万引きさせることも虐待です。

法に触れていても罪悪感を感じていない大人たちには、

「それは、あかんのじゃない?」と思いますし、怒りもわきます。

一方で、子どもたちにとって、

この一家での暮らしの中に、血の繋がった家族ではおそらくもらえなかった、

温もりや安心できるひとときがあったのだろうなあと、感じました。

子どもたちだけでなくても、

この一家で暮らす血の繋がりのない個人、それぞれが、

“家族”を感じていたように描かれています。

 

養子縁組でお父さん、お母さんになられた方や、

また、当院では行っていませんが、

精子提供や卵子提供でお子さんを授かる方もおられます。

血が繋がっていてもいなくても、

そこに“家族”を感じられるかどうか、なのだな、と、

じんわり思った映画でした。

 

臨床心理士  間塚

 

 


体外受精を経験してみると…。

 

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体外受精をするまでは、

「まだ体外受精が残ってるから。体外受精したら妊娠できるから大丈夫!」

と、思うものかもしれません。

 

実際に体外受精にすすんでみると

卵胞が順調に育っていくかどうか、

ホルモンの数値が適当な値を示すかどうか、

期待した数の卵子が採れるか、

どのくらいの割合で受精して分割していくのか、

どれくらいの質の卵子を移植できるか、

凍結保存できる受精卵はあるか、など、

いろんなゲートがあって毎日ドキドキだったと仰います。

想定内ですすむ場合もあれば、

「こんなことがあるんだ…」と驚かれることもあります。

 

特に初めての採卵周期は、先々の想定がしにくいこともあって、

いつもよりどこか気を張って通院しておられることと思います。

1回目の採卵で妊娠に至らないと、次の採卵を考えられることが多いですが、

1回目の採卵で、心身ともに頑張って力を使った方がすぐにもう一度採卵していくのには、

パワーがいるように感じています。

とはいえ、何もせずに過ごすことにも焦る気持ちがあると、どうしていこうか迷うと思います。

そういったときは、少し整える意味でも、タイミングや人工授精をはさんで、

心身の緊張を少し緩めて栄養を蓄える周期をつくってみるのもいいかもしれませんね。

 

また、こういった時期、奥さんがつらそうにしていると、

「そんなにしてまで子ども作らなくてもいいよ。無理して治療しなくていいよ。」

と声をかけてくださるやさしい旦那さんがおられます。

ところが、そういった声をかけてもらうと、

「自分一人が子どもが欲しくて、自分だけ頑張っているんだ」と思ってしまって、

余計に悲しい気持ちになる方もおられます。

奥さんは治療をやめることはまだ考えられない中、

旦那さんはそちらの可能性も引き受けておられるように感じて、

「自分だけ…」と思えてしまうのでしょう。

この場合、旦那さんが“奥さんよりも子どもは欲しくない”ということではなくって、

旦那さんだって、子どもがほしい気持ちはあって、

けれど、それ以上に奥さんがいつも通りに暮らしてくれることの方が大事だから、

つらそうな奥さんをみて、なんとかその状態から救ってあげたくて、

そのように言ってくれるのじゃないかな、と思います。

旦那さん側からすれば、

「奥さんが大変そうだけど、自分はどうやったって代われないし…」

と、もどかしい気持ちでしょうし、

時には、「奥さんばっかり大変な想いさせてわるいなあ」

と、心苦しく感じておられることもあるんじゃないかな、と思っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


体外受精で生まれて。

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世界で初めての体外受精で生まれた英国人女性のルイーズ・ブラウンさんが、

今月20日に六本木ヒルズで講演されたという記事を見ました。

ルイーズ・ブラウンさんは現在39歳。

彼女のお母さんは、卵管に原因があったため、体外受精を希望されました。

そして、彼女は自然妊娠でお子さんを授かったそうです。

 

体外受精の歴史も40年になろうとしています。

今、日本では、19人に1人の赤ちゃんが体外受精をして生まれています。

“体外受精で授かった”ことと“自然妊娠で授かった”ことに

特に何の違いもないと認識される世の中になりました。

実際に、体外受精でお子さんを授かられた患者さんからも、

「体外受精だからって何か不利益があったことはないですよ」

「体外受精して、この子に出会えてよかった」

というような声をおうかがいしています。

 

また、この記事はネットニュースで読んだのですが、

たくさんのコメントが投稿されていました。

「全て同じ出産だと思う」

「『着床したら自然妊娠と同じ』と、医師に言われた」

「どんなふうに生まれるかより、どんなふうに生きていくかが大切」

「この子に出会えてよかったし、うれしかった」

「親から体外受精で生まれたと聞いたときは多少びっくりしたけど、抵抗はなかった」

など。

私は、ネットの記事やコメントは、信頼しないこともありますが、

この記事のコメントは、体外受精に関わった方が実際に体験したことや

そこに纏わる想いを書いてらっしゃるコメントが多いように感じました。

 

授かってみられると、

“どんなふうに授かったか”ということは、

ご夫婦が気にしないようであれば、大きな問題ではないように思っています。

 

全て、かけがえのない命です。

同じ命です。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 


お薬とのおつきあい。

 

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心身に不調があったとき、

みなさんはどうしますか?

薬をもらいに病院に行きますか?

それとも、自分の力でなんとかしようと努力しますか?

 

この間、「ここ最近は以前と体調が変わってしまった」と

不調を訴えていた方が病院に行かれました。

そして、お薬を処方してもらって、飲んでみたら、

そのお薬が身体に合いましたと、嬉しそうに伝えてくださいました。

「薬が効いてよかったですね」と言うと、

「効いたんじゃないんです。身体が元に戻ったんです。」と、仰いました。

 

身体の状態が、もともとの不調を感じていなかった時と同じようになるのは

本当に嬉しいことだと思います。

そして、そのことを「薬が効いているんだな」と、薬の作用に重点を置くのではなくて、

「身体が元の状態に戻ったんだ!」と、再生した身体を実感されていることが

すごくいいなあ、と思ったのです。

 

薬をできるだけ飲まないようにされている方からは、

「薬を飲むと薬にコントロールされているように感じるから」と、その理由を仰います。

「薬を使って過度に身体に負担をかけるんじゃないか」とか

「症状を無理矢理抑え込めるんじゃないか」とか、

どこかで“不自然なもの”のように感じていて、避ける方もいらっしゃいます。

薬を飲むことを負担に感じられる方もいらっしゃれば、

薬を飲むことで負担から解放される場合もあります。

私は、必要がないのに薬を飲むのはどうかなあ、とは思っています。

一方で、薬に少し支えてもらうことで、本来の自分の力が戻ったと実感されると、

身体の機能回復だけではなく、自信や安心にも繋がるように思っています。

不調が続く自分を実感し続けるよりも、

ちょっと支えてもらうことで自然な状態に戻った方が楽に感じることもあるのかな、と…。

 

 

さて、お薬の中には、妊娠を希望しているときは控えたほうがいいものもあります。

お薬を処方してもらう場合は、医師に妊娠を希望していることをお伝えしてください。

「妊娠を希望しているから、薬は極力飲みたくない」と思う方も、

「飲んでも大丈夫ですよ」と処方してもらった薬を、

「この時期は大丈夫ですよ」という時期なら飲んでも大丈夫なんです。

薬を飲むときは、まずは“安心して飲む”ことが大事だと思います。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 


心のデトックスしてますか?

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ゴールデンウィークが終わって、また日常が戻ってきましたね。

みなさんはどのように過ごされましたか?

 

私は、普段なかなか会わない人たちと会うことができました。

いろんな思い出話や今の話をたくさんしました。

前から変わらないところや、必然的に変わっていくところがそれぞれにあって、

でも関係は変わらず続いていていいな、と感じられるとても貴重な機会となりました。

と言うと、すごくキラキラした素敵な時間のように聞こえますよね。

ところが、それらの時間の内実はずっとキラキラしていたわけではなくて、

よくよく思い出してみると、会話の大半が“毒出し”でした。笑

ショックだったことや腹が立つこと、「信じられない!」というエピソード、

そんな話ばっかりです。

みんなにいろんなことがあって、

みんなに「思うところはあるけど言えずにいる」気持ちがあるのだなあ、と思いました。

それで、こういう機会に「わーーーーっ」と言って、また明日から頑張ろうと思ったり、

「今までのやり方を少し変えてみようかな」って前向きに考えたりできるのでしょうね。

 

その「わーーーっ」と話していることについて

周りは「うわ~!大変!」とか「それはこうしたらいいやん!」とか、

それぞれが思ったことを言うので、

その意見に「そうじゃないねん!」「分かってないやん!」と思う時もあります。

そして「そうじゃないねん!」「分かってないやん!」を、結局その場で言えないこともあります。

そうすると、そのときの気持ちは“言えないボックス”に一旦閉まって、

また別の誰かの前で取り出して話したりすることになるのでしょうか。

思ったことを話すことはできても、

思ったように受けとめてもらうことは難しいものです。

 

それにしても、誰かとの会話の内容で“毒出し”をしていることは、

改めて考えてみると、とても多いように思います。

毒出し話をして、「楽しかった!」「めっちゃ笑った!」と満足するわけですから、

ほんとうの気持ちを閉まって我慢していたり、

周りの人の言動に驚いたり苛立ったりして過ごしていることがいかに多いか…。

「みんなすごい頑張って暮らしているんだなあ」と、しみじみ思いました。

みなさんは、最近“毒出し”をしましたか?

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 


不妊治療専門のクリニックって、どういうところでしょう?

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当院は、“不妊治療専門”のクリニックです。

ですので、待合室はほぼ「妊娠したい」気持ちで来られている方ばかりです。

お子さんを連れてこられる方はおられますが、

お腹が大きい妊婦さんを見かけることはほとんどありません。

 

不妊治療は専門病院でなければできないわけではなく、産婦人科でもされています。

“じゃあ、どこに行っても一緒か”というと、そうではなくて、

治療の内容が病院によって違いますし、検査項目も病院によって違います。

当院は、“妊娠に関係していることで調べられることは、早めに調べましょう”という方針で

最初の1~2周期の間に、実施できる検査をしていきます。

 

“不妊治療専門”というと、

「早く妊娠したい!」と積極的に来られる方もおられれば、

「まだタイミングとって3ヶ月だけど行っていいのかな?」

「なんか、自分で自分を“妊娠しにくい人”にしてしまうみたい」と、躊躇される方もおられます。

初診の日は、「やっと来れた!」と、大きな1歩に安心されます。

「行って何かあったらどうしよう」

「通っても妊娠しなかったらどうしよう」と、心配し出すと、

「やっぱり通院はもう少し先にしようかな」と踏み留まりそうなこともあったでしょうが、

勇気を出して病院に来られて、前に進んでいかれます。

 

当院には、妊娠したい想いがある方は、どなたでもいらしていただけます。

“タイミングを6ヶ月以上とった方”とか、

“他院で不妊治療をすすめられた方”といった決まりはありません。

「妊娠したいな」と思ったタイミングで、“一歩”踏み出してください。

「来てよかった」と思っていただけるように、

医師を始め、スタッフ全員が、“あなた”のご希望や想いに寄り添っていきます。

そして、通院を開始するまでに心配したり期待したりしたいろんな気持ちは、

来られたときにお聴かせくださいね。

 

 

臨床心理士  間塚

 

 

 

 

 

 

 

 


原因を探すのと同時に大切なこと。

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妊娠していきたい気持ちと同時に、

周りの人と比べて、どうして私は妊娠しにくいのか知りたいという気持ちもあるかと思います。

「頑張ってタイミングとっているのにどうして妊娠しないのだろう」

「何か妊娠しにくい原因があるんじゃないかなあ」と思って、

まずは原因を知って治して妊娠しようと来院されることもあります。

 

特に、自分でアプリや排卵検査薬を使ってタイミングをとられていた場合、

「排卵検査薬ってほんまに合ってるんかな」とか、

「体温っていつが下がったのかわからないし」とか、

「タイミングが合ってなかっただけかもしれない」と考えることもあります。

 

通院して検査をして、これまで授からなかったことに対しての「どうして」が分かった場合、

「ショックはショックだけど、納得はできた」と、思えることもあります。

でも、妊娠については複雑な部分もあって、

何か要因が見つかったとしても、そのことが原因だったかというとそれだけではないこともありますし、

検査上は特に何も問題がないこともあります。

なぜならば、妊娠しにくい原因は、検査で調べきれるものではなくて、

例えば、タイミングがあっていても受精しているとは限りませんし、

そういった現象が起こっているかは、通常では分からないからです。

この明確な答えがわからないところが妊娠の難しさで、

「これだけチャレンジしているのにどうして授からないのだろう」と多くの方が悩まれるところです。

ですので、妊娠に至りにくかったことに原因があるか調べるのと同時に、

「妊娠するためにどうしていくか」を考えることが大切のように感じています。

 

原因を治してできるだけ自然に授かりたい気持ちは、多くの方の願いです。

これから先のことを考えていく中で、「体外受精を自分がするとは思わなかった」と、

違ったアプローチをしていくことに戸惑うこともあるかと思います。

パートナーのリアクションが「思ったようにしたらいいよ」だったりすると、ありがたい反面、

自分の想いだけで進めているようで負担を感じるかもしれませんね。

そういったいろんな気持ちがぐるぐるして、

時に不安になったり自信がもてなかったりするかもしれませんが、

子どもが欲しいと思う“あなた”が、「今どうしていきたいか」を、

“あなた”のために自信をもって選択していってくださいね。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


新しい年度が始まりました

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新しい年度が始まりました。

春になって過ごしやすく、あたたかくて気持ちがいい時期ですし

気持ちも新たに暮らしていきたいですね。

 

初めて来院されるとき、多くの方が、

「なんで妊娠しないんだろう」と思って来られるかと思います。

「原因を治して、妊娠したいんです」と仰います。

妊娠に至りにくい要因があるのかどうか、基本検査をすることで、

例えば、卵管の通過性が確認できなかったり、精液の状態がよくないことが分かったり、

しばらく通院しても妊娠に至らない場合、体外受精をしてみることで

思ったより受精率がよくないことなどが分かるかもしれません。

 

そういったことで、夫婦生活では妊娠に至らなかったことに対して

説明できる何かが分かることがあります。

(補足ですが、必ず妊娠に至りにくい要因が見つかるかというと、そうではありません。

また、“妊娠に至りにくい要因がある” = “それが原因で妊娠しない”と言い切れるかというと、

その限りではありません。)

ただ、私は、このようにも思っています。

「もし説明できる何かが分かったら、“なんで妊娠しないんだろう”という思いはなくなるのだろうか」と。

この“なんで”には、原因を求める意味と、

“どうして私は授からないの?”という意味があって、

“どうして私は授からないの?”ということに対しては誰も説明できないと思うんです。

 

妊娠を待ち望んでいる間、

この“なぜ?” “どうして?” は、ずっとどこかにあるのではないでしょうか。

 

生きていく上で、この上ない喜びもあれば、不条理な出来事もあります。

到底、受け容れられないことが起こることもありますよね。

私は、嬉しいことがあったら一緒に喜んで

悲しいことや怒りを感じることがあったら傍にいて、

妊娠を想いながら過ごされているみなさんの“今”にお付き合いしていきたい、と思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


“あなた”のこと、お聴かせください。

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初診時に(初診のときに臨床心理士が対応できない場合は後日になりますが)、

カウンセリングのオリエンテーションをしています。

きっとみなさん、“カウンセリング”に対しての印象がそれぞれにあると思いますので、

当院ではどういった目的でカウンセリングがあるのかをご説明させていただく機会としています。

 

最近、説明をしたり聴き取りをしたりする人を“カウンセラー”と呼んでいる病院もありますが、

私は臨床心理士なので、心にアプローチをしています。

「臨床心理士と初めて会った!」という方は、

「特に悩んでないので、何を話したらいいものなんですか?」

「みんなどういうことを話していかれるんですか?」

と、初めての出会いに少し戸惑われることもあります。

私も、自分が臨床心理士になっていなくてあまりカウンセリングのことを知らなかったら、

初めて会ったときは同じように感じるかもしれないなあ、と想像しています。

 

オリエンテーションのときにカウンセリングに対する印象をおうかがいすると、

“ストレスが溜まっている人が相談に行くところ” “心が病んだら行くところ”

と思ってらっしゃる方が少なくありませんが、いかがでしょうか?

私は(私に限らず、臨床心理士はそうなのかもしれませんが)

ストレスや悩みや困っていることを聴くのではなくて

“あなた”を聴きたいと思っています。

 

妊娠を願う暮らしの中で、いろいろな自分に出会うことと思います。

結婚したら妊娠すると思っていたのに(あるいはもっと早く結婚するつもりだったのに)

思い描いていた人生とは違ってきたことで心が揺れたり、

旦那さんやご家族に対して支えてくれることに感謝したり、

なかなか妊娠しなくて申し訳なく思えたり、

「私はまだ不妊じゃない」と思いたい自分がいたり、

「体外受精にすすんだら妊娠できる」と期待しつつ「もし結果が出なかったら」を考えて不安になったり、

最近卵が凍結できない周期が続いていて、やっと凍結できてすごく嬉しかったり・・・。

いろんなこと思ったり感じたりされていると思います。

そういった“あなた”のいろんなことをお聴きすることを通して、

みなさんに心が少し軽くなったり、ゆるんだり、じんわりホッとするのを感じていただけると、

とても有意味な時間になると思って、私はここにいます。

心も身体も大切にいたわって過ごしていきましょう。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


不妊治療と仕事の両立、心配ですか?

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耳にされた方もいらっしゃると思いますが、厚生労働省が行った実態調査で、

不妊治療のために離職した人が16%だったことが明らかになったと、

先週ニュースになっていました。

治療と仕事の両立をどういったところで難しく感じるかについては、

“通院回数が多い”こと、次いで“精神面で負担が大きいこと”が理由でした。

 

確かに、通院回数が多くなる時期は、仕事と通院で生活にゆとりがなくなることもあるかもしれませんね。

また、定時に帰れないのが日常という職場もまだまだ多いことでしょう。

「今日は早めに切り上げて病院行きたいのに!」と思っていても、

周りの人が残業していると「帰りたい」とは言い出しづらいこともあるでしょうし、

でも妊娠のためには病院に行きたいですし、

そんな状況が何度もあると、時には泣きたくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

治療の性質上、また、今の職場環境や支援状況、治療への理解度からは、

仕事にも治療にもどちらにも全く皺寄せがない状態を続けていこうと思うと、

難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

ところで、私はこのニュースをみたときに、

“不妊治療をしている方は離職率が高くなりますよ”という報せなのかな、と思いました。

けれど、平成28年の雇用動向調査結果(厚生労働省)では、

全体の離職率は15%、女性では17.7%なので、

不妊治療をすると離職率が高くなるということではないようなのです。

みなさんは、どのように受け取られましたか?

 

当院は火曜と木曜は19時30分までの受付ですし、

月曜、水曜、金曜は8時からの早朝診察もありますので、

勤務時間に合わせてうまく利用していただけたら比較的両立しやすいのでは、と思っております。

治療をしているとは言わずに職場の休業制度を利用して両立されている方や、

上司などに事情をお話されて両立しやすいように協力を得られている方など、

治療も仕事もできるように、みなさんそれぞれ工夫をして続けておられますよ。

もし「不妊治療を始めると、仕事やめないといけないかも!」と心配されている方がいらっしゃったら、

離職率のニュースでは“84%は離職していない”という結果になっていますし、

最初から完璧に進めようとしないで、とりあえず両立できる範囲から始めてみられてはいかがでしょうか。

進めていくうちに、仕事との折り合いのつけ方がわかるようになるかもしれません。

 

一方で、仕事をやめて「意外と仕事自体がストレスだったんだなあ」と実感される方もいらっしゃいます。

それから、今までできなかった家事や自分を労わる時間ができて喜ばれたり、

「仕事しないで家にいるほうが性に合うかも!」と気づかれる方もいらっしゃれば、

「やっぱりずっと家にいるとなあ…」と、治療と両立できそうなペースでお仕事を始める方もおられます。

私は、両立していくのも、治療を機に一旦仕事をやめてみるのも、

どちらもメリットはありますし、どちらも正解だと思っています。

今の自分にとって、前向きな選択を重ねていっていただきたいな、と思っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 


こころが守ってくれてるんだ。

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先日、ヒーリング体験をしてきました。

ヒーリングは、心身の不調の原因をとりのぞき本来の状態に戻していく手法の一つです。

ヒーリングを紹介したくてブログに書いているわけではないのですが、

そのときの体験や感じたことを伝えたかったので、少しお付き合いくださると嬉しいです。

 

私は、ヒーラーさん(ヒーリングをしてくれる人)に、

「(気持ちが)麻痺してるね」と言われました。

そう言われてドキッとして、なんとなく自分でも思い当たる状態だったので、

「やっぱりそうだったんですね」と答えました。

すると、

「熱いお風呂に入ると、『熱っ!』ってすぐに湯船から出るけど、

ぬるま湯から浸かっていて、少しずつお湯が熱くなっていくと、

いつもだったら熱く感じる温度でも『熱すぎるっ!』とは感じずに、我慢できるでしょ。

それって麻痺しているよね。」

と説明されて、納得しました。

 

ヒーラーさんに言われたことを思い巡らせていると

この“麻痺している”状態にいる方って意外と私だけじゃないのでは?、と思い至りました。

夫婦関係だったり、職場だったり、

家族関係だったり、生活環境だったりで、

“なんとか耐えられる(耐えなきゃいけないと思っている/ここは耐え切りたい)状態”が

長く続いているときは、本当は感じるはずの気持ちを感じないようにしようと

こころが機能していることがあるのではないでしょうか。

そして、妊娠を希望している状態でも時にはそういった機能が働くのではないかな、と思ったのです。

 

私は、ヒーラーさんが感じて「麻痺しているね」と言ってくださったことがしっくりきて、

「ああ、そういう状態だったんだあ!」と、

気になることを見つけてもらってわかってもらったような気分になって、少し安心しました。

そうやってちょっとホッとすると、

これまでの反応や関わり方では麻痺させてしまっていた気持ちについて、

“そういう気持ち、そりゃあるよね”と、ちゃんと思えました。

一方で、麻痺をさせていたのは、きっと何かしらの感情から自分を守るためだと思っていて、

自分が気づかないところでこころは自分を守っていたんだなあ、とありがたくなりました。

こころの機能ってすごいなあ、と、改めて思った時間でした。

 

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


大変さは比べることができるでしょうか?

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ちょっと無理をしたり、キツく感じることがあったときに、

時折、自分よりも大変そうな思いをしているであろう知人を思い浮かべて、

「あの人の方が私よりもっと大変だろうから、頑張ろう」と思うことはありませんか。

 

そうやって思うことで、自分の大変さを“比較的軽いもの”と捉えなおしたり、

「まだ頑張ろう!」と自分を鼓舞したりと、

一歩先へ足を出すための推進力にしていることってありますよね。

 

ところで、私はよくこんなふうにも思います。

「大変さって比べられるものなのかな?人と比べて軽く思えるからといって大丈夫なものなのかな?」と。

 

ネットなどからたくさん不妊治療の体験談を見聞できますので、

他の人の状況を知っては、

「私はまだ体外受精じゃないから大変じゃない」

「私は卵が採れるから、採れない人より大変じゃない」

「この人よりは主人が協力的だから大変じゃない」

「私は旦那の両親が理解してくれているから、この人より大変じゃない」と、

どちらかと言うと“これで大変だと思ってはいけないんだ”といったふうに

思う場合もあるのではないでしょうか。

 

私は、自分が感じる大変さは、誰かと比べるられるものではないと思っています。

把握できる情報からは、他の人よりも自分は大変には思えなくても、

大変さを感じているのだったら、今は自分にとっては大変なんだと思います。

そう思っている自分に、

「他の人はもっと頑張っている人がいるんだから、まだ頑張れるよ」と言うばかりではなく、

「頑張ってるもん、大変なことやってるもん、私!だから、ちょっと楽もするんだ」

「自分が今どんなふうに感じているか、旦那には分かっておいてもらおう」

って、ちゃんと労わってあげることも大切なのではないかな、と思っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 


隣の家族は青く見える

 

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今クール、“隣の家族は青く見える”というドラマが放送されています。

妊娠を希望している深田恭子さん演じる奈々と、松山ケンイチさん演じる大器夫妻を軸に、

コーポラティブハウスで暮らす様々なかたちの家族模様を描いているドラマです。

ご覧になられている方、いらっしゃいますか?

 

妊娠したくて通院もしているのになかなか結果が出ない状況になったときに

どういうことで大変だったり傷ついたりするのか、

カウンセリングルームでもよく聴くエピソードがドラマにもたくさん出てきます。

旦那さんとの温度差があって「男の人には分かってもらえない」と思う一方で

旦那さんが自分ほどは思いつめていないから気持ちが救われるところもあったり、

親族の妊娠を喜べなくてその場が辛かったり、喜べない自分を嫌になってしまったり、

生理が遅れると妊娠の期待が高まって、生理が来てしまったときのショックが大きすぎたり…。

妊娠を望んでいてそういったことを体験することはよくあるのですが、

妊娠を望んでいる状況でない方にも、そういったときどういう気持ちになるのかということを、

“他人事”でなく身近なものとして想像できるドラマなのではないかな、と思っています。

 

今週は第4話です。

予告では通院先の医師から、人工授精をすすめられているシーンがありました。

その提案と自分たちの状況や想いとを、どのように判断していかれるのでしょうか。

 

このコーポラティブハウスで暮らしている他の家族も

あたりまえのことですが、それぞれの家族がそれぞれ“なにか”を抱えています。

“妊娠したいのになかなかできない”というところだけでなく、

どんな人も、他人にはなかなか分からなかったり見えないところで

その家族の“なにか”とつきあいながら暮らしているということを改めて気付かせてくれます。

ドラマの中にも「自分の物差しだけで他人を測るなって言ってんのよ!」という台詞がありましたが、

自分の価値観で判断しないで周りの人の状況を想像したり受け止めていくことで

もっと器の広い世の中になっていけるのではないかなあ、と思っています。

 

 

臨床心理士 間塚

 


相手の気持ちって、分かるものでしょうか?

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時折、「心理士は人の心が分かるんだ!」と思われていることがあって、

お話をしてして「私の心、見透かされていそう!」と言われることもあるのですが、

”心”って、分からないものです。

むしろ、他人の心は分からないもので、自分の心でさえも分かりきれるものではないからこそ、

心の在り方や働きを確認していく役割を臨床心理士が担っています。

 

夫婦で妊娠のことを話そうとして、相手がいい顔しないようだと、

「治療しなかったら子どもを授かる可能性が低くなるのに、どうしてそんな顔するんだろう?

本当に子どもを欲しいわけじゃないんだ!」

と、思うかもしれません。

 

でも、相手が“いい顔しなかった”のは「本当に子どもが欲しいわけじゃないから」とは

限りませんよね。

例えば、その時は疲れていて「また今度にしてほしいな…」と思ったのかもしれませんし、

自分が責められているように感じられたのかもしれませんし、

話の内容のことではなく、言い方が嫌だったのかもしれませんし、

なぜ“いい顔しなかった”のかはわからないなあと思います。

もしかしたら、こちらが期待した反応じゃなかっただけで

相手にとっては、決して“いい顔をしなかった”わけではないのかもしれません。

 

こういったやりとりをどう受けとめていくかは

お互いの性格や相手との関係性で変わっていきますよね。

相手の反応に、悲しかったり、ショックだったり、ちょっと腹が立ったりする自分もいますが、

相手がどうしてそういった反応だったのか、ということには、たくさんの可能性がありますし、

自分の中で答えを決めすぎてしまわれずに、また機会をみて話してみられてはどうでしょうか。

 

夫婦であっても、聴いてみないとわからないことがたくさんあります。

そして、伝えないとわかってもらえないことも、たくさんあるなあと思っています。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


きっと、大丈夫。

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「大丈夫だよ」と言われると、どんな気持ちになるでしょうか。

 

なかなか妊娠に至らなくて、

「私、本当に妊娠できるのかな?」と、旦那さんに不安を口にしたとき、

「大丈夫だよ。そのうちするよ。」

と言ってもらったときの“大丈夫”に、

「そうだよね、大丈夫だよね」とホッとする人もいれば、

「大丈夫かどうかなんて分からないのに大丈夫って言わないで」と思う人もいるでしょう。

 

医師に「大丈夫、きっと妊娠できますよ」と言われた“大丈夫”には、

「先生が言うんだったら、大丈夫」と、気持ちが軽くなるかもしれませんし、

通院先の先生を信頼できていなかった場合などは、

「本当に大丈夫?大丈夫って、適当に言ってない?」と思うかもしれません。

 

“大丈夫”は、相手に安心してもらいたいときにかけたくなる言葉ですが、

かけてもらった方がどう受け取っていくかは、

自分の状況や相手との関係性で変わってくるものですよね。

 

また、「誰かに大丈夫って言ってほしい」という時もあります。

自分で決めないといけなくて迷うときやどうしていいのかわからないとき

「誰かに『これを選んだら大丈夫』って言ってもらったら安心なのに…」と思ったりします。

「あなただったら大丈夫だよ」と言ってほしくなります。

これから先がどうなっていくのか、分かっていれば楽なのですが、

「こうしたら絶対望んだとおりになりますよ」と、

誰かに保証してもらうことができないこと、誰にも分からないことがたくさんあります。

だからこそ、“自分が後悔しない選択をする”、“納得していけるように話し合う”ということが

とても大切で、時に、パワーや勇気が必要になってくることもあります。

これから先、望んだとおりにならなくて「今、私、大丈夫じゃない」という時がきても、

きっとまた自分で自分を“大丈夫”にしていける力を、みなさんそれぞれ備えていますよ。

迷ったりするときは、何に迷っているのかお聴かせください。

そして、今の自分たちにとって、「今はこれだ!」という選択をしていきましょう。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 

 


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あけましておめでとうございます。

 

お正月やすみは、ゆっくりされましたか?

普段は時間に追われてなかなか夫婦でゆっくりと過ごせないという方も、

こういった機会にいつもと違った過ごし方ができたのではないでしょうか。

 

一方、年賀状や帰省で気持ちが疲れた方もいらっしゃるかもしれません。

知りたくないことを不意に知らされたり、言われたくないことを言われたりすると、

胸がドキッとしたり、お腹からヒヤッとしたりしますよね。

身体が「今、びっくりしたよ。心が縮んだ感じがしたよ。」とサインを出しているんですよね。

そういったことがあると、イライラしたり焦る気持ちが大きくなりがちですが、

お2人にはお2人のペースがありますものね。

 

周りの期待に応えたい気持ち、

子どもを授かっている友人や子どもを羨ましく思う気持ち、

なかなか想いが叶わなくてもどかしい気持ち、

いろんな気持ちが出てきますが、そういった気持ちはなかなか言えないでしょうし、

何も言わずにそっとしておいてほしいですよね。

 

周りの状況や言葉かけで気持ちが乱れることもありますが、

お2人の妊娠への想いや考えを大切に進んでいきましょう。

今年も、お2人の状況や希望と照らし合わせながら、

医師をはじめ、スタッフそれぞれの専門性を生かしてみなさんの通院をサポートしていきます。

一緒に迷ったり、一緒に喜んだり、一緒にやり遂げたり、

一緒に頑張っていきましょう。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


新年に向けて、心を充電しませんか。

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12月に入ってから特に、時の流れがものすごく早く感じられたのですが

みなさんはいかがでしたでしょうか?

 

さて、2017年が終わりを迎えようとしています。

日頃忙しくされている方が多いですが、

年末年始はご夫婦で一緒にいられる時間がたくさんありそうですか。

 

年末年始は、非日常ですよね。

時間の流れも、過ごし方も、心持ちも、いつもとは変わって感じられるでしょう。

1年を振り返ったり、新しい1年をどのようにしていこうかと思い巡らしたり、

“節目”を実感しますよね。

今年1年頑張ったこと、前にすすんだと思ったこと、

毎日の暮らしの中ではなかなか再確認することが難しいと思います。

そこで、節目の今、じっくりと今年のことを振り返ってみませんか。

じっくり振り返ってみると、

例えば通院を始めたこと、通院を続けてきたこと、

旦那さんと妊娠のことを話し合うように心がけてお互いの考えが分かるようになったこと、など

いろんな変化や努力があっての今で、

その時々に、勇気を出したり、踏ん張ったり、痛い思いを乗り越えたりした自分がいたはずですよね。

今年の自分に「お疲れさま、よく頑張ったね」、という気持ちが自然と湧いてくるのではないでしょうか。

 

自分を労ったり、「頑張ったなあ」と実感していくことで、

自分の心も満ちていくことと思います。

自分で自分をしっかり評価してあげることは、とても大切なことだと思っています。

たっぷり充電して新しい年をお迎えください。

 

臨床心理士 間塚

 

 

 


呼吸法でリラックス&血行促進

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12月に入って一気に寒くなりましたね。

その影響もあってか、最近、採血のときに血管がみえにくくなっている方がおられます。

採血は失敗されたくないですよね。

採血するスタッフも失敗したくないと思っています。

そういったことを防ぐためには、水分をしっかりとっておくことも大切みたいですよ。

また、寒さで血管が収縮しやすくなっていると考えられますので、

肩や首を回したり手先を動かしたりと、腕の血流をよくする工夫をしてみるのも効果的かと思います。

心理士としては、呼吸法も効果があるのではないかなあ…と思っています。

呼吸法は、“リラクゼーション法”の一つとして紹介することが多いのですが、

毎日の暮らしの中では、胸式の“浅い”呼吸になりがちなところを、

腹式の“深い”呼吸に意識して取り組んでみましょう、というものです。

腹式呼吸では1度の呼吸で取り入れられる酸素は、胸式呼吸の3倍以上です。

腹式呼吸で血液の循環を高めたり全身の血行を高めることができたり、

自律神経のバランスが整える作用があります。

ゆっくりした呼吸は不安を軽減したりリラックス状態につながり、

息を長く吐いていくことで、怒りや時間の切迫感、焦燥感の軽減につながると言われています。

 

それでは、一度やってみましょう。

まず、ゆったりとした姿勢で 座ってみましょう。

ベルトなど身体を締め付けるものについては緩めておいてください。

軽く目をつぶり、呼吸に目を向けてみます。

今、肺にある息をゆっくり吐き切りましょう。ここで「吐き切って」から始めることがとても大切です。

吐き出せたら、鼻から静かに吸っていきます。

「1・2・3」と心の中でカウントしながら鼻から吸って

「4」で吸うのを止め、「5」からは口からゆっくり長く吐いていきます。

「5・6・7・ 8・9・10」と心の中でゆっくりゆっくりカウントしながら、

“スーーーーーーーーーーーーーッ”と吐いていき、「10」で息を吐ききるようにします。

吐ききれたら、また「1」から息を吸って繰り返していきます。

このやり方で1分~3分ほど続けてみてください。

終わるときは、手を“握って開いて”を数回、力を入れて行ってから

ゆっくり目をあけましょう。

 

このブログを書くにあたって私も試してみましたが、

全身が温かくなってきましたよ。

血行促進にも、体温上昇にも、リラックスにも役に立つかと思いますので

よかったら試してみてください。

 

 

 


それぞれの人生のタイミング。

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40歳くらいになって通院を始められると、

「もっと早くから治療しておけばよかった」と思うかもしれません。

きっとみなさん“年齢が高くなると妊娠しにくくなる”ことはご存知だとは思いますが、

実際のところ“どれくらい難しいものなのか”ということは、

治療を始めてみて実感されるものかな、と思います。

 

「もっと早く結婚すればよかった」

「もっと早く妊娠のこと考えればよかった」

「もっと早く旦那を説得すればよかった」

結果が出ないと、そういった気持ちが出てきたりしますよね。

中には、周りのご家族などからも

「もっと早く結婚したらよかったのに」

「どうせ病院行くんだったらすぐ行っといたらよかったのに」

なんて、言われてしまう方もおられて、

悲しい気持ちになることもあるようです。

 

もちろん、統計的には若い方が妊娠しやすいものですので、

“妊娠を考えるのなら早い方がいい”というのはホントです。

ただ、“結婚相手は誰でもいい”わけでもないですし、

結婚するタイミングやお仕事との兼ね合いもあるでしょうし、

子どもを育てていくことを現実的に考えられるかどうかや、

旦那さん/奥さんと気持ちが揃うかどうかなど、

これまでのことやこれからのこと、いろいろが噛み合ったタイミングが

それぞれの妊娠を考えるタイミングなのだなあ、と思っています。

いろんなことを周りから言われるかもしれませんが

ご夫婦のこのタイミングについてはこのタイミングしかないですものね。

 

妊娠を考える時期が来た今をご自分たちがどんなふうに過ごしていかれるのか、

驚いたり、衝撃を受けたり、本気で取り組もうと頑張ったり、迷ったり、ホッとしたり、

“授かれないかもしれない”と身に迫って感じたり、旦那さんと大げんかしたり、

治療している人に出会って心強かったり、ただただ泣けて仕方がなかったり、

“授かるときを信じよう”と思い直したり、自分たちの卵をみて生命を感じたり、

いろんな瞬間があることでしょう。

また、どんな瞬間があってどんなことを思ったり感じたりされたのか、

聴かせてもらえたらうれしいです。

 

 

 


自分の“答え”を探す、ということ。

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臨床心理士の学会に行ってきました。

臨床心理士は、精神科や心療内科はもちろん、緩和ケアや周産期医療、一般企業、

学生相談室、スクールカウンセラー、子どもの発達相談、矯正施設、児童施設、

老人介護施設、カウンセリング機関などなど、いろんな現場で働いています。

それぞれが、心理療法の場で、どんな出会いがあってどんな関わりをしていって

どんなふうなプロセスを歩んでいったか、ということを共に省りみたり、

研究結果を報告したりする場となっています。

 

発表を聴いていて、ものすごく当たり前ですがものすごく大事なことを改めて思いました。

ちょっと変なことを言いますが、「そっか、魔法って使えないんだな。」ってことです。

「魔法って使えないんだ」というより「現実の世界でできることでやっていくしかないんだ」ですかね。

臨床心理士と会うことになったときって、

多くの場合“困ったことや悲しいことなど、何か相談したいことがあったとき”なんですよね。

そして、“どうしたら解決するのかわからないこと”であったり、

“もう取り戻せないこと”であったりするわけです。

「どうしたらよくなりますか?」「どうしたら解決しますか?」

そういった難しい問いを持って来られます。

 

けれど、臨床心理士も、そういった悩みや疑問を解決する答えを知っているわけではありません。

例えば、「どうしたら私は妊娠しますか?」、「どうして私は妊娠しないんですか?」という問いに

「こうしたら妊娠しますよ」、「こういう理由で妊娠しませんよ」といった答えは、

残念ながら持っていません。

というか、そういった答えは存在しないんだなあ、と思いました。

もちろん、医学的に「こういうところが影響していそうだからこれを治しましょう」といったことは、

医師からお伝えできることもあるかと思います。

ただ、「どうして私は妊娠しないのだろう」という「どうして私は~なのか」という問いへの

問いの持ち主が納得されるような決まった答えというのはありません。

臨床心理士は、その人が、その問いとどのようにつきあっていかれるのか、

心と現実との間の折り合いをつけていかれるのか、というところを、

一緒に話したりする中でその方のペースでしっくりくるかたちになっていくまで、共に過ごしていきます。

そういったプロセスで問いへの答えを一緒に探していくのですが、

その答えは問いへの直接的な答えじゃないかもしれないということも含めて、

“その人の答えのかたち”を一緒に探していくことが、

臨床心理士の関わり方の一つなんだなあと思いました。

そんなようなことをされている発表をたくさん聴いてよい刺激を受けて帰ってきました。

人生いろんなことがありますし、思い通りにならないこともあります。

どんな状況であっても、心に対して真摯でありたいと思っています。

 

 

 


病院に対する信頼感のこと。

 

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先日、歯科医院に行きました。

初めていく歯科医院でした。

最初に問診票の記入を促されて、受診目的や症状、要望などを書きました。

 

診察室に歯科衛生士さんが入ってきて、「まずは歯の状態の検査をします」と言われ、

歯周病の検査や口腔内の状況をチェックする写真撮影が始まりました。

そこで歯肉炎を指摘されて、歯ブラシのあて方指導が始まりました。

ところで、私の受診目的は「歯のクリーニング」でした。

「もし何か悪い部分があってもまた後日治療をするから

とりあえずクリーニングだけしておきたい」という気持ちがありました。

問診票の「受診目的だけの治療を希望」にもチェックを入れていました。

なのに、受診目的を確認されることもなく検査が始まり、

歯肉炎の指摘があり、定期的な受診をすすめられました。

 

対応してくださった歯科衛生士さんは歯についての専門的な知識をお持ちですし

初診の方の歯の状態をチェックし現状を把握することは当然の流れなのかもしれません。

ただその時の私にとっては、“今日は置いておいてもらっていいこと”であって、

受診目的以外の検査を料金などの説明もなくされることにも不安があり、

継続しての受診をすすめられてしまって、もやもやしていました。

 

そこで、思い切って、

「すいません。歯のクリーニングに来たんですが。」と伝えると、

「はい、今からしますからね~」とおっしゃいました。

ちょっと不安だったので、更に

「あの、前歯の黒ずみが気になっていて、それで今日は来たんです」と言うと、

「え?そうだったの~??これは詰め物が浮いてきてるから治療しないと無理かも。

でも、できるところは削ってみましょうか?」と、器具を取りに行ってくださいました。

心の中で「問診票書いたんだから、読んでから対応してよ~!」と思いました。

結果的に、受診目的の歯の黒ずみは、やはり詰め物が古くなっていることが原因で、

詰め物を詰め替えないときれいにはならないとのことでしたが、

歯科衛生士さんが削ってくださったので、鏡をみたら少しマシになっていました。

これで、ようやく、私の胸はスッとしました。

それから再度、「歯肉炎を治して元気な歯茎にして、歯を治療していかないといけないので、

歯ブラシ頑張ってもう一回来月みせてくれる?」と言われました。

受診目的を達成した私は、歯科衛生士さんが言ったことを聴き入れるゆとりができていました。

「あと、何か気になることある?」と聞かれたので

問診票の最後に書いておいた症状について、たずねました。

問診票は全く読んでもらえてなかったような対応でしたが、

質問できたので「まあ、いっか」と思いました。

そして、その症状について、その方がおすすめされている方法を教えてくださって、

有効とされているマッサージをしてくださいました。

これがとても気持ちよかったし、症状を緩和できるように頑張ろうという気持ちになりました。

 

医師を待つ間、その歯科衛生士さんが

「うちは歯科衛生士それぞれやり方が違って、ベースは一緒ですけどね、

それぞれが“いい”と思うやり方ですすめさせてもらってるんです。

私はとりあえず口の中を触ります。触診が一番大事やと思っているから。

先生も私らのやり方を見守ってくれてますし、

自費診療もやってますけど積極的にすすめているわけではなくて

患者さんの望むことに応えていくっていうのが先生のスタンスなんです。」

とおっしゃっていて、私は、医師とスタッフ間で信頼関係のあるこちらの病院に好感をもちました。

 

長くなりましたが、

通院先に対して不満を感じたり、信頼できたりというのは、歯科医院だけの話ではありませんよね。

私は最初、受診目的に触れられずあちらのやり方ですすめられたことで、不安な気持ちになりました。

けれど受診目的についての治療をしてもらえると気持ちが落ち着き、

目的以外の指摘についても落ち着いて聴き入ることができるようになりました。

更に、確かな技術を提供してくださって、信頼感が芽生えてきました。

「問診票を読んでほしかったなあ」、「最初にちゃんと説明してほしかったなあ」とは思いましたが、

歯科衛生士さんが私のためを思って施術してくださったことや、希望や疑問を伝えることができたこと、

ご自分のやり方に自信を持って提供されていて「仕事への姿勢がいいな」と思ったことから、

トータルすると好感をもちましたし、通院を続けたい歯科医院になりました。

けれども、例えば、私が受診目的を口にしないままだったり、

不満ばかりを溜めてしまってイライラした反応をしてしまったりしていたら、

結果的に“いい病院”という印象にはならなかったのではないか、と思います。

治療についてちゃんとした知識があることや、コミュニケーションがとれるかどうか、

信頼できているかどうかで、受診内容の受けとめ方は大きく変わるなあ、と思いました。

 

 

 


“仕方がない”と受けとめてみる。

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学生の頃は、“仕方がない”というのは、

どちらかというと“あきらめてしまう”ような後ろ向きのイメージがありました。

その頃は、“あきらめること”と“あきらめざるを得ないこと”の違いが分かってなかったのでしょう。

「まだ努力の余地があるのに仕方がないって思うなんて…」と思うこともありましたし、

あきらめることを、“あきらめてしまう”と思っていたのだと思います。

 

心理士になると、いろんな症状や状況に困っている人の話をおうかがいします。

みんな症状を改善したいし、状況を快適にしていきたいのですよね。

本人さんには「なんでこういうことになったのかわからない」ことも多くて、

実際、不運なことが重なってしまっていることもあるのですが、

聴いていると「これはそういう症状が出てもおかしくない状況なんじゃないかな」、

「そういう心の状態になるのも仕方がないんじゃないかな」と思うことがほとんどです。

捉え方を変えてみると、自分の中でものすごく頑張って生きているんだけど

「今のままではしんどいですよ、ちょっと無理してませんか?」っていうサインを

しっかりと自分で出せているってことなのですよね。

そういったときに、「“仕方がない”というのはあきらめることではないのだなあ。

ただ“仕方がない”ということがあるのだなあ、」と実感できるようになりました。

 

草津レディースクリニックで、たくさんの方々に出会いました。

子どもを産んだ友達のお祝いに、子ども連れの友達と行く約束をしているけど

行きたくないと葛藤をしているという話は何度も聴きました。

葛藤と一言で言ってしまいましたがそれぞれ本当にいろいろな想いが渦巻いていて、

例えば、その友達はその方からすると“簡単に”子どもを授かったようにみえたり、

気持ちがしんどくても旦那さんに気を遣わせたくなくて「大丈夫」と言って過ごしていたり、

今まで周りの期待に応えて生きてきたので、「子どもまだ?」がすごく堪えていたり、

暮らしの中で妊婦さんを見たり小さいお子さんを連れている人をみると

気持ちが沈んだりイライラしたりしてしまって、そんな自分が嫌だと仰っていたりしました。

 

その人の想いを聴いていると、

その人は本当に頑張っているわけなんですよね。

周りの期待を感じながらも、身近な人には弱音を吐かずに、

いつも通りの明るくて優しい自分でいようと心がけておられたのです。

当時の私は、その人の状況を想像して、

「(自分の嫌な面が出てしまうことも)仕方がないんじゃないですか、こういう状況ですし」

と言った記憶があります。

すると「あ!仕方がないっていうのが、今すごくしっくりきました。

そうですよね。仕方がないですよね」と、すっきりした顔でおっしゃったんですよね。

 

「仕方がない」というのは、あきらめでもなんでもなくて、

“今の自分を認めてあげる”受け容れ方なんだなあ、と、

そのとき改めて思いました。

そういった受け容れ方が“前向き”なきっかけになることもあるのですよね。

 

みなさんは“仕方がない”という受けとめ方をされることがありますか?

 

 

*内容については、個人が特定されない程度に修正、変更しています。

 

 


妊娠をめぐることがきっかけで変わったこと

花がひらくとき

 

「これまでの人生、結婚までとても順調だったのに、今まで願ったことは全て叶ったのに、

 妊娠だけは思ったようにならなくて、人生初めての壁です。」

という方はけっこうたくさんいらっしゃいます。

 

人生初めての壁。

しかも、妊娠のこと。

今までのことは、努力すればある程度は結果がついてくるものだったのでしょうが、

妊娠は努力をすれば必ず結果が出るものではないですし、

もしかしたら周りには苦労せず妊娠しているように見える友人がいるかもしれませんし、

「なんで治療もしているのに、妊娠できないんだろう」と

思うこともあるかと思います。

 

「人生、まさか、ここでつまづくとは・・・」というお気持ちですよね。

 

こういったことがきっかけで、今まで深くは考えていなかったけど

「幸せってなんだろう」など、ご自身の人生観や価値観まで顧みられるようになることもあって、

例えば、

「もう、すっごく悩んだし、いっぱい試したし、ぐるぐるぐるぐる考えたけど、

 これだけ頑張って妊娠しないのなら仕方ないって思えるようになった。

 人生思ったようにならないこともあるって、本当の意味でわかった。」とか、

「結婚したら子どもができてっていう生活を当たり前に思っていたけど

 これまでの人生も当たり前なことなんてなかったんやと思ったら、

 今までの私は本当に恵まれてたと思う。」とか、

「お母さんに話したら『そんなに大変なんやったらもういいんじゃない?

 あなたたち2人が仲良くやってたらいいやないの』と言われて、ものすごくホッとして大泣きした。

 お母さんがどう思うかが、自分にとってはこんなに大きかったんやって気がついた」とか、

「人生について考えると、今の仕事、条件がよくてやめずに続けてきたけど、

 特にやりがいがあるわけではないし、このままでいいのかなって思って。

 自分の人生って、生活の質を保つためにあるんじゃないんじゃないかな。」とか。

そういったことを思うようになられるまでに体験された苦労や困難を思い浮かべながら

それぞれのかたちで自分のことを考えてみられたお話を聴いていると、

私も一緒に納得したり、じんわりと心に沁みていったり、

こころに詰まっていった石が“コロン”と動いていったような気持ちになったりしています。

 

 

 

 


他人と比べることについて

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「なぜ他人と比較してしまうのだろう、そんな気持ちがなければ楽なのに」と

たくさんの人が悩んだ経験があるのでは、と思います。

人間は、他人と比較する生き物で、どの時代でも私たちの苦しみの一つではないかと思います。

 

ちょっと学問的な話を交えてみますと、比較する背景には次のような目的があります。

①自己評価を行うため

 「自分の考える意見は果たして正しいのか」、「自分の能力はどの程度であるか」など

 自分自身の考えや能力の程度について、はっきり明確にしたい気持ちがあり、

 自分と他者を比較することにより自分の能力の程度や意見の妥当性を評価するための比較。

②自己高揚のため

 自分よりやや優れた人をライバルとし刺激され努力することで、高い技術や能力を身につけたり、

 自分より不幸や不運だと思う人と比較することで、自分の幸福感を感じようとするための比較。

③自己融合のため

 まわりの人間と同じ行動をとるなどして、自分がその集団で適当な行動をとることができるように

   するため、またその集団との関係性を維持するための比較。

 

また、“相手との差を感じたとき”や“落ち込んでいるとき”、

“初対面の人と会ったとき”や“相手の魅力を感じたとき”に他人と比較しやすいという研究もあります。

このように、私たちは多くの場面で比較をして過ごしていて

他人と比較して苦しい想いをすることもある一方で、自分に役立てている部分もあるようです。

 

妊娠についても「周りと比べてしまって」辛い想いや悲しい想いをしているとおうかがいします。

私たちは無意識のうちに他人と比べながら生きてきたわけですから、

子どもがいたり妊娠している人といると自動的に比べてしまうものなのかもしれません。

一方で、「比べなくていいのに」、「他人は他人、自分は自分って強く思えたらいいなあ」

という気持ちが出てきて、比較して苦しかった気持ちを助けてくれることもあるかもしれませんね。

ただ、みなさん全員が「他人は他人って思おう!」と心から思えるものでもないかな、と思います。

 

何をお伝えしたいのかと言うと、

“他人と比べてしまうから悪い”というものではないのですよ、ということです。

そのことが生きる原動力になる方もいらっしゃいます。

ただ、自分がどういった傾向があるのかを知っておくことは、とても大切だと思います。

どれくらい人と比較する傾向があるのか、

比較したあと落ち込みやすいのか頑張ろうとするのか、

どういった事柄について比較しやすいのか、など、

みなさんはどういった傾向がありそうですか。

 

 

 


聞いたらスッキリしそうなこと、ありませんか?

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いろんな事情で当院に転院される方がいらっしゃいます。

診療内容や診療時間、立地、など、転院される理由はさまざまですが、

「説明が不足していた」 「もっといろんな提案をしてほしい」

といったことも多いです。

「私が妊娠したい想い、分かってもらえてないって思った」と

おっしゃる方も少なくありません。

 

数ヶ月の通院で妊娠に至るようならば、気になることがあってもやり過ごせるかもしれませんが

通院が続いていくと不安や不信は募りがちです。

同じように妊娠を希望している他の方はどんな治療をしているのか、

他にどんな検査があるのか、ネットで調べたり誰かに聞いたりした情報と照らし合わせては

「どうして私は薬を使ってもらえないのだろう」、

「なんでもっと『次はこうしてみましょう』と言ってもらえないんだろう」、

と、余計に不信を促進させる方向に考えてしまうこともあるのではないでしょうか。

 

そんなふうに自分の中ではたくさんたくさん考えているのに

“お医者さんの方から治療方法を提案するものだ”とか

“患者側から意見したら失礼なのかな”とか思ってしまうと

診療の状況は変わらずに時間が過ぎて

「あ、もう、ここ通っていてもダメかも」と、転院を決めるという流れになっているように思います。

また気になってはいても「バタバタしていて忙しそうだから質問しにくい」と思って、

断念される方もいらっしゃいます。

 

こういった話を聴いていると、

気になることや不安なことは聞いていくことがすごく大切だなあ、と思うのです。

そして、質問されるときに、「どうして薬使わないのですか?」とか

「他に方法はないのですか?」と言った、ピンポイントの質問よりも、

「卵胞の育ちをみてタイミングとるっていうのが6ヶ月続いて、それでも妊娠しないので、

このままでいいのか不安になってきました。薬を飲んで妊娠したという友達がいるのですが、

私も薬を使ったら妊娠できますか?」とか、

「検査も問題なくてタイミングをあわせているのにどうして妊娠しないのか、と考えてしまって…。

調べてみるとタイミングの次に人工授精があるみたいですが、私にはどうでしょうか?」とか

どういう気持ちになっていてその考えにたどり着いたのか、を伝えると

医師もよりみなさんの気持ちに即した回答をしやすいのではないかと思っています。

 

今、当院に通院中の方で、不安や気になることがあるけれど言いにくいって方がいらっしゃいましたら、

どういったことで気になっていらっしゃるのか、スタッフは知りたいと思っています。

先生とお話できそうならそうしていただけるといいですし

注射や薬の受けとりや説明のときにスタッフと話してもらってもいいですし

カウンセラーのところにきてもらうこともできますし

受付で「もう少し話を聞きたいのですが…」とお声かけくださってもいいですよ。

話しかけるのが苦手な場合は、毎回持ってきてもらっている問診票にお書きいただくと

先生が診察室でお答えくださいます。

解消できる不安はモヤモヤは解消しながら通院してくださいね。


お母さんとの関係は、いかがでしょうか。

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開院してからこれまで、

カウンセリングの内容で一番多いのは妊娠にまつわることやご夫婦のことで

他には、お仕事のことや新生活のこと、ご自身の性格のことなどいろんなことをおうかがいしましたが

時折話題にあがる大切なことの一つに、実のお母さんのことがあります。

 

みなさんは“仲の良いお母さんと娘の関係って理想的!”というイメージを、お持ちでないでしょうか。

きっと多くの方が、優しそうで愛情あふれる家族像を求めるものだと思いますので、

「なんでお母さんに対してやさしい気持ちになれないんだろう…」

「お母さんが期待するようないい娘になれなくて悲しい…」

「お母さんの思うようにしないと、お母さんがさみしい顔をする…」

というように、お母さんとの関係で“実はちょっとひっかかること”があっても

なかなかそう思っているとは言えなかったり、自分を責めてしまったりすることがあります。

誰からみても言動に問題があるようなお母さんならば「しんどい」と言えるかもしれませんが、

“がんばり屋で完璧なお母さん” “たくさん助けてくれるお母さん” 

“家族のために尽くしてきたお母さん” “いつでも一緒に子どもの気持ちになってくれるお母さん”

というようなお母さんだった場合、

“自分は恵まれている” “お母さんは自分のために頑張ってくれている”

“周りからはいつも「いいお母さん」と言われる”と、

いい母と娘の関係だと疑わない場合もありますし、

「『お母さんといるとしんどいなんて』、『お母さんが重たいなんて』、

思っている自分がおかしいのかな」、と、思ってしまうようですね。

 

結婚して新たな生き方を始められ、

物理的にも心理的にも、育った家族とは距離ができ、

お母さんとの間で選んできた生き方も、自分個人の生き方へと成長していきます。

そういったタイミングで

“あれ?実は私、お母さんとの関係でしんどかったんだ”とか

“結婚しても、お母さんの意見に左右されるなあ”

と気付かれることは自然ななりゆきかと思います。

“お母さんを悲しませたくないから”

“お母さんを好きで頼りにしている部分もあるから”

“お母さんを傷つけてしまうと自分もつらいから”と

気づいた気持ちを押し込めて、なんとかうまくお母さんと関わろうと考えたりしますが、

これは自立のタイミングですから、

お互いがある部分では依存し合っていた関係に、さよならする時期かなと思っています。

 

みなさんのお母さんとの関係はどんな感じでしょうか。

適度な距離はありますか?

お母さんが望むようにふるまったりしていませんか?

お母さんをかわいそうに思って、支えてあげたりしてませんか?

誰よりもお母さんに認められたいと思っていませんか?

気付かないうちにお母さんとの関係でたくさんの影響を受けています。

思い当たることがある方、一度、一緒に整理してみませんか。


ビタミンDと妊娠の関係

草津レディースクリニックは、9月で開院9年目を迎えました。

開院当初から、ご夫婦にとって納得いただける治療を

みなさんの状況やお考えなどに心を傾けながら一緒に考えてまいりました。

今後も、みなさんと一緒に歩んでいけるクリニックでありたいと思っています。


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さて、前回、妊娠に良い食べ物のお話をしました。

今回は、妊娠力を高める栄養素として話題の“ビタミンD”についてお話していきます。

ビタミンDは、カルシウムの吸収をサポートし血液中のカルシウムの濃度を一定に保つ働きを

していますが、必要量を摂れていることが妊娠のサポートになることがわかってきました。

ビタミンDと妊娠にどういったかかわりがあるか、みていきましょう。

 

*ビタミンDでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を改善

 ビタミンDはインスリン抵抗性の改善作用があります。

 PCOSはインスリン抵抗性と関連して症状が出ていることがありますので、

 ビタミンDがPCOSを改善させる可能性が検討されています。

 ビタミンDとカルシウムの投与で、インスリンの抵抗性、男性ホルモン値、

 月経周期の乱れ、排卵の改善がみられたという報告もたくさんあります。

 

*血液中のビタミンDと着床率

 海外の研究では、血液中と卵胞液中のビタミンDは互いに影響していて、

 ビタミンD濃度が高いと妊娠率が上がるという報告があります。

 また、習慣性流産の方のビタミンD濃度が低いという報告もあります。

 ビタミンD濃度が低下すると、流産の要因の一つとされている

 “抗リン脂質抗体” “NK活性” “抗核抗体” “抗DNA抗体”の数値が上昇するそうです。

 

*ビタミンD濃度とAMHの関係

 40歳以上の女性では、ビタミンDの濃度が低いと、AMHの値も低くなることが分かっています。

 ビタミンDは日光と関係しているため、夏は血液中のビタミンD濃度が高く、

 冬は低くなるという特徴があります。

 AMHもビタミンDと同じような季節性の変化があるので、

 AMHの値が低くなる冬にビタミンDを食事で摂ると、その変動がなくなったという報告があります。

 別の実験では、ビタミンDによってAMHの値が増加することが報告されています。

 

こういった報告を知っていくと、ビタミンDを摂りたい!と思いませんか?

ビタミンDを含む食品には、鮭、カツオ、しらす干し、鶏卵、キクラゲなどがあります。

そして、ビタミンDは皮膚が日光を浴びることによっても生成されます。

でも、女性としては、紫外線対策として日焼け止めや日傘の使用を止めるのは勇気がいりますよね。

肌へのダメージも心配ですし、足りない分はサプリやビタミンD含有の卵などで補う方法もあります。

ただ、ビタミンDは脂溶性ビタミンで、過剰に摂取した分を自然に排出はできません。

摂りすぎには注意が必要です。(目安量5.5μg/日 耐用上限量100.0μg/日 *成人女性の場合)

ビタミンDの濃度が気になる方は、まず血液検査で測定されることをおすすめします。

足りていないようであれば、必要量が摂れるように工夫をしていきましょう。

ビタミンDの血液検査は当院で行っていますので、お声かけくださいね。


「妊娠によい食べ物は何ですか?」

8月が終わろうとしています。

夏の終わり、のような空気を感じるときもありますが、

まだまだ残暑が厳しい毎日です。

体調には引き続きお気をつけてお過ごしくださいね。


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「妊娠のために心がけられることは何かな」と、

たくさんの方が気にされているかと思います。

 

できるだけインスタント食品は避けるようにしている、とか

ストレスをためないようにしている、とか

運動不足なので駅まで歩くようにしている、とか

健康な身体でいるために工夫されていることがあるかもしれませんね。

 

「妊娠に良い食べ物は何ですか?」とよくご質問いただいていて、

できるだけ良いものを摂りたいという気持ち、とても伝わっています。

食べ物に関しては、それぞれに大切な栄養素を備えているものですので

何かの食べ物が特別妊娠に良いということではなくて、

基本的には、必要な栄養素が不足しないように

いろんな食材を万遍なく食べていただくことがいいかと思います。

健康な身体つくりに必要な栄養素は

“炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル”です。

まずは、それぞれの栄養素をバランス良く摂れるように心がけてみましょう。

 

栄養素はたくさん種類がありますし

どの栄養素が何の働きをしてくれているのか、知りたい方がいらっしゃるかもしれませんので

妊娠の力になってくれるおもな栄養素とその働きを記しておきますね。

 

*たんぱく質(肉・魚・卵)…皮膚・血管・筋肉などの身体の土台、質の良い卵子の生成

*鉄(レバー・あさり)…血液中のヘモグロビンをつくる

*ビタミンE(かぼちゃ・アボカド・ナッツ類)…抗酸化作用、卵子の若返り、血流・ホルモンの働きをうながす

*亜鉛(カキ・ホタテ)…男性ホルモンを合成し、精子数や運動性を高める

*葉酸(ほうれん草・レバー)…赤ちゃんの健全な発育を助ける

*カルシウム(牛乳・チーズ・小魚)…精神を安定させる 

 など…

 

毎日時間に追われつつ料理をされている方も多いですよね。

栄養素をもれなく摂ることも大切なことですが

そのことに一生懸命になり過ぎてしまうと生活に差し支えてしまうかもしれません。

生活はトータルのバランスが大切ですから頑張りすぎないで、

まずは間違った努力をしない(必要以上のダイエットや偏った食事など)ように、

そして、たくさんの種類の栄養素を摂れるように“ちょっと心がけてみる”くらいから

考えてみられてはいかがでしょうか。


お腹の赤ちゃんがいなくなって。

ドラマの“コード・ブルー”で、登場人物の1人が流産になるシーンがありました。

 

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流産を体験された方は

ご自分の体験と重ね合わせてご覧になられていたのでは…と思います。

妊娠がわかってからは、

宿ってくれた命への愛おしさが芽生えていったり

「お母さんなんだな」と少しずつ実感したり

つわりがひどくても我が子のためなら、と、我慢できたり

生まれてからのことをたくさん想像したり

いろんな想いがいっぱいいっぱい詰まった時間だったことでしょう。

 

赤ちゃんがいなくなってから、時間が経つ中で、

「また妊娠できる!きっと大丈夫!」と気持ちを強くもてるときが出てきたり、

「宿ってくれた命に変わりはないのに…」 「育ててあげたかった…」 

「あのとき、こうしなければよかった…」と、悲しさがやってくることもあって、

そういった気持ちの波が寄せては返し、日々を過ごされているかと思います。

 

旦那さんのつらさや悲しさ、奥さんのつらさや悲しさ、にもそれぞれのものがあって、

それぞれの気持ちはその人にしか分からないものかと思います。

きっとお互い相手を思って言わないでいる気持ちもあるでしょう。

ただ、お互いに相手のことが大切だから、少しでも悲しみや痛みを和らげたいから、

傍にいたり、一緒にご飯を食べて他愛もない話をしたり、

そうやって伝わってくる温もりややさしさに救われたりと、

そういった時間を過ごしていくなかで、癒えていく心があるのかなと思っています。

 

ご夫婦の未来へ、お二人の一歩を踏み出されることを願っています。


葉酸は十分摂れていますか?

「葉酸を摂ってますか?」とおうかがいすると、たくさんの方が「はい」とお返事くださるので、

みなさんしっかり調べたり知識を得たりされているのだなあ、と安心しています。

葉酸は妊娠を希望する1ヶ月以上前から

食生活から得られる葉酸量+葉酸サプリメントから400μg(0.4mg)/日

を摂取するように厚生労働省も呼びかけているのです。

葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぐ効果があるのですが、

なぜ妊娠前からの摂取が推奨されているのかというと、

神経管閉鎖障害は、妊娠直後から7週未満に発症する可能性が高いからです。

また、葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぐためだけに必要なのではなく、

造血、細胞分裂やDNAの合成に使われているので、とても大切なビタミンです。

厚生労働省がサプリメントでの摂取を呼びかけているのは、

葉酸は食事からでは必要十分量の摂取が難しいビタミンで不足しがちになるからです。

 

当院で置いているサプリメント“pregna ベーシック”にも必要量の葉酸が含まれています。

“pregnaベーシック”は、他にも健康を維持するために必須のビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

サプリメントを積極的に摂る意向はないという方には手を出しにくいところもあったかもしれませんよね。

この度新しく、“ビーンスタークマム”という葉酸サプリメントも置くようにしました。

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1粒に葉酸400μgと、鉄13mg(妊娠初期に必要な鉄量)と、ビタミンB群が含まれていて、

“pregnaベーシック”よりもお値段的にも手軽に摂っていただけるサプリメントです。

 

そしてこのサプリメントのいいところは、食べられるところです。

お湯や水で薬のように飲むのではなく、タブレットなので美味しく食べられます。

そういった気軽さや美味しさが、スタッフの中でも好評です。

診察室の扉の横にサプリメントの紹介コーナーがありますので、

まだ葉酸を摂っていらっしゃらない方、検討してみませんか?

 

一つだけ気をつけていただきたいことがあります。

葉酸の1日摂取量は1000μg(1mg)までとされています。

今現在、“pregnaベーシック”などで必要量の葉酸を摂っておられる方は、それで十分です。

食事からバランスよく十分な栄養素を摂れている方は、“ビーンスタークマム”の葉酸サプリメントで、

食事から十分栄養素を摂れているかどうか不安な方は“pregnaベーシック”で、

健康で妊娠に安心な身体の状態を保つサポートをしていきましょう。

 

サプリメントは足りていない栄養素を補助するものです。

健康な身体は、基本的には、健康的な生活習慣からつくられます。

新鮮ないろんな食材で彩られた食卓をできれば誰かと共にして、笑って楽しい時間を過ごし、

ゆっくりお風呂に浸かって、できるだけ早めにぐっすり眠りましょう。


帰省の予定に緊張しませんか?

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8月に入りました。

夏休みと年末年始は、親族で集まる機会がある方が多く

帰省予定に気が重くなっておられる方もいらっしゃるかと思います。

帰省先で直接「子ども早くつくらないとね」などと言われてしまう場合もあるでしょうし、

親族が妊娠していたり小さいお子さんをお持ちのこともるでしょうし、

きっと「帰省までに妊娠して報告したい!」と思っておられた方がほとんどでしょう。

 

妊娠のことを尋ねられても気負わずに流せる方もおられるかもしれませんが、

お子さんがいる他の家族と空間を共にして苦しい気持ちになることもあるでしょう。

せっかくのおやすみ、せっかくの帰省ですが、

こころが緊張してしまっては残念です。

自分の気持ちがどうやっても傷ついてしまうような状況だったら、

帰省を取りやめてもいいんじゃないかな、と思います。

今回は無理に帰省しなくても、帰省しようと思えるときに帰省すればいいと思いますよ。

 

妊娠のことに触れられそうなことを避けたいだけで

帰省自体が嫌というわけではないという方は、

何か聞かれたときの返答をいくつか用意していくと落ち着いて答えられるかもしれませんね。

言われたことを受け流すパターンもあるでしょうし、

“妊娠できたら嬉しいなとは思っているのでそっと見守ってくれますか”

“病院で検査だけ受けてみようと思っているんです。報告できるときが来たらいいですね”

と、やんわり伝えてみるのも一つですし、

“子どもは欲しいとは思っているんで、周りが妊娠していくとプレッシャーに感じるんですよね”

と言えると、今後は気を遣ってもらえるかもしれません。

きっと触れてくるのは“実際どういう状況なのか分からないから知りたい”気持ちからだと思います。

どういった対応をするのがいいのかは、

みなさんや相手の性格、価値観、そして関係性によるので、

どういったパターンをとってみるのが適していそうか、想像してみてくださいね。

 

そしてなによりも、あなたのせいではないので、堂々としていてください。

たとえ、何か妊娠しにくいような状態が身体に起こっているのだとしても

それはあなたのせいではありません。

申し訳なく思う気持ちがあるかもしれませんが、堂々としていてほしいと思います。


子どもを授かることについて

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先週、NHKの“あさイチ”で卵子提供の特集がありました。

ご覧になられた方いらっしゃいますか?

日本では卵子提供は行っていないので、

今回は台湾での卵子提供が紹介されていました。

 

治療していて“現状では妊娠していくのは難しそう”という状況だと

「卵子提供で子どもを授かれるなら受けたいな」と迷う気持ちが

出てくることがあるかもしれませんね。

子どもを授かって育てたいという願いが叶うことになったらそれは嬉しいでしょう。

ただ、同時に、子どもさんの出自を巡る事実についてどうしていくのか、

また子どもさんがそのことをどう受けとめていくのか、

そういったこともずっと向き合っていくことになりますし、

夫(妻)の立場や子どもの立場になって考えたりすると

どの選択がいいのか本当に迷いますし、決めることがむずかしいなあ、と思います。

 

自分たちの子どもを授かりたいから自分たちの力で治療をして

もし授からなければそれはそれとして受けとめてご夫婦で生きていかれる方、

絶対に子育てをしていきたいから養子縁組を考えられる方、

また、できるだけ血の繋がりを残そうと精子提供や卵子提供を受けられる方、

“子どもを授かること”についての考え方は、いろいろです。

 

ただ、卵子提供をしている医師が、

「子どもがいる家庭というのは温かいものです」とおっしゃってましたが、

私は、家庭の温かさは、子どもがいてもいなくても、その家族から生み出されるものだと思っています。

他人の価値観は他人のものとして置いておいて、

ご夫婦がどうしたいか、ご夫婦の価値観にあった選択を自信をもってしてくださいね。


子どもを望むようになるタイミングと年齢と。

毎年、祇園祭の頃は、梅雨明け前の大雨が降ります。

今年は全国各地、局地的な豪雨に見舞われていますね。

私たちは自然の中で生きていますが、

自然には美しい面も非常に厳しい側面もどちらもあることが改めて身に沁みます。

 

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年齢が上がるにつれて妊娠が難しくなることはご存知かと思いますが、

40歳以上で出産された方が周りにおられるかもしれませんし、

「確率が下がるだけでできないことはないんじゃないかな?」

「体外受精をしたら授かるんじゃないかな?」

と思ってらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「治療はじめるには遅いって分かっているんですけど…」と

遠慮がちに来られる40代の方もおられます。

 

40代になると無事に出産に至る確率は大きく下がります。

医学的には35歳を過ぎれば高齢出産ですし、流産率も上がってきます。

ですので、子どもがいる人生が第1目的なのであれば、

早めに行動された方がその願いが叶う確率は高くなるかと思います。

 

ただ、

「子どものことを考えてはいたけどこんなに妊娠しにくいとは思ってなかった」

と実感するまでに時間が必要であったり、

状況や心の在り様との兼ね合いもありますし、

これまでいろんなことがあって、いろんなことを考えての“今”だと思います。

「子どものこと、真剣に取り組んでみよう」、「後悔したくないし妊娠のために動こう」

と、ご自分の“タイミング”が来て、行動されるようになるものかもしれませんね。

 

「今からでも遅くないですか?」と心配になる気持ちは想像できますが、

「子どももちたいな」という思いが強くなったのが“今”だったのだとしたら、

今、どういう状態かを知って、どういうことができそうか、一緒に考えてみませんか。

ご夫婦が「子どもをもちたい」思いと一緒にどんなふうに歩まれたかということも

人生にとってとても大切な時間だと思っています。


お手紙、ありがとうございます。

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時折、お手紙をいただくことがあります。

 

お手紙にはだいたい、治療の経過や気持ちの変化などを書いてくださっていて、

加えて、私(臨床心理士)と話したときのこと、そのときの気持ちのこと、

それからどんなことを思ったり感じたりされていたか、ということを伝えてくださいます。

 

お話を聴いていて

「あ、ちょっとスッキリされたんじゃないかな」と思うときはあります。

引っかかっておられたであろうことをパッと言葉にされたり

もやもやされていた葛藤が整理されたのだろうなというとき、

みなさんの雰囲気が変わったりするのでそう思います。

けれど、その体験をみなさんがどんなふうに受けとめておられるかは

みなさんの中でしかわからないことなので、

こうやって改めて伝えてくださることで、

「この方にとってはこういった体験だったんだな」と

私はわかることができます。

 

出来事や思ったこと、感じたことを、思うがまま話したとき、

相手が自分の心情に沿って話をきいてくれたとき、

心が動いて、時には悲しいわけでなくても涙が出たりするものです。

私も時には、“話す側”になることがあります。

私にとってそういった時間は、毎日の暮らしの中で、

無意識のうちにコントロールしたり気付かないふりをしてしまって縮こまってしまった心が、

本来の状態に戻って自分と繋がりなおす時間になっています。

 

お手紙ありがとうございました。

自分の心は大切な一部です。

心を大切にしたり、心の働きかけをキャッチしていくことで、

より自分らしく生きていけると思っています。

自分らしく生きていくことを楽しみだと思うことができるって最高ですよね。

よりあなたらしく生きていかれるこれからを私も楽しみにしています。


下半期のスタートです

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6月は、「今月中に妊娠したら学年が間に合いそう!」という声をちらほら聴きました。

“6月までに妊娠したら3月中に生まれるかも!”ということだったのですね。

お友達や親族が妊娠されていたら、同級生になるかもしれませんし、

お2人目さんを希望されている方でお1人目さんとの学年差を気にされる方もおられますし、

「できたら今月中に!」と願っておられたのかと思います。

そういった背景はなくとも「できるだけ早く」という気持ちはずっとあるものでしょうしね。

 

お誕生日、年末、年度末やこのような“区切り”になるような時期は

いつもよりもちょっと「妊娠したい」気持ちが強くなるように思います。

妊娠を望んでいる日々のことをみなさん

「いつがゴールかわからない」 

「いつまでこの生活が続くかわからない」とよく仰いますし、

「できたらここまでには妊娠したい」と“区切り”を意識されるのではないでしょうか。

 

なかなか終わりが見えなくても、

「検査が終わった」、「旦那さんが治療に協力してくれるようになった」、

「体外受精にすすんだ」、「やっと移植ができた」などの変化があると、

“前に進んでいる”感じがして、少し清々しく感じられるときもあるかと思います。

「毎周期同じこと繰り返してるだけだな」と思えてしまうようなときもあるかもしれませんが、

“妊娠の可能性を高めるために、毎周期続けている”ということ自体がとても大変で尊いことです。

これまでを振り返ってみられて

“できるようになったこと”や“妊娠のために続けていること”といった変化や頑張りを実感しながら

下半期もご自分たちのペースですすんでいってください。

 

 


親が「子どもまだか?」ときいてきます。

梅雨入りしてからしばらくはお天気がよくて

「雨が降らなくてもいいのかな」と思っていましたが、

夏至の昨日は大雨で、来院された方は本当に大変だったと思います。

もうしばらく雨が降る日が多くなりそうですが、

季節感を楽しみながら過ごしていきたいですね。

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妊娠したい理由の1つに

“親が待っているから”もあるようですね。

親御さんと話す度に「子どもはまだなん?」とか、「○○ちゃん、子ども生まれたよ」と言われるから

「親からのプレッシャーから解放されたい!早く親を喜ばせたい!」と

親御さんの気持ちも気にされている方が多いです。

 

ところが、そういったことを気にしている方が多い割りに、

「気にしてるから言わないで」と伝えている方は少ない印象です。

多くの場合「授かりものだから」「もう少し2人の時間を楽しみたいから」と、なんとなく流したり、

それとなく話題を変えることで「気にしていることに気付いてもらいたい!」と

と願っておられるように思います。

 

そういった話をみなさんから聴いていると、

親御さんたちがみなさんの気持ちをどれだけ思い巡らしておられるのかはわかりませんが、

私には、親御さんが願望や価値観を押し付けているかのように聞こえてしまいます。

言われている方は毎回ドキドキ、ズキズキするわけで、

親御さんが、みなさんの気持ちを思い巡らすよりも自分の思いを伝えることに一生懸命だと、

重たく感じることもあるのではないでしょうか。

 

親御さんたちは

みなさんがどんなふうに思っておられるか分からないこともあって、

ついつい言っちゃうところもあるのではとも思います。

「分からないから知りたくて聞いてくるんだろうな」、とは

みなさんも想像されているのではないでしょうか。

なので、もしかしたら、状況や自分の思いを伝えれば、

親からのプレッシャーは軽減される場合もあるかもしれません。

とはいえ、「親を心配させたり悲しい気持ちにさせたくないな」とか

「治療に通っているって言ったら余計に期待されそうだな」といった

親御さんに対しての気遣いもあるでしょうから、

「もうちょっと経っても妊娠しなかったら伝えよう」と思ったり、

「そういうことは聞かないで、とは言えないな」と思う方もたくさんいらっしゃるのかな、

とは想像しています。

 

周りの人たちが何も言わずに見守ってくださっていたらどんなに楽でしょう、と

心底思っています。


サプリメントの効用

今年は例年よりも早く、そしてたくさんのホタルを見ました。

みなさんも、ホタル、ご覧になられましたか?

 

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「サプリメントを飲んだほうが妊娠しやすいんじゃないかな」

「サプリメントを飲んで妊娠できるんだったら飲みたいな」

と思ったことはありませんか?

 

ご存知の方も多いとは思うのですが、

サプリメントは“栄養補助食品”ですので、足りていない栄養素を補うものであって、

残念ながら“妊娠率が上がる薬”ではないのです。

 

栄養素は、基本的に食事や生活の中で得たり失ったりするものなので

食事や生活を見直すことができたら必要な栄養素を得ることができます。

けれども、食事や生活を見直すといっても難しいこともありますし、

自分に何の栄養素がどれだけ足りていないのかよく分からないこともあるでしょうから

健康的に妊娠していくために身体の状態をバランスよく整えておくため手段の一つとして

サプリメントで栄養素を補うことができます。

 

ただ、葉酸は食事だけでは十分に取れないこともあるので、

1日0.4mgをサプリメントからも取るように言われています。

これは、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(二分脊椎など)のリスクを減らすためです。

赤ちゃんの中枢神経系は妊娠初期にできていくので

妊娠1ヶ月以上前から必要量の葉酸をサプリメントからも取っておきましょう。

 

さて、どのサプリメントがいいのか分からないから教えてほしいと思う人も

たくさんいらっしゃると思います。

当院では

ビタミン群、ミネラル、鉄、葉酸を含んだ健康を維持するためのサプリ

抗酸化作用に特化したサプリ、

男性側の機能向上や血流改善に特化したサプリを置いています。

 

栄養素のことを考えると

「妊娠にいい生活習慣にしよう!」と

食生活や毎日の暮らし方を見直してみたくなりませんか?

そういった心がけは心身によい働きかけになると思いますし、

そうやって頑張っている自分を好きになれるかもしれません。

ただ、頑張りやさんは、

「これを毎日食べなきゃいけない!」 「これは絶対食べちゃだめ」など

気がついたらものすごくストイックな暮らしになってしまうこともあります。

こころのゆとりを無くさないように

無理がなく自分にあったかたちで健やかに過ごしてくださいね。


内診で気になること

 

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内診は何度受けても、いろいろ気になるものだと思います。

先生に気になることを相談される方もいらっしゃるようですね。

誰かが気にしておられることは

他にも気にしている方がいらっしゃるかと思いますので

相談があった内容と先生の回答をこちらにのせておきます。

よかったら、今後の参考にしてみてください。

 

☆生理中の内診で、出血量が多くて心配なのですが、大丈夫ですか?☆

 生理中ですので、出血量が多いこともあります。

 内診台のシートなどは、血がついてもかまいませんので、お気になさらないでくださいね。

 

☆内診中に咳で身体が動いてしまって、差し支えないか気になっています☆

 咳で身体が動いてしまうことを気にされているようでしたら、

 内診のときに飴を舐めていただくことで、咳は治まることがありますよ。

 

☆尿が出てしまったら…☆

 心配な気持ちや、気にしてくださる気持ちはとてもよくわかります。

 尿漏れは不可抗力ですし、こちらは全く気になりませんので、

 どうかお気になさらないでくださいね。

 

☆内診のとき、靴を脱ぐので、足のにおいが気になります☆

 仕事帰りなど、1日過ごして来院されるときは特に気になさるかもしれませんね。

 もしお手間でなければ、内診用に靴下をお持ちいただくと、

 みなさんの気がかりもなくなるのではないでしょうか。

 

また、内診からははなれますが、

次の2つもみなさんにお伝えしておきたいということでした。

 

☆おしりを拭くときの注意☆

 ご存知かとは思いますが、おしりを拭くときは“前方から後方へ”拭いてくださいね。

 おしりから前へ拭くと、膣内に大腸菌が入ってしまうことがあります。

 

☆妊娠後の基礎体温について☆

 妊娠なさったみなさんは、いつまで体温を計るのか気にされているかと思います。

 内診で“胎のう”が確認できたら、基礎体温は卒業です!

 おめでとうございます。

 

みなさんが気にされていることは、先生やスタッフにとっては気にならないことが多いです。

基本的には気にしすぎないようにしてください。

もし、何かみなさんの方で工夫をしていただくことで、少しでも気がかりが緩和されるのなら、

気持ちの負担が少なくなるのでいいなあとも思います。

みなさんが楽な気持ちで通院できるように、

“気にしすぎない”や“ちょっと工夫して安心する”など

自分に合ったスタイルで臨んでいただければと思っています。


体外受精をしてみるか、迷われていますか?

最近、急に夏日が続くようになりました。

身体、ぼちぼち慣らしていきましょうね。

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人工授精にすすんでも妊娠に至らなかったり

身体の状態や年齢の要因などから

体外受精を勧められることがあるかと思います。

 

体外受精というと

注射をたくさん打たないといけないイメージがあったり

手術をするという感覚があったり

妊娠していくのではなく妊娠させていく感じがしたりなど

いろいろと想像をされる場合がありますが、

待合室におられるみなさんのだいたい4割強の方が体外受精中の方々です。

最初は未体験の治療に対する不安がおありの場合もありますが

たくさんの方が妊娠という願いに向かって体外受精を受けておられます。

そして、念願叶って無事妊娠、卒業されていかれる方がたくさんおられます。

 

体外受精は必ずしも注射をたくさん打つわけではありませんし、

採卵の日と移植日に仕事を休めたらいいので仕事も続けながらされている方がたくさんおられます。

体外受精を考えたときに、具体的にわからなかったりネットなどの情報で頭がいっぱいになったりで

不安や胸のひっかかりがあるかもしれませんが、

そういったことは遠慮なく医師やスタッフに

「みなさんどうされているんですか?」

「私はこうだったら不安なのですが、それでも体外受精できますか?」

など、質問してください。

体外受精は妊娠の確率が一番高い治療法ですので、

「子どもがほしい」という願いを叶えていくには

とても心強い方法なのではないでしょうか。


妊娠菌は、ありません。

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“妊娠菌詐欺”のニュースを見ました。

「女性が妊娠しやすくなる『妊娠菌』がついている」と称した白米が

インターネットで売買されていることが分かったそうです。

腹立たしく思ったのはもちろんなのですが、

“妊娠菌”という言葉が当たり前のようにニュースで使われていることに

とても驚きました。

妊娠菌は“妊娠している人の近くにいると妊娠しやすい”という意味合いで使われていて

“妊娠菌がついている”という絵なんかもネットで売買されているようですね。

そういったものの中には、本当に妊娠されている人からの出品もあるのかもしれませんが、

本当に妊娠されている人のものであろうとなかろうと

ニュースでも「妊娠菌感染には医学的な根拠はありません」と伝えられてましたし、

そもそも医学的に妊娠菌の研究はされていないようです。

「周りに生理になっている人が多いと生理が来る」なんてことも言ったりしますが、

そういったものに根拠はありません。

 

「これで妊娠できる可能性があがるのなら…」と思って買った方も

“お守り”程度の軽い気持ちで買った方もいらっしゃるでしょうが、

きっとみなさん

“冷静に考えたらそんな菌が存在するわけないことはわかっているけど

それでも買ってしまった、買わざるを得ない心の状態だった”のかな、と

想像しています。

 

妊娠したい切実な思いを

こんな形で利用してくる良からぬ人がいるようです。

妊娠のために、やれるだけのことをしたい気持ちもすごく分かります。

妊娠の可能性があがるような口コミや宣伝文句に心が奪われそうになる時もあるでしょう。

そんなときには、こんなふうに想像をしてみてください。

―あなたの友人が妊娠を望んでいて、あなたに、

「この間、ネットで『妊娠菌がついている絵』が売ってて買ったの!

 妊娠している人が描いた絵もってると妊娠するんやって。

これでほんとに妊娠したって口コミがたくさん載ってたの!

私もこれで妊娠できるといいな。」

と、話した。―

さて、どんなふうに思いますか?

こうやって客観的に状況をみてみると

少し冷静さを取り戻すことができるのではないかな、と思っています。


妊娠を思いながらの歩み。


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当院では、最初の1~2周期の間に

基本的な検査は終えられるようなスケジュールを紹介しています。

そして、何も問題がなければタイミングからすすめていきますが

しばらくタイミングで妊娠に至らないようであれば、

人工授精、そして体外受精をご案内しています。

転院されて当院へこられた方や

できるだけ効率よく診てもらいたいと思っておられる方は

こういった流れに大きく戸惑われることは少ないようですが、

「ちょっと診てもらおう」という感じで来られた方は

「いやあ、それは、、、まだいいんじゃない?」と思うこともあるみたいです。

 

妊娠率は年齢と関係があるものですし、

後から「もっと早くにしておけばよかったな」と

過ごした時間を「無駄だった」と感じる方もいるので、

できるだけそういった思いをされないように

当院ではこのような方針にしております。

 

「今こう思っているから、今これを選ぶ」ではなくて

「この先後悔をしないように、今これを選ぶ」のは、

最初の間は、気持ちが“ぴったりしない”こともあるかもしれません。

「できたら今は、ここまではしたくないんだけど…」

と思う気持ちもありながら、

「まあ、でも…やっておいた方がいいし。妊娠したら気持ちも晴れるし頑張ろう」と

すすめておられる方もいます。

一方、「今の自分が感じていること」を優先した決断をされる方もいらっしゃいます。

「今、自分たちはここまでしようと思わないし、もう少し様子をみてから考えたい」と

自分たちの思いに沿ってすすめておられるようです。

 

妊娠のためにできることを効率よくやっていくことは

妊娠の確率をあげていくために、とても大事なことです。

一方で、妊娠に関する知識を得た上で、

自分たちは子どもを授かるためにどこまでの検査や治療を希望するのか、

考えながらすすめていくプロセスもとても意味があることですよね。

みなさんは今、どんなふうに歩みをすすめておられるのでしょうか。

「妊娠したいなあ」と思われてからこれまで、どんなふうにすすんでこられましたか。

少し振り返ってみてください。

そして、今の自分に、やさしく声をかけてあげてほしいのです。

さて、なんて声をかけますか?


理想とは違っても。。。

今年は例年よりも長い間、桜を楽しめたように思います。

みなさんはどんなところで桜を見られましたか?

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長い間不妊治療をされていたり

「できるだけ早く妊娠したい」と強く願っておられたり

夫婦生活をもちにくい場合などは

「私たちも体外受精した方がいいのかな」と考えることもあるかと思いますが、

結婚なさったばかりだったり妊娠を望まれてから日が浅かったりすると

「妊娠できるかな」と不安がよぎりながらも

どこかで「授かるんじゃないかな」、「まだ不妊ってわけじゃないから」という気持ちもあって、

「どうしても授からなかったら体外受精するけど」とは考えはするけれども

まだ身近な選択肢とは思えない時期ではないかな、と思います。

 

誰もが自然に妊娠したいと思うものでしょうし、

小さい頃からなんとなく思い描いてきた未来図に

「なかなか妊娠しないかもしれない」という出来事があるとは

ほとんどの方が想定していなかったのではないでしょうか。

中には、思ったより妊娠していかないことに

「人生で初めてつまづきました。」とおっしゃる方もおられます。

 

「人工授精ならやってみてもいいかな」とチャレンジして

それほど確率が上がる治療じゃないと説明を受けていても

今までとは違うことをしているわけですから「妊娠できるんじゃないかな」と思ったり

高温期はいつもよりもお腹や身体の状態を意識して暮らしたりしますものね。

それでも生理になったとき、

気持ちを切り替えて3回目以上人工授精しても結果がついてこないときや

「これでダメだったら体外受精に…」と決めていてダメだったときは、

「本当に妊娠しにくいんだな」と落ち込んでしまいますよね。

そういった経過があって

「いろいろ試して妊娠しにくいんだから体外受精で挑戦しよう」と

現実的に考えられるようになるものなのかもしれません。

 

当初の理想とは違った選択を

どこかで受け容れていくときがあるのかもしれませんが、

きっとその選択は、悲しいだけのものではなくて、

新たな可能性が拡がるものだとも思います。

どちらかというと、考えに幅が出ることで、

それまでよりも気持ちにもゆとりがうまれるように思っています。


「休んだら妊娠しますか?」

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今年は桜がゆっくりだなあと思っていたら、

急に暖かくなったので一気に咲き出しましたね。

 

気持ちがいっぱいいっぱいになったとき、

「少し休んだらどう?」と言われることがありますよね。

「“休んだら妊娠した”ってブログに書いてあったんで、休んだらできますか?」

と、たずねられることもたくさんあります。

休んでいるときに授かる場合もありますし

治療を続けていて授かる場合もあるでしょうから、

「こうしたら妊娠しますよ」というものはないとは思うのですが、

「休んだら妊娠しました」という話を聴いて気持ちが揺れるときは

結果が出ないまま治療を続けていくことに不安や疲れがあるときではないでしょうか。

状況が変わらない状態が続くと気持ちも身体も疲れてきますし

なにか違ったことを試したくなりますよね。

けれど、治療を休むと余計に妊娠から遠ざかる気がすることもあって

自分では「休もう!」とは思えなかったりする場合もありますよね。

また、誰かに「そんなに考え込まないで。リラックスしたら妊娠するから!」と

軽々しく言われたような気がしたら、

「何も知らないのにそんなこと言わないで!」と思って

余計に休もうとはしにくくなるかもしれません。

親身に一緒に考えてくれた人の「休んだらどう?」が心に響く時や

状況が休むことを余儀なくした場合は

無理をせずに休めるかもしれませんが、

自分で自信をもって「自分のために休む」選択をすることも

大切なことなんだろうなあ、と私は思っています。

 

休んでいる間は、

“通院しなくてもいい、薬を飲まなくてもいい、注射を打たなくてもいい、

仕事の調整をしなくてもいい、お酒を気にせず飲める、旦那の帰りが遅くても気にならない、

タイミングを意識しなくてもいい、体温が気にならない、生理前のプレッシャーがほとんどない…”

一度休んでみて、その違いを実感して初めて

「ああ、私、こんなにたくさんプレッシャーを抱えていたんだなあ」と

どれほど頑張っていたのか気付くものかもしれません。

プレッシャーなどでキュッとかたまった心や身体を

一度フラットな状態に置いてあげると自然と弛んでいきます。

 

結果が出ずに治療を続けていることがつらくなってきたときなどに

2、3ヶ月ほど心や身体をしっかり休めて

また治療に戻ってみるというつきあい方も

一つの選択肢としていいのではないかなと思っています。

 


「もう一度妊娠したときのためにできることはありますか?」

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前回のブログで“流産の80%は受精卵の染色体異常によるものです”

とお伝えしました。

ほとんどの場合はこのことが流産の原因なのですが、

この他に、流産に関わるリスクというものがあります。

子宮の形や内分泌の状態、

血液の固まりやすさやご夫婦の染色体が

流産のリスクと言われています。

そういったリスクがあるかどうかを確認する検査がありまして(不育症の検査といいます)、

当院で受けていただけますし、流産を繰り返された方には説明もしております。

検査の結果、もし何らかのリスクがあると分かった場合、対処できるものもあるのです。

実際のところ、リスクがあった場合に相応の対処をすることで妊娠継続率は上がります。

そして、気持ちの上でも、

「もう一度妊娠したとき、リスクを防ぎながら過ごせるから、今度は大丈夫かもしれない」

と思えることができたら、少し安心材料になるのではないかな、と思っています。

 

命が宿っていなくなってしまったあと、

誰かに説明するのは難しいような感覚があったり

いつもよりも気持ちの揺れ具合が大きくなる方もおられます。

このタイミングで、もし、周りの人の妊娠のお知らせなどがあったならば、

そのお知らせの衝撃はとても大きいものなのでは、、、など思っています。

そういったときは“明るく周りの幸せを喜ぶ自分”にはしばらくおやすみしてもらって、

淡々とやっていきましょう。

“ちょっとブラックな気持ち”の自分がいたり

自分を責めたり他人をうらやんだりする気持ちもあるかと思いますが、

そういった気持ちになる自分にも「OK」と言ってあげてください。

妊娠のことを考えてしまいそうな場面や子どもの話題が出そうな場面は、

思い切って避けちゃうことも一つです。

「わがままかもしれない」と心配になるかもしれませんが、

まずは“自分が安心していて少しでも楽な状態”で過ごすことが一番だと思います。

また、そんなふうに思ったり考えたり、頭に過ぎったり身体で感じたりして、

「困ったなあ」と思ったときは、カウンセリングルームの話しに来てみませんか?

 

流産後に

カウンセリングを受けることで、

もう一度妊娠されたときの妊娠継続率を上げると言われています。

身体と心は繋がっていますので、

心の方からも身体の状態を整えていくことができます。

 

もう一度頑張ろうと思うときに、

こういったことも参考にしていただいて

より心強く進んでいただけたればいいな、と思っています。


「どうして流産になったのですか?」

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妊娠をしたけれども育たなかったとき、

みなさん「なんでダメだったんだろう」と思われます。

実は、流産の80%が、受精卵の染色体異常によるものと言われているので、

ほとんどの場合がそこまでしか育てない卵だったということなのですが、

このことを耳にされていかが思われますか。

「そういう原因なら仕方がないし、もう1回頑張ろう」と、気持ちを切り換えられそうでしょうか。

はっきりした原因が分からないと

どれだけ「たまたま起こったことです」と説明をされても納得がいかない時もありますよね。

もしかしたら

「あの時に身体を動かしたからだ」とか

「母親になれる自信がなかったから」と、

自分の中に原因を探してしまうかもしれません。

流産は自分の身体の中での起こったことなので

どこか“自分のせい”に感じてしまう気持ちもありますよね。

 

やっとの妊娠で

周りの人の喜ぶ顔や

自分の中での救われた想いが

駆け巡ったあとの出来事で

気持ちが大きく揺れてなかなか現実についていけないかもしれません。

でも、1つ、これだけは大切にしていただきたいのです。

“自分のせいにしない”こと。

 

人生では、自分が引き起こしたことではない出来事にもたくさん出合います。

また、命の誕生であったり、人の生死には、

納得のいかないことがよくあります。

そういったことが起こると混乱しますし、どう受けとめていいのかわからなくなりますよね。

そういう時はついつい、何かのせいにしたり理由をつけて受けとめてしまいがちなのですが、

“起こったことを、ただそのまま受けとめていくこと”が大切なのでしょうね、と思うのです。

 

悲しい気持ち、悔しい気持ち、自分だけつらい想いばかりしているのではないか、という気持ちが

湧いてくるのは当たり前だと思います。

けれど、時間が経てば何か別のことで笑える自分も出てきます。

なので、まずは、ゆっくり眠って心身を休ませて

ご飯はできるだけ誰かと楽しみながら食べて心身にエネルギーをあげてみませんか。

流産のことを考えずに過ごせる時間をもつようにしてみるのもいいかもしれません。

時間が経っても、流産のことを思い出すと涙は出てくるかもしれませんが、

トータルで振り返ってみたら少しずつ落ち着いていくはずです。

元通りの自分ではなく

その経験があったから、よりパワーアップした自分になっていくのではないかな、と思っています。


「私以外にも流産になる人はいますか?」

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「やっと妊娠できたけど、育っていかなかった…」

赤ちゃんを望む中でそういった思わぬ悲しみに出合うことがあります。

流産は、待望の妊娠が叶ってトンネルを抜けて世界が変わったような感じを味わっている時に

不意に知らされます。

聞いたときは「まさか」と思いますし、悲しみもとても大きいですよね。

 

1回の妊娠に対する流産率は38%と言われています。

この数字をどんなふうに思いますか?

100件の妊娠のうち、流産にならないのが62件ということですよね…。

初めてこの確率を知ったとき、私は「こんなに多いんだなあ…」と思いました。

 

当院のホームページに、“卒業された方の声”というページがあります。

当院で妊娠されたみなさんが卒業される日に一言頂戴しているものなのですが、

その中に流産の経験に触れておられる方が何人かいらっしゃいます。

もちろんそのことに触れておられない方もいらっしゃいますので

実際はもっとたくさんおられることになります。

流産の経験を友達から聞くことって、あまり多くありませんよね。

その後、新たな命を生み出されてから「実はこの子の前に流産してるねん」

と言われることは、まだあるかもしれませんが…。

 

周りから流産した話を聞くことはあまりないので

「なんで自分だけ…」とどうしても思いがちになりますよね。

けれど、周りには、「なんで自分だけ…」と流産のことを言わずに

同じようにご自身の中で悲しんでおられる方がいらっしゃいます。

そして、流産のあとはもう一度妊娠していくことを怖く感じる方が多いです。

2回流産を繰り返された場合は特にそう感じられているように思います。

どうしても「もし、また流産したら…」と考えますよね。

あのつらさはもう身に起こってほしくないですもの。

卒業された方も、そういった気持ちを抱えつつ、

それでも無事の出産を望んで通院を続けておられたのだと思います。

 

流産後の妊娠に、カウンセリングが有効だといわれています。

流産の体験を誰かに話すことはとてもエネルギーのいることだと思いますので

なかなか受けにくいところがあるかもしれません。

「話すと泣いてしまうから受けない」と思うこともありますよね。

当院でのカウンセリングは、

特に“不安”や“悩み”に限った話をする場所というわけではありません。

次の妊娠まで、

この先どうしていくか答えが出るときまで、

または、今よりも主体的に生きられるように、

ただ“自分のことを話せて状況を知らせることができて一緒に考えたりできる場所”と

思っていただけたら、と思っています。

 


“カルテット”から、夫婦関係を振り返って。

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今シーズン放映中のドラマ「カルテット」の第6話がネット上で盛り上がっていたようで

ネットでの盛り上がりだけでしたら特に気にならないのですが

スタッフや友人の間でもその話になると盛り上がるので

きっとたくさんの方が「わかる~」と思ったりドキッとしながら観ておられたのだと思います。

 

ご覧になってない方もいらっしゃるかもしれませんが、

第6話は、松たか子さんが演じる真紀さんとその夫さんの

出会いから結婚、そして夫が家を出て行くところまでのやりとりと心情が

とても繊細にそしてリアルに描かれていました。

夫は、恋人のような関係でいたかった。

妻は、家族ができてうれしかった。

理想とは違った現実に物足りなさを感じたり

相手を想っての言動が相手には嬉しいことではなかったりして、

すれ違いが一つずつ積もっていって、気づいたときには大きくなっていました。

 

夫婦で居続けることって、とてもむずかしいですよね。

相手が自分の一番の理解者だとしても、お互い違った価値観をもっていますので、

こだわりも、望みも、大事にしている感覚も、違っています。

自分が相手との関係を良好だと思っていても、相手もそう思っているとは限りませんし、

その逆で、自分が相手との関係に物足りなさを感じていても、相手もそうだとは限りませんよね。

自分がいいと思っていることを相手が同じ温度で共有してくれたら

それはとてもラッキーな瞬間なのでは、と思います。

それが当たり前ではないですものね。

 

ドラマを観ていて、

「どうしたらここまですれ違わずに済んだのだろう」

と、考えられた方も多かったのではないでしょうか。

私は、別居や離婚も選択肢の一つなので、「避けられるなら避けなければ」とは思っていませんが、

“お互いが夫婦でいたい気持ちがあるけれどもすれ違っていっている”のならば

なんとかできたらいいな、と思いますものね。

みなさんは、何かいい案が思い浮かびましたか?

 

“相手の靴に足を入れてみる”

―相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じること―

これはカウンセリングのアイデアの一つです。

相手の靴、旦那さんや奥さんの靴に足を入れているところを想像してみてください。

相手の靴に足を入れて世界に立ってみると

見えるもの、聞こえるもの、感じることが違ってきますよね。

相手は、自分のこういう表情を見てたんだ。

相手は、自分の話をこういうふうに聴いていたんだ。

相手は、自分の態度や言葉に、こんなふうに思ったのかもしれない。

普段の自分は気づかないことにたくさん気付きませんか?

「あのとき私は不満に思ったけど、相手はこう思っただろうな」

「あのとき私は何気なく断ったけど、相手は私の想像よりがっかりしたかもしれないな」

など、いろんな発見があるかもしれません。

“私が相手だったらどう思うかな?”という想像と、

“相手の靴に足を入れてみる”という想像では、

後者の方がより相手の感覚に近い想像ができるように思っています。

 

 


「みんなが頑張っているから、私も頑張ります」

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三寒四温、本格的な春にむけて季節が移ろいでいますね。

日が暮れる頃の景色が、なんとなく春っぽくなってきたように感じています。

気温差が大きい日々になりますので、みなさん体調にはお気をつけくださいね。

 

子どものころ、家族や先生から

「ほら、周りのお友達はみんなちゃんとしてるよ!○○ちゃんもちゃんとやらなきゃ!」

と言われたことが誰にでもあると思います。

そう言われると、自分だけが周りと違ってはいけない気がして、慌ててちゃんとしますよね。

“みんながやっているから、私もやる”

“みんなが頑張っているから、私も頑張る”

こういった考えは、いつの間にか当たり前に私たちに浸透しましたし、

そういった考えが励みになってやってこれたことはたくさんありますよね。

 

例えば、「お友達もみんな頑張って治療しているから、私も頑張ろうと思って」と

周りの人たちの通院が自身の通院の後押しになっていたり、

体外受精にチャレンジするときに「たくさんの人がやっていることだし、大丈夫。私もできる」

と、心強く一歩を踏み出せたり。

“みんな~だから”と思うことが励みになったり、安心感や一体感が生まれたりと

気持ちの支えになってきたのですね。

 

一方で、先日観た劇の中に

「“みんな我慢してるから我慢しよう”ってつらいじゃないですか」というセリフがありました。

どういうことなのか想像してみたのですが、

“みんな~だから”には、ひとりひとりがどのように感じているのか、ということが含まれないのですよね。

“みんな~だから”、「そうすることが良い」「そうしないといけない」と思って行動すると

「私はこんなふうに感じているんだよ」という気持ちは置いてきぼりのように思います。

あのセリフは、「そこに“本当の自分を生きられないつらさ”が隠れているんだよ」

というメッセージだったのかなあ、と想像しています。

“みんな~だから”と思うことで、自分を鼓舞することもできれば、

自分の本当の気持ちを曖昧にしていることもあるのですね。

 

振り返ってみると、“みんな~だから、私もこうする”と思っていることって、よくあるんですよね。

そう考えることで、自分の気持ちを高めたり勇気をもらったりと“わくわく”しているのか、

それとも、どこかで自分の本当の気持ちを呑み込んでいるのかは、場合によって違うものです。

自分の気持ちを置き去りにしていないかどうか、

自分も本当にそうしたいと思っているのかどうか、

自分が感じていることを大切にしておきたいな、と思っています。


男性の気持ちを知ることはできるでしょうか。

一月半ば頃から定期的に雪が降っていましたが、暦の上ではもう春ですね。

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さて、私は先日、男性の不妊のこと、生殖のことやセクシュアリティをテーマにした

人文社会学系の研修会に参加してきました。

男性は不妊治療をどのように体験しているのか、などについて

インタビューや本、メディアなどの情報を元に論じられていました。

発表されている方々は体験者というわけではなく、

研究として、また現場からの報告としての発表でした。

 

その中に泌尿器科に通われている男性へのインタビュー調査がありました。

数人の方がインタビューに協力されて、

精子に原因があると分かったときの気持ちや手術をうけるかどうかの逡巡、

奥さんに対してどう思ったか、周りの人には知らせたか、などについて

ご自身の体験を語られていました。

協力された方は、男性不妊は一般的にはまだ情報が少なくて孤独だと実感されて、

社会的認知の広まりを目的としてインタビューを受けられたようです。

協力された方は無精子症や乏精子症で通院されていた方で、

勃起障害などの性機能障害の方の協力はいただけなかったそうです。

“男性不妊にあてはまると男性性が否定されているように感じるのではないか”という想定もありますが、

この調査では、男性は「精子がないのは病気だから」と生殖機能と性機能を分けて捉えておられ、

夫婦生活については特に問題なく語られていたことから、

“性機能には問題がないことで男性性を否定せずにいられるのではないか”と示唆されていました。

 

男性が検査や治療への協力に抵抗を感じていらっしゃると

女性としては「女性は何回も内診受けてるのに…」と思ったりもしますが、

“男性にとってはどういった体験になるのか”を想像すると、

物理的に“ただ精液を提供する” だけでなく、男性性が揺さぶられる体験になるかもしれないのですよね。

 

その後、この研修会の感想を男性の知人と話すと、彼は、

「男性の気持ちって言っても人それぞれじゃないですか。

そんなふうにどこかで話されていること事態が余計に決めつけることになるんじゃないですか。

夫婦でどれだけコミュニケーションとれてるか、にもよるし。

そもそも結婚に何を求めているのか、にもよるし。」

と、一蹴しました。

 

男性側の気持ちの“傾向”や“パターン”を知っていると、参考にはなります。

「こういう場合、男性ってこう思うんじゃないかな」と想像して関わり方を見つめなおすことができます。

なぜ旦那さんとの間に温度差があるのか、納得できる理由が見つかるかもしれません。

ただ、知人が「人それぞれ」と言ったように、

物事をどう受け止めるかについてはその人の価値観や生き方によるもので、一人ひとり違うと思います。

結局のところ、男性の気持ちではなく旦那さんがどう思ってるのかを知っていきたいですね。

 


タイミングの日は伝えた方がいいですか?

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旦那さんに「この日にタイミングとってって言われたよ」と言いづらいと

毎周期タイミングをとることが大変ですよね。

夫婦生活が週に何度かあるご夫婦でしたら

こちらから言わなくても自然とタイミングが重なるかもしれませんが、

夫婦生活の回数が少ないご夫婦や仕事が忙しい場合は

お互いが“タイミングの日”を意識しないとタイミングが合いにくいですよね。

 

“旦那さんにタイミングを伝えたら旦那さんがプレッシャーを感じてできなくなる”

といったエピソードを聞いて、伝えることを迷われる方が多いようですね。

全ての旦那さんが「誰かに言われてするなんて…」と否定的なわけではありません。

「いつがいい日か教えてもらわないと分からない」と思ってらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

これは、旦那さんが夫婦生活をどう思っていらっしゃるのか、

そして、妊娠のこと(機序や確率のこと)をどれくらいご存知か、

妊娠をどれほど身に迫って考えておられるか、というところでも

スタンスが変わってくるかな、と思っています。

奥さんの方が焦りを感じて先に妊娠のために行動し始めた場合

旦那さんは奥さんの行動に引っ張られるわけですので、

もし「赤ちゃん、欲しいのは欲しいけどもうちょっと自然に待ってみよう」

と思ってらっしゃる旦那さんだったら

“奥さんと同じ温度で進むことを期待されること”に最初は戸惑われると思いますし

状況を受け容れていかれる時間も必要ですよね。

 

ただ、旦那さんがタイミングの日もいつもと変わらないかと言うと

それはやはりどんなに現実的な方であっても多少は気負われることと思います。

奥さんの子どもが欲しい気持ちが伝わっていれば尚更、

「今日は失敗できないな」という気持ちがあるのではないでしょうか。

もしタイミングが取れなかったら、旦那さんもショックを受けられるでしょうしね。

 

タイミングをとることで、

夫婦生活が作業というか、ミッションというか、

そういった類のものになっていると感じられるご夫婦もいらっしゃいます。

自然と求め合って、という状況でなければ気分が高揚しないこともあるでしょうし、

結婚してしばらく経って、夫婦生活自体がマンネリ化している場合もありますものね。

夫婦生活をできるだけ楽しむために

タイミングの日はホテルを利用するなど、工夫されているご夫婦もいらっしゃいますよ。

 

タイミングの日は伝えた方がいいかどうか、も含めて

やはりご夫婦で話し合って工夫して出された答えが正解ではないかと思います。

“やってみないとわからない”が正直なところですので

もしご夫婦で出した答えがどちらにとって負担であったのならば

またそのときに話し合ってどうするか考えて、と、

そういったやりとりの軌跡がご夫婦の正解なのではないでしょうか。

 


変化についていくこと、変化を楽しむこと

 

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結婚や転勤で住む場所や生活スタイルが変わることがあります。

他府県から滋賀に来られたり退職などで環境の変化があった方がいらして

多くの方が「新しくともだちをつくるって難しいですよね」と仰ります。

今までの友達とは、メールや電話はできてもなかなか会えないでしょうし

これまで職場で雑談していた時間もなくなると

「気付いたら今日はレジのおばちゃんとしか喋っていない!」という日が

日常になってきますよね。

オリエンテーション(カウンセリングのご紹介)をしているときに

「こんなにゆっくり人と話したの久しぶりです」とお聴きすることが珍しくなく、

お仕事や習い事がなければ、あとは美容室などで接客してもらうときくらいしか

おしゃべりする機会ってないものなんだなあ、と、思いました。

 

中には「友達と話さなくても、独りの方が楽だから」と思ってらっしゃる方もおられますし

「友達と話さないといけない!」というわけではもちろんないのですが

そういった環境や状況の変化に慣れていくことが、時に難しかったりするのだなあと思っています。

「前の場所だったらあのお店に行ってあれ買うのに、こっちでは売ってないな」のような

“生活に大きく差し支えはないけれど残念なこと”もチラホラありますし

「妊娠を優先したくてストレス避けたいから仕事はしてないんです」と

今の自分にとっていい方を選んでいるはずなのに、毎日がもの足りなく感じたりとか。

そんな中「早く妊娠したらこんなこと考えなくていいのに…」って思っちゃったり、とかね。

 

こういう時「あ、私、また妊娠のこと考えてる!」と気付くことができると

他に何か集中できそうなことをしたり、深呼吸に集中したりするなどして

思考のループからはなれることができます。

 

“前の暮らし”や“周りの人の暮らし”とついつい比べたりするものですが

“今の暮らし”だからこそ見つけられることもあるのだろうなあ、

今の状況だからこそ気づけることもたくさんあるのだろうなあ、と思ったりしています。

 

さて、今季最大の寒波がきているそうで、とても寒いですね。

明日は雪が降るかもしれませんので、来院予定のみなさま、

くれぐれも気をつけてお越しくださいね。

 

臨床心理士 間塚


2017年を迎えて。

明けましておめでとうございます。

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新しい年、いかがお迎えでしょうか。

たくさんの方が気持ちを新たに、これからの自分のことやご夫婦のことを

思い巡らされたことと思います。

 

ご実家に帰省された方もたくさんいらっしゃると思います。

帰省先で、お子さん連れのご親族や妊娠中のご親族の方と

一緒に過ごされた方もいらっしゃいますよね。

そういった環境に身をおくことや、両親や義父母、親族の言葉かけや反応に

不安を感じながら帰省された方も多かったと思います。

胸がキュッとなったり、自分の対応が嫌になったり、周りの理解のなさに悲しくなったり

いろんな気持ちがあったのではないでしょうか。

気持ちを抑えて頑張られていたであろう姿を想像しています。

 

「妊婦姿の義妹にやさしくできなかったな」

「子どもが騒いでいるのに放っておく義兄夫婦が許せない!」

「孫と幸せそうに遊んでいる親の顔を見て胸が苦しくなった。」

など、できるならば引きずりたくない想いが今もひっかかってらっしゃるかもしれませんね。

今は、よく思いがちな「もう少し自分の器が大きければ…」というような気持ちは置いておきましょう。

あなたが感じたことは、あなたと同じ状況であればきっと多くの人が当たり前に感じることです。

他人にはやさしく振る舞いたかったり

同じような価値観の言動を求めたり

羨望を持ちたくなかったりするのは

人間としてごくごく自然なことではないでしょうか。

 

このようなこともお話に来ていただいて

妊娠を望まれながらの暮らしの中の“休憩所”であれたらと思っております。

今年もよろしくお願いいたします。

 

臨床心理士  間塚


ただ話してみること

気がつけば12月も後半に差し掛かってきましたね。

師走だけあって、日々が忙しく感じられる方が多いことと思いますが

いかがお過ごしでしょうか。

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この間、お話に来られた方が帰り際に

「ただ話を聴いてほしかったんです」

とおっしゃられました。

 

特に悩みや相談はなくても

例えば病院に来るまでにあれこれ考えたこと

病院に来てからわかったことや

旦那さんとのやりとりであったり

ご家族やお友達とのおつきあいだったり

ご自身の頭の中やこころの中に浮かんでは

特に誰かに話すこともないままのことはたくさんあるものですよね。

 

そういったことを話したいけど

自分の話をするのはどこか勇気がいりますし

なにかきっかけがないと話しにくいし

相手に対してなんだか悪いなという気持ちになったり

また話してなんて言われるのか気になって

なかなか話せないという方もおられます。

 

自分が思っていることや感じていることを言葉にすることで

今よりもこころがすっきりしたりホッとしたり

自分で自分を認めることができたりするのですよ。

 

今年1年は、あなたにどんなことがありましたか?

「通院を始めた」 「体外受精にすすんだ」 

「引っ越ししてきた」 「仕事が大変だった」

一言で言ってしまうと簡単になってしまいますが

一言では収められない体験や思いがあるでしょうし

一言で言ってしまうと他の人と同じことも

中身はお1人お1人違いますよね。

 

忙しく日々は過ぎていきますので

ちょっと考えたり困ったり頑張ったりしたことも

数日経てば過去のことになっていきます。

そうしたらもうそのときの自分のことも過去になっていくのかもしれません。

気をつかったり、我慢したり、

頑張ったり、勇気を出したり、

苦しかったり、嬉しかったりした

いろんな自分がいたはずなのです。

今年の自分に「よく頑張ったね」と労う時間を

もっていただきたいなと思います。

 

臨床心理士  間塚


ストレスで妊娠できない?

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イライラしたり腹が立ったり、理不尽なことが起こったりすると

「私、検査しても問題なかったし、妊娠できないのはストレスのせいなんじゃないかな」

と、思ったりされませんか。

 

ストレスに対応しようと働く脳の機能はホルモンを司っている機能と同じですので

ストレスが強いと排卵や黄体機能に影響を与えることは知られています。

例として、ストレスで生理が遅れた、という経験をされた方は少なくないのではないでしょうか。

 

とはいえ、ストレスがあると妊娠しないというわけではなくて(ストレスがない人はいませんし…)

そういった状況でも妊娠される場合もありますので

「ストレスのせいで妊娠できない」と言い切ることはできないと思っています。

ストレスが妊娠に影響している可能性がある、とは言えるという感じでしょうか。

 

定期的にカウンセリングに来られながら妊娠された方を思い浮かべると

―旦那さんとの関係や家族との関係が変わっていかれて

 仕事の環境や状況が変わっていかれて

 ご自身の生活や考え方が変わっていかれて

 迷っていた体外受精にすすむことを決められて

 ずっと抱えてらっしゃった「心のひっかかり」を言葉にされて―

力がふと弛んだときや状況を受け容れられたときなどに妊娠されていかれたように思います。

(もちろん、この限りではありませんが)

 

ストレスが妊娠に影響しているかどうか気になると思いますが

妊娠に影響しているかどうかだけではなく

ストレスは健康や生き方、みなさん自身を揺れ動かすものです。

ただ、ストレスが「悪」や「敵」なのかといえばそればかりではなく

「今のままではあなた自身がしんどくなりますよ」

「これまでとはやり方を変えてみたら、また乗り越えていけるかもしれませんよ」

というサインだと捉えることもできます。

ストレスとどのように付き合っていけば今より楽に感じられるようになるのか

思い切ったり工夫をしたり受け止め方を変えていくことは、

とても意味があることだと思っています。

 

臨床心理士  間塚


ご夫婦の意見が合わないときに

12月になりました。

冬至に向かって日が短くなっていっていますね。

紅葉も散り始めて、冬へと変わりつつありますね。

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前回のブログは、「ご夫婦それぞれの気持ち」についてでしたが、

「旦那さんと意見が合わない場合はどうしたらいいの?」

と思ってらっしゃった方もおられたのではないでしょうか。

「私は早く欲しいのに旦那がそんなに焦ってないから、この話になると雰囲気悪くなるんです」

という状態のご夫婦も少なくありません。

意見が合わないと困りますものね。

 

では、旦那さんの意見はどういった思いからのものでしょうか。

妊娠はよほど身体的な原因がない限りできるものだと思ってらっしゃるのかもしれません。

まだまだ自然のタイミングで様子をみていたいという本音があるのかもしれません。

夫婦生活が機械的になっていく、

もしくはプレッシャーに感じることを不安に思ってらっしゃるのかもしれません。

奥さんが焦ってらっしゃるように見受けられて、落ち着いてほしいと思ってらっしゃるのかもしれません。

これから子どもを育てていく生活に覚悟がもてないのかもしれませんね。

旦那さんはどんなことを思っていらっしゃるのでしょうか。

 

まずは、ご夫婦で正しく妊娠のことを理解していただくために、

説明会に一緒に参加していただくことから始められてはいかがかなと思います。

奥さんばかりが旦那さんに説明していると

旦那さんも素直に受け取れない部分もあるのではないでしょうか。

当事者同士の言い分は受け取りにくいですが、

第3者の意見は冷静に受け取ろうとするものだったりします。

旦那さんとケンカしたときに友達の意見なら素直にきけた、なんてことはありませんか?

森先生の説明をきかれてみたら、また理解が変わってくるかもしれませんね。

とはいえ、説明をきいたらすぐに気持ちが一緒になるわけではなくて

奥さんは奥さんで、妊娠のこと、治療のことを受け容れていく段階があったように

旦那さんは旦那さんでそういった段階があるものだと思います。

 

夫婦間の温度差を気にされていた奥さんともう一度お話したときに

「あれから旦那とケンカしました」とご報告くださることが少なくありません。

「ケンカ」ときくと、なんだか「よくないことが起こった!」ような気が一瞬するかもしれませんが、

だいたいの場合は、夫婦関係や妊娠のことをお互いにとってよりよくするためきっかけになっています。

旦那さんに気を遣って伝えたいことを言わずにいたり、気付いてほしいなと思いながら待っていると

触れてもらえなかったり気付いてもらえなかった場合に悲しくなって怒ってしまうことがあります。

旦那さんは、ご自分からはこの話題に触れないようにされているかもしれません。

「話したら雰囲気悪くなるだけやし」「妻に泣かれたくないし」という気持ちもおありでしょうしね。

お互いの気遣いが溜まってくると、感情のコントロールがきかなくなることもありますよね。

 

相手の思いも聴いて、気遣う気持ちと自分の思いをどちらも伝えていけたら、

相手からもまた違った反応があるかもしれませんね。

 

臨床心理士 間塚


ご夫婦それぞれの気持ち

紅葉が見頃になり秋が深まってきましたね。

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ご夫婦で治療のこと、妊娠のことをお話されるときはどのような感じでしょうか。

奥さんから治療の報告や相談があったときに

「治療したかったらしたらいいし、やめたいならやめたらいいよ」

「治療がしんどかったり負担にならないかが心配だから無理してしなくてもいいよ」

とおっしゃる旦那さん。

旦那さんとしては、ご自分が診察や処置を受けるわけではありませんから、

どれだけ話を聴いていても実際のところ奥さんにどれだけ負担になるのかは分からないし

奥さんに対して申し訳ない気持ちもあるのだと思います。

奥さんがつらそうにしている姿を見ているのもつらくなりますものね。

 

旦那さんがそう仰られるようであれば奥さんは希望する治療ができますし、

「夫のために何が何でも妊娠しなければ!」というプレッシャーも和らぎますよね。

けれど時により、

「夫は夫婦2人でもいいと言っているけど、私が諦められないから…」と

妊娠したい気持ちを1人で背負いがちになられることもあるみたいですね。

 

旦那さんの「子どもよりも奥さんに元気で笑って暮らしてほしい」という想いは

とても温かいものですし、大きな愛情ですよね。

ただ、「もしできるのなら子どもが欲しい」という思いをお2人ともお持ちで

通院した方がその願いが叶う確率が高いと思われるようであれば、

旦那さんには奥さんの負担を分かちあっていただいて

奥さんと一緒に、揺れる気持ちや身体のしんどさの傍にいてくださればなあ、と思います。

奥さんが通院の報告をされたり治療していて思うことをお話されているときに

「しんどかったら、やめたらいいよ」 「そんなにつらいのなら子どもはいらないよ」と

旦那さんが解決策を提案されることって多いんですね。

もちろんそう言ってもらうことで奥さんが安心されるところもあるのですが、

奥さんとしては解決策がほしくて話しているというよりも

「私の気持ちを聴いてほしい」 「今日何があったか知っていてほしい」

というお気持ちの方が多いのではないのかなあ、と思うことがあるのですが、いかがでしょう。

 

臨床心理士  間塚


結果は出てほしいものですが。

11月も半ばになり、木々が色づき始めましたね。

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さて、当院が開院してからずっとこちらでカウンセラーをしていますが、

「結果が出なくって…」というお話には私もいつも「う~ん…」となります。

通院されているからには妊娠して無事に卒業したいのがみなさんの願いですものね。

結果が出ない状態が続いていくと「いつか諦めなきゃいけないのかな」と思われたりしますが、

いつ諦めたらいいのか、なかなか決心がつかないものです。

子どもがいない人生といる人生、どちらが価値があるということでは決してありませんが、

「欲しいと思った結果が手に入ること」に幸せや価値があるように思えるところもあるのだと思います。

 

みなさんが欲しいのは結果や、続けていたら妊娠できるという保証、なのですよね。

そのためにスケジュール調整して通院したり、

やめたい仕事を治療費のために続けたり、

夫婦で何度も話し合って分かってもらえなくてぶつかったり、

いろんなことを乗り越えたり、それぞれの大変さを抱えながら過ごされていますよね。

 

みなさん、妊娠していくために今できること、というのはそれぞれされているのです。

ですから、結果が出ないからといって、誰かのせいということではないのですよね。

 

「もうちょっと年齢が若かったら子どもできたかもしれないのに」と思われたりしますが、

旦那さんと出会うタイミング、子どもを授かりたいと強く願う時期がそうであったのですし、

自然な流れの今なのであって、誰のせいでもないと私は思います。

「ストレスかけたくないのに考えすぎてしまった…」と後悔される方もいらっしゃいますが、

すごくすごく妊娠したいと思ってらっしゃっる中でそのことを考えないのは、

なかなか難しいことなのではないでしょうか。

ちょっとぼんやりしたら、ちょっと手を止めたら、妊娠のこと考えている

という状態になっても当たり前だと私は思います。

 

結果が出ないと、つい原因探しをしてしまいがちです。

結果が出なくても、ご自身やご夫婦が頑張られたことは本当のことです。

原因を自分の中に探すのは終わりにされてみませんか。

代わりに、ご自身の頑張りを自分でしっかり褒めてみられてはいかがですか。

 

臨床心理士  間塚


夫婦生活のこと

結婚して少し時間が経ったり

妊娠のためにタイミングをとったりしていかれる中で

夫婦生活の在り方が変わっていかれるご夫婦は少なくはありません。

以前から夫婦生活のお話をおうかがいすることはあったのですが

最近特におうかがいすることが多いので

今日はこのことについてのお話です。

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夫婦生活のことはご夫婦の在り方と個人の体験や心理的なことも関わったりしますので

「できる」「できない」/「ある」「ない」と簡単に片付けてしまっていいことではありませんよね。

その回答の背景にはそれぞれの様々なご事情や状況があるでしょう。

 

恋人関係から家族になり生活をともにする中で気持ちも変わって

以前ほどは夫婦生活を望まなくなることもあるでしょうし、

“タイミングをとる”ことに意識が向いて

自然な夫婦生活じゃないように思われる方たちはたくさんいらっしゃいます。

また旦那さまが生活の疲れやプレッシャーなどから

思ったように機能を果たせなくなられることもありますし、

奥さまもプレッシャーや義務感などからか

分泌される粘液が少なくなったり痛みを感じられることもあります。

その中で、相手に対して不満や怒りを抱かれる場合もありますし

ご自身の中で、心苦しくなったり自信をもてなくなったり、焦りを抱かれる場合もありますよね。

お互いが夫婦生活をもちにくいと思ってらっしゃるようでしたら

「ないならないで、人工授精や体外受精をすれば妊娠の可能性はあるしいいわ」

とステップアップ希望で来院なさるご夫婦もいらっしゃいます。

 

きっと奥さまと旦那さまそれぞれのご事情やこころの動きがあるでしょうから

このことについては本当にケースバイケースだと思っています。

ただ、思ったように夫婦生活を持てなくて気になってらっしゃるようでしたら

どういったことがひっかかってそうなのか、

どういったことをきっかけにだんだんできなくなってきたのか、

といったことを、お話しながら探していくことはできます。

その中で気づくことや変わっていけることが見つかるかもしれません。

 

夫婦生活は妊娠のための行為という役割だけではない部分もあります。

夫婦生活の在り方にご夫婦の中でお互いが納得している関係が理想なのでしょうが

納得はしきれなくてもお互いの状態や思いを理解している関係でいられるといいですよね。

 

臨床心理士  間塚


通院しようか迷っているときに。

このブログは、通院されていない方や当院を卒業されたみなさんもご覧になられていると思います。

治療を終えられるときに「ブログ、これからも読みますね」と仰ってくださることもあり、

みなさんの暮らしの中の“ちょっとした箸休め”になっているといいなあ、と思っています。_20161020_165031

みなさん、お元気にお過ごしでしょうか。

時折、みなさんとのお話を思い出しては「どうされていらっしゃるかなあ」と思っています。

 

そして、通院を迷っておられるみなさん、こんにちは。

今、どういったお気持ちでホームページをご覧になられているでしょうか。

赤ちゃんが欲しいけど思ったより妊娠に時間がかかるなあと思っている方、

生理不順で妊娠に不安がある方、

年齢を気にされている方、どうして妊娠しないのかわからない方、

妊娠のチャンスがあるときになかなか夫婦生活をもてない方、

今通っている病院とは違う病院が気になっておられる方、

など、状況はそれぞれですよね。

 

初めて診察に来られたとき、

多くの方が「とりあえず来れてホッとしました」と仰います。

それだけ来られるまでに迷いや不安

―「できたら通わずに授かりたい」

「まさか自分が妊娠のために通院するなんて…」

「毎日忙しいのに、通院が負担になるんじゃないかな」

「何歳くらいまで診てもらえるんだろう」

「旦那が“わざわざ病院に行ってまで頑張らなくても”って言ってるし…」―

が、たくさんあるのですよね。

 

誕生日や記念日が近づいてきたり、

周りの妊娠・出産の知らせや、友達が不妊治療に通っていると聞いたとき、

生活状況が妊娠に集中できる状態に変わったときなどをきっかけに

来院される方もみられます。

ご自身が「よし!思い切って行ってみよう!」と踏み出す力になるようですね。

 

大切なことって、ご自身が、ご夫婦が、

これからどんなふうに人生を送っていきたいかということや

そのために今取り組んでおいたほうがいいことを

お2人の間でちゃんと共有できていることですよね。

身体の状態も気になるし病院に行ったほうがいいのかな、行かなくても授かれるかな、

と揺れる気持ちの中で、

「どうするか決める」ことを目的とせず

旦那さんにも答えを出すことを目的にしてもらわず、

ただ思っていることを話して、旦那さんの思いも聴いて、というやりとりの中で

自然とご自身の中で「こうしよう」と気持ちが固まってくるのではないかなと思っています。

 

臨床心理士  間塚


励まされることがしんどいこともあります

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毎日新聞に「香山リカのココロの万華鏡」というコーナーがあります。

香山リカ先生は精神科医で、時折ニュース番組のコメンテーターをされていますし、

ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

10月10日付けの新聞には、死産を経験された方のお話が掲載されていました。

一部抜粋させていただきます。

 

―何年も前に会ったある女性は、おなかの赤ちゃんに重い先天性の障害があり、

生まれる前におなかで亡くなった。

夫婦で大変な悲しみに沈んでいたが、親族や友人は励ます意味でか、

こんなことを言ったのだという。

「そういう赤ちゃんなら、もし生まれたとしても、たいへんな苦労だったでしょうね。

これでよかったんじゃないの。早く元気だしてね」―

 

相手には悪意はなかったのは分かっても、この女性にとっては傷つく言葉だったそうです。

 

誰かからの励ましでこの女性と似た気持ちを味わわれたことがある方は少なくないと思います。

みなさんからよくおうかがいするのは

「考えすぎるのをやめたらすぐにできるよ!」

「子どもがいない夫婦は仲がいいからいいじゃない!」

「子どもがいると自由な時間がないから羨ましいわ」

「そのうち子どもの方から来てくれるよ」

など、など。

そう言って声をかけて励ましてくれた相手に悪気がないのも分かっています。

分かっているから余計に言い返す気持ちになりませんよね。

けれど自分の気持ちは分かってもらえないんだなと、もやもやしてしまいますね。

 

私たちには、「前向きに考える」ことがいいことのような意識がありませんか。

現状や出来事がつらくても「いい方に考える」ように励まされてしまいます。

けれども、どんな状況でも前向きに考えるのは不自然ですし、こころに無理が出てきます。

悲しいときは悲しいですし、つらいときはつらいですよね。

 

香山先生は死産を経験された女性に

「まわりの人はどういう態度を取れば、少しでも気持ちがなぐさめられたでしょうね。」

と尋ねられました。

その方は「そうですね。あまり大げさに悲しんでもらいたくないし、

何を言ってもらっても同じかも。だとしたら、そっと泣かせておいてほしかった」

と答えられたということでした。

 

周りの励ましてくれる人の想いがご自分の気持ちと合わなかったり違うなと思うときは

まずはご自分の「そうじゃないの」という気持ちを大事にしていただきたいと思います。

そして「そうじゃないの。私こう思ってるの」と言えなかった気持ちを

誰かに聴いてほしいなと思われることがあれば、お話にいらしてくださいね。

 

臨床心理士  間塚

 

 


カウンセリングは悩み相談?

いくつかの台風を見送っていたら9月が終わり、10月になりました。

この台風が過ぎたらそろそろ秋らしい気温に落ち着いてきそうですね。

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時々「カウンセリングでみんなどんな悩みを話していかれるんですか?」とご質問くださるので、

“カウンセリングは悩み相談”という印象がまだあるのだなあと思っています。

実際は、想像されるような悩み相談というより、出来事や日頃思ったり考えたりしていることを話に来られています。

例えば、「治療のことをお母さんに話したら、応援してくれるって!」とか、

「タイミングはとれるけど、気分じゃないときもあったりして…毎回はねえ~?」とか、

「職場の若い子としゃべってるとびっくりするんですよ。この間もね…」とか

“わざわざカウンセラーに話しに行かなくてもそれなりにやっていけるんだけど

聴いてもらえるんだったら話したいな”という感覚で来られていたりします。

治療のことでも、例えばステップアップするときに様々な迷いの中で決断されることになると思いますが、

その迷いの最中でお話をおうかがいすることもあれば、

決断してから“こういうことで大変でこういうことでも迷ったけど私はこう思って決断したんです”と

ご報告に来てくださることもあります。

 

カウンセリングって何かの答えや解決法を出すことだけが目的ではないんですね。

ご自身の想いや出来事についての受け止め方というのは

話しても安全な場所や関係の中で言葉にすることでより整理されていきます。

話している中でもう一度自分の想いを眺められ、

「うん、そうそう。私、これでいいんだなあ」と改めて確認されるのです。

そういった時間をもっていただくことで、心はよりスッキリと自分を信じて進んでいかれます。

 

妊娠を望んで通院されている中でみなさんはいろんな気持ちに出合われることと思います。

ときには自分を誉めたくなるような嬉しい気持ちもあるでしょうし

自分を嫌になってしまうような苦しい気持ちもあるでしょう。

こんな自分がいて、こういう自分もいて、いろんな自分がいるものです。

みなさんの様々な場面を一緒に過ごしていけたらと思っています。

 

臨床心理士  間塚

 

 


開院8年目を迎えました

草津レディースクリニックは、9月で開院して8年目に入りました。

 

開院当時を思い返してみると

今はその頃に比べずいぶん不妊治療のことが知られ、

通院していることを旦那さん以外の方にも話していらっしゃる方が増えてきたと実感しています。

妊娠のために通院されることが、普通になってきた印象ですね。

 

お1人で、もしくはご夫婦の間だけで、根詰めてしまわれることもあるので、

通院されているほかの方とお話できる機会があったり

周りの理解を得られやすくなったことで

通院される選択をされた方の心の負担が少しは軽くなってきたように思います。

 

とは言いましても、

自分の人生で子どもを授かれるかどうか不安な気持ち

両親、親族のためにも授かりたい想いや

子どもを授かられた方への複雑な気持ち

他の人にはわかってもらいにくい気持ちなど

お子さんを授かりたい状況だからこその気持ちは以前も今も変わりませんし、

ご自身の状況特有の想いもあるものですよね。

 

そういった心模様ともなんとかほどよくつきあっていくために

カウンセリングルームは何か悩みがある時に相談に来ていただくだけではなく、

“より良い心の状態”で通院していただく一助としてあります。

近況をお話いただくことで気持ちが軽くなったり

そういった雑談の中からも心とのつきあい方を見つけていくことができます。

みなさん、最近はどのような感じで通院されていらっしゃいますか。

また、いつでも、お聴かせくださいね。

 

臨床心理士 間塚


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